夢華あみとは、なんだったのか。
2013年9月24日 タカラヅカ 雪組集合日。配役と、退団発表があった。
なんで夢華さん、やめるんすか? わけわかんない。
わたしの夢華さんへの評価は低いです。
彼女がふつーのタカラジェンヌだったら、ここまで低くはないと思うんだけど、なにしろすげーマイナス地点からはじまってるの。
96期云々は舞台外のことなので考慮しない。したくない。わたしは舞台の上だけを見る。
で、その「舞台の上」の夢華さんは、だ。
「宝塚歌劇団史上類を見ない超逸材スーパースターで、100年に一度の天才」として、華々しくデビューした。
なにしろ「入団1年目で娘役トップと同位置、大劇場本公演でヒロイン」だよ。100周年を間近に控えるこの劇団で、そんなものすごい人はどれくらいいたの? 今のトップスター制度が成立してはじめてのことだよね。だから100年に一度の逸材ってことだよね。
こんだけものすごい「劇団からの評価」を突きつけられたんだ。
娘役トップとして納得させるだけの実力を「100」とするならば、とーぜん100は当たり前、それ以上のモノがあるからの抜擢、120とか150とかの点数を見せつけてくれるんでしょうね。
100点でも「それが基準点」だから、「0」と同じ意味。
そしていざ目にした夢華さんは、せいぜい60点から高くて70点ってとこだった。
100点=0点だから、夢華さんの評価は「-40点」とかになっちゃったの。
彼女がふつーの研1生、素人がはじめてプロの舞台に上がって60点取れたというなら、すごいと思う。や、そもそも数ヶ月前まで学生だった子に、60点取れるだけの場をいきなり与えたりしないから、他の研1たちと比べて60点がどれくらい高い点数なのかもわかんないけど。
夢華さんとまったく同じ実力だとして、他の研1生なら60点、でも夢華さんだけは-40点。
不公平かもしんないけど、わたしが基準点を引き上げたわけじゃない。
劇団が、そうしたんだ。
-40点の人の舞台を、えんえん見せられたわたしは、とても不満だった。
ええ、とっても根に持ってます(笑)。
キムくんのお披露目『ロミオとジュリエット』が正規の形でなかったこと。
キムくんロミオはジュリエットを愛していない、キムくんみたいな強い人に恋愛は不要、これは『ロミオとジュリエット』ではなく『ロミオ』だ。……そう思った、雪組『ロミオとジュリエット』初日付近。
キムくんの負担はどれほどのものだったのか。大作ミュージカルでのトップお披露目で、相手役がふたり、しかもひとりは舞台に立つことだけで精一杯の新人。
相手役のいないキムくんの、孤軍奮闘ぶり。トップ娘役不在にも研1ヒロインにも納得していない観客の冷たい空気。
そんななかで、続く公演。
それがだんだん、変わっていった。
みみちゃんジュリエットが息づきはじめ、キムくんロミオもみみちゃんを、相手役を、視るようになった。ふたりで手を取り合い、ひとつの方向へと走り出した。
逆風の中で、キムみみコンビが生まれた。夢華さんジュリエットのときは相変わらず『ロミオ』だったけれど、みみちゃんジュリエットのときは『ロミオとジュリエット』になった。
あの初日付近の停滞感は、なんだったの。
最初から無理なWキャストでなければ、あんなに孤独な「ロミオ」は見なくて済んだんじゃないの?
ジュリエットがみみちゃんだけなら、トップ娘役がみみちゃんなら、もっと早くラヴラヴなキムみみを、愛し合うロミオとジュリエットを観られたんじゃないの?
