取り巻く人々は。@新人公演『Shall we ダンス?』
2013年11月28日 タカラヅカ 新人公演『Shall we ダンス?』。
主人公は「平凡なサラリーマン」で、彼を取り巻く人々が個性的、という作品。
この物語でいちばん派手でオイシイ役というと、原作で言うところの竹中直人役、ドニー役だろう。
新公では、そのおいしいドニー役が、我らのホタテマン。
ホタテくんはその芝居巧者ぶり、バイプレーヤーっぷりを評価されているスーパー下級生。
でもわたし、今回の役は、ホタテの無駄遣いだと思った。
ドニーはたしかにオイシイ役。
でも、ホタテくんが演じても旨味がそれほどない。
滑稽な動作をして笑わせる、滑稽な発音を混ぜて笑わせる。……てのは、別にホタテくんでなくても出来る。彼ほど芝居がうまい子でなくても、ある程度の舞台人スキルのある子なら、同じことをやって笑いを取ることはむずかしくない。
なんつーか、「飛び道具」みたいなもんじゃん? わざと滑稽な動きをして笑わせるとか、滑稽なカツラをかぶって笑わせるとか。
柔道の達人とサシで向かい合って闘って勝てない人でも、遠くからピストルで撃てば勝てる、みたいなもんで。
「笑わせる」というのはもちろん大変なことで、それを軽んじるつもりはない。
ただ、今回のドニー役は、ホタテ以外の人の方が良かったなと思った。
滑稽な動きやカタカナ発音などで笑いを取ることよりも、本公演の探偵助手で「空気をつなぐ」芝居をし、的確にナレーションをすることの方が、ホタテマンの役者っぷりを見せつけていると思う。
原作キャラ寄りの役作りを感じたり、滑稽さではなく芝居で、「間」で笑わせたりしているのはホタテらしいとは思ったけれど。
どうしてもこの「タカラヅカのドニー」は飛び道具的な笑いに走りがちだから、ホタテ向きじゃないなと。
ホタテの無駄遣い、と書いたけれど、一方的にホタテくんを持ち上げるわけではなくて。
なんつーんだ、ホタテの弱点が浮き彫りになる役、てのも、ホタテスキーとして見ていて残念だったなと。
ドニーのおいしさというか、笑いを取る根幹には、「派手さ」「押し出しの強さ」がある。本役さんにはそれがあるから、「飛び道具」としての笑いの使い方も突き抜けてる。
しかしホタテマンはさー……「派手さ」と「押し出しの強さ」は、いちばんの課題っちゅーか、持ち味にないもんじゃん?
最後の新公で、こんなにアウェイな役やらせなくてもいいじゃん、つーか、新公はお勉強の場だからあえて苦手分野をやってるんですよってのはアリだと思うけど、演出家はそんなとこまで考えずにやってるだろってのが透けて見える感じがやだってゆーか、とどのつまりは「ホタテの無駄遣い」。
笑いを取る役でも、ホタテつんならもっと別のアプローチがあると思うんだ。本気で「芝居」でもって笑わせるとかさ。
安易な飛び道具じゃなくて、もっとじっくりしっとりしたもので。
派手なものではなくても、こうじわじわおかしいとか、そーゆー。
彼の得意分野で「笑い」に挑戦させて欲しかったよ。
でもまあ、芝居巧者のホタテマン、ヒロイン経験たっぷりのあんりちゃんと夢華さんで主要キャラを固めたのは、研5で初主演するかなとくんシフトかなとも思う。
これで主要メンバーまで実力や経験のおぼつかない子たちだったら、かなとくんのあっぷあっぷぶりがえーらいこっちゃ、になったろうし。
ふと、せしるの新公主演を思い出した。
せしる自身も初主演だったのに、ヒロインも2番手も3番手も初心者マークで、大変なことになってたなあと。
せしるが研7の長の期だったから、なんとかなると踏んでの配役だったのかな。
混ぜるな危険、じゃないけど、主演が下級生の初心者なら、周りは経験者でがっつり固めてあげるべきだよな。本人たちのためにも、お金を出して客席に坐る観客のためにも。
んで、ベテラン主演のときに、ヒロインや2番手などに下級生を抜擢する、のが安全よねー。
ホタっちゃんは、うまいわりにあまり旨味のない力業な役で、やっていることが細かいわりにストレートに笑いにつながっていないというか成功していないのがもったいないやらじれったいやら、という出来だった。
や、わたしには、そう見えた。
