今さらだが、『愛するには短すぎる』の話。

 や、ずっと書くつもりだったのよ。てゆーかテキストはすでにあったのよ。書くことがありすぎて、UPできなかっただけで。
 

 わたしたちどりーず内で意見がまっぷたつに分かれたことがある。
 それが、フレッド@ワタルとバーバラ@となみは、ヤッているかいないか。

 ……すみませんねえ、そんな話で。
 でもわたしたちは、某SNSでそんなことを大真面目に議論しておりました(笑)。
 
 ヤッていない派は、もちろんkineさん、それからnanaタンとジュンタン。
 ヤッている派は、チェリさん、サトリちゃん、ドリーさん。

 わたしはもちろん、ヤッている派でした(笑)。

 それぞれとてもアツく持論を語り、それぞれ説得力があるので、ログをまるっと披露したいくらいなんだが(笑)、それは自重するとして自分の意見だけ書きますと。

 わたしがバーバラなら、「追いかけっこ」で一晩過ごすのは絶対に嫌だから、です。

 他人事として、物語を眺めていたんじゃないのよ。
 バーバラになって、フレッドに恋をしていたのよ。だから当然、立ち位置がバーバラになる。「わたしがバーバラなら」と考える。
 美しくも自立した大人の女性バーバラになり、幼なじみの初恋の人フレッドと再会し、恋をする。場所は豪華客船。フレッドは背が高くてハンサムでとびきりやさしい大富豪。……なんてすばらしいシチュエーション、ヲトメの永遠の夢。
 感情移入してヒロインになれる、極上の時間。
 ぶっ壊れ、不快過ぎて酔えない作品がめちゃくちゃ多いなか、奇跡のような美しい物語。

 わたしはごくあたりまえに、わたし視点で考えた。
 ヒロインはわたしだから。
 わたしがいちばんときめく物語として。

 つーことで、はい、フレッドとバーバラはヤッている派です。
 プラトニックにこそときめく場合もあるが、この物語ではチガウ。フレッドの胸で、せつない涙を流したいですよ、あたしゃ。

 ただ、「ヤッた」のはいつか、というと、最後の夜よりは3日目の夜、が濃厚かな。
 どりーずのみんなとは最初、「最後の夜(追いかけっこして「めくるめく♪」と歌っていたとこ)にヤッたかどうか」を議論していたのだけど、仲間うちでいちばんあとに観劇したドリーさんが唱えた「3日目の夜」説を支持したいわ、わたし。

1日目 避難訓練、ウェルカムパーティ
2日目 盗難発覚、昼食会、金銭トラブル解決、仮装パーティ
3日目 自殺騒ぎ、宝石投げ目撃、鑑定
4日目 ゾウさん体操、盗難事件解決、追い掛けっこ
5日目 下船

 と、ドリーさんがまとめてくれた時間経過と出来事一覧表(無断借用)を眺めつつ、説明。

 3日目の夜、というと、フレッドとバーバラが「言葉なんかいらない」状態で見つめ合っていた、あのあと、ということですな。
 同じ部屋で船長やらブランドンやらが宝石鑑定をしているっつーのに、そんなことにおかまいなく「ふたりの世界」を作り上げていた、あの日ですよ。
 ブランドン@まやさんの名台詞、「奇怪な、どうしてあそこだけ明るいのか」のあと。

 邪魔をしそうなブランドンを、アンソニー@トウコが「新しい任務」を与えることで遠ざけているしね。
 アンソニーはアレ、わかってやってるよな。

 言葉も不要で見つめ合い、互いの肌に触れているふたり。
 アンソニーの機転でふたりっきりになったあと、そのままなだれ込んでると思う。

 だからこそ翌日のゾウさん体操→盗難事件解決もフレッドとバーバラは一緒にいるのが自然だし、その後ふたりっきりになって「なにか言って」と意味深な大人の会話をはじめる、と。

 正塚作品は、ありがたいことに主役がきちんと恋愛している場合、「どこでヤッ……いい加減表現を変えよう、どこで結ばれたか」がはっきりとわかる。
 『La Esperanza』新公だと動物園で主役ふたりが「ひとりじゃダメだ」と話し合い、抱き合うようにして去っていくあと。(新公限定。本公演は主役たちが恋愛してなかったので除外)
 『Crossroad』も、別れを決意したふたりが抱き合うようにして去っていくあと。(あ、『La Esperanza』とまったく同じ演出だ)

 ただ思いを通じ合わせたとかいうだけでなく、そのあとからふたりの雰囲気が変わるんだよね。肌の温度が変わるというか。
 ことさらべたべたさせたり、いやらしいことをさせるわけじゃないのに、「あ、このふたり、昨日とはチガウ」と思わせる。
 『Crossroad』は少女の片想いで、男の方は自分の気持ちを理解するに至っていないままの「一夜」だからさらに切なかった……。『Crossroad』も『La Esperanza』新公も、ヒロインはどっちもあすかだ……あすかちゃんはほんと、正塚お気に入りのヒロイン女優だよなぁ、と横道。

 『愛するには短すぎる』もまた、同じように「翌日」のふたりの触感でわかる。
 ああそうか昨夜、ふたりはたしかめあったのだと。

 それでいてなお、歌ってだの手を見せてだの追いかけっこだのをやっているのよ。
 ヤるヤラないは、ゴールではなく通過点でしかない。「おぼえておきたいから」と手を取るのと同じ意味でしかない。
 愛し合うふたりにとって、いちいち大袈裟に描く必要もないあたりまえの時間だから、んなシーンはさくっととばしてある。
 なにひとつ行為に言及されていないにもかかわらず、それを感じることのできる脚本と演技の「艶」にどきどきする。

 バーバラになって、フレッドに恋をする。
 リアルに、ほんとうに、彼女と自分を重ね合わせて。

 せつなさに、涙を流す。

 
 ……てな感じだったんですが、どうですかね?

 チェリさんは「ケロファンはヤッている派」だというデータを提示している。ケロちゃんを好きなるタイプの女は、こーゆーシチュエーションで「プラトニックはありえない」と感じるらしい。ケロファン仲間にひとりひとりリサーチしていたぞ(笑)。
 越リュウファンにも是非リサーチしたいわ。越リュウを好きになるタイプなら以下略。

 「プラトニック派」のジュンタンは当時、kineさんに会ったときにこの話題を切り出そうとして、「フレッドとアンソニーはやったのか?なんだけどさ」と真顔で言い、kineさんにあっさり「アンソニーじゃないから」と返されたという逸話を持つ。
 ははは、フレッドとアンソニーなら、なにもモレタニア号でヤラなくても、ロンドンででもどこでもデキたしなっ(笑)。

 どりーずの論争に巻き込まれたハイディさんは、後日こう語った。
「サトリさんとはわたし、あの日が初対面だったんです……はじめまして、とお互い挨拶して、その次の台詞が、『で、フレッドとバーバラはヤッてると思います?』だったんで、おどろきました」
 災難だなハイディさん……(笑)。初対面、しかも挨拶の次の台詞からエロトークさせられるとは……。

 主役ふたりの恋愛関係において、これだけアツく語り合える物語って、素敵だ。
 ほんとうに、大好きだよ、『愛するには短すぎる』。

 極上の恋物語。


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