告白しましょう。
 千秋楽、わたしの席は「まりん席」でした。

 唯一の客席降りでまりん氏が真横に立つ席。

 初日の段階でソレがわかっていたのだけど、「ごめん、まりん! 真横に立つアナタを無視して、下手通路の同じ位置に立つまっつをガン見するわ!」と、固く心に誓っていた。てゆーか、放っておいてもそうなるだろうと思っていた。

 告白しましょう。
 千秋楽、わたしの真横に立つまりん氏。ここはまぎれもない「まりん席」。

 まりん氏を、見てました。

 まっつを見るはずだったのに。
 見るつもりだったのに。

 まりん氏から目が離れないっ。

 悠真倫が真横で、わたしに微笑みかけながら歌ってるのよ?! そりゃ見ちゃうでしょお?!

 …………オトされるかと思ったよ、まりん。

 とゆーのもなー、土曜日に前方ドセンターで見たとき、出演者からのカンチガイ目線がばしばし来たんだけど、そのなかでもまりん氏からの目線がいちばんすごかったのよ。

 彼、わたしを見てる?(ドキドキ)の、連続でな。

 まりん氏が穏やかに微笑みながら、『二人の時』を歌うわけですよ、わたしを見つめて!
 「君を愛している」と、わたしに、歌いかけるわけですよ!!

 も、どーしよーかと(笑)。

 まりん氏は美形でもオトコマエでもないが(失礼)、男の価値はそんなもんでは決まらない。
 あのやさしげな眼差しで、語りかけるよーに愛の歌を歌われたら、じんじんきます。
 癒しの歌声。
 ハンサムな若い男との恋に疲れたときに、こーゆー中年男に本気でスコンと惚れそーです。中年て、まりん氏はタニやまとぶと同期なんだけどな。

 
 花組『エンカレッジコンサート』、まつださんへの愛はまた別に叫ぶとして、本日は他の話。

 5公演全制覇して、いろいろ思うところがあった。

 わたしにとって「名も知らぬ下級生」に「記憶」をプラスする区切りは「89期」なのだわ。
 掲示板でチケットを譲ってもらってはじめて観た音楽学校文化祭が、89期なの。
 以来毎年文化祭は観るようにしているけれど、やっぱり最初だった89期は特別なのね、記憶の残り方が。なにしろ89期だけは偶然「すみれ売り」も見ているから。素顔ですみれを売っていた姿と、はじめて観た文化祭の二重の記憶は大きい。
 89期以下の「名も知らぬ下級生」は、文化祭の記憶と照らし合わせて「ああ、あの子か」と整理することが多い。……なにしろ文化祭は「本名」でしかプログラムに載ってないので、「整理」しないと芸名とイコールにならなくてな……。

 初日を観て、帰宅してからあわてて確認したのは、花咲りりかちゃん。89期じゃん、この子。まず本名を調べて、「ん? この名字、記憶にあるぞ」と文化祭プログラムを引っ張り出してきて納得。
 89期文化祭の歌姫じゃん。幕開きで「清く正しく美しく」を独唱していた娘さんか……そりゃすばらしい歌声の持ち主だわな。
 あたりまえのことなんだけど、文化祭よりもずっとずっとうまくなっている。
 成長しているんだ。
 下級生たちは、あまり歌声を披露する場がないよね。りりかちゃんは影ソロやっていたりしただろうけど、そーゆーのとは別の意味で。スポットライト浴びて「さあ、歌を聴かせますよ」な場を与えられるわけじゃない。
 なのに、成長している。ずっとお稽古しているんだ。見せ場のあるなしではなくて。

 これまで何度か書いているけれど、大門くんはわたしにとって「はぢめてのヒト☆」的愛着のある子。はじめて観た文化祭で「芝居の主役」だったからな。わたしはなにより芝居ができる人が好きだから。
 以来ずーっと気にして眺めてはきているけれど、このエンカレで「ほんとーに歌うまいんだ」と改めて感心した。
 文化祭でソロを聴いているし(彼は男役ではただひとりのソロ歌手だった)、そのときもうまいと思ったけれど、今はさらにうまくなっている。
 そーいやすみれ売りのころってだいもんが首席だっけ? 文化祭前にカチャに抜かされたとか聞いたが?
 文化祭での印象は、カチャが華の人で、だいもんが実の人、だったなぁ。首席と次席の男ふたり。見た目からして対照的(カチャは現代風、だいもんは古典的)でたのしかったなー。

 エンカレ出演のもうひとりの89期、澪乃せいらは『Young Bloods!! 』のときに本名を調べて記憶を整理、ああかわいこちゃんの**さんの芸名だったのか、と納得したな。

 わたしの記憶のポイントとなる89期をきっかけにして、思うんだ。89期の彼らだけのことではなくて。

 みんな、前へ進んでいるんだ。
 ……あたりまえのことなんだろう。人として、プロとして。
 あたりまえだとわかっていても、なんだか感動する。興奮する。そして、まったく成長していない自分が恥ずかしくなる。

 タカラヅカは、時を共有する文化なんだと、しみじみ思う。
 わたしが過ごす時間と、同じだけの時間を過ごしている彼らを観るたのしみ。
 成長する彼らを眺め、応援すること。
 それは、こんなにも感動的なことなんだ。

 やっぱわたし、タカラヅカが好きよ。
 だからできるだけ、たくさんの公演を観たい。ご贔屓の出る公演だけでなく、観られる限り全部。
 そしてひとりでも多くの生徒さんの顔と名前をおぼえて、彼らの人生を見守りたい。
 文化祭を眺めた、そんなささやかな記憶があるだけで、愛着度がちがってくる。ワークショップを観た、エンカレを観た、そんなことだけでも、きっとこれからの愛着度が変わってくるんだ。

 あのときのあの子が、今、こんなになってるんだ。
 あのときなにもできなかった、なんで舞台に立ってるんだこの子?と首を傾げたあの子が、今、こんなにがんばっている。
 ……それを観て、力をもらう。勇気だとか希望だとか夢だとか。
 そーゆーものを感じるために、「好き」を増やしていきたい。

 もともとエンカレは全組制覇するつもりだけど、残り2組もとてもたのしみだ。
 歌の実力だけではなくて、若い子たちに「出会う」ことが。

 わたしは、未来の「好き」を、「感動」を増やすために、小さな劇場に通うんだ。

 「タカラヅカ」が好きだから。

 
 もっともっと、好きになるために。

 

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