キムみみの『ロミジュリ』が好きで、感動して大泣きして劇場に通い、午前公演を見て「午後も観ようかな……でも、ジュリエットがみみちゃんじゃないから、やめとこう」と、観ないで帰るしかなかった、あの寂しい日々は、なんだったの。
すべてを否定するわけじゃない、夢華さんがいたことによって得られたモノも、きっとたくさんあるんだろう。なにごとも作用し合って存在しているのだから。
だけど、夢華さんのソロで拍手皆無とか、不可解な抜擢のたび劇場の空気がぴきんと張りつめた、あの日々はいったい、なんだったの。
わけわかんねえ。
なんで「今」なの。
もしも夢華さんに「辞める」絶好のタイミングがあるとしたら、『ロミジュリ』と全ツと連続休演したときだろう。
それを越えて戻って来たのだから、肝を据えてがんばるんだと思っていた。
アホな抜擢なし、ふつーに研1からスタートしていたなら、夢華さんは実力ゆえにちゃんと評価されただろうに、と思うよ。ふつーの基準点で見られたなら。
まあその、とってもアタマ悪いことを言っちゃうと、わたしが夢華さんに辛口評価なのは、ぶっちゃけ「顔が好みではない」ってことが、大きいの。
すまんなあ、こんな理由で。鼻スキーなわたしには、横顔が陥没している人は美人に思えないのよー。
ふつーのジェンヌさんには、そこまで完璧な高い鼻や整った横顔を求めないけど、「100年に一度の逸材」でしょ? 入団するなりトップをやっちゃうよーな人でしょ? ふつーレベルじゃ困るのよ、美貌でがつんと納得させてよ~~。
顔が好みだったら、アタマの悪いわたしは評価甘くなっちゃうんだけどね~~。好みじゃない、てのがほんと大きいのだわ~~。
あと、芝居が好みじゃない、てのもあるんだけどね。これも顔が好みだったら底上げされるだろうから、やっぱ顔かなあ……。
今の夢華さんは「学年相応」な感じになっている。
研4の新進娘役ならこんなもん、ってな感じ? 新公ヒロやったり、ショーでオイシイ立ち位置だったり。
大劇場ヒロインを務めた人が、何で今さら「学年相応」になってるのか、それもわけわかんないけど、劇団は「前代未聞の研1ヒロイン」の事実を抹消してるっぽい?
「なかったこと」にして、これから何食わぬ顔で「新進娘役です」と上げていくのかな、と思っていた矢先の、退団。
なんなのよ。
あの謎の抜擢と組の大混乱は、なんだったのよ。
わたしの夢華さんへの評価は低いし、ぶっちゃけ好みじゃないし。
でも、それとこれとは別っすよ。
劇団はいったい、ナニがしたかったの?
ナニを思い、ナニを目指して、多くの人々を傷つける人事を行ったの?
キムくんも雪組子もファンも、当の夢華さんも、そして不信感から客足にも響いたはずだから、劇団の経営的にも、誰も得をしなかった。損ばかり、傷ばかりが残った。
もしもこの樹齢100年の大樹が倒れるとしたら、こういうところに原因があるのだと思わせる、歌劇団の闇部分が、夢華さんの謎の抜擢とその後の扱い、そしてこの退団発表に現れているのだと思う。
舞台の上の夢華さんしか知らないから、彼女がどんな子で、どんな思いで舞台に立ち続けていたかは知らない、わからない。
劇団の考えや裏事情がどうあれ、とどのつまりは夢華さん自身で選んだことであり、その結果だ。
ただわたしが夢華さんで思い出すのは、『インフィニティ』のカーテンコールだ。
主演のまっつが挨拶を噛むと、出演者全員でウェーブをして囃し立てる。その先頭を切るのが、夢華さんだった。
はるか上級生で座長のまっつが、噛んだことを誤魔化して喋っているのに、それを見逃さず「いぇ~~い!!」とウェーブをはじめた。舞台の上も、客席も、爆笑。
みんなの心がひとつになっていた、みんながにこにこキラキラ笑っていた。
先頭切ってウェーブをはじめる夢華さんも、にこにこ笑っていた。楽しそうだった。
