劇的に優劣が逆転するリバーシの盤面を見ているよう。@白夜の誓い
2014年11月22日 タカラヅカ 『白夜の誓い ―グスタフIII世、誇り高き王の戦い―』のグスタフさんが正しい人なのか悪い人なのか、設定上のことはわかんないけど。
わたしがグスタフをアホの子だと思うポイントをメモしておく。
細かいところはいろいろあるんだけど、キリがないから、どーしても引っかかる、わたし的に「大きい」と思われる点を。
イザベルの館で読書しているグスタフさん。
なんと彼は、戦術の本を読んでいる。「こんなジャンルにも興味があるの?」驚くイザベル。
ここでイザベルが驚くわけだから、普段のグスタフさんはソレ系の書物に手を出してないし、話題にもしていないということだ。つまりかなりレアなこと。ちょっとかじってみた程度、という印象だな。
驚くイザベルに対するグスタフの返答。「こう見えても、先祖は偉大な軍人だったんですよ」。……先祖て。グスタフ本人と無関係ですがな。
先祖がどれほど偉大でも、本人の手柄ではありません。
この短いやり取りでわかること。
1・グスタフは軍人としてまったくの素人。いちばん親しい相手が、「戦術の本を読むなんてどうしたの?!」と驚くぐらい、無縁な人。
2・先祖が偉大なら自分も偉大という基本姿勢。
祖先を尊敬している、という使い方ではなく、自分上げに使用。冗談ぽい会話の流れだが、夢にも思ってないことならわざわざ口にしない。
この会話が、どーにもこうにも「失敗」に思えてなあ。
この短いやり取りで、「グスタフはアホの子」だという大きな伏線になってしまう。
もちろん、原田くんが「グスタフはアホの子」だと観客に思って欲しくて、計算の上でこの会話をしているならいいんだけど、そうでない場合は百害あって一利なし。
「先祖が偉大だから、自分も偉大」という考え方は、皇太子様なら当然の考え方。
王の息子に産まれたゆえに、王になるのだから。
人間、生まれがすべて。王族は王族、平民は平民。そう考えていて当たり前。
ただ。
その前の場面でグスタフくんは、ルソーに感銘を受けたてなことを言っている。そして、浅慮な貴族にスルーされ、「この話がわかるのは、ボクとカノジョだけだな」と選民意識ゆんゆんしてたじゃないっすか。
あー……ルソー云々、こんなんじゃ貴族社会は滅びる云々は、ただの口先だけ、ただの「ボクは他人と違うんだ」というだけのポーズかあ……。
まあねえ、皇太子の身分を隠しての遊学ですもの。皇太子としての責任は負わず、お金持ち貴族としての優雅なパリ生活、てだけで推して知るべし、だけどさー。さらに駄目押しされるんだよ、この心ない会話で。
また、ここで言う偉大なご先祖様ってのは、プロローグで語られた偉大なグスタフ王のことなんだろうとわかる。成長した今も、彼がそれを誇りにしているのだと表現したいんだろう。
しかし。
せっかくプロローグで感動的に持ち上げたのにさ、こんな使い方すると、一気に安っぽくなる。偉大な王と同じ名を得、それに恥じないように生きるのではなく、「偉大な王の血を引いているから万事オッケー」的なスタンスかよ、と。
この場面の時点で、ソレより前で描かれたグスタフさんが全部悪い方へひっくり返っちゃうのね。「みんなを守る王になる」も「先進的な思想を持つ、理知的な皇太子」も、リバーシみたいに白から黒へぱたぱたっと全部。
んで、このあとも、ここの会話が原因で悲惨なことになる。
1で印象づけられた、「軍事は素人」。
はい、このあと王様になったグスタフさんは、無謀な戦争をはじめます。「パリで戦術を学んだ」と豪語。えええ、待ってアナタ、戦術の本を読んでるだけで「どうしたの?!」と驚かれるくらい、門外漢だったよね?? ギャグマンガによくある「任せろ、オレはブルース・リーのDVDを100回見たんだ!」とか言って颯爽と前に出てフルボッコされるアホの子と同じギャグっすか?!
