どうしようもないセンスの違いを超えて。@パパ・アイ・ラブ・ユー
2019年2月1日 タカラヅカ わたしは笑いのツボが、ひとさまより少ないのだと思う。
笑わせるためにやってるんだろうな、と思える演出を、ちっとも笑えないことが多々ある。
ふつうの知性とふつうの判断力があれば、こうはしない、ありえない、ことをされると、笑えない。
ふつうの人は、手でペンを持って文字を書く。主人公ももちろんそうしていた。でも突然声をかけられた主人公は、驚きのあまり足の指にペンを挟んで文字を書こうと悪戦苦闘しはじめた……! 足でペンを持つだけでも大変なのに、文字を書くって……! すごくおかしなポーズだし、苦労してもうまく書けないし、なんて滑稽なの……!
笑える姿かもしれないけど、そこに整合性も必要性もない。
なんでびっくりしたからって、足でペンを持つの?? ふつうの人は、どんだけ驚いても足でペンを持つことはしない。
ただ「滑稽な姿で笑わせるため」だけに、ありえないことをさせた。……てな。
わたしは、こういう「作者の都合で登場人物の知性を壊す」ことを「面白い」と思えない。
『パパ・アイ・ラブ・ユー』の主人公デーヴィッド@トド様は、一世一代の晴れ舞台を前にトラブルに見舞われ、誤魔化すために嘘に嘘を重ねる。それによって巻き起こる騒動を笑う物語……なんだけど、登場人物たちの言動が「ありえねー(溜息)」の連続で、心がどんどん冷めていく。
ふつーの知性と判断力があれば、ソレは絶対しない、ことばかりするんだ。
いくらあわてても、ソレはしない。いくら咄嗟の嘘でも、もっとまともなことを言う。
子どもでもつかないわけのわからない嘘や、大袈裟なアクション。
「笑い」にはリアリティが必要だよなあ。「あるある!」と思わせてくれないと、笑えないなあ。「あまりに驚いたので、つい足の指でペンを握ってしまいました」並に「ありえない」ことをされてもなあ。
バカしかいないのか、この世界。それも、「笑わせるために、わざとサル程度の知能なんです」的なバカ・オンパレードはナイわー、つらいわー。
その上、イシダせんせのトレードマークである、下ネタギャグ、セクハラギャグてんこ盛り。
ちゃんと楽しんではいるんだけど、「センスが合わない」違和感を、ひしひしと感じていた。
……の、だけど。
面白かった。
あちこちドン引きしていたし、ツボに合わない、萎えでしかないギャグセンスに閉口していた。
それでも。
おもしろいわ、このプロット。
ストーリー自体はシンプルなんだけど、それの見せ方と組み立て方がうまい。
たたみ掛けられていくうちに、どんどん笑えるようになってきた。
ツボやセンスの好みを超えて、めっちゃ楽しくなった。
手放しで好きにはなれない。残念ながら。「イボ痔!」で笑う趣味はナイ。
そんなマイナス点をたくさん抱えながらも、面白い。
笑いツボが少なくて、滅多なことでは笑わないわたしが、他の観客と一緒に笑うことが出来た。
予備知識も先入観もなく観ているわたしは、この物語がどこへ着地するのかわからない。
主人公はひどい男だけど、主人公である以上憎めないし、わたしの視点は彼にあるのだから、彼に不幸になって欲しくない。
主人公デーヴィッドが、人生のかかった大事なときに邪魔をされて四苦八苦する話で、それはすべて身から出たサビ、自業自得なんだけど、主人公を視点とする以上、彼と一緒になって「主人公の身に降りかかる災難」を振り払うためにハラハラドキドキする。
間違っているのはデーヴィッドなんだから、不幸になればいい。とは思わない。
そもそもわたしは、「たくさんの人が準備をしてきたイベントを、個人の都合で台無しにする」話がキライだ。
マンガでもドラマでもよくあるよね、「意に沿わないイベントを行う予定だった主人公が、土壇場になって『自分に嘘はつけない、こんな気持ちのままだとみんなに失礼だ』とか言い出して、イベント自体ぶち壊す」やつ。いや、みんなで作ってきたイベントぶち壊す方が失礼だってば! あんたひとりの心が痛むくらい、どーでもいいって!
だから、デーヴィッドが悪いヤツだ、てことは置いておいて、彼のために集まった人々の時間と誠意が無駄になる結末は嫌だった。デーヴィッドが不幸に終わったとしても、イベントに集まった罪なき人々は幸せにしてくれ。
ひたすら、「講演がどうなるのか」が気がかりだった。
舞台上に現れない、台詞で語られるだけの存在だから、ひどい扱いで終わる可能性大。実際、待たされまくって、ひどいことになってるみたいだし。
それが、登場人物すべて丸く収まり、イベントの観客たちまで誰ひとり不幸になってない!
すごーい! 気持ちいい!
