ショーの新人公演でもあったから。@『パリの空よりも高く』新人公演
2007年1月16日 タカラヅカ 正直、「物語を構築できない作家の逃げ場」として、無意味なショーを付けることは反対だ。
せっかく1時間半ある芝居枠なのに、3分の1を無意味に浪費するなら、はじめから1時間枠にして、その分ショーを長くすればいい。
植爺はもう、1時間半を埋めるだけの物語を作れないんだ。彼の近年の作品はすべて1時間以内の短編ばかり。もしくは、無意味にショーパートをつけて水増しされただけ。
原稿用紙を埋められない生徒が、字数稼ぎにどーでもいいことを羅列する「えと文」みたいなもんだな。
ジェンヌは作家ではないのだから、どれだけ中身のない、くだらない文章を書いたってかまわないが、作家が同じことをやったら、もう「作家」でいる意味はないだろう。
つーことで、幕開きからテンション下がりまくりだった『パリの空よりも高く』。
ショー部分のデキがいい悪いとは別次元で、「作品」主眼にしているわたしには、「無意味な水増し」はマイナスポイントでしかないんだよ。
物語に関連しているなら、どれだけ踊ってくれてもいいんだけどね。テレビドラマでも小説でもマンガでも、本編と関係ないイメージ映像(役者だけ・キャラクタだけ同じ人が出ている)を3分の1見せられたら怒るでしょ? タイトルの本編見せろって言うよね。
あ、3分の1、には、無意味な解説シーンも含めてある(笑)。あさこちゃんが出てくるまでは全部「無意味な水増し」認定。
さて、そーゆースタンスではあるのだが。
新人公演にてはじめて、「無意味なショーパート」の意義を見付けた。
ええ。
トップスターと同じショーを、新公の若造たちがやるわけですよ。
芝居の新公はいくらでもある。
でも、ショーの新公はあまりない。
最近はバウホールでワークショップをやって「ショーの真ん中に立つ」訓練をさせているけれど、バウと大劇場はまったくチガウ。
「大劇場の真ん中に立つ」ってのは、ほんとうに特殊なことだ。芝居でソレをやるのももちろん意味があるが、生徒がどんどん小粒になってきている現代、「ショーの真ん中に立つ」経験をさせる稀少な機会となったわけですよ。
なーんだ、あの「水増し」シーンにも、「逃げ場」シーンにも、意味があったんじゃーん。
たった1回の新人公演のために、残り全部の本公演は踏み台ですか?
ははは、さすが植爺。
ま、それはさておき。
いい経験になったと思う。
大劇場で、トップスターとしてショーの真ん中をつとめる。
あの生意気を絵に描いたような(私見。偏見とも言う)まさきが、ものごっつー緊張しているのがわかった。
うおー、まさきですら、こうなるのか。
ほんとうに、大劇場ってのはトクベツなところだよなあぁぁ。
まさき、マギー、みりおの並びを見ながら、将来のタカラヅカに思いを馳せる。
近い将来、こーゆー絵面を見る日がやってくるんだろうな。
すこやかに育って欲しいと、心から思う。
今回の新公でなにがすごかったって、ギスターブ@マギーに尽きる。
いいなぁ、この人。
うまい。華がある。
出てくるだけで空気を動かす力がある。
本役より場をさらっていたのは、マギーがきりやんよりうまいという意味ではなく、周囲とのかねあいの問題だな。
新公の舞台だと、ギスターブが主役になってしまう。きりやんだって、新公にギスターブとして出ていれば絶対主役に見える、そーゆー意味。
あの体格は、武器だと思う。
でかい図体して、気弱。それがすでにおかしい。笑いを誘う。
そしてなにより、嵐のシーン。
きりやんがバケツ片手に出て行くあのシーンで、マギーは同じようにバケツを手にし、そのまま風に飛ばされていく。
小さなきりやんが負けないでいられる風に、大きなマギーが吹っ飛ばされていく姿は、爆笑もの。
その飛ばされ方が、うまいんだ。
このまま向かっていくんだと思いきや、負けてひゅ〜っと飛ばされる。そして絶妙のタイミングで扉が閉まる。
