なんかとても影の薄い公演『MIND TRAVELLER』
「東京? なにしに行くの? まっつファンなのに雪組を追いかけるの?」
 いやその、まっつファンだから東京へ行くんですが。
「まっつ、なにか東京でやってるの?」
 いやその、だから、青年館……。
「青年館? なに?」
 いやその、『MIND TRAVELLER』……。
「『MIND TRAVELLER』……? ……(沈黙)……ああ! ドラマシティでやってたやつ! アレ、青年館でやってるの?!」

 ヅカファン相手に素でこんな会話をしました。
 まあな、ものすげー人気薄公演だったからな。いい悪い以前に、興味の対象ですらない、というのが痛すぎる現実。ドラマシティの集客ぶりがよーっく表している。

 それでも青年館ではそれなりに客は入っていたようで。よかったよかった。ドラマシティはほんとに埋めるのが難しいハコだよ。

 10日ぶりで観た『MIND TRAVELLER』、いちばん変わっていたのはマックス@まとぶんだと思った。
 おおお、きらきらしてる。
 DCで観たときあまりの地味さにびっくりしたんだが、ちゃんとまとぶらしい華を取り戻していた。
 マックスはものすげー「ふつー」の人。このふつーぶりで華を表現するのは大変だったろう。ヒロインと2番手が超地味だから、どうしてもそれに引きずられるし。
 ワイルドでありながら女の子好みの甘さのある二枚目。ハートフルで誠実。パメラ@きほちゃんを見つめるときのうれしそーな瞳とか、感情が高ぶっているときの涙できらきらした瞳とか、パメラを心底大切そうに抱きしめる繊細な手の動きとか、数え上げるとキリがないほど素敵な男の子。
 DCよりキャラの押し出しがよくなった分、化粧が濃くなっているし、モミアゲも太くなっている(笑)。星組遺伝子だなぁ。

 ルーク@まぁくんのキラキラぶりも磨きが掛かっているし、ピート@めぐむの胡散臭さと微妙な若者ぶりもすっかり板に付いている。
 アフロ男、テンション高い入院患者、刑事@ふみか3役は、素晴らしい存在感。まだ新公学年だなんて頼もしすぎるぞヲイ。

 正しく進化してくれていることに胸をなで下ろしつつ。

 さて。

 テオ・カサベテス氏の銃の腕前について語ろう。

 そもそもこの物語は、テオ@さお太さんが撃ち損じなければはじまらなかった。

 正義の人カザン@星原先輩がテオの悪事を追求したがゆえに、口を封じる必要があった。
 その口封じに、カザンのボディガード・マックスを利用する予定だった。
 カザンとマックスが同士討ちになった、とゆーことにするはずだったのね。

 さて、この筋書きだけどさ、いくらなんでもひどくない?

 雇い主とボディガードで同士討ちってナニよ、ありえねー。

 共倒れにしたいなら、「信頼し合っている関係」のふたりを使うか? ふつーなら、「恨みを持つ者の犯行」にしないか? マックスとカザンが良好な関係だったことは、娘ジュディ@ののちゃんが証言している通り、周知のことでしょう。なんでわざわざマックスなのよ?
 素行不良でカザンに解雇された職員だとか、麻薬中毒患者だとか、カザン対し殺意を持ってもおかしくない人間をチョイスするよね?
 信頼し合っていたのに、「金銭トラブルが」なんてありもしないことを1からでっちあげるよーな手間をかけるのは何故? もともと「あいつならカザンを殺すのもアリだよな」とゆー人間を使う方が安全だろー?

