『白夜の誓い ―グスタフIII世、誇り高き王の戦い―』のグスタフさんのこと。……しつこいな、まだ語るか。語るんだ(笑)。
 原田くんの言葉の選び方……というか、脚本について、思うこと。

 聡明な人物である、という「設定」らしいのに、原田くんの選ぶ言葉によって、そう見えない。
 舞台を観ながら、若かった頃によくラノベ・アニメ好き仲間内で盛り上がった「なんちゃって天才キャラ」を思い出したんだ。
 「天才」っていう設定なのに、日頃の言動に知性がない。他のキャラクタと同じ思考レベル。でも設定だけ、言葉でだけ「天才」と繰り返される。わざとそうしているのではなく、「作者に知性がないから、この程度の知性のキャラしか描けないんでしょ」という結論に落ち着く……いやあ、口悪いっすね、厨二病の語りたがりヲタって。(オマエのことだ)

 前日欄他で語った、イザベルの屋敷での本についての会話。
 それだけでも、彼のアホさがわかる。アタマいい設定らしいのに。

 あとわたし、すごく気になるんだけど、オペラ座って一般市民もふつーに利用できるの? 平民代表みたいな貧しい農民のニルスとその仲間たちが、あのままの格好で出入りできるの?
 平民たちも恩恵にあずかれるなら、ドヤ顔して建設してもいいけど、「王侯貴族とお金持ちのためだけ」のものなら、国民の血税を費やすのはどうよ。
 や、「世界とは貴族と金持ちのためだけにある。平民はただの道具」と考えてる人ならそれでいいけど、グスタフさんはわざわざニルス関連で「平民にも理解がある」とやったり、ヤコブさん相手に「命は平等」と説いたりしてるからさー。ここで平民無視してる感じなのが引っかかる。完成披露パーティもどう見ても貴族たちだけのためだったし。
 それより軍事費の方が必要よね?

 グスタフのアホさって、彼の語る言葉が薄っぺらすぎることにあると思うの。

 命は大事、命は平等。
 これはたぶん、今の感覚よね。
 戦争反対、軍事費拡大なんて悪。国の命令で戦争させられるなんてごめん。
 現代感覚の意見を言うことで、グスタフさんすごい、としたいんだと思う。
 でもさ。
 まずそれには「時代」を描く必要がある。
 わたしたちの住む現代日本よりも逼迫した社会情勢で、今より簡単に戦争が起こる状況で、当たり前に戦争のための軍隊がある国で。
 まるで、現代日本人の男の子が、タイムスリップしたみたい。
 この時代、この世界に生きていて、何故その思想に至ったのか。

 や、「パリで新しい思想に出会った」とは言っているけど、出会っただけで彼の人格は一切影響を受けていない。
 やっていることは旧態依然とした権威主義、異なる者は権力で強制排除、ときには戦争だってやります!なままなのに。

 グスタフとヤコブのオペラ座建設に関する会話のアホアホさは、どうにかならないのだろうか。

 彼らの生きる現実で、「人間は平等だ」と語るグスタフさんの痛さ。
 キレイゴトを言っているだけの、薄っぺらい人にしか見えない。

 軍事費とオペラ座建設費。どっちが必要かっていったら、軍事費でしょう。
 この会話で、うわこいつアホ過ぎる、と思ったのは、「今スウェーデンに必要なのは、軍事力を内外に示すことだ」と言うヤコブに対し、「戦力を誇るための闘いは無意味だ。国民の命を無駄には出来ない」と返すところ。

 ヤコブは「戦争を他国へふっかける」とは言ってない。軍事力を示す、だ。
 それに対し「戦争反対!! 命が大事!!」って、「闘い」……つまり、「戦争」だと話を、ねじ曲げている。

 聞けよ、ひとの話!!
 勝手に湾曲して受け取って、キレてんじゃねーよ。

 他国に戦争をふっかけられないために、ある程度の軍事力は必要でしょう。
 現代日本の話じゃないよ、戦争が当たり前の時代と国の話だよ?