あの「負けない→負けちゃった」の呼吸。うまいなー。
そして、ラストにパリッと正装して出てきたときの男前ぶりはすごい。ごめん、こればかりは小さなきりやんより、体格に恵まれたマギーの方が落差が大きくて見栄えがする。
大きなマギーは、あか抜けないギスターブのときは姿勢も悪くしてるからねー。背筋を伸ばしてシャキっと現れると、ほんとうに別人度が増して、感動につながる。
マギーの「慟哭すると彼が主役」つー持ち味、すごい武器だなーと思うよ。『エリザベート』のときも『JAZZYな妖精たち』のときも、それまでも十分うまくて派手であるにしろ、慟哭しはじめると、主役になるよね(笑)。
エルマーは最初からエンジン全開で「なにごとっ?!」って感じだったし(笑)、マクガバンは独白し出すなり主役になっていた。
ギスターブも、最後のハートフルでシリアスな語りで、見事に「主役!」に。
いやあ、彼の語りで幕が下りるんじゃないかと思ったよ。
ギスターブがあまりに主役だから、そのあとの詐欺師コンビの話が「蛇足」に見えて仕方がない。
アルマンド@まさきは、あさこの役を演じることがマイナスになっているよーな気がしてならない。
まさき自身の持ち味はあさこちゃんとはチガウものだと思うのに、コピーしてしまうのであさこよりさらに小さく軽くなってしまう。
まさきがあさこを好きなのはわかったから、真似はほどほどにしておけよー。他の人の役をやっていたときのように、本役より俺様の方が上!てな役作りで攻めてくれよー。その方がキミのキャラに合ってるって。
なによりも、あさこの持つ「芝居の軽さ」を真似るのはやめてほしい。アレはあさこならではの持ち味であって、真似ても自爆するだけだってば。
マギーがいつも、本役の役作りをスルーして独自の華を咲かせているように、まさきもその方がいいと思うんだがなー。
ミミ@ねねちゃんは、気の毒だった。
新人公演では、ミミがヒロインに見えない。
無理もないんだ、脚本も演出も、ミミをヒロインとして描き切れていないから。
出番も台詞も衣装も、エレノール@青葉みちる(てゆーか、タキさん)の方が上の扱いだから、よほどの熟練か華がないとヒロインとして成り立たない。
ミミとエレノールだと、ミミ、マイナス10mポイントからスタート、エレノール、プラス10mポイントからスタート、これで100m走しても、そりゃエレノールが先にゴールインするだろう、てなもん。
また青葉みちるちゃん、うまいしね。女役としての新公キャリアもあるしね。
あのタキさん相手に、あの役でそれでもヒロインとして向こうを張っているかなみちゃんのすごさを再確認する結果となったさ。
しかし、タキさんとかなみちゃんがWトップ娘役って……すごい組だよな、月組。宙組時代W2番手娘役だったのが、そのままパワーアップかー。
ジョルジュ@みりおくんは、かわいかった。……でも、この子は本公も新公もいつも同じよーな役ばっかやっているので、よくわかんない……。
持ち味まんまで出来る役ばかり、てのも気の毒だなー。
植爺作品は役が少なすぎて、下級生チェックができないっす。『暁のローマ』の方がまだマシだった……。
役名も、カタカナ名前でなく、職業にしてくれよ。その方が本公・新公ともに生徒の判別につながるのになー。や、大野先生みたいに、名前と役の設定まで書いてくれりゃ完璧だけどさ。
今まで知らなかった子で目にとまったのは、鼓英夏くんです、はい。演技そこそこ(つか、出番アレだけだし)で、なにより美形だった。
最後の挨拶で、まさきが真っ白になっていたのが、興味深い。
やっぱ新公主演ってのは、トクベツなんだなあ……。2番手をどれだけ余裕でこなしても、主演とはまったくチガウんだなぁ。雪のかなめくんとかも、2番手以下のとき余裕でいろいろやっていたのに、初主演はガタガタだったもんなぁ。
そして、初主演でまーったくふつーに平然としていたマギーは、大物だと、再度思いましたのことよ。
でも。
ギスターブの役作り、アレはチガウと思うの、マギー……。
