宙組『王家に捧ぐ歌』あれこれ。

 わたし、すっしーさんには全幅の信頼を置いている方なんですが、今回はちょい残念っす。
 すっしーさんはダンサーで歌の人ではナイとしてもだ、神官役の歌声が足りてない。
 神官にはがつんと締めてもらわないといかんので、彼の歌声のひょろひょろ感にはしょんぼりしてます。

 全幅の信頼……うん、わたし、すっしーはもっと歌えると思ってたの。
 芝居の中で歌う分には、彼はいつも十分な仕事をしていると思ってきた。歌手ポジションで朗々と歌うことはまずないし、役として歌う分には問題ない歌唱力……よね?
 なのに足りてないってことは、『王家』の歌は難しいのかなあ。

 すっしーは「スター組長」だと思ってる。月組長だった越リュウも同じ。
 ショーで、トップスター中心の何人口とかに入って踊っちゃう人。男役群舞で中寄りのスターポジションで踊っちゃう人。
 宙組では「若手を抜擢せずに、組長を投入する」という長い伝統がある。
 本公演のショーで全国ツアーに行く場合、抜けた番手スターの役に若手を繰り上げて使うのではなく、組長や別格上級生が務める、という。
 スターを育てる気はない、組子はみんな動く大道具。んじゃスター育てずにどう場を埋めるのかというと、トップをはじめ番手スターはよそから組替えでやって来る、という仕組み。反対に考えると、よそからスターを迎えるために、あえて若手を育てないのかもしれない。
 なんでそんな仕組みになっているのかは知らないが、そうなっている以上、「スター」役を、組長他別格上級生が兼ねなければならない。んで、実際、兼ねてきた。
 立場が人を作るってのはある。すっしーは「番手スター」がやるべき仕事もこなしてきた組長だ。ゆえに、華がある。まったくの脇育ちとか経験皆無の人よりも。
 実際、カッコイイし。
 宙組観るときに、絶対観ちゃう人のひとりだし。
 今は自組でスターを輩出しようと方針を変えたかもしれないけれど、昔は確実にそういう仕組みで、すっしーたちはスターとして活躍してきた。

 だから全幅の信頼。足りない部分があっても、ねじ伏せてくれるだろうと。
 専科さん複数投入で組子の役を減らすのをヨシとしない派なので、ファラオかアモナスロやってほしかったくらいだもん。ヒロさんチャルさんの素晴らしさはわかってるけど、専科ナシで組子だけでやる『王家』もアリだと思うから。
 専科さん出るなら、チャルさんナシで、ファラオ@ヒロさん、アモナスロ@すっしー希望でした、実は。初演とはあえて変えて。幕が上がるまで、チャルさんには不安山盛りだったこともあり。
 ヒロさんのファラオも、そりゃ迫力だろうなと。でもって腐った意味でも彼の方が対ラダメスがおいしいかなとか(笑)。

 すっしーの歌唱力を信頼していたゆえの希望配役。
 でも神官役を観て、その難しさと向き不向きがあることを知る。神官って動きは少なく、正味歌唱力出るもんなあ。
 アモナスロなら、芝居部分が大きいから神官よりは得意分野で勝負出来たかな。

 もっとがつんとした声が欲しい。


 ところでわたし、最初りんきらを探せませんでした。
 2回目の観劇時か。不意にりんきらがりんきらだとわかって。

 なんか、ときめいた。

 いやあ……いいわー!
 神官メイクでしれーーっとしているりんきら! 非人間的な佇まいの役だからこそ、うろたえてたりちょっとした変化が楽しい。
 彼を注目して見る『王家』も楽しいんだろうな。そう思う。


 せーこちゃんが本編であの役で、フィナーレのエトワールだということに、いろいろ驚く。
 本編の役としてその他大勢の女官というのは役不足過ぎるし、かといってエトワールというのは今さら彼女の任ではないと思うし……。再演一本モノの弊害、組構成に合った役がない。

 それとは違った意味で、ファトマ@あおいちゃんに驚く。
 えーと、この役って、こんな役だっけ……?
 わたしが記憶しているものと、歌声が違いすぎる。
 はい、初演は柚長ですから。
 そうだよなあ……柚長……。『ロミジュリ』で「フラメンコの女」という役を作らせたくらいのお方だもんな。あの超絶歌唱の方の役ですから、歌ウマあおいちゃんがやると、音の印象がまったくチガウ……。
 なんだろ、あちこちぎすっぎすっと引っかかっていたところがなめらかに流れ、それゆえにある意味「キツさ」が増した気がする。
 歌声に説得力があると、そのまま波となって押し寄せる感じ。柚長は断続的にしか流れない間欠泉だったので、あまり説得力なかったのな。
 アイーダに対しては、柚長の方がたどたどしくしか歌えない分やさしかったし、あおいちゃんはなめらかに豊かな表現する分容赦ない気がした。

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