 売り言葉に買い言葉、それから先のヤコブの言い方もアタマいいとは思えないが、彼はまだ、「アホ相手に激昂した」からつい極論を口にしてしまったんだ、と思える。
 でもグスタフは擁護できない……アホや……。

 結局この人、なにもわかってない。

「つまりお前はさ、面倒なことはしたくない、好きなことだけしていたい、ってだけだろ?!!」
 と、言い訳だらだら言ってテレビの前から動かない引きこもり男に、仕事しろ会社行け責任を果たせって説教しに来た友人の図、になっちゃってるんですが。

 ザ・ダメ人間……。


 あと、そのオペラ座完成の舞踏会でのグスタフの台詞も、引っかかる。
「今日の良き日を祝おう。闘いの日々は終わった。我らは我らの手で独立を掴んだのだ」
 え?
 これって、オペラ座完成パーティーだよねえ?
 ……闘いの日々? なんか戦ってたっけ? ロシアとの戦争は終わって、平和にオペラ座建設してなかったっけ??

 オペラ座を完成させられるくらい平和、闘いは遠くなった、ってこと?
 でもなんか言葉のチョイスおかしくない? オペラ座と独立はイコールぢゃないっすよ??

 グスタフの中で、脳内変換が起こってる?
 オペラ座が世界を救う!!的な?
 命を懸けても行わなければならない正義の事業だと?

 なんかもお、こわいっす……どこまでいっちゃうのグスティ!!

「アントワネットの間違いは、自分の幸福が国民の幸福だと思ったこと」……だっけ、『ベルサイユのばら』原作にあった言葉。
 グスタフさんはまさにソレっすね。
 自分の好きなこと=すべての人々の最重要事項。
 単に自分が好きでやっていることなのに、「人々のために!!」と都合良く脳内変換して、「献身」とか「自己犠牲」とか思っている感じが、とても残念。


 グスタフさんをかっこよく見せるためのエピソードって、他にナニかなかったのかなあ。
 彼のダメさを表すエピソードと言葉のチョイスばかりで、肩を落とす。

 んで、最後の最後、死を前にして「私はあの頃となにも変わっていない」てなことを言う。
 「みんなを守る王になる」と、おもちゃの剣を手に無邪気に語った……あの頃と。

 幼児のままかよ、王様なのに!!

 や、そこは大人になってくれないと!!

 どんがらがっしゃーん、ドリフのオチみたいな、舞台が全部壊れて幕、的な?

 聡明な王が誤解ゆえに殺されたなら、最後の台詞はアリだけど、アホで無責任で権力振りかざすだけの王様が言うと、「成長してなかったってことか」になりますがな。

 いやまあその、アホの子グスタフがそれゆえに滅びる話、だとすれば、「子どものまま、なんの成長もしてなかったんだ……」と観客はその哀れさに胸を突かれる、のかもしんない。
 そういう意味で涙を誘うのが目的なのか。
 うーむ。
 最後に答えを得る。から、正解?
 冒頭で、少年グスティから青年グスタフに変わる場面がわざわざある。それは、最後のこのオチに連動している?
 子役が演じたままのメンタリティだったんだ。トップスター様に変わったから気づかなかった。ずっと子役の研1ちゃんが演じてていいキャラクタだったんだ、だからアホアホだったんだ。
 子役のままだったら、あの台詞もあの台詞も、納得できる? 大人の会話が出来ないのもわかる?
 「まあ、戦術の本なんて読むの?」「だってボクの先祖は偉大だもん!」、「軍事費は大切だ」「戦争やだやだ! わーん!」……論理に感情で返す、のも相手が子どもならアリだ。なるほど。

 ……やっぱりわたし、原田くんとは友だちになれないな。(向こうから拒絶されますって!)

コメント

日記内を検索