「ねえ、質問なんですが、私が寝ている間に、あのクレイトン大尉が父親を陥れた犯人だっていう証拠がわかったんですか?」

 雪組バウホール公演『さすらいの果てに』の幕間、ドリーさんが言う。

「ちょっと気が遠くなっている間に、いつの間にか冤罪事件の謎が解けてるから、びっくりして」

 安心して、ドリーさん。
 ここ数日ろくに寝ていないにもかかわらず、眠気のカケラもなく隅から隅まで舞台を観、物語に集中していたわたしも、クレイトンが犯人だという話は、初耳だから!!

 抱腹絶倒の雪バウ『さすらいの果てに』。
 ちょっとおつむが不協和音の美青年ジェフリーくん@壮くんのパパ@汝鳥伶サマが、公金横領の罪で逮捕された。
「パパは無実だから、大丈夫」と当のパパが言うもんだから、ちょっとおつむがアレなジェフリーくんは、パパが逮捕されたことなんかすっかり忘れてしまった。
 そしたら、なんてこと! パパはしっかり有罪になって、獄死してしまった。がーん。
 「なんでパパを助けるタメになにもしなかったんだ!」と自分を責めるジェフリーくん。仕方ないよ、君、パパのことなんてきれーに忘れてたんだもの……。
 おとなしく自責してりゃーいいものの、ジェフリーくんは真犯人を捜そうとする。責任転嫁しなきゃね! 悪いのはパパのことを忘れてた私じゃない! パパを陥れた真犯人だ! ……いやもちろん、犯人がいちばん悪いんだけどね……なんだかね……。

 パパが逮捕される前に、パパの書斎に入った者がいる。クレイトン大尉@オヅキだ。クレイトン大尉ならパパを陥れるチャンスがあった!!
 さあこれから探偵やるぞーっ、てなときに、赴任命令。そう、ジェフリーくんは軍人さんなのだ。北アフリカで戦争やることになった。……ので、ひとつのことしかおぼえていられないジェフリーくんは、真犯人探しのことはまたきれーに忘れてしまった。

 さて、エレノア@リサちゃんという女の子がいる。ジェフリーくんの幼なじみだ。子どものころにお守りを交換したりなんだり、かわいいことをした関係。しかしもちろんジェフリーくんは彼女のことをすっかり忘れており、大人になってから再会したはいいが、「あのかわいい子は誰だろう、どきどき」と、初対面気分でときめいていたというお手軽さ。
 エレノアはたぶん、ジェフリーくんのおつむがアレだということを知っているんだろう。伊達に幼なじみはやってない。忘れられていても、カケラもめげずにアタックアタック!

 ジェフリーくんのパパが不幸な死を迎えたこともあり、孤独なふたりの心は急接近。戦場へ行くジェフリーくんとエレノアちゃんは、「必ず君のところへ戻るよ」「待ってるわ!」とゆー、恋人同士の定番会話を交わして別れるのだった。

 が。なにしろジェフリーくんはおつむに羽が生えているので。いつもメモリ不足だから、上書きしながらでしか作動できないんだよね。ひとつ考えたら、ひとつ前のことは消去されてしまうのだわ。
 北アフリカでエドウィン中尉@かなめくんっちゅー、ものすげー美形でセクスィ〜なおにーちゃんに出会ってしまった途端、どうやらエレノアのことは忘れてしまった模様。
 命懸けの危険な任務をすすんで引き受けるジェフリーくん。どうして死に急ぐんだ? とエドウィン中尉に問われ、「私は死んでもイイ人間なんだ」などと斜に構えて言ってみたりする。エレノアに「必ず帰る」と言ったことは、もちろん完全に忘れてる。そんなことより、エドウィン中尉を助ける方が大事!!

 なのに。
 いざ彼女からラヴラヴな手紙が来ると、ジェフリーくんのおつむは一転、「私の愛するエレノアよ」モードに切り替わる。砂漠で幻を見てみたりな。……お手軽……うらやましいほどお手軽……。

 パパの冤罪事件の真相を突き止めることは、きれーさっぱり忘れていたジェフリーくん。たまたまクレイトン大尉に再会した途端、細かいことはすべて忘れて真犯人=クレイトン大尉だ!! と、脳内完結した。ちょっと待て、彼はただパパの書斎に入った、ちゅーだけだ! なんの証拠もなければ、因果関係すらない!

 石につまずいて転んだ。なんでこんなところに石が?! そうか、ボクの前にここを通ったクラスメイトのアイツが、ボクを転ばせようと石を置いたんだ! ゆるせない! 復讐してやる!!

 ……そーゆーノリだよなー……。
 さらに。

 だってあいつは、石を置いてボクを転ばせたんだから! ボクがアイツを階段から突き落としても、当然だよな。これは正義の復讐だ!!

 とゆーノリで、ジェフリーくんはクレイトン大尉をぶっ殺そうと虎視眈々。
 みんなで戦争やってて大変なときに、同じイギリス軍、味方同士で殺し合い。……あのー、真面目に働こうよ……税金で給料もらってんだろ……? 強制招集された一般兵やなくて、職業軍人なんやろ、君ら。てゆーか、そんなことしてるから、仲間が敵兵に殺されちゃうんだよ……?

 おバカなジェフリーくんをかばって、なんてこったいエドウィン中尉が敵兵にやられてしまった。瀕死のエドウィンは、恋人のなんとかゆー娘(プログラム買ってないんでわからん)についてのことをジェフリーくんに託そうとする。
 が。もちろんジェフリーくん、聞いちゃいねえ!!
 エドウィンが苦しげに最期の言葉を口にしているのに、ジェフリーくんは落とし物のペンダントを探していた……。聞いてやれよ!! 抱いていてやれよ! おめーのために死ぬんだぞ?!
 えー、場所は砂漠なんだけどね。砂漠の真ん中で、落としたペンダントを探し当てるとゆー、警察犬もびっくりの特技を披露したジェフリーくん、意気揚々と「ペンダントあったよ!」と戻ったときには、あわれ、エドウィンは還らぬ人に……(涙)。
 エドウィンの遺言は、誰の耳にも届かず。……悲惨だ……はてしなく悲惨だ……。

 ジェフリーくんを責めてもイカンよね。なんせ彼、ひとつのことしか考えられないから。エドウィンがペンダントを落とした、ということだけで彼の思考回路はいっぱいいっぱい、瀕死の  恋人  仲間を放置して砂漠で探し物をするぐらい、あたりまえの行動だよね。

 命からがら、病院に収容されたジェフリーくん。ケガしたのは自業自得なんだが、そんなことはもちろん忘れて、悲劇のヒーロー気分は絶好調。
 今彼の頭の中にあるのは、腕の中で死んでいった愛しいエドウィンのこと。エレノア? 忘れてますよ、もちろん。思い出しもしねえ。元気に歩き回っていても、彼女の元に帰る気はまったくナシ。

 そこに何故か、突然現れたクレイトン大尉!! すげえ唐突だ!!
 そして何故か、突然ジェフリーくんに襲いかかる!! すげえ唐突だ!!
 そのうえ何故か、突然胸を押さえて苦しみ出す!! すげえ唐突だ!!

 
 うわー、たのしく書きすぎだよ、文字数がないよ!!(笑)
 翌日欄へ続く〜〜。


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