すっかり記憶の彼方に消えかけている雪組『エンカレッジコンサート』ですが。
 なんかもー爆笑した記憶しか残ってないんだけど……どうしよう。

 や、とりあえずおもしろかったっす。
 歌のレベルは星組に次ぐやばさだったけど、おもしろさも星組系だったんで、ソレはソレでアリかと。

 いちばんおもしろかったのは、コマくん。

 あまりのおもしろさに、声を殺すのに必死。笑いをこらえるあまり、ふるふるカラダが震えていたことを、隣のnanakoさんに指摘された(笑)。

 コマくんは若手路線系らしく、「最後のダンス」を歌ってくれたんだけど。
 これがもー、すごかった。

「オレはァ、セェェェェクスィスタァ〜〜〜〜!!!!!!(陶酔)」

 という芸風だったの。
 もー、最初からアクセル全開。
 顔をゆがめ、「美しく見える角度」に丸いアゴを上げ、ナナメ45度を意識し、タメてタメて歌い上げる。

 爆笑。

 演出も心得たモノで、彼を最後に1幕の幕が下りるの。
 客電点くなり爆笑しました、こらえきれなくて。

 おもしろい!
 おもしろいよコマくん!!

 2幕の「アマールアマール」も登場からやる気に満ちあふれていて、クドくてアツくて、出てきただけでわくわくする。

 いつも温度が高くて「なにかやってやろう」という意欲の見える子だけど、ここまで突き抜けてくれるとさらに素晴らしい。
 その芸風に、実力と美貌が追いつく日が来ることを祈る。
 コマくん今ハマコ先生似の外見になっているけど、たぶん痩せたらあさこ似の二枚目になれると思うんで、トシ食って削げてくるころに期待、かな。てか、痩せてくれ……。

 
 コマくんがあまりにひとりでぶっとばしていたけれど、他も地味にクドく演じていたんだこれが。

 桜寿ひらりはいきなり「キャバレー」だし。
 男役なのに、女の一人称でひとりミュージカルはじめるし。
 えーと。
 女の子が男装して、男のふりをしながら、女になりきってセクシーにキュートに歌っている……なんでこんなややこしいことを(笑)。
 チャルさんとかヒロさんクラスの年輪のある歌手がやるべきことを、89期のひよっこがぴぃぴぃやってますよ。
 や、その心意気やヨシ!

 「見せ方」を知っているキング氏は、選曲からしてうまいよな。トウコの「花吹雪・恋吹雪」、この歌は齋藤ハッタリエンタメの最高峰、「キメの良さ」にかけては追従をゆるさないものがある。経験値の少ない若者でも、底上げしてオトコマエにキメることのできる曲。
 コレを選んで、男役としてとことん「キメて」くるあたりがニクい。

 盛り上がる曲を選ぶ、というのも、セルフプロデュース力かなと思う。
 自分が歌いたいだとか、難曲に挑戦したいというのもアリだろうけれど、エンターティナーに徹する意味で、「お客を盛り上げること」に重点を置くのも選択肢としてアリだと思う。……まっつにはソレがなかったよなあ、と思ってみたり(特に2幕の寿美礼サマへの愛の1曲なんてさあ……セルフプロデュース力があれば選ばんやろ……)。

 ラギくんの「愛燃える」なんかも、成功例。
 作家以前、物語作成機能搭載ナシの酒井作品『愛燃える』は超駄作だったけれど、植爺作品と同じで、主題歌はタカラヅカ的で派手なんだよね。古くてダサい歌なんだけど、それゆえに1回聴いたらおぼえるし、忘れたくてもアタマの中でフレーズが回るし、という、「だんご三兄弟」とか「およげたいやきくん」的印象の強さがある歌。
 派手に盛り上がるハッタリのきいた歌だから、歌の力に乗って上昇すればいい。
 ラギくんのキラキラにキュートな姿で、どこか吹っ切れない歌い方(笑)でも、この歌なら大丈夫、盛り上がるよ!

 実力的には女の子たちの方が安定。
 千はふりちゃんの「今までふつーにソロもらってますわよ」的出来上がりっぷりだとか、大月さゆちゃんの力強いヒロインぶりだとか。
 ちとせちゃんの「アヴェマリア」は謎のアレンジ。何故あんなことに? ふつーに歌って欲しかったっす。
 シナちゃんは歌うまくなったよねえ? 役替わり『凱旋門』のときとか、あまりのすごさにアゴが落ちた記憶があるだけに……ふつーに歌えるようになるなんてすごい、と思ってしまう(笑)。

 しかし、トウコちゃんはどの組でも愛されてるなあ、と思う、ここでも「ブルースレクイエム」が選曲されている。しかも歌う鞠輝とわちゃん、娘役なのに選んでるし。

 桜寿ひらりは男役なのに女の子になって歌うし、鞠輝とわちゃんは娘役なのに力強く男歌を歌うし……おもしろい組だなー。

 
 昔から雪組を観ている者として、正直この歌のレベルにはおどろいた。そうか、今はもう「歌の雪組」ぢゃないんだなあ……遠い目。
 だけど、歌唱力で劣る分を覆い隠す勢いで、みんな一斉に芝居がかっていたのが愉快だった。

 コマを筆頭に、みんなみんななにかしら「表現」しようとしている。
 それが愉快だったのでもういい。

 ぜんぜん足りてないのに、それでも「自分のイメージするモノ」になりきったつもりで舞台に立っている姿が、微笑ましくて、おもしろかった。あ、おもしろい、てのはinterestingの意味だからね。
 たくさん笑ったよ。彼らの熱気にあてられて。

 そして。
 みんながいろいろ演じてがんばっていた、コマくんなんかそりゃーもーすごい勢いで空回っていたのに、それらを全部、かおりちゃんが最後に、場をかっさらっていった。
 
 正当派は強いね。
 「清く正しく美しく」を朗々と歌い上げる彼女が、他の連中の「歌以外の部分で勝負」していたのを「歌の力」で完全制圧カマしてくれた。

 うわー、見事なオチだ(笑)。
 起承転結完璧。
 こーゆーとこにも、すげーウケた。

 とゆーことで、たのしかったっす。


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