あああ、もったいないー。ホタテの無駄遣いー。
ヒロインのあんりちゃんは。
なかなかに健闘していたかと。
子役をやると魅力的なんだから、決して芝居心がないわけじゃない。ただ、出来る役の幅が狭いというだけで。
まず外見が「少女」なので、「大人の女性」役がむずかしかった。
大人ぶってはいるけれど、子どもに見える。
エラという女性はクールというか硬質というか、ヘイリーが「窓辺にたたずむ姿」に心惹かれるように、神秘的な美しさを持つ。ちょっと見ただけで内面全部ダダ漏れ、てな感情的な役じゃない。
抑えた表現の中で、感情の変化を出さなくてはならない。
……てのが、あんりちゃんは苦手だと思う。なんか終始同じ表情をしているように見えた。
が。
きれいってのはいいね! きれいな女の子がずーっとシリアスな表情のままいると、ロマンが広がる。あんりちゃんの芝居が緻密だとは、ごめん、わたしには思えないんだけど、その変わらない表情に、勝手にこっちが感情を想像してしまう。
で、十分彼女を「ヒロイン」として認識してしまう。
エラとして、アリだと思った。
本役さんの巧さを再確認させてもらったけど、それとはまったくチガウっちゅーか届いてないけど、あんりちゃんのエラはそれでもちゃんとエラとしての仕事を果たしていた。
きれいで、頑なで、かなしそうで。ヘイリー@かなとくんが彼女に手を差し伸べたくなるのが、わかる。
どうにも子どもっぽいなあ、大人の女性に見えないなあ、と最初は思ったけれど、話が進むとそれも気にならなくなった。
あんりちゃんのきれいさだけが、見えてきた。
あんりちゃんがあまり「動かない」印象で、主演のかなとくんがその周囲で「無駄に動き回っている」感じがして、結果として「エラとヘイリー」の関係性がよく出ていた。
それって果たして演技なのか、素の状態が出てしまっているだけなのかわかんないけど(笑)、ナマモノ感を愛でるタカラヅカなら、ぜんぜんアリだと思う!
主人公は「平凡なサラリーマン」で、彼を取り巻く人々が個性的、という作品。
この物語でいちばん派手でオイシイ役というと、原作で言うところの竹中直人役、ドニー役だろう。
新公では、そのおいしいドニー役が、我らのホタテマン。
ホタテくんはその芝居巧者ぶり、バイプレーヤーっぷりを評価されているスーパー下級生。
でもわたし、今回の役は、ホタテの無駄遣いだと思った。
ドニーはたしかにオイシイ役。
でも、ホタテくんが演じても旨味がそれほどない。
滑稽な動作をして笑わせる、滑稽な発音を混ぜて笑わせる。……てのは、別にホタテくんでなくても出来る。彼ほど芝居がうまい子でなくても、ある程度の舞台人スキルのある子なら、同じことをやって笑いを取ることはむずかしくない。
なんつーか、「飛び道具」みたいなもんじゃん? わざと滑稽な動きをして笑わせるとか、滑稽なカツラをかぶって笑わせるとか。
柔道の達人とサシで向かい合って闘って勝てない人でも、遠くからピストルで撃てば勝てる、みたいなもんで。
「笑わせる」というのはもちろん大変なことで、それを軽んじるつもりはない。
ただ、今回のドニー役は、ホタテ以外の人の方が良かったなと思った。
滑稽な動きやカタカナ発音などで笑いを取ることよりも、本公演の探偵助手で「空気をつなぐ」芝居をし、的確にナレーションをすることの方が、ホタテマンの役者っぷりを見せつけていると思う。
原作キャラ寄りの役作りを感じたり、滑稽さではなく芝居で、「間」で笑わせたりしているのはホタテらしいとは思ったけれど。
どうしてもこの「タカラヅカのドニー」は飛び道具的な笑いに走りがちだから、ホタテ向きじゃないなと。
ホタテの無駄遣い、と書いたけれど、一方的にホタテくんを持ち上げるわけではなくて。
なんつーんだ、ホタテの弱点が浮き彫りになる役、てのも、ホタテスキーとして見ていて残念だったなと。
ドニーのおいしさというか、笑いを取る根幹には、「派手さ」「押し出しの強さ」がある。本役さんにはそれがあるから、「飛び道具」としての笑いの使い方も突き抜けてる。
しかしホタテマンはさー……「派手さ」と「押し出しの強さ」は、いちばんの課題っちゅーか、持ち味にないもんじゃん?