唯一、デーヴィッドだけが、どんでん返しの苦いラストを得る、それも含めて気持ちのいいハッピーエンドだ。
2幕の快走っぷりは、実に気持ちよかった。
どんどん加速が付いて、周りの風景がびゅんびゅん後ろへ流れていく感じ。
あとになればなるほど面白い。
いやはや、楽しかった。
1幕はわりと引いてたのに。「うわー……(ドン引き)」とかも、あちこちあったのに。
途中から、それら投げ捨てて、とにかく楽しかった。
キャスティングも最高だ。
笑わせるためにやってるんだろうな、と思える演出を、ちっとも笑えないことが多々ある。
ふつうの知性とふつうの判断力があれば、こうはしない、ありえない、ことをされると、笑えない。
ふつうの人は、手でペンを持って文字を書く。主人公ももちろんそうしていた。でも突然声をかけられた主人公は、驚きのあまり足の指にペンを挟んで文字を書こうと悪戦苦闘しはじめた……! 足でペンを持つだけでも大変なのに、文字を書くって……! すごくおかしなポーズだし、苦労してもうまく書けないし、なんて滑稽なの……!
笑える姿かもしれないけど、そこに整合性も必要性もない。
なんでびっくりしたからって、足でペンを持つの?? ふつうの人は、どんだけ驚いても足でペンを持つことはしない。
ただ「滑稽な姿で笑わせるため」だけに、ありえないことをさせた。……てな。
わたしは、こういう「作者の都合で登場人物の知性を壊す」ことを「面白い」と思えない。
『パパ・アイ・ラブ・ユー』の主人公デーヴィッド@トド様は、一世一代の晴れ舞台を前にトラブルに見舞われ、誤魔化すために嘘に嘘を重ねる。それによって巻き起こる騒動を笑う物語……なんだけど、登場人物たちの言動が「ありえねー(溜息)」の連続で、心がどんどん冷めていく。
ふつーの知性と判断力があれば、ソレは絶対しない、ことばかりするんだ。
いくらあわてても、ソレはしない。いくら咄嗟の嘘でも、もっとまともなことを言う。
子どもでもつかないわけのわからない嘘や、大袈裟なアクション。
「笑い」にはリアリティが必要だよなあ。「あるある!」と思わせてくれないと、笑えないなあ。「あまりに驚いたので、つい足の指でペンを握ってしまいました」並に「ありえない」ことをされてもなあ。
バカしかいないのか、この世界。それも、「笑わせるために、わざとサル程度の知能なんです」的なバカ・オンパレードはナイわー、つらいわー。
その上、イシダせんせのトレードマークである、下ネタギャグ、セクハラギャグてんこ盛り。
ちゃんと楽しんではいるんだけど、「センスが合わない」違和感を、ひしひしと感じていた。
……の、だけど。
面白かった。
あちこちドン引きしていたし、ツボに合わない、萎えでしかないギャグセンスに閉口していた。
それでも。
おもしろいわ、このプロット。
ストーリー自体はシンプルなんだけど、それの見せ方と組み立て方がうまい。
たたみ掛けられていくうちに、どんどん笑えるようになってきた。
ツボやセンスの好みを超えて、めっちゃ楽しくなった。
手放しで好きにはなれない。残念ながら。「イボ痔!」で笑う趣味はナイ。
そんなマイナス点をたくさん抱えながらも、面白い。
笑いツボが少なくて、滅多なことでは笑わないわたしが、他の観客と一緒に笑うことが出来た。
予備知識も先入観もなく観ているわたしは、この物語がどこへ着地するのかわからない。
主人公はひどい男だけど、主人公である以上憎めないし、わたしの視点は彼にあるのだから、彼に不幸になって欲しくない。
主人公デーヴィッドが、人生のかかった大事なときに邪魔をされて四苦八苦する話で、それはすべて身から出たサビ、自業自得なんだけど、主人公を視点とする以上、彼と一緒になって「主人公の身に降りかかる災難」を振り払うためにハラハラドキドキする。
間違っているのはデーヴィッドなんだから、不幸になればいい。とは思わない。
そもそもわたしは、「たくさんの人が準備をしてきたイベントを、個人の都合で台無しにする」話がキライだ。
マンガでもドラマでもよくあるよね、「意に沿わないイベントを行う予定だった主人公が、土壇場になって『自分に嘘はつけない、こんな気持ちのままだとみんなに失礼だ』とか言い出して、イベント自体ぶち壊す」やつ。いや、みんなで作ってきたイベントぶち壊す方が失礼だってば! あんたひとりの心が痛むくらい、どーでもいいって!
だから、デーヴィッドが悪いヤツだ、てことは置いておいて、彼のために集まった人々の時間と誠意が無駄になる結末は嫌だった。デーヴィッドが不幸に終わったとしても、イベントに集まった罪なき人々は幸せにしてくれ。
ひたすら、「講演がどうなるのか」が気がかりだった。
舞台上に現れない、台詞で語られるだけの存在だから、ひどい扱いで終わる可能性大。実際、待たされまくって、ひどいことになってるみたいだし。
それが、登場人物すべて丸く収まり、イベントの観客たちまで誰ひとり不幸になってない!
すごーい! 気持ちいい!
唯一、デーヴィッドだけが、どんでん返しの苦いラストを得る、それも含めて気持ちのいいハッピーエンドだ。
2幕の快走っぷりは、実に気持ちよかった。
どんどん加速が付いて、周りの風景がびゅんびゅん後ろへ流れていく感じ。
あとになればなるほど面白い。
いやはや、楽しかった。
1幕はわりと引いてたのに。「うわー……(ドン引き)」とかも、あちこちあったのに。
途中から、それら投げ捨てて、とにかく楽しかった。
キャスティングも最高だ。
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