『インフィニティ』のカテコは、緞帳が下りる最後まで、キャストみんなが自由に動いていて、下級生たちはみんな、膝を折って緞帳が閉まる最後まで客席に手を振っていた。
夢華さんも舞台に倒れ込む勢いで二つ折りになって、手を振り続けていた。
ふつーの女の子の笑顔だった。ふつーにかわいい、タカラヅカの下級生娘役だった。
劇団は、なにをしたかったんだ。
夢華あみとは、なんだったんだ。
なんで夢華さん、やめるんすか? わけわかんない。
わたしの夢華さんへの評価は低いです。
彼女がふつーのタカラジェンヌだったら、ここまで低くはないと思うんだけど、なにしろすげーマイナス地点からはじまってるの。
96期云々は舞台外のことなので考慮しない。したくない。わたしは舞台の上だけを見る。
で、その「舞台の上」の夢華さんは、だ。
「宝塚歌劇団史上類を見ない超逸材スーパースターで、100年に一度の天才」として、華々しくデビューした。
なにしろ「入団1年目で娘役トップと同位置、大劇場本公演でヒロイン」だよ。100周年を間近に控えるこの劇団で、そんなものすごい人はどれくらいいたの? 今のトップスター制度が成立してはじめてのことだよね。だから100年に一度の逸材ってことだよね。
こんだけものすごい「劇団からの評価」を突きつけられたんだ。
娘役トップとして納得させるだけの実力を「100」とするならば、とーぜん100は当たり前、それ以上のモノがあるからの抜擢、120とか150とかの点数を見せつけてくれるんでしょうね。
100点でも「それが基準点」だから、「0」と同じ意味。
そしていざ目にした夢華さんは、せいぜい60点から高くて70点ってとこだった。
100点=0点だから、夢華さんの評価は「-40点」とかになっちゃったの。
彼女がふつーの研1生、素人がはじめてプロの舞台に上がって60点取れたというなら、すごいと思う。や、そもそも数ヶ月前まで学生だった子に、60点取れるだけの場をいきなり与えたりしないから、他の研1たちと比べて60点がどれくらい高い点数なのかもわかんないけど。
夢華さんとまったく同じ実力だとして、他の研1生なら60点、でも夢華さんだけは-40点。
不公平かもしんないけど、わたしが基準点を引き上げたわけじゃない。
劇団が、そうしたんだ。
-40点の人の舞台を、えんえん見せられたわたしは、とても不満だった。
ええ、とっても根に持ってます(笑)。
キムくんのお披露目『ロミオとジュリエット』が正規の形でなかったこと。
キムくんロミオはジュリエットを愛していない、キムくんみたいな強い人に恋愛は不要、これは『ロミオとジュリエット』ではなく『ロミオ』だ。……そう思った、雪組『ロミオとジュリエット』初日付近。
キムくんの負担はどれほどのものだったのか。大作ミュージカルでのトップお披露目で、相手役がふたり、しかもひとりは舞台に立つことだけで精一杯の新人。
相手役のいないキムくんの、孤軍奮闘ぶり。トップ娘役不在にも研1ヒロインにも納得していない観客の冷たい空気。
そんななかで、続く公演。
それがだんだん、変わっていった。
みみちゃんジュリエットが息づきはじめ、キムくんロミオもみみちゃんを、相手役を、視るようになった。ふたりで手を取り合い、ひとつの方向へと走り出した。
逆風の中で、キムみみコンビが生まれた。夢華さんジュリエットのときは相変わらず『ロミオ』だったけれど、みみちゃんジュリエットのときは『ロミオとジュリエット』になった。
あの初日付近の停滞感は、なんだったの。
最初から無理なWキャストでなければ、あんなに孤独な「ロミオ」は見なくて済んだんじゃないの?
ジュリエットがみみちゃんだけなら、トップ娘役がみみちゃんなら、もっと早くラヴラヴなキムみみを、愛し合うロミオとジュリエットを観られたんじゃないの?
