毎年恒例、『1万人の第九』コンサート当日。

 会場の大阪城ホールの自分の座席にてわたしは、『ヘイズ・コード』のチケ取りしてました。うわーん、つながらねえええ。販売画面は見たのよ、販売画面は! 千秋楽B席がまだ売っていたのよ。でも、購入のための操作をしているウチに「販売枚数終了」。わーん! 1分経ってないよね?!
 無謀だとわかっていて楽を入力したのは、トウコちゃんの千秋楽が好きだから。本人もファンもめちゃくちゃ盛り上がるんだもん。あの興奮と狂乱が好き。……手に入るわけナイって、わかってたけど、万に一つの願いをかけて!
 で、あわてて他日を入力、よかった、まだある……しかしまた、その後の操作をしているウチに「販売枚数終了」。がーん。時計を見たら、まだ開始から3分足らず。
 DCも取れてないんですが……どこにあるのよチケット。

 そーいや昨年もわたし、『1万人の第九』会場で、星組『ベルばら』のチケ取りやってたわ……アレも販売画面まで行って、「販売枚数終了」になったんだった……。

 日曜日の朝9時半集合なんだもん、『1万人の第九』。日曜朝10時から発売のチケットがあるのは常識でしょう。これからも毎年、会場で不自由な思いしながらチケ取りすることになるのかしら……自宅でなら取れたかもしれないのにー。

 えー、『第九』の朝10時はなにをやっている時間かというと、「座席決め」です。
 わたしたち合唱出演者は「仮座席」に坐っているので、当日席が決まるの。
 まず合唱席の「中心」となる男性席を決めてから女性が決まるので、しばらくなにをするでもなくヒマなのね。自分の順番が来るまで、仮座席に坐って待機。
 その間を利用して、わたしはもっぱらチケ取りですよ。……取れた試しないけど。

 
 さて、今年の『1万人の第九』、今年のテーマはなんだっけか。プログラム買ったことナイからわかんない……。
 公式ゲストは元ちとせ、当日まで秘密(恒例)のゲストは優香+落語家の月亭八方&桂ざこば。
 優香はテレビ放送時のナビゲータらしいな。こーゆーとこも恒例。

 参加するたびに気になることはチガウんだけど、今年わたしは、何故かティンパニばかり注目してました。
 なんだろう。目をつぶっていても、ティンパニの音だけ追っているの。
 打楽器は永遠のあこがれだからかなぁ。

 わたしは音楽的才能が皆無のかなしい人間だが、とくにリズム感のなさは致命的だ。運動音痴で反射神経激ニブなのも関係しているだろう。

 小学2年生だったかのとき、クラス対抗音楽会でわたしは木琴をすることになった。曲の最初にわたしのソロパートがある。
 自分でも、そして音楽の先生も、気づいてなかったのよね、わたしがリズム感皆無だってことに。ただ、わたしが音楽ダイスキだったから、先生もわたしにやらせてあげよう、と思ったんだろう。
 単調にリズムを刻む木琴ソロのあと、他楽器による演奏がはじまり、合唱に続く、という曲。わたしの木琴が曲の最初、冒頭、イントロ、ここでコケるとヘタレた印象で曲がはじまる……とゆーのに。
 わたしには、リズム感がなかった。
 言われたとおりに演奏しているつもりなのに、先生は苦い顔。
 あまりに下手っぴだから、途中で奏者変更されそーになった。練習の最中、突然他の子を指名して、わたしの代わりに演奏させたのよ、先生。
 でも、突然やれと言われてやった子は、わたしより下手だった。そりゃそーだ、どんなにわたしに才能がないからって、1ヶ月毎日練習してたんだ、今はじめてやる子よりはマシだろうよ。
 音楽会まで時間もないしと、先生もあきらめたんだろう。結局わたしが演奏することになった。
 本番がどーだったのかは知らない。先生は満足したのだろうか、わたしの演奏で。

