うちの生き物。

2002年11月23日
 野生の獣は鳴かない。

 日々を命がけで生きる彼らに、「音」が存在してはならない。
 肉食動物は、獲物を追いつめるために。
 草食動物は、天敵から身を守るために。
 「音」をたてない。
 だから鳴かない。
 (生殖などのために異性を呼ぶのはまた別の話)

 猫もまた、本来は鳴かない獣だ。

 しかし、人間に飼われている猫は鳴く。
 「声」を出すことによって人間に働きかけるすべを学習するからだ。
 どんな声を出したときに、人間がどう反応するか。自分になにをしてくれるか。
 獣である猫は、てめえの損得本能によって学習する。

 人間の存在がなければ、猫は鳴かない。

 それならば。
 寝ごとを言う猫は?

 眠りながら、人間と関わっているということか?
 それはつまり。

 わたしの夢を見てるってこと? MY飼い猫よ。

 深夜、ショットガンを手に緊張しきって養成所を歩くわたしの耳に、

「みゃ? る〜にゃ」(アクセントは「み」と「る」)

 とかゆー生き物の声が入り、思わずびくんとする。
 画面の中にモンスターが出たわけじゃなく、膝の上でお菓子のカールのよーなカタチになって熟睡している生き物の出した声かいっ。ぴっくりさせるなっ。

 人間に話しかける以外で鳴かない生き物が、眠りながら鳴くってことは、人間が出てくる夢を見ているってことよね?
 そして、その夢の中に出てくる人間ってのは、十中八、九、飼い主よね?

 どんな夢を見ているんだ……MY飼い猫よ。
 しあわせそーな顔しやがって。

 野生の獣は鳴かない。
 人間と共存するうえで、鳴くことを覚える。

 そして、我が家の猫よ。
 1階で大声で鳴けば、人間が2階から下りてきて新しいエサをくれる。
 ……という認識はまちがいだっ。
 わたしはあんたがどんなに1階で泣き叫んでも、わざわざ降りていって新しいエサをあげたりしないわっ。あきらめて古いエサを全部食べなさい。

 うちのバカ父が、こーゆー妙な癖をつけさせたのよっ。
 猫に呼ばれて、目尻下げて鼻の下のばして給仕をしに行くなーっ。
 鳴きさえすれば、なんでもしてもらえると思いこんじゃってるじゃないの。
 飼い主はわたし、1日1回やって来るだけの父は猫にとって「都合のいい下僕」。
 何度言い聞かせても、父は猫をあまやかすことをやめない……。飼い主が迷惑するんだってば、横からへんないじり方をされるとよぅ。

 本来、猫は鳴かない生き物。
 しかしうちの生き物ときたら……近所迷惑だ、雄叫びをあげるなーっ!!

 

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