王子様は正義でなくては!@白夜の誓い
2014年11月27日 タカラヅカ まぁくんの王子様力を、すごいと思う。
まだ語るか『白夜の誓い ―グスタフIII世、誇り高き王の戦い―』……つーか、作品についてばっかで、キャストの感想書いてないし!
まぁくん演じるリリホルン氏は、なんともびみょーな役で……ぶっちゃけいてもいなくてもかまわない。
悪もん側のスパイ……というか、コウモリみたいなどっちつかずのエピソードを付けられているけれど、それもあまり効果的ではない。つーか、なくてもかまわない程度。
なんでそうなっているのか。
それは以前書いた、「タイトルの『白夜の誓い』ってナニ?」にリンクしている。
グスタフ@かなめくんは、ナニか誓いを立てるほど他人と関わっていない。
裏切りと後悔と改心、そして許し、ってのが感動になるのは、そこに、好悪や執着があってこそだ。
名前を知っているだけのクラスメイトに告げ口されても、腹は立っても傷つかないよね。そこにドラマが生じるのは、関係性ゆえ。告げ口したのが親友だったら、信じているからこそ秘密を打ち明けたのにそんな仕打ちを受けたら、こりゃもう大変なことになるよね。
リリホルンはグスタフにとって「顔を知ってるだけのクラスメイト」レベルの相手だ。その他の取り巻きのひとり。グスタフは留学帰りだし、つながりも情もなさそう。
リリホルンにとっても、そう。グスタフ個人がどうこうじゃなく、義務とか倫理観とかで葛藤しているだけ。どの権力者の犬になるか、処世術の話で、好悪や信頼の話じゃない。
せっかく「次期トップだから」と気を遣ってエピソードを付け加えたっぽいのに、ろくに機能してない。
気を遣って、付け加えた、と思うくらいに、無意味なんだもん。
リリホルンの裏切りに意味を持たせたいのなら、リリホルン自身がグスタフをどう思っているのか、グスタフがリリホルンとどう関わっているのか、ふたりのつながりや心の在処を、描かねばならなかった。
「この時代の忠誠心はなによりも尊ばれ、それを踏みにじる行為は地獄行き確実、死してなお赦されない大罪なのです」とか、そーゆーもんだったんでしょうか。
それゆえにリリさんは苦しんでたの?
そうなのかもしれないけど、よくわかんない。
だって、誰も特別忠誠心持ってなくね?
なんかあった?
あまり時代の空気とか主従のつながりとか感じなかったもんで、ふつーの空気の中で、ひとり苦悩しているリリさんが、「悩んでいる」というより「まず悩む、という設定がある。だから、そのために悩んでいる」ように見えた。
これも、脚本が悪いんだよなー。
なんでリリホルン自身がグスタフを敬愛していること、グスタフがリリホルンを信頼していることを、最初に表現しておかないんだ。
義務で仕えてるんじゃない、意志でそうしているんだと。ふたりの間には、主従とはいえもっと深いモノがあるんだと。
あれ? リリホルンはグスタフなんかなんとも思ってなかったけど、罪を許され、命を助けられたから忠臣になる、というのをやりたかったのかな?
でもそれ、ニルス@かいちゃんでやってるよなあ。
リリさんはもともと親グスタフ、でも脅迫されて嫌々スパイしていた、という設定だと思ったんだが、わたしの考え違い?