「主役」になれる派手な作り方だったけど、ギス太はあーゆー人ぢゃないのよ。
マギーのギス太じゃ、ミミとのカップルで萌えられないわ……。
せっかく1時間半ある芝居枠なのに、3分の1を無意味に浪費するなら、はじめから1時間枠にして、その分ショーを長くすればいい。
植爺はもう、1時間半を埋めるだけの物語を作れないんだ。彼の近年の作品はすべて1時間以内の短編ばかり。もしくは、無意味にショーパートをつけて水増しされただけ。
原稿用紙を埋められない生徒が、字数稼ぎにどーでもいいことを羅列する「えと文」みたいなもんだな。
ジェンヌは作家ではないのだから、どれだけ中身のない、くだらない文章を書いたってかまわないが、作家が同じことをやったら、もう「作家」でいる意味はないだろう。
つーことで、幕開きからテンション下がりまくりだった『パリの空よりも高く』。
ショー部分のデキがいい悪いとは別次元で、「作品」主眼にしているわたしには、「無意味な水増し」はマイナスポイントでしかないんだよ。
物語に関連しているなら、どれだけ踊ってくれてもいいんだけどね。テレビドラマでも小説でもマンガでも、本編と関係ないイメージ映像(役者だけ・キャラクタだけ同じ人が出ている)を3分の1見せられたら怒るでしょ? タイトルの本編見せろって言うよね。
あ、3分の1、には、無意味な解説シーンも含めてある(笑)。あさこちゃんが出てくるまでは全部「無意味な水増し」認定。
さて、そーゆースタンスではあるのだが。
新人公演にてはじめて、「無意味なショーパート」の意義を見付けた。
ええ。
トップスターと同じショーを、新公の若造たちがやるわけですよ。
芝居の新公はいくらでもある。
でも、ショーの新公はあまりない。
最近はバウホールでワークショップをやって「ショーの真ん中に立つ」訓練をさせているけれど、バウと大劇場はまったくチガウ。
「大劇場の真ん中に立つ」ってのは、ほんとうに特殊なことだ。芝居でソレをやるのももちろん意味があるが、生徒がどんどん小粒になってきている現代、「ショーの真ん中に立つ」経験をさせる稀少な機会となったわけですよ。
なーんだ、あの「水増し」シーンにも、「逃げ場」シーンにも、意味があったんじゃーん。
たった1回の新人公演のために、残り全部の本公演は踏み台ですか?
ははは、さすが植爺。
ま、それはさておき。
いい経験になったと思う。
大劇場で、トップスターとしてショーの真ん中をつとめる。
あの生意気を絵に描いたような(私見。偏見とも言う)まさきが、ものごっつー緊張しているのがわかった。
うおー、まさきですら、こうなるのか。
ほんとうに、大劇場ってのはトクベツなところだよなあぁぁ。
まさき、マギー、みりおの並びを見ながら、将来のタカラヅカに思いを馳せる。
近い将来、こーゆー絵面を見る日がやってくるんだろうな。
すこやかに育って欲しいと、心から思う。
今回の新公でなにがすごかったって、ギスターブ@マギーに尽きる。
いいなぁ、この人。
うまい。華がある。
出てくるだけで空気を動かす力がある。
本役より場をさらっていたのは、マギーがきりやんよりうまいという意味ではなく、周囲とのかねあいの問題だな。
新公の舞台だと、ギスターブが主役になってしまう。きりやんだって、新公にギスターブとして出ていれば絶対主役に見える、そーゆー意味。
あの体格は、武器だと思う。
でかい図体して、気弱。それがすでにおかしい。笑いを誘う。
そしてなにより、嵐のシーン。
きりやんがバケツ片手に出て行くあのシーンで、マギーは同じようにバケツを手にし、そのまま風に飛ばされていく。
小さなきりやんが負けないでいられる風に、大きなマギーが吹っ飛ばされていく姿は、爆笑もの。
その飛ばされ方が、うまいんだ。
このまま向かっていくんだと思いきや、負けてひゅ〜っと飛ばされる。そして絶妙のタイミングで扉が閉まる。
あの「負けない→負けちゃった」の呼吸。うまいなー。
