傲慢で強引な彼。@トークスペシャル in 東京
2006年9月19日 タカラヅカ わたしは小心者だ。
いつも、人の目が気になる。
自分がどう思われているかも気になるが、「場の雰囲気」というものも、やたらと気になるのだ。
コンパだのパーティだのではもれなく盛り上げ役に徹するし、人との会話が不自然に途絶えたりすると「なにか喋らなきゃ」とか、「ウケを取らなきゃ」とか考える。
べつに、誰もわたしにそんな役目を求めていないし、自分が向いているとも思えないんだが、場が盛り下がると「なんとかしなきゃ!」という気になる。
そーしてひとりで喋って道化てテンパッて、帰り道はいつもひとり反省会で泣きそうにヘコんでいる。……そーゆー人生だ。
だから、思いっきり躊躇した。
『トークスペシャル in 東京』(出演・未涼亜希、望海風斗)において。
最後の「記念カード参加者全員プレゼント」のとき。
まっつとだいもん、ふたりの写真入りカードを、出口のとこで客に直接手渡してくれるんだ。ムラのステージトークと同じな。
ブツは同じ。チガウのは、手渡してくれる人。出演者はふたり、どちらから渡されるかは、確率2分の1。
つっても、客は正直さ。
目当ての人からカードをもらおうと、その人の前の列に並ぶ。
わたしはまっつメイトの木ノ実さんとふたりして、トークスペシャルに参加していた。
「カードをもらうのは、とーぜんまっつ!!」
と、はじまる前から鼻息荒く宣言していた。
だが。
だがな。
わたしは、小心者なんだ。場の雰囲気に流されてしまうんだ。
知人を見つけてだらだら喋っていたわたしたちは、会場を出るのが最後になってしまった。
木ノ実さんの後ろにくっついて、まっつの列の最後尾にいたわたしは、知ってしまうわけですよ。
だいもんくんが、ぽつんとひとりで立っていることに。
だいもんの列はとっくに途切れ、まっつの前にだけ列が出来ている。
しかも、まっつのところに行くためには、所在なく立っているだいもんの前を素通りしなくてはならない。
これは、堪えた。
わたしは、だいもんも好きなんだってば!! 相手がオサ様かまっつかそのかでなければ、まちがいなくだいもんからカードを受け取ったはず!! あ、めぐむやマメだったら、悩んだかも……。(ヲイ)
とにかく、小心なわたしはとまどった。迷った。躊躇した。
まっつからカードをもらうのはあきらめて、だいもんからもらうべきではなかろーか……。
まっつとだいもんの人気に差があるのは、当然のことだ。
学年がチガウ、露出がチガウ。
まっつはいちおー新公主演しているし、大劇場公演のポスターにも名前が掲載されているし、機関誌にもたまに写真が掲載されたりする、そのあたりにはいるわけだ。
でもだいもんはまだ研4、今年からスカフェになったとはいえ、本公演でまともな役が付いたこともない、新公主演もしていない、まったくの無名の下級生。組ファンでなきゃ舞台姿をまともに認知していないだろうあたりの若い男の子。
なんでこの組み合わせでトークするのか、よくわかんねー。微妙すぎるだろ。……いや、わたしは大喜びしたけど。
客席を出るときから、ふたつの列には差があった。
スタッフが「こちらの列にも分かれて並んで下さい」と何度も指示しているのに、みんながんとして上手の列から動かない。まっつ目当てで来た人たちは、そりゃーまっつ列から動きはしないだろう。
