ジュンタンたら、前補助センターで観劇したそうですよ! 宙組『Young Bloods!!-Cosmo∞(コスモ無限大)-』を! いりすの脚と尻が間近! 揺れるフリンジ! うらやましー!
 8月31日、わたしがめずらしく観劇後即日感想UPしたっつーんで、「それほど良かったなら、無理をしても観に行こうかな」と、チェリさんが言うので、かえってあせりました。
 いやいやいや! 即日UPと作品の善し悪しは関係ないっすから! 帰り道がひとりでヒマだったから感想書いてただけ、つーのも関係してますから! 1時間もひとりで電車乗ってたら、感想も書けますよ。

 作品は……芝居はひどいです。
 高校時代の文化祭のクラス出し物で、こんな話やってるとこあったよなー、みたいな感じっす。
 あまりに陳腐なので、あちこちで失笑したり、居心地の悪い思いをします。昭和時代のマンガで描かれていた「未来社会」のようです。高層ビルの間を透明チューブが行き交い、そこを色とりどりのエアカーが走っていて、人々は銀色のつなぎみたいな服を着て、コンピュータに管理されていて……みたいな、古い古い「未来社会」。1970年代に描かれたSFみたいな世界観と言葉センス。
 そういうものを表現するならば、細部までこだわった「これがライフワークだ」的徹底された意気込みだの、科学ヲタク的なマニアックさだとかが必要だと思うんだが、それもナシ。
 観ていて、ひたすら恥ずかしかったっす……。
 小学生のころ鼻高々でノートの隅に鉛筆で描いていた「本格SFまんが」を、大人になって「あんた、子どもの頃こんなもの描いてたのね(笑)」と人に見せられでもしたかのよーな、いたたまれなさ。うわっ、やめて、見せないで! 小学生だったんだよ、自分では絵もうまいつもりだったし、本格でSFで、ものすげー感動巨編だと思って描いてたんだよ、もう時効だよ、許してよ。
 えーと、やっぱこの話は、いたたまれないほどのダサさ、を狙って作ったんですよね? 現代のセンスではありえないけど、ソレを狙って作ったんだよね? 笑ってくれという意図で。
 ほら、宮本武蔵が現代にタイムスリップしてきて、コジローくんと決闘しちゃう、アレを観てトホホと笑う、同じ感覚で同じ狙いだよね?

 べつにわたし、タカラヅカでいたたまれない情けなさを感じたり失笑をしたいと思っているわけぢゃないんで、ひたすらつらかったっす……。

 せめて、センスがよければなあ。
 ストーリーがひどくても、言語感覚が昭和中期でも、視覚センスである程度誤魔化すことはできるんだが(例・植田景子)。

 登場人物の衣装のひどさも見どころのひとつ。
 主人公のサイボーグ刑事マーク@いりすは、銀のスーツです。サイボーグだから、銀スーツ。……笑わせるためだよね?
 悪役刑事@すずはるきは、ナンチャッテ黒軍服に黒眼帯。……刑事なんだって。んぢゃソレ私服? サイボーグが作れる時代に眼帯? そっからビームでも出すのかな、ははは。
 署長@雅桜歌はオレンジのコンサート衣装。また着こなし最悪。
 蓮水ゆうや他、悪ガキたちはとても痛々しい、ヅカならではのまちがったストリート系ファッション。
 マークの元恋人@大海亜呼は、ぶりっこお嬢様菜の花色ワンピース。
 電波受信中のあぶないアンドロイド@舞姫あゆみはメルヘンコスプレ。
 その他、メルヒェ〜〜ンな妖精跋扈と、衣装センスだけでもお笑いポイントは枚挙にいとまがない。

 お笑いを目指すなら、もっと徹底して世界を構築すればよかったのに。
 署長のコンサート衣装やすずはるき刑事の服装センスを基点として、みんな「石田昌也ショーにこのまま出られます」系にするとか。
 女の子はみんなSF系ボンデージファッション、サイボーグ刑事は宇宙刑事シリーズみたいな半着ぐるみ状態、夢見るアンドロイド娘はパステルカラーのチュチュを着て必ず可憐ポーズで立ち止まるとか。
 それくらいやってはじめて、ストーリーのばかばかしさについていけるんじゃないか?

 ……この話がシリアスものだったという認識はないんだが、もしシリアスを目指すならなおさら、ここまでやるべきだろうと思う。
 昼の東海テレビ制作愛憎ドラマみたいに、ありえねーストーリーのありえねー悲劇は、ありえねー舞台で徹底して構築すべきだ。

 まあどのみち、なし崩しに主人公が死んで終わり、という「なにも終わってねええ!!」なひどい話なんで、どうあがいたって無意味っちゃー無意味だが。

 とまあ、あらゆるものがものすごいことになっていたこの芝居。

 それでも十輝いりす、というキャラクタを「見る」にはいいさ。オリジナル作品で、主役なら、役者自身が見えてくる。

 ……ヘタだな、いりす。

 歌がものすごいのはわかっていたけど、改めて聴くとまた破壊力すごかったし、演技もかなりやばいことがわかった(笑)。
 イロモノは演じられても、基本的なことはできてないんだなー。「創りやすい」モノはできても、ふつーの衣装を着て、人間として共感できるふつーの芝居、はまだどうすることもできないレベルなんだ。大変だなー。

 でも。
 魅力のある人だ。
 おおらかな、あたたかい光がある。

 顔立ちはゆみこちゃんにすげー似ているのに、あらゆる意味でゆみこちゃんと反対。
 歌がうまくて暗くて重くて繊細なゆみこちゃんとちがい、歌が下手で明るくて軽くて大味。
 すげえ。
 同じ顔でも、ここまでチガウもんなのか。キャラを決めるのは顔ぢゃないんだよな。

 どちらがいい悪いではなく、この事実にひたすらウケた。

 いりすの持つ、ほっこりとした明るさ。あたたかさ。
 カラダの強張りを解いて、ほっと息をつけるような、それをゆるしてくれるようなおおらかさ。
 それをとても、得がたいものだと思う。

 技術なんかあとからどーとでもなる。
 今はただ、「十輝いりす」という真ん中のやわらかい光に癒された。

 
 芝居がやばいといえば、署長役の彼はほんと、やばかった(笑)。会社の宴会の余興でコスプレさせられた人みたいな着こなしのひどさも、またかえって目に付くって。
 なのに、ショーではものごっつーキザっていて、ウケた。やる気満々!
 なにもできないくせに、その心意気やヨシ! がんばれー。

 すずはるきを除いた男役で、いちばんできていたのは、蓮水ゆうやくんだったと思うんだが、どうだろう?
 野心と、それに見合うだけの結果を叩き出そうとアグレッシヴになっているのが見えた。……いりすには感じなかったものを、彼には感じた。や、それがいりすのいいところなんだろうけれど。

 とりあえずこの公演、すずはるきがいなかったら、どうなっていたんだろう?
 すずはるきの一人勝ちっぽい……あ、トキイリのダルマ@フリンジ付きを除いて。


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