ニルスと同じことをしたかったんだというなら、今の「苦悩するのは立場のため」でいいのか? 別にグスタフでなくてもいい、「王様」を裏切っているのがつらい、という。
やっぱ短い時間でよりドラマチックに盛り上げるには、「好きなんだけど、敵になるしかない」で苦悩し、耐えきれず自害しようとして赦され助けられ、さらに「好きどころぢゃない、愛してる!!」になる方がいいなあ。
あるいは、「出世のために悪に生きるぜ、無能な王など踏み台だ」と思っていたのに、グスタフの器量に惚れ込み、その上赦されて助けられて、「オレが悪かったっ、一生付いていく!!」になるとか。
なんかもう、今のリリさんハンパで困るっす……。
無駄に尺だけ割いてあるしさー。台詞とピンスポあれば「特別」じゃないよ、役に「特別な意味」を持たせてくれよ。
とまあ、こんな役なのに、だ。
まぁさまは、登場するなり「オレ正義!!」とぶちかます。
正義、ってのは作品中の話ではなくて、タカラヅカでの(笑)。
つまり、「四の五の言うな、美しいんだからいいだろう」と言っているのです。
脚本がどうであれ、描かれ方がどうであれ、まぁくんが王子様然として登場し、「苦悩してます」とやれば、「そ、そうだよね、つらいよね!」と観客になんとなくそんな感じにさせてしまうの。
あー……これが宙組の次期トップスター様か……うん、いい仕事してるね! タカラヅカはこうでなくちゃね!
正統派力を見せつける・鍛える、という意味で、いいときにいい役に当たったのかもなあ、まぁくん……。
まあその、もっとまともにいい役とかいい作品とか当ててもらってもいいと思うんだけど、なにしろまぁくんの作品運のなさというと、今のタカラヅカでも1、2を争うくらいだもんな……鍛えられてきたよな。
や、『翼ある人びと』は過去の苦難を帳消しにするくらいの良作だったけどさー。
そして、キルヒアイスのときは思わなかったんだけど、リリホルンを見て、かなめくんとまぁくんって、あんまりお芝居合わないのかなあ、と思った。
まぁくんってやっぱりどこか濃ゆいというか、色合いがかなめくんと違ってる気がする。
それゆえに、リリホルンの自殺未遂場面が噛み合わず、滑りがちというか……。
リリさん濃いから、グスタフさんにももうちょいそれ受け止めて欲しいんだけど……うーん、トップはかなめくんだから、まぁくんが合わせるべきなのか……?
まぁくんはヲヅキさんとの方が合ってる気がした。色の濃さと濁りのあるところが。
『翼ある人びと』はそこもうまく機能したんだなあ。
役はつまらなかったけれど、まぁくんが着実にトップ準備をしている・その資質を持っているのだとわかる、王子様力開放っぷりが気持ちいい役でした。
まだ語るか『白夜の誓い ―グスタフIII世、誇り高き王の戦い―』……つーか、作品についてばっかで、キャストの感想書いてないし!
まぁくん演じるリリホルン氏は、なんともびみょーな役で……ぶっちゃけいてもいなくてもかまわない。
悪もん側のスパイ……というか、コウモリみたいなどっちつかずのエピソードを付けられているけれど、それもあまり効果的ではない。つーか、なくてもかまわない程度。
なんでそうなっているのか。
それは以前書いた、「タイトルの『白夜の誓い』ってナニ?」にリンクしている。
グスタフ@かなめくんは、ナニか誓いを立てるほど他人と関わっていない。
裏切りと後悔と改心、そして許し、ってのが感動になるのは、そこに、好悪や執着があってこそだ。
名前を知っているだけのクラスメイトに告げ口されても、腹は立っても傷つかないよね。そこにドラマが生じるのは、関係性ゆえ。告げ口したのが親友だったら、信じているからこそ秘密を打ち明けたのにそんな仕打ちを受けたら、こりゃもう大変なことになるよね。
リリホルンはグスタフにとって「顔を知ってるだけのクラスメイト」レベルの相手だ。その他の取り巻きのひとり。グスタフは留学帰りだし、つながりも情もなさそう。
リリホルンにとっても、そう。グスタフ個人がどうこうじゃなく、義務とか倫理観とかで葛藤しているだけ。どの権力者の犬になるか、処世術の話で、好悪や信頼の話じゃない。
せっかく「次期トップだから」と気を遣ってエピソードを付け加えたっぽいのに、ろくに機能してない。
気を遣って、付け加えた、と思うくらいに、無意味なんだもん。
リリホルンの裏切りに意味を持たせたいのなら、リリホルン自身がグスタフをどう思っているのか、グスタフがリリホルンとどう関わっているのか、ふたりのつながりや心の在処を、描かねばならなかった。
「この時代の忠誠心はなによりも尊ばれ、それを踏みにじる行為は地獄行き確実、死してなお赦されない大罪なのです」とか、そーゆーもんだったんでしょうか。
それゆえにリリさんは苦しんでたの?
