長年「柚希礼音」を観てきて、わからなかったこと。

 今、伝説の人気トップスターとなって卒業していくれおんくんを観て。

 10年越しの答えを得たような気がしたんだ。

 『黒豹の如く』なんていう、どーしよーもない作品を、よりによって最後の最後に与えられつつも、真正面からそれを受け取り。
 『Dear DIAMOND!!』で劇場中を走り回り、素朴な感謝ソングを歌う。

 そうかあ。
 応えること。それが、れおんの希みだったのかな。
 そう思った。

 「トップスターになる」、それは決まっていること。逃げることも逸れることも許されない。だからただ、決まっていることをする。義務を果たす。黙々と努力し続ける。
 その姿に疑問を持ち、あまり魅力を感じられなかったけれど。

 他人の期待、他人の夢、他人の用意した花道。
 それらを受け止め、果たすことが、彼の希望であり、よろこびだったのかな。

 「夢」という義務を果たす。

 それは、「スター」の仕事だ。
 「スター」にしかできないことだ。

 柚希礼音は、スターだ。

 スターであることを選び、果たした。
 それは、どれほどの力。
 どれほどの忍耐、どれほどの覚悟。

 彼が歩く道は、劇団が舗装した道であったとしても、踏みしめる一歩の重みは比類なきものだったはず。
 それを成し遂げられる者は少なく、だからこそれおんくんが唯一無二の伝説となった。


 彼は「スター」である。
 彼は「伝説」である。
 だからもう、今は祭りを楽しむ。

 100年に一度の大スターですよ、その退団公演ですよ。なにもかも桁外れのスターさんだから、一緒に全力疾走しなきゃね。

 先日のライブビューイングと違って、映画館の空気がアツい。みんな手拍子も拍手もするし!
 『柚希礼音ラストデイ』、映像の終わりに前代未聞の「見送りに来ないでね」のお願いメッセージ入ってるし!
 すげえなヲイ。ファンが多すぎる、アツすぎるから、その勢いで日比谷に集合されたら危険、だから遠慮してくださいと、トップスターの口からお願いされちゃうんだ。

 いろいろすごいな。

 宝塚歌劇団100周年の、一連の祭りを牽引し、また、その象徴のようだったトップスター・柚希礼音。

 相手役の大輪の華、ねねちゃんの輝きと共に、なんと誇らしい「わたしたちのスター!!」っぷりだろう。

 楽しいな。
 タカラヅカってすごいな。
 愛しいな。

 時の流れを思う。
 大劇場でやたらとくるくる回ってた、あの若い男の子を思う。
 わくわくも諦観もじれったさも、全部全部昇華して。

 過去は過去でしかなく、それは「今」の時点から振り返っているに過ぎない。
 首をかしげたあの日々も、今から思えばみな愛しく、意味があったのだと思える。

 れおんくん。
 こんなに長い間、わくわくさせてくれて、ありがとう。

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