はじめての2階席。
 芝居の美しさに感動しまくったあとの、稲葉くんのショー、『Mr. Swing!』

 いやはや、これが。

 大ウケした。

 1階席の視界と違いすぎる。
 おもしれーー!!

 わたしの周囲では稲葉せんせの評価は高くない。初日なんか嘆きとダメだしばっかだったよーな。
 彼の演出が手放しでほめられたのって、『インフィニティ』のときぐらいだなと思う。や、友人たちはまっつファンじゃないっす。花担で全組観るよーな人たち。

 なんで『インフィニティ』は良くて、大劇場だとアレレになるか。

 立体的な空間構成が出来ない。

 バウホールのような小さな箱ならいい。でも、大劇場だと、なかなか致命的。

 平面でしか考えられない人なのかな。
 ひょっとして、図面の上で演出してる?

 1階席からだと、特にどーってこともない単調な画面が続くの。
 まあふつうにきれい、ふつうに楽しい。
 とっちらかっていて、大きな盛り上がりに欠ける。でもまあ、悪いわけじゃないよね、的な。

 それが、2階席からだと。
 いろんなことやってるのが、見える。

 人の動きとか、1階からじゃ楽しさがわかんないわー。
 ただごちゃごちゃしているだけ。

 途中から笑えて仕方なかった。
 舞台、人出過ぎ(笑)。
 舞台荷重に挑戦してるのかってくらい、すごい人数をがんがん出して踊らせてる。
 こんなに人いたんだ? 1階からだと後ろは見えないからわかんなかったよー。
 それがもう、何度もあるんだもん……上から見なきゃわかんないよーなこと、こんなに何度も何度もしてたのか……なんつー無駄な演出……(笑)。

 どの演出家の作品でも、2階席は人の動きやダンスのフォーメーションがよくわかる。
 でもいなばっちの舞台はその域を超えてる。そーゆー次元じゃなくて、単に演出に成功してなくて、狙った効果が出てなくて、1階だともっさり見えてるんじゃないのー?
 仲間内で不評だった黒燕尾の演出も、2階席だときれいに見えた! せっかくの大階段なのに逆ピラミッドが平面てどういうことよ、意味ねーー!だったけど、2階からだと大階段も舞台も同じように俯瞰できるから、ちゃんときれいに三角形が見えた!(笑)

 『インフィニティ』のとき、「バウホールで大劇場の演出してる! ここって銀橋だよね、ここってせり上がりだよね、ここって大階段だよね!」と思えた。
 バウなのに大劇場気分を味あわせてくれてありがとう、トップスター気分をありがとう……と感涙したけれど。
 この演出しか、できなかっただけなのか。
 バウでやってるのと同じ感覚で大劇場でもやってるのを見て、現実を知りました。
 同じ方程式しか知らないんだね、稲葉くん……。
 区別出来ないから、空間に合わせた演出が出来ないから、どっちも同じ、バウで大劇場みたいな演出して、大劇場でバウみたいな演出してるんだ。
 結果、バウで大劇場、だった『インフィニティ』は良かったけれど、大劇場でバウのような平面的な演出をしているとトホホになる、と。

 舞台演出って難しいんだなあ。
 だからこそ、面白いよなあ。


 なにはともあれ、『Mr. Swing!』楽しかったーー!!

 2階席のいちばん後ろ、背中は壁です!てな最果てで観たこのときが、いちばん楽しかった。芝居に引き続き(笑)。
 目がいくつあっても足りない。
 みーちゃん見たい、みーちゃんをもっともっと見たい、見届けたい。
 でもでも、だいもん見たいよ、花娘たち見たいよ。らんとむさんの腰とあはん顔を見たいよ。

 あ、芝居で「歌ウマ!」と感動したみりおくんですが、ショーだとそこまで思わなかったので、やっぱわたしにとっての彼は「芝居の人」なんだと思う。
 ショーで魅了するほどの歌ウマって、エンターティナーか本気の歌唱力勝負の歌手か、だもんなー。

 あ、役替わりオカマちゃんは、キキくんでした。
 でかいね。
 ……それ以上の感想は特になく。
 あきら子ちゃんほどの「げっ、ヲカマ!!」といういたたまれなさはなく。
 かといって、それほどきれいでもなく。
 あー、男役さんの女装っすね、という感じ。

 いたたまれなかったわりに、らんとむさんとはあきら子ちゃんの方が似合ってました。
 らんとむさんなら、相手男でもヲカマでも関係なさそーだもんな、どんと来い!
 キキ子ちゃんはとにかくでかくてぷくりんしていて、らんとむさんの痩せっぷりが強調されて、痛々しく見えちゃったナリ……。

 歌うだいもんは初日ほど面白くはないんだけど、方向性が決まったというか、別の方向にエンジンかかっていて、それはそれで面白かったっす。
 あー、楽しそうだなー、見ていて楽しいわー。


 公演も中盤、てことで、初日と大きく違って残念かな、と思ったのは、最後のパレード。
 今回のショーって、シャンシャンがユニークよね。1羽ずつのフラミンゴで左右対称。上手の人と下手の人で、フラミンゴの向きがチガウ。
 0番のらんとむさんだけが、2羽のフラミンゴ付きシャンシャン。左右の人々のフラミンゴを取りまとめるように。
 で、このユニークなシャンシャン持って大階段を降りてきて、舞台手前まで歩いて、そこで個々にご挨拶、シャンシャンを高く上げて下ろしながら一礼、そしてシャンシャンを突き出す。
 このときのドヤ顔が素敵だった。
 一礼したあと、みんながみんな、ドヤァァッ!!って顔をするの。シャンシャンを突き出し、キメポーズ、って。

 ドヤ顔パレード!! いいぞもっとやれ! やんややんや!!
 と、初日はひそかに大ウケしていたの。

 それが中盤になってくると、それほどドヤ顔ぢゃなくなってるっす……。

 やっぱ初日は「やり遂げたぜ!」とか「見ろぉぉぉお!!」とか、気持ちの高揚ハンパなかったのかな。
 男役も娘役も、みんなみんな渾身のドヤ顔キメてくれて、見ていてめっちゃ上がったんだわー。タカラヅカ素敵、花組素敵!

 わりとふつーに「ご挨拶の笑顔」になってる……。
 残念。


 それはともかくとして。
 『Mr. Swing!』が楽しくて楽しくて。

 公演終了後、フルールで合流した『春雷』観劇組の友人たちに「楽しかったーー!!」と騒いで、ちょい引かれました(笑)。なんで何度も観てる公演で、今さらこんな「初観劇です」みたいなテンションで騒いでるの、てな。

 やっぱショーはいいよな。タカラヅカ最高。 

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