そうなのかもしれないけど、よくわかんない。
だって、誰も特別忠誠心持ってなくね?
なんかあった?
あまり時代の空気とか主従のつながりとか感じなかったもんで、ふつーの空気の中で、ひとり苦悩しているリリさんが、「悩んでいる」というより「まず悩む、という設定がある。だから、そのために悩んでいる」ように見えた。
これも、脚本が悪いんだよなー。
なんでリリホルン自身がグスタフを敬愛していること、グスタフがリリホルンを信頼していることを、最初に表現しておかないんだ。
義務で仕えてるんじゃない、意志でそうしているんだと。ふたりの間には、主従とはいえもっと深いモノがあるんだと。
あれ? リリホルンはグスタフなんかなんとも思ってなかったけど、罪を許され、命を助けられたから忠臣になる、というのをやりたかったのかな?
でもそれ、ニルス@かいちゃんでやってるよなあ。
リリさんはもともと親グスタフ、でも脅迫されて嫌々スパイしていた、という設定だと思ったんだが、わたしの考え違い?
ニルスと同じことをしたかったんだというなら、今の「苦悩するのは立場のため」でいいのか? 別にグスタフでなくてもいい、「王様」を裏切っているのがつらい、という。
やっぱ短い時間でよりドラマチックに盛り上げるには、「好きなんだけど、敵になるしかない」で苦悩し、耐えきれず自害しようとして赦され助けられ、さらに「好きどころぢゃない、愛してる!!」になる方がいいなあ。
あるいは、「出世のために悪に生きるぜ、無能な王など踏み台だ」と思っていたのに、グスタフの器量に惚れ込み、その上赦されて助けられて、「オレが悪かったっ、一生付いていく!!」になるとか。
なんかもう、今のリリさんハンパで困るっす……。
無駄に尺だけ割いてあるしさー。台詞とピンスポあれば「特別」じゃないよ、役に「特別な意味」を持たせてくれよ。
とまあ、こんな役なのに、だ。
まぁさまは、登場するなり「オレ正義!!」とぶちかます。
正義、ってのは作品中の話ではなくて、タカラヅカでの(笑)。
つまり、「四の五の言うな、美しいんだからいいだろう」と言っているのです。
脚本がどうであれ、描かれ方がどうであれ、まぁくんが王子様然として登場し、「苦悩してます」とやれば、「そ、そうだよね、つらいよね!」と観客になんとなくそんな感じにさせてしまうの。
あー……これが宙組の次期トップスター様か……うん、いい仕事してるね! タカラヅカはこうでなくちゃね!
正統派力を見せつける・鍛える、という意味で、いいときにいい役に当たったのかもなあ、まぁくん……。
まあその、もっとまともにいい役とかいい作品とか当ててもらってもいいと思うんだけど、なにしろまぁくんの作品運のなさというと、今のタカラヅカでも1、2を争うくらいだもんな……鍛えられてきたよな。
や、『翼ある人びと』は過去の苦難を帳消しにするくらいの良作だったけどさー。
そして、キルヒアイスのときは思わなかったんだけど、リリホルンを見て、かなめくんとまぁくんって、あんまりお芝居合わないのかなあ、と思った。
まぁくんってやっぱりどこか濃ゆいというか、色合いがかなめくんと違ってる気がする。
それゆえに、リリホルンの自殺未遂場面が噛み合わず、滑りがちというか……。
リリさん濃いから、グスタフさんにももうちょいそれ受け止めて欲しいんだけど……うーん、トップはかなめくんだから、まぁくんが合わせるべきなのか……?
まぁくんはヲヅキさんとの方が合ってる気がした。色の濃さと濁りのあるところが。
『翼ある人びと』はそこもうまく機能したんだなあ。
役はつまらなかったけれど、まぁくんが着実にトップ準備をしている・その資質を持っているのだとわかる、王子様力開放っぷりが気持ちいい役でした。
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