最後の新公で、こんなにアウェイな役やらせなくてもいいじゃん、つーか、新公はお勉強の場だからあえて苦手分野をやってるんですよってのはアリだと思うけど、演出家はそんなとこまで考えずにやってるだろってのが透けて見える感じがやだってゆーか、とどのつまりは「ホタテの無駄遣い」。
笑いを取る役でも、ホタテつんならもっと別のアプローチがあると思うんだ。本気で「芝居」でもって笑わせるとかさ。
安易な飛び道具じゃなくて、もっとじっくりしっとりしたもので。
派手なものではなくても、こうじわじわおかしいとか、そーゆー。
彼の得意分野で「笑い」に挑戦させて欲しかったよ。
でもまあ、芝居巧者のホタテマン、ヒロイン経験たっぷりのあんりちゃんと夢華さんで主要キャラを固めたのは、研5で初主演するかなとくんシフトかなとも思う。
これで主要メンバーまで実力や経験のおぼつかない子たちだったら、かなとくんのあっぷあっぷぶりがえーらいこっちゃ、になったろうし。
ふと、せしるの新公主演を思い出した。
せしる自身も初主演だったのに、ヒロインも2番手も3番手も初心者マークで、大変なことになってたなあと。
せしるが研7の長の期だったから、なんとかなると踏んでの配役だったのかな。
混ぜるな危険、じゃないけど、主演が下級生の初心者なら、周りは経験者でがっつり固めてあげるべきだよな。本人たちのためにも、お金を出して客席に坐る観客のためにも。
んで、ベテラン主演のときに、ヒロインや2番手などに下級生を抜擢する、のが安全よねー。
ホタっちゃんは、うまいわりにあまり旨味のない力業な役で、やっていることが細かいわりにストレートに笑いにつながっていないというか成功していないのがもったいないやらじれったいやら、という出来だった。
や、わたしには、そう見えた。
あああ、もったいないー。ホタテの無駄遣いー。
ヒロインのあんりちゃんは。
なかなかに健闘していたかと。
子役をやると魅力的なんだから、決して芝居心がないわけじゃない。ただ、出来る役の幅が狭いというだけで。
まず外見が「少女」なので、「大人の女性」役がむずかしかった。
大人ぶってはいるけれど、子どもに見える。
エラという女性はクールというか硬質というか、ヘイリーが「窓辺にたたずむ姿」に心惹かれるように、神秘的な美しさを持つ。ちょっと見ただけで内面全部ダダ漏れ、てな感情的な役じゃない。
抑えた表現の中で、感情の変化を出さなくてはならない。
……てのが、あんりちゃんは苦手だと思う。なんか終始同じ表情をしているように見えた。
が。
きれいってのはいいね! きれいな女の子がずーっとシリアスな表情のままいると、ロマンが広がる。あんりちゃんの芝居が緻密だとは、ごめん、わたしには思えないんだけど、その変わらない表情に、勝手にこっちが感情を想像してしまう。
で、十分彼女を「ヒロイン」として認識してしまう。
エラとして、アリだと思った。
本役さんの巧さを再確認させてもらったけど、それとはまったくチガウっちゅーか届いてないけど、あんりちゃんのエラはそれでもちゃんとエラとしての仕事を果たしていた。
きれいで、頑なで、かなしそうで。ヘイリー@かなとくんが彼女に手を差し伸べたくなるのが、わかる。
どうにも子どもっぽいなあ、大人の女性に見えないなあ、と最初は思ったけれど、話が進むとそれも気にならなくなった。
あんりちゃんのきれいさだけが、見えてきた。
あんりちゃんがあまり「動かない」印象で、主演のかなとくんがその周囲で「無駄に動き回っている」感じがして、結果として「エラとヘイリー」の関係性がよく出ていた。
それって果たして演技なのか、素の状態が出てしまっているだけなのかわかんないけど(笑)、ナマモノ感を愛でるタカラヅカなら、ぜんぜんアリだと思う!
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