 ただ、下手なわたしを責める先生の顔が、脳裏に焼き付いている。
 クラス全員の前で、1ヶ月ずーっとみんなと一緒に練習していたわたしを降ろし、他の子に変更しようとした、あのときの空気とか。
 代わりに演奏させられた子も、気まずかったろうなあ。
 わたしには自分の演奏のどこがダメなのか、ぜんぜんわからなかった。メトロノームを友だちに、正しいテンポで叩いていたつもりだったのに、ぜんぜんダメだったらしい。

 むしろ、旋律のある他の楽器の方がまだ少しは上手に演奏できたんだよ、わたし。楽器演奏の成績はふつーだったのに。
 リズム命のあんなパートでさえなければ……。

 とゆートラウマ。
 きっと一生忘れない。

 その記憶を、苦く思い出していた。ティンパニの音を聴きながら。

 
 さて、今年の第1部のクラシック曲は、ヨハン・シュトラウス1世の「ラデッキー行進曲」。さすがのわたしも部分は知ってる有名曲、ラデッキーって将軍の名前だよね?
 毎年ゲネプロは進行をすべて真面目にやっていたのに、今年はなんか略しまくり。
「はい、ここはトークをする予定」
 とか言って省略するの。前日のリハーサルも、ゲストの出演なかったし。……なかったよね?(遅刻した上に、タニ茶へ行くために早退した女)
 まあ、同じトークを何度も聞かされるのも萎えるんで、本番のみにしてくれるのはいいんだけどさー。
 てなふーに、省略しまくりのゲネプロだったので、「ラデッキー行進曲」もシークレットゲストの説明なし、トークなしでとにかく演奏。
 だからゲネ時の「ラデッキー行進曲」の手拍子はおざなり、途中からどんどんしぼんでいく。
 少なくとも、手拍子を入れる練習は、しなかった。練習になっていなかった。とくに「しろ」とも言われていなかった。

 ところが。

 本番、八方・ざこば両師匠を迎えてのトークから続く「ラデッキー行進曲」。
 合唱団と観客、あわせて1万数千人の手拍子が、ぴたりと合うんですよ。

 指揮者・佐渡裕に導かれるままに。

 指揮って、楽器や歌手相手だけじゃないんだ。
 観客を含む拍手や手拍子も、操れちゃうんだ。

 100人越えの多人数オーケストラによる演奏と、1万数千人の素人たちの手拍子が、ひとつの音楽を作る。

 す・げぇ。

 あの一体感。
 どこまで行くの、コレ?!

 曲が終わったあと、どっちかの落語家が、「手拍子って音楽なんやな」と呆然と言ったのが、納得。
 すごいすごーい。

 手拍子もまた、リズム感が必要なモノだから。
 わたしは苦手なんだけどねー。
 だけどそんなこと忘れて、一緒になって手を叩いた。
 指揮者の意図するままに。強く、速く、小さく、激しく!

 すごいなー。
 ひとって、こんなこともできるんだ。

 
 第2部「第九」は、ゲネでいねむりこいていたのが嘘のよーに、目をランランさせて指揮者やオケや客席、合唱席を見てました。
 ティンパニの音に集中しながら。
 いろーんなことを、漠然と考えていた。
 この長い長い曲は、考え事に最適だよな……毎年恒例だからこそ、1年を振り返る回想にうってつけ。暗いこと考えるとドツボにはまるので、そこは回避しつつ。

 合唱自体は、わたし的に声のコンディションよかったっす。両隣の人よりアタマひとつでかかったが(笑)、今年は後ろの人から「アンタがでかすぎるせいで指揮者が見えないのよ!」とゆーよーなクレームは来なかったし。(去年は段差の少ないアリーナ席だったからなー)

 歌、うまくなりたいなあ……。どうしてこう才能がないんだろう。

 
 心残りは、張り切ってDS持っていったのに、誰ともすれ違えなかったこと!
 誰も『ぶつ森』やってないのー?!
 「きょうは1まんにんのだいくのひ」って手紙書いて、わざわざとたけけさんの音楽をプレゼントに付けて、海に流したのに!!

 参加年齢を考えたら、無理もないか……。
 わたしも含め、中・高齢者が大半を占めているイベントだもんよ……。
 女の子はまだ多少若いお嬢さんたちもまざってるけどさ……。


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