宝塚音楽学校第105期文化祭覚え書き、その5。

 ポピュラー・ヴォーカル。
 「君の名」「未来へ」「リオ」「ブエノスアイレス」「エル・アモール」と続く、鉄板プログラム。
 ザ・タカラヅカ! のデュエット「君の名を呼べば」、さわやかスター曲「未来へ」を未来のスターと出演者全員のコーラスで盛り上げ、次に雰囲気一転、にぎやかなショー『リオ デ ブラボー』の主題歌でわちゃわちゃはじけたあとに、「聴かせる曲」である「ヴィエント デ ブエノスアイレス」で客席を掴む。そしてドラマチック三人模様「エル・アモール」で集中力を上げたところに、「本命登場!」と「この期の歌で売る予定の人たち」を男女それぞれソロで登場させる。
 好きだなー、この流れ。
 起承転結している作品は好き。正確には、起承転転結。どんでん返しは2回必要。
 「未来へ」で1回目の転(クライマックス)が来て、そっからまた助走付けて、ラストソングの「さよならは夕映えの中で」に2回目の転(クライマックス)を持ってくるの。
 そして、にぎやかなフィナーレへ。


 てことで、「ブエノスアイレスの風」。
 ポピュラー・ヴォーカルのなかで、ある意味いちばん驚いたのは、この歌を歌った羽田さん。

 こんな「ブエノスアイレスの風」はじめて聴いた。

 いろんな人が歌う「ヴィエント…」を聴いてきたけど、このカラーははじめてだ。
 重い。しかも、年輪がある。
 50代の歌手が、自分の人生を載せて歌っているかのようだよ……!
 美穂圭子お姉様がドスの効いた声で歌うと、これに近くなるかな? 専科のお姉様が歌っているのかと思うような、歌い方でした。

 うまいんだと思うけど、うまいヘタより、曲の表現にたまげました。
 まったく別の歌に聞こえる……うわあああ。

 おもしろい。
 すっげーおもしろい。
 羽田さんの別の歌を聴いてみたい。お芝居も観てみたい。


 「エル・アモール」もまた、面白すぎた……!

 なんか「どーん!」と効果音が見える感じで田坂さんが歌う。ほら、日舞で「清く正しく美しく」を歌っていた、顔に圧のあるお嬢さん。
 登場するなり、歌にも顔にもキャラにも「どーん!」と圧が発せられる。
 「清く…」もそうだけど、田坂さんはイイ顔をして歌う。コンサートだもの、キラキラして歌わなきゃね!

 その田坂さんに斬りかかるように、ライバルが登場する。こちらははっきりくっきりした美人さんだ、塚本さん。
 この塚本さんが、最初からアクセルかけまくり。
 「苦悩してます!!」と顔を歪めながら、歌い上げる。

 えええ? 田坂さんは「コンサートです、キラキラ」と歌い、塚本さんは「苦悩してます、そういうお芝居の中の曲ですから」と演技しまくる。
 なんだこれ?

 もつれるふたりの女の間に、ひとりの男が登場、3人の恋模様が、それぞれ別の糸で編まれたひとつの歌になるのだが。

 田坂さんは「どーん!」としてるし、塚本さんは「苦苦苦……」と眉間に縦皺刻んでるし、真ん中の色男・田中くんは……たぶんふつうに歌っていたんだろう、特になにも思わず……ていうかごめん、「けっこうかわいい」と思ったことはおぼえてるが、それ以外見てるヒマがなかった、ふたりの女の子に夢中で!(笑)

 いやあ、いいわー。
 3人ともばっらばらで、面白かった!!

 特に塚本さん。
 あんなに美人なのに、あのぶっとばし方は実に素晴らしい。
 お芝居観てみたいわー。


 「エル・アモール」は別に大ウケさせる曲ではないと思うんだけど、単にわたしのツボにはまったのよねえ。
 おかげで、演出的には次からが本命なのに、直後のハーバートさんのソロ「愛の歌」はさらりと聴き終えてしまった。

 ハーバートさんはクラシック・ヴォーカルでもソロ1曲歌ってるし、歌えてきれいなお嬢さん、とインプット済みだし。
 オペレッタ曲を歌っているときほど、ぷるぷる震えてなかったし。
 ここでちょっと気持ちを落ち着けて、次のバトラー船長に備えましょうか。
 文化祭プログラムの真のクライマックス、男役のソロ曲。

 劇団はいつだってショースターを求めている。
 舞台にひとりで立ち、男役として歌い、場を沸かせることの出来るスターを。

 登場したのは、山川くん。
 あ、なんとなく目についていた美形くんだ!!

 歌うは「さよならは夕映えの中で」、男の中の男、バトラー船長の歌!

 かっこいーー。
 ちゃんと男役してる。
 聴かせるまでには至ってないけれど、歌えてる。文化祭だもの、これだけ歌えれば十分。
 身長もあるみたいだし(1列目からじゃわかりません)、かっこいいし、歌えるし、となったらこれすごいわくわくするスターさんの登場では?


 正攻法にソロ曲で盛り上げた後は、にぎやかなフィナーレ!
 オブリガートはハーバートさんと、……羽田さんだよ、「ヴィエント…」の!
 ふたりが対の位置にいる、画面がまたすごい……頭身の差……(笑)。
 羽田さんの迫力に視線が吸い込まれる……はっ、他のみんなも見なきゃ、全員が順番に最前列にくるよう、歌い踊りながら順番に回っている。
 あー、やっぱ山川くん好きだな、あの顔、あの笑顔。


 と思っていたら、幕が下りました。
 第1部終了。

 第1部の感想だけで5日分って、どんだけかかるんや……って、まあ、どうせダンスの感想はなにもろくに書けないから、歌と芝居に欄を取ってもいっか。

 続く。

コメント

日記内を検索