まっつがそれほど大人気スター!ということではなくて、無名の下級生とまっつなら、まっつを選ぶ、という人たちも多かったんだろうさ。
ロビーへと続くふたつの列が、どんなふうにまっつとだいもんに続いているのかはわからなかったが、「上手がまっつ」と先に客席を出たドリーさんに電話で確認をして、わたしと木ノ実さんはわざわざ上手列に並んだんだ。
そーして客席を出てロビーにたどりついたとき、知るわけだ。
ひとつのテーブルに並んで立ち、カードを手渡しているまっつとだいもんの姿と、まっつの前にだけできた列に。
だいもんの前を素通りできなくて、わたしはわざと他の人と団子になってなんとなーくまっつの方へ行こうとした。
でも、それも知らない人に阻止された。木ノ実さんとわたしの間に、いつの間にどこから現れたのか、ちょいと横に大きなお嬢さんが入り込み、だいもんの前を通らずにまっつのところへ行こうとしたわたしを、だいもんの方へ押しやった。
うわああ、どーしよー。だいもんと目が合っちゃったよ! このままだいもんからもらうか……? ひとりでぽつんと立っているだいもんを見ると、胸がきゅんとするんだ。なんなんだ、その子犬のよーな風情はっ。どきどきどき。
しかしそのとき。
だいもんに行くべきか迷っているわたしに。
まっつが、笑顔でカードを差し出した。
おどろいた。
まっつ、躊躇しないんだ。
わたしは、ふたりの間で迷っていた。だいもんに行くべきか、とそちらを見たりしていた。
キョドっているわたしは、「どっちでもいいんだけどなー、どっちにもらうかなー」程度の人にだって、見えただろうに。
だいもんは手が空いていたんだから、だいもんが先に動けば、ソレで話は付いたかもしれない。だいもんにカードを差し出されたら、ソレを無視することなんてできないからなっ。
なのにまっつは、なんの躊躇もなく、キョドっているわたしにカードを差し出した。
わたしが、自分を選ぶって信じてるんだ。
この場合の「わたし」になんの含みもない。他の誰でもあっても同じだろう。わたしがまっつファンだなんて、まっつは知らない。入り出もしないしお茶会にも行ったことないからな。わたしなんか、ただのその他大勢、一期一会の行きずりの人と同じだろうよ。
だいもんの列が途切れ、彼が所在なさそうにしていてもまったく気にせず、すべての客は自分目当てと思っているかのよーに応対をする。
……や、それはとーぜんっちゃーとーぜんなんだよ。
先にも書いた通り、まっつとだいもんではキャリアがチガウから。この微妙なイベントだって、「チケットを売るのは自分の名前」だと感じていて当然なんだ。たとえチケがぜんぜん売れなかったとしても、その場合はまっつの責任であり、ひよっこのだいもんは不問とされるだろうよ。
人気がちがうのは当然。だいもんよりファンや一見さんが多くて当然。
だから、どっちつかずにうろうろしているわたしを「自分目当て」だと判断して営業するのは正しい。そもそもまっつ列に並んでいたんだしさ。
正しいんだけど。
おどろいた。
まっつって、こーゆー人なんだ……。
10cmはあるだろーものすげーヒールを履いたまっつと、ローヒールのわたしの目線はほぼ同じだった。
至近距離で目を見て微笑まれ、彼の美貌よりなによりわたしは、わたしを自分のファンだと迷いなく判断し、行動したまっつにのまれていた。
「どっちでもいい」とか「だいもんくん、手持ち無沙汰そうで胸きゅん」とか迷っている人間を、なんの疑問もなく自分の側へ持っていくのよ?