 なにがなんでも、マックスを絡めなければならなかったらしい。

 マックスがカザン殺害現場に居合わせてしまったから、というのはおかしい。テオたちは「当初の予定通り、同士討ちに見せかける」と言っている。動機のある人間を使い捨てるのではなく、わざわざ苦労して動機のないマックスを犯人役にと偽装しているんだ。

 では何故、マックスを巻き込み、カザンと共に殺さなければならなかったのか。

 マックスがテオの悪事についてなにか知っていた、というならば仕方がない。だが実際マックスはなにも知らない。親友ボブ@きよみの裏切りすら気づかないうっかりさんだ。
 腕っ節が強く誠実ではあっても、たぶんあまりアタマはよくないし、人を疑うとか言葉の裏を読むとか苦手なんだろうよ、マックスくん。カザンがどーゆー状況か洞察することなく、ただ物理的な面でボディガードをしていた模様。
 カザンはマイクロチップを隠したペンダントをマックスに託したりと、破滅の予感を持っていたようなのに、マックスときたら、太平楽にもほどがある。まあ、そーゆー鈍いところも含めて彼の美点であり、だからこそカザンは彼を愛したのだろうけど。
 つくづく、テオがマックスを殺す理由、カザン殺人犯に仕立てる理由が見あたらないんだ。
 カザンの口封じが目的なら、人を雇って殺した方が早いし(サリーにしたようにな)、犯人にも同時に死んでほしいなら、カザンに恨みを持つ小物を連れてきてふたりとも殺し、「同士討ち」に見せかければいい。

 カザンの仕事の内容も、テオの悪事もなにも知らない、ただの雇われボディガード、カザンの死後は解雇されて無関係になるだけのマックスを、何故、カザン殺しの犯人にしなければならなかったのか。

 それはぶっちゃけ作者・小池の浅慮ゆえの都合に過ぎないと思うが、まあ、ソレを言ったら終わってしまうので、無理矢理、理由を考えてみよう。

 カザンやテオの仕事や悪事絡みで、マックスを事件に巻き込む必要はなかった。
 では、それ以外に理由があったと考えるべきだ。

 マックスがカザンに信頼され、「息子同然」と扱われていること。
 これが理由だろう。

 だが、「息子同然」だからといって、マックスがカザンの財産を相続するとか、そーゆーことはありえない。
 カザンがマックスを自分の後継者にしたがっていたようだが、NPOの後継者ってなんだそりゃ。公私混同もいいとこだな、その考え方は。NPOの代表者、というのはNPOの所有者ではないぞっと。……まあいいや、突っ込むまい。
 カザンのお気に入りゆえに非営利団体の代表者の座を得る確率が高いとして、なんだっつーんだ? カザンがNPOを隠れ蓑に私腹を肥やしていた、というならともかく、正義と善意の人ならあるのは責任と名誉職だけだろ? 後継者になっても手に入るのはやりがいある仕事と苦労がメインだろ?
 だからマックスがカザンの「息子同然」だからといって、金銭関係、財産関係でマフィアにねたまれることはない。今のところ。
 マックスがマフィア撲滅の超タカ派だとかというなら、彼がNPO代表になることへ脅威が生ずるかもしれないが、今のところそれもない。マックスは政治も社会情勢もなにもわかっていなさそーな気のいいにーちゃんでしかない。

 んじゃなんで、マックスが「息子同然」なのが許せなかったんだ、テオよ?

 ええ。
 金絡みでないなら、色絡みでしょう、この世の中は。

 カザン殺人犯にするために、死人に口なし、マックスを殺すはずだったテオ。
 しかし彼は、マックスを撃たなかった。
 テオが撃った相手は、自分の共犯者であるボブ。マックスは無傷。

 さて。
 同じシチュエーションが、後半にも繰り返されている。

 カザン殺人事件の真相を闇に葬るために、死人に口なし、マックスを殺すはずだったテオ。
 しかし彼は、マックスを撃たなかった。
 テオが撃った相手は、自分の共犯者であるリチャード@まっつ。マックスは無傷。

 テオは2度も、マックスを撃たなかった。

 腕が落ちたとか、そーゆー問題ぢゃないだろ。
 1回だけならともかく、2回まるまる同じシチュエーションってなんだそりゃ。

 つまりは、そーゆーことなんだよな。

……ってことで、翌日欄に続く。


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