キムみみの『ロミジュリ』が好きで、感動して大泣きして劇場に通い、午前公演を見て「午後も観ようかな……でも、ジュリエットがみみちゃんじゃないから、やめとこう」と、観ないで帰るしかなかった、あの寂しい日々は、なんだったの。
すべてを否定するわけじゃない、夢華さんがいたことによって得られたモノも、きっとたくさんあるんだろう。なにごとも作用し合って存在しているのだから。
だけど、夢華さんのソロで拍手皆無とか、不可解な抜擢のたび劇場の空気がぴきんと張りつめた、あの日々はいったい、なんだったの。
わけわかんねえ。
なんで「今」なの。
もしも夢華さんに「辞める」絶好のタイミングがあるとしたら、『ロミジュリ』と全ツと連続休演したときだろう。
それを越えて戻って来たのだから、肝を据えてがんばるんだと思っていた。
アホな抜擢なし、ふつーに研1からスタートしていたなら、夢華さんは実力ゆえにちゃんと評価されただろうに、と思うよ。ふつーの基準点で見られたなら。
まあその、とってもアタマ悪いことを言っちゃうと、わたしが夢華さんに辛口評価なのは、ぶっちゃけ「顔が好みではない」ってことが、大きいの。
すまんなあ、こんな理由で。鼻スキーなわたしには、横顔が陥没している人は美人に思えないのよー。
ふつーのジェンヌさんには、そこまで完璧な高い鼻や整った横顔を求めないけど、「100年に一度の逸材」でしょ? 入団するなりトップをやっちゃうよーな人でしょ? ふつーレベルじゃ困るのよ、美貌でがつんと納得させてよ~~。
顔が好みだったら、アタマの悪いわたしは評価甘くなっちゃうんだけどね~~。好みじゃない、てのがほんと大きいのだわ~~。
あと、芝居が好みじゃない、てのもあるんだけどね。これも顔が好みだったら底上げされるだろうから、やっぱ顔かなあ……。
今の夢華さんは「学年相応」な感じになっている。
研4の新進娘役ならこんなもん、ってな感じ? 新公ヒロやったり、ショーでオイシイ立ち位置だったり。
大劇場ヒロインを務めた人が、何で今さら「学年相応」になってるのか、それもわけわかんないけど、劇団は「前代未聞の研1ヒロイン」の事実を抹消してるっぽい?
「なかったこと」にして、これから何食わぬ顔で「新進娘役です」と上げていくのかな、と思っていた矢先の、退団。
なんなのよ。
あの謎の抜擢と組の大混乱は、なんだったのよ。
わたしの夢華さんへの評価は低いし、ぶっちゃけ好みじゃないし。
でも、それとこれとは別っすよ。
劇団はいったい、ナニがしたかったの?
ナニを思い、ナニを目指して、多くの人々を傷つける人事を行ったの?
キムくんも雪組子もファンも、当の夢華さんも、そして不信感から客足にも響いたはずだから、劇団の経営的にも、誰も得をしなかった。損ばかり、傷ばかりが残った。
もしもこの樹齢100年の大樹が倒れるとしたら、こういうところに原因があるのだと思わせる、歌劇団の闇部分が、夢華さんの謎の抜擢とその後の扱い、そしてこの退団発表に現れているのだと思う。
舞台の上の夢華さんしか知らないから、彼女がどんな子で、どんな思いで舞台に立ち続けていたかは知らない、わからない。
劇団の考えや裏事情がどうあれ、とどのつまりは夢華さん自身で選んだことであり、その結果だ。
ただわたしが夢華さんで思い出すのは、『インフィニティ』のカーテンコールだ。
主演のまっつが挨拶を噛むと、出演者全員でウェーブをして囃し立てる。その先頭を切るのが、夢華さんだった。
はるか上級生で座長のまっつが、噛んだことを誤魔化して喋っているのに、それを見逃さず「いぇ~~い!!」とウェーブをはじめた。舞台の上も、客席も、爆笑。
みんなの心がひとつになっていた、みんながにこにこキラキラ笑っていた。
先頭切ってウェーブをはじめる夢華さんも、にこにこ笑っていた。楽しそうだった。
『インフィニティ』のカテコは、緞帳が下りる最後まで、キャストみんなが自由に動いていて、下級生たちはみんな、膝を折って緞帳が閉まる最後まで客席に手を振っていた。
夢華さんも舞台に倒れ込む勢いで二つ折りになって、手を振り続けていた。
ふつーの女の子の笑顔だった。ふつーにかわいい、タカラヅカの下級生娘役だった。
劇団は、なにをしたかったんだ。
夢華あみとは、なんだったんだ。
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