なんなの、その傲慢さ。強引さ。
や、繰り返すが、まっつの立場的にそれはあたりまえだし、ふつーだし、正しいことだとわかっている。
わかっているけど。
わたしなら、できない。
自分ばかり客に話しかけられて、隣で後輩がひとりで黙り込んでいたら、客が後輩にも話しかけるように仕向ける。そーしないと自分がいたたまれない。道化にもなるし、仕切婆にもなる。みんなが公平になるようにする。
トークをしているときのまっつは、だいもんにも話を振り、暴走することもスタンドプレイをすることもなかった。
なのに、トークが終わるとコレですか。後輩に流れるかもしれない客も、迷いなく自分が持っていきますか。
そーゆー人だったんだ……。
どどどどーしよー。
ものごっつー、ときめいたんですが。
まっつに微笑まれたことも、至近距離の挨拶も、そんなのどーでもいいんだ。
だいもんとの間で躊躇していたわたしを、なんの迷いもなく「自分のを選ぶ」と信じて行動した、その自信と強引さにアタマを殴られた感じがして、うろたえまくった。
どうしよう。
まっつ、かっこいー……。
どうしようどうしよう。
どきどきどき。
いつも、人の目が気になる。
自分がどう思われているかも気になるが、「場の雰囲気」というものも、やたらと気になるのだ。
コンパだのパーティだのではもれなく盛り上げ役に徹するし、人との会話が不自然に途絶えたりすると「なにか喋らなきゃ」とか、「ウケを取らなきゃ」とか考える。
べつに、誰もわたしにそんな役目を求めていないし、自分が向いているとも思えないんだが、場が盛り下がると「なんとかしなきゃ!」という気になる。
そーしてひとりで喋って道化てテンパッて、帰り道はいつもひとり反省会で泣きそうにヘコんでいる。……そーゆー人生だ。
だから、思いっきり躊躇した。
『トークスペシャル in 東京』(出演・未涼亜希、望海風斗)において。
最後の「記念カード参加者全員プレゼント」のとき。
まっつとだいもん、ふたりの写真入りカードを、出口のとこで客に直接手渡してくれるんだ。ムラのステージトークと同じな。
ブツは同じ。チガウのは、手渡してくれる人。出演者はふたり、どちらから渡されるかは、確率2分の1。
つっても、客は正直さ。
目当ての人からカードをもらおうと、その人の前の列に並ぶ。
わたしはまっつメイトの木ノ実さんとふたりして、トークスペシャルに参加していた。
「カードをもらうのは、とーぜんまっつ!!」
と、はじまる前から鼻息荒く宣言していた。
だが。
だがな。
わたしは、小心者なんだ。場の雰囲気に流されてしまうんだ。
知人を見つけてだらだら喋っていたわたしたちは、会場を出るのが最後になってしまった。
木ノ実さんの後ろにくっついて、まっつの列の最後尾にいたわたしは、知ってしまうわけですよ。
だいもんくんが、ぽつんとひとりで立っていることに。
だいもんの列はとっくに途切れ、まっつの前にだけ列が出来ている。
しかも、まっつのところに行くためには、所在なく立っているだいもんの前を素通りしなくてはならない。
これは、堪えた。
わたしは、だいもんも好きなんだってば!! 相手がオサ様かまっつかそのかでなければ、まちがいなくだいもんからカードを受け取ったはず!! あ、めぐむやマメだったら、悩んだかも……。(ヲイ)
とにかく、小心なわたしはとまどった。迷った。躊躇した。
まっつからカードをもらうのはあきらめて、だいもんからもらうべきではなかろーか……。
まっつとだいもんの人気に差があるのは、当然のことだ。
学年がチガウ、露出がチガウ。
まっつはいちおー新公主演しているし、大劇場公演のポスターにも名前が掲載されているし、機関誌にもたまに写真が掲載されたりする、そのあたりにはいるわけだ。
でもだいもんはまだ研4、今年からスカフェになったとはいえ、本公演でまともな役が付いたこともない、新公主演もしていない、まったくの無名の下級生。組ファンでなきゃ舞台姿をまともに認知していないだろうあたりの若い男の子。
なんでこの組み合わせでトークするのか、よくわかんねー。微妙すぎるだろ。……いや、わたしは大喜びしたけど。
客席を出るときから、ふたつの列には差があった。
スタッフが「こちらの列にも分かれて並んで下さい」と何度も指示しているのに、みんながんとして上手の列から動かない。まっつ目当てで来た人たちは、そりゃーまっつ列から動きはしないだろう。
まっつがそれほど大人気スター!ということではなくて、無名の下級生とまっつなら、まっつを選ぶ、という人たちも多かったんだろうさ。
