星組新人公演『黒豹の如く』の感想うだうだ。

 話が破綻している作品の場合、新公の方がマシに見えることがある。
 同じアホな行動でも、30過ぎの大人がやるのと、17歳の高校生がやるのとでは、アホ度がちがって見えるからだ。
 本役さんたちだと痛々しいのに、新公だとふつーに見えた……そんなことが、何度もあった。
 反対に、話が破綻しているからこそ、本役さんたちの実力がわかったりする。技術のない新人たちが演じると、壊れた部分が剥き出しになり、目も当てられない状態になったりするためだ。

 今回は前者かな。
 若者がアホなことをしている方が、いい年こいた大人がアホなのより、まだ説得力がある。
 ……にしてもやっぱり、登場人物たちがナニをしているのか、ナニをしたいのかがわからず、誰にも感情移入できずに終わった。


 唯一ドラマのあるアルヴィラ@真彩ちゃんが、いちばん見やすかったかなあ。
 本公演はもちろん華麗なるスター競演状態なので、どんだけわけわからんキャラクタだろうと、みんなそれぞれキャストの力技や技術で盛り上げている。
 が、新公ではそれもままならないため、脚本や設定のおかしさが剥き出し。そんななかで、比較的書き込みがマシなアルヴィラは、役の底上げがあったとは思う。

 娘役の成長度の違いってのは、興味深いなといつも思う。
 育成に時間の掛かる男役はともかく、娘役は短期決戦基本だ。研3にもなれば主要役を務めても遜色ない出来上がり方をしている娘役が出て来る。
 入団して数年の子なんて、公演でほとんど出番ないし、役だってついてないだろうに……それでも、「できる」子はちゃんと出来上がってくる。

 真彩ちゃんも間違いなくそのひとりで、今までの本公演などでものすげー抜擢受けたわけでもないのに、新公のたびに「できる」ことを見せつけてくれる。
 んで、歌ウマなのはわかっているし、芝居声が出来上がっていることも、わかっている。
 だからあとは、どこまで芝居が出来るのかを知りたい……わけだが。

 娘役さんってほんと、ヒロインでもやらない限り、芝居力はわかんないのね……。

 や、わかるよ? 台詞ひとことでも二度見しちゃうくらい出来ない子は出来ないし。
 出番数分でも、うまい子は破綻なくこなすし。
 そういう意味での「わかる」じゃなくてさ。

 どこまで深められるか、どんな色に仕上げるタイプなのか。
 脚本演出が同じでも、演じる人によって色が違うじゃないですか。
 技術だけじゃない、センスの問題っていうか。
 ぶっちゃけ、わたし好みの芝居かどうかってことっすね。ひとさまが絶賛したとしても、世の中的な評価がどうであっても、わたしの好みじゃなかったら、響いてこないし。
 芝居って、歌やダンス以上にうまいヘタがわかりにくく、好みによって左右されるモノだから。
 わたしは、わたしがどう思うかが重要(笑)。

 で、改めて考えると娘役さんって、ほんと役ないのな。
 にぎやかしに何人かで出て来て世間話するとか、その程度。
 ちょっと出て来て二言三言喋るだけ、じゃあ、技術以外のことは、よくわかんない。そんな出番と役割で、そのキャラクタの人生や抱える問題やら本筋と関係ないレベルで出してきたら、その方が舞台クラッシュだもん。
 真彩ちゃんは毎回うまかったよね……と、過去の新公を思い出しても、「うまかった」けれど、役割的にはちょろっとだったよなあ、と。

 ちょっと出て来て喋ったり歌ったりして、おおっ、うまいわー、さあ、これから……と思ったところで出番終了。え、これだけ?
 そうだよな、本公演のヒロイン以外の娘役なんて、こんなもんだ。

 今回はヒロインすら人格ナッシング、2番目の役にかろうじて役割はあるけど、ご都合主義丸出しのひどい作りの役だし。3番目以下は推して知るべし。

 アルヴィラみたいなおかしな役でも、真彩ちゃんはきちんとラインを踏んで演じていたから、今度はもっとふつーに、壊れていない人物をじっくり演じているところが見たいっす。
 アルヴィラには気の強さだけでなく、可哀想さも感じたから、彼女の芝居を一から見てみたいと思ったのことよ。
 新公ヒロインが見たいし、それよりもバウヒロが見たいかなあ。

 次は『ガイズ&ドールズ』かあ……。あうー。
 海外ミュージカルの新公は場面カットの嵐だから、ヒロインの人生を味わうには不向きなのよねー。
 でも、歌は聴きたい!! 歌ウマ娘ちゃんに、活躍の場を!

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