新人公演『愛と革命の詩』、初ヒロインは朝月希和ちゃん。
 娘役に暗いわたしは、この公演になるまでまったくノーチェックだった。研4。
 本公演のユディット役が、あまりに印象的。うまいよねー。

 下級生が子役をうまく演じられることと、ヒロインを演じられることとは、また別のスキル。だからヒロインとしてはどうなのか、楽しみであるところ。

 芝居もふつーにうまいし、歌はとてもきれい。
 というか、やっぱ芝居の声がきちんと作れているから、歌えているから、てのが大きいのかな。

 わたし、めーっちゃ久しぶりに立見したのね。ここんとこ新公チケットはすんなり手に入ってきたんだけど(除く星『ロミジュリ』)、何故かこの花新公だけは最後まで入手出来ず。ムラのいいところ、チケットなくても劇場に入ることはできる、立見があるから……と、のーてんきにやってきたら、思ったよりぜんぜん立見人数多くてびっくりだった。
 まあ、そうやって久しぶりに、そしてこのお芝居をはじめて後方で観て、いろいろ気づくことがあった。やっぱ舞台はいろんなところから観るもんだよねええ、と感心したことは置いておいて。

 そうやって、あの巨大な劇場のいちばん後ろから見る分には、良いヒロインだった。
 声でちゃんと芝居してるし。なにやってんのかわかるし。

 でもオペラグラスで顔を見ると……。

 ずっと、同じ顔してる。

 ずーっとずーっと、いつ見ても、八の字眉毛。

 や、わたしもずっと一瞬も逃さず朝月ちゃんをオペラグラスでガン見しているわけではないから、彼女がずーっとずーっと同じ表情だったと言い切ることは出来ない。
 あくまでも、わたしがオペラをのぞいたとき限定の、「いつ見ても」だ。
 で、わたしはミーハーらしく面白がっていろんな人・いろんなところを見ているので、オペラでヒロインを見るのは「ここぞ」ってところばかりだ。
 シェニエさんとのラブシーンとか、ジェラールさんに迫られるところとか。歌の盛り上がるところとか、ヒロインの感情の高ぶっているところとか。
 そんな風に、偏ったところだけをピックアップして、オペラで見ているせいだろうさ。
 しかし。

 いつ見ても、同じ顔……。
 いつ見ても、眉毛八の字……。

 ヒロインをオペラで観る回数は、後半どんどん減っていった。
 だって、いつ見ても同じ顔してるんだもん……顔をアップで見るより、遠目で声を聞いているだけの方が、芝居がよくわかるわー。

 んで、これはわたしだけかもしんないけど、太いしっかりした八の字眉毛の女性って、……きれいじゃない……。
 絶世の美貌の令嬢、って設定なんだから、オペラグラスなしの方が、説得力あるっす……遠目で見ていよう。

 まだ芝居の表情の作り方、美しい表情で哀しみとか恐怖とかのマイナス感情の作り方が、出来ていないのね。
 ヒロインの心情をそのまま表情に表しているのだと思う。
 ヒロインの心情=ヒロインの表情、ではないよなあ。
 そこにワンクッション、ヒロインの心情→それを観客に伝えるための技術→ヒロインの表情、になるんだ。
 なんてことを、思い知りました。
 思ったことをそのまま顔に出しているだけなら、素で生きているわたしたちと同じだよね……そこに技術があってはじめて「芝居」になるんだね……。

 初抜擢の研4さんだから、出来てなくて当然、声を出して喋れるのだからそれだけで今は十分だと思います。
 あとは経験さえ積めば、技術としての表情も作れるようになるのだろうし。そしてどんどん垢抜けて美しくなるのだろうし。


 本公演を観たときに『堕天使の涙』を思い出したせいかもしれない。
 朝月ちゃんを観ながら、さゆちゃんのことを思い出していた。
 それまでまったくのモブ扱いだったのに、景子先生の大劇場公演で突然無名の娘役が2番手に抜擢。かつ、新公ヒロイン。
 別箱公演を観ていたからまだ「あの子か」と思えたけれど、本公演だけで言えば、マジに「誰??」でしかない女の子。その子が突然、娘役2番手。過去に新公ヒロインを演じ、それまでの公演ではそれなりに活躍してきた子たちを脇に置いて。

 今回の朝月ちゃんと、同じパターン。本公演のユディット役は単独2番手って役でもないとは思うけれど。インパクト的には、とてもデジャヴ。

 そして、以前そーやって突然の抜擢で表舞台に登場したさゆちゃんが、新公で『エリザベート』を演じたとき……同じ感想を持ったんだ。

 すなわち。
 ずっと、同じ顔。

 どの場面もどの感情のときも、ずーーっと同じ表情をしている、ように見えた。
 さゆちゃんの場合は逆八の字……眉を吊り上げ、怒った顔。
 息子が死のうが年老いた夫と語ろうが、とにかくずーーっと怒っていた。

 えーと。
 こんだけかぶる、つーのはさあ。

 景子タンの好みってことですかね?

 同じ顔したまま固まってるヒロイン。
 や、『エリザベート』新公は景子タン受け持ちじゃないけど。
 ヒロインやったら顔が固まっちゃう子が好みで、つい抜擢しちゃう、とか。あるいは「得意な表情ひとつで最初から最後まで勝負しなさい」と指導してるとか。八の字眉も怒り眉もきれいな表情ぢゃないと思うけど……きれいじゃなくても得意ならいいとか……そーゆーこと?

 なんか、なにからなにまでデジャヴです。


 主人公のシェニエさんは、キキくん。
 何回目の新公主演だっけ? バウ主演も経験済みだし、彼に関しては手を離しているというか、目を離しても大丈夫よね、年長さんだもんね、おかーさん別のことしてるわね、という気持ちになっているというか。いやそのわたしはおかーさんではありませんが。(当たり前)

 要所要所、「ここぞ!」って場面はもちろん、キキくん見てたけど。
 今回脚本がトホホなので、クライマックスのシェニエさんのしどころのなさがひどくてなあ……。
 裁判場面は彼がどこにいるのか、わかんなくなった。
 真ん中に立っているんだけど、ほんと立っているだけで、彼を置き去りに場が盛り上がってストーリーが進んでいくわけだから。
 判決が言い渡され、よろよろ膝を折ってはじめて「あ、シェニエさんいたんだ」と思い出す感じ。
 ……悪いのは脚本です。

 王子さま系キラキラ衣装も、耽美ヘアスタイルもお似合いでした。
 あ、ラブシーンの白パンツのお尻のむっちり具合はびっくりしたかな(笑)。それ以外は大丈夫。これから大人になれば、痩せて締まってくるだろうし。
 うまくはないけれど、タカラヅカスタァとして成り立ってるよね!

 ところどころ、マリコさんに見えた。
 ほんと、不思議なくらい、「あ、マリコさん」と思った。
 マリコさんほど歌が壊滅的じゃないけど(笑)。
 つくづく「星組」なんだなと思った。


 しかしこの主人公とヒロイン、あんまりラヴラヴしていないよね?
 とってつけたラブシーンがあるだけで。
 コンビ力のない新公カップルだとそれがより顕著に……。
 ……悪いのは脚本です。

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