ロビーへと続くふたつの列が、どんなふうにまっつとだいもんに続いているのかはわからなかったが、「上手がまっつ」と先に客席を出たドリーさんに電話で確認をして、わたしと木ノ実さんはわざわざ上手列に並んだんだ。
そーして客席を出てロビーにたどりついたとき、知るわけだ。
ひとつのテーブルに並んで立ち、カードを手渡しているまっつとだいもんの姿と、まっつの前にだけできた列に。
だいもんの前を素通りできなくて、わたしはわざと他の人と団子になってなんとなーくまっつの方へ行こうとした。
でも、それも知らない人に阻止された。木ノ実さんとわたしの間に、いつの間にどこから現れたのか、ちょいと横に大きなお嬢さんが入り込み、だいもんの前を通らずにまっつのところへ行こうとしたわたしを、だいもんの方へ押しやった。
うわああ、どーしよー。だいもんと目が合っちゃったよ! このままだいもんからもらうか……? ひとりでぽつんと立っているだいもんを見ると、胸がきゅんとするんだ。なんなんだ、その子犬のよーな風情はっ。どきどきどき。
しかしそのとき。
だいもんに行くべきか迷っているわたしに。
まっつが、笑顔でカードを差し出した。
おどろいた。
まっつ、躊躇しないんだ。
わたしは、ふたりの間で迷っていた。だいもんに行くべきか、とそちらを見たりしていた。
キョドっているわたしは、「どっちでもいいんだけどなー、どっちにもらうかなー」程度の人にだって、見えただろうに。
だいもんは手が空いていたんだから、だいもんが先に動けば、ソレで話は付いたかもしれない。だいもんにカードを差し出されたら、ソレを無視することなんてできないからなっ。
なのにまっつは、なんの躊躇もなく、キョドっているわたしにカードを差し出した。
わたしが、自分を選ぶって信じてるんだ。
この場合の「わたし」になんの含みもない。他の誰でもあっても同じだろう。わたしがまっつファンだなんて、まっつは知らない。入り出もしないしお茶会にも行ったことないからな。わたしなんか、ただのその他大勢、一期一会の行きずりの人と同じだろうよ。
だいもんの列が途切れ、彼が所在なさそうにしていてもまったく気にせず、すべての客は自分目当てと思っているかのよーに応対をする。
……や、それはとーぜんっちゃーとーぜんなんだよ。
先にも書いた通り、まっつとだいもんではキャリアがチガウから。この微妙なイベントだって、「チケットを売るのは自分の名前」だと感じていて当然なんだ。たとえチケがぜんぜん売れなかったとしても、その場合はまっつの責任であり、ひよっこのだいもんは不問とされるだろうよ。
人気がちがうのは当然。だいもんよりファンや一見さんが多くて当然。
だから、どっちつかずにうろうろしているわたしを「自分目当て」だと判断して営業するのは正しい。そもそもまっつ列に並んでいたんだしさ。
正しいんだけど。
おどろいた。
まっつって、こーゆー人なんだ……。
10cmはあるだろーものすげーヒールを履いたまっつと、ローヒールのわたしの目線はほぼ同じだった。
至近距離で目を見て微笑まれ、彼の美貌よりなによりわたしは、わたしを自分のファンだと迷いなく判断し、行動したまっつにのまれていた。
「どっちでもいい」とか「だいもんくん、手持ち無沙汰そうで胸きゅん」とか迷っている人間を、なんの疑問もなく自分の側へ持っていくのよ?
なんなの、その傲慢さ。強引さ。
や、繰り返すが、まっつの立場的にそれはあたりまえだし、ふつーだし、正しいことだとわかっている。
わかっているけど。
わたしなら、できない。
自分ばかり客に話しかけられて、隣で後輩がひとりで黙り込んでいたら、客が後輩にも話しかけるように仕向ける。そーしないと自分がいたたまれない。道化にもなるし、仕切婆にもなる。みんなが公平になるようにする。
トークをしているときのまっつは、だいもんにも話を振り、暴走することもスタンドプレイをすることもなかった。
なのに、トークが終わるとコレですか。後輩に流れるかもしれない客も、迷いなく自分が持っていきますか。
そーゆー人だったんだ……。
どどどどーしよー。
ものごっつー、ときめいたんですが。
まっつに微笑まれたことも、至近距離の挨拶も、そんなのどーでもいいんだ。
だいもんとの間で躊躇していたわたしを、なんの迷いもなく「自分のを選ぶ」と信じて行動した、その自信と強引さにアタマを殴られた感じがして、うろたえまくった。
どうしよう。
まっつ、かっこいー……。
どうしようどうしよう。
どきどきどき。
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