本をチラ見しただけの素人が「王様だから」としゃしゃり出て、プロの軍人で「人生懸けてる」ヤコブから指揮権を取り上げて無茶苦茶な戦法で国家を危機にさらした……たまたま勝てたけどソレまちがいなくまぐれだよね。
勝利したグスタフに憎まれ口をきくひねくれヤコブ……のつもりで書いた台詞が、アホの子グスタフと常識人ヤコブになってしまう。
これもリバーシ。あの会話があるせいで、本来の意図からひっくり返ってしまう。
まともに軍人やってたわけでもないのに、まぐれ勝ちしちゃったもんだから、グスタフはさらに軍隊を軽んじるようになる。軍事費削って趣味のオペラ座建設に国費投入。無知で興味もナイから、そんな姿勢になる。
で、「偉大な先祖を持つ自分こそが最良の存在である」と信じるだけあって、自分に逆らう者は更迭し「偉大な王」らしく独裁するんだなー、とつながる。
最初の会話のチョイスを間違えたばっかりに、全部台無し。
グスタフがアホな悪人で、ヤコブがそれを粛清するヒーローだと描きたいならこれでいいのかもしれんが、退団するトップスターにそういう役をやらせるのはあまりタカラヅカ的じゃないなあ。
だからほんと、なにをやりたかったのか観ていて混乱する。
わたしがグスタフをアホの子だと思うポイントをメモしておく。
細かいところはいろいろあるんだけど、キリがないから、どーしても引っかかる、わたし的に「大きい」と思われる点を。
イザベルの館で読書しているグスタフさん。
なんと彼は、戦術の本を読んでいる。「こんなジャンルにも興味があるの?」驚くイザベル。
ここでイザベルが驚くわけだから、普段のグスタフさんはソレ系の書物に手を出してないし、話題にもしていないということだ。つまりかなりレアなこと。ちょっとかじってみた程度、という印象だな。
驚くイザベルに対するグスタフの返答。「こう見えても、先祖は偉大な軍人だったんですよ」。……先祖て。グスタフ本人と無関係ですがな。
先祖がどれほど偉大でも、本人の手柄ではありません。
この短いやり取りでわかること。
1・グスタフは軍人としてまったくの素人。いちばん親しい相手が、「戦術の本を読むなんてどうしたの?!」と驚くぐらい、無縁な人。
2・先祖が偉大なら自分も偉大という基本姿勢。
祖先を尊敬している、という使い方ではなく、自分上げに使用。冗談ぽい会話の流れだが、夢にも思ってないことならわざわざ口にしない。
この会話が、どーにもこうにも「失敗」に思えてなあ。
この短いやり取りで、「グスタフはアホの子」だという大きな伏線になってしまう。
もちろん、原田くんが「グスタフはアホの子」だと観客に思って欲しくて、計算の上でこの会話をしているならいいんだけど、そうでない場合は百害あって一利なし。
「先祖が偉大だから、自分も偉大」という考え方は、皇太子様なら当然の考え方。
王の息子に産まれたゆえに、王になるのだから。
人間、生まれがすべて。王族は王族、平民は平民。そう考えていて当たり前。
ただ。
その前の場面でグスタフくんは、ルソーに感銘を受けたてなことを言っている。そして、浅慮な貴族にスルーされ、「この話がわかるのは、ボクとカノジョだけだな」と選民意識ゆんゆんしてたじゃないっすか。
あー……ルソー云々、こんなんじゃ貴族社会は滅びる云々は、ただの口先だけ、ただの「ボクは他人と違うんだ」というだけのポーズかあ……。
まあねえ、皇太子の身分を隠しての遊学ですもの。皇太子としての責任は負わず、お金持ち貴族としての優雅なパリ生活、てだけで推して知るべし、だけどさー。さらに駄目押しされるんだよ、この心ない会話で。
また、ここで言う偉大なご先祖様ってのは、プロローグで語られた偉大なグスタフ王のことなんだろうとわかる。成長した今も、彼がそれを誇りにしているのだと表現したいんだろう。
しかし。
せっかくプロローグで感動的に持ち上げたのにさ、こんな使い方すると、一気に安っぽくなる。偉大な王と同じ名を得、それに恥じないように生きるのではなく、「偉大な王の血を引いているから万事オッケー」的なスタンスかよ、と。
この場面の時点で、ソレより前で描かれたグスタフさんが全部悪い方へひっくり返っちゃうのね。「みんなを守る王になる」も「先進的な思想を持つ、理知的な皇太子」も、リバーシみたいに白から黒へぱたぱたっと全部。
んで、このあとも、ここの会話が原因で悲惨なことになる。
1で印象づけられた、「軍事は素人」。
はい、このあと王様になったグスタフさんは、無謀な戦争をはじめます。「パリで戦術を学んだ」と豪語。えええ、待ってアナタ、戦術の本を読んでるだけで「どうしたの?!」と驚かれるくらい、門外漢だったよね?? ギャグマンガによくある「任せろ、オレはブルース・リーのDVDを100回見たんだ!」とか言って颯爽と前に出てフルボッコされるアホの子と同じギャグっすか?!
本をチラ見しただけの素人が「王様だから」としゃしゃり出て、プロの軍人で「人生懸けてる」ヤコブから指揮権を取り上げて無茶苦茶な戦法で国家を危機にさらした……たまたま勝てたけどソレまちがいなくまぐれだよね。
勝利したグスタフに憎まれ口をきくひねくれヤコブ……のつもりで書いた台詞が、アホの子グスタフと常識人ヤコブになってしまう。
これもリバーシ。あの会話があるせいで、本来の意図からひっくり返ってしまう。
まともに軍人やってたわけでもないのに、まぐれ勝ちしちゃったもんだから、グスタフはさらに軍隊を軽んじるようになる。軍事費削って趣味のオペラ座建設に国費投入。無知で興味もナイから、そんな姿勢になる。
で、「偉大な先祖を持つ自分こそが最良の存在である」と信じるだけあって、自分に逆らう者は更迭し「偉大な王」らしく独裁するんだなー、とつながる。
最初の会話のチョイスを間違えたばっかりに、全部台無し。
グスタフがアホな悪人で、ヤコブがそれを粛清するヒーローだと描きたいならこれでいいのかもしれんが、退団するトップスターにそういう役をやらせるのはあまりタカラヅカ的じゃないなあ。
だからほんと、なにをやりたかったのか観ていて混乱する。
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