そして、ラストにパリッと正装して出てきたときの男前ぶりはすごい。ごめん、こればかりは小さなきりやんより、体格に恵まれたマギーの方が落差が大きくて見栄えがする。
大きなマギーは、あか抜けないギスターブのときは姿勢も悪くしてるからねー。背筋を伸ばしてシャキっと現れると、ほんとうに別人度が増して、感動につながる。
マギーの「慟哭すると彼が主役」つー持ち味、すごい武器だなーと思うよ。『エリザベート』のときも『JAZZYな妖精たち』のときも、それまでも十分うまくて派手であるにしろ、慟哭しはじめると、主役になるよね(笑)。
エルマーは最初からエンジン全開で「なにごとっ?!」って感じだったし(笑)、マクガバンは独白し出すなり主役になっていた。
ギスターブも、最後のハートフルでシリアスな語りで、見事に「主役!」に。
いやあ、彼の語りで幕が下りるんじゃないかと思ったよ。
ギスターブがあまりに主役だから、そのあとの詐欺師コンビの話が「蛇足」に見えて仕方がない。
アルマンド@まさきは、あさこの役を演じることがマイナスになっているよーな気がしてならない。
まさき自身の持ち味はあさこちゃんとはチガウものだと思うのに、コピーしてしまうのであさこよりさらに小さく軽くなってしまう。
まさきがあさこを好きなのはわかったから、真似はほどほどにしておけよー。他の人の役をやっていたときのように、本役より俺様の方が上!てな役作りで攻めてくれよー。その方がキミのキャラに合ってるって。
なによりも、あさこの持つ「芝居の軽さ」を真似るのはやめてほしい。アレはあさこならではの持ち味であって、真似ても自爆するだけだってば。
マギーがいつも、本役の役作りをスルーして独自の華を咲かせているように、まさきもその方がいいと思うんだがなー。
ミミ@ねねちゃんは、気の毒だった。
新人公演では、ミミがヒロインに見えない。
無理もないんだ、脚本も演出も、ミミをヒロインとして描き切れていないから。
出番も台詞も衣装も、エレノール@青葉みちる(てゆーか、タキさん)の方が上の扱いだから、よほどの熟練か華がないとヒロインとして成り立たない。
ミミとエレノールだと、ミミ、マイナス10mポイントからスタート、エレノール、プラス10mポイントからスタート、これで100m走しても、そりゃエレノールが先にゴールインするだろう、てなもん。
また青葉みちるちゃん、うまいしね。女役としての新公キャリアもあるしね。
あのタキさん相手に、あの役でそれでもヒロインとして向こうを張っているかなみちゃんのすごさを再確認する結果となったさ。
しかし、タキさんとかなみちゃんがWトップ娘役って……すごい組だよな、月組。宙組時代W2番手娘役だったのが、そのままパワーアップかー。
ジョルジュ@みりおくんは、かわいかった。……でも、この子は本公も新公もいつも同じよーな役ばっかやっているので、よくわかんない……。
持ち味まんまで出来る役ばかり、てのも気の毒だなー。
植爺作品は役が少なすぎて、下級生チェックができないっす。『暁のローマ』の方がまだマシだった……。
役名も、カタカナ名前でなく、職業にしてくれよ。その方が本公・新公ともに生徒の判別につながるのになー。や、大野先生みたいに、名前と役の設定まで書いてくれりゃ完璧だけどさ。
今まで知らなかった子で目にとまったのは、鼓英夏くんです、はい。演技そこそこ(つか、出番アレだけだし)で、なにより美形だった。
最後の挨拶で、まさきが真っ白になっていたのが、興味深い。
やっぱ新公主演ってのは、トクベツなんだなあ……。2番手をどれだけ余裕でこなしても、主演とはまったくチガウんだなぁ。雪のかなめくんとかも、2番手以下のとき余裕でいろいろやっていたのに、初主演はガタガタだったもんなぁ。
そして、初主演でまーったくふつーに平然としていたマギーは、大物だと、再度思いましたのことよ。
でも。
ギスターブの役作り、アレはチガウと思うの、マギー……。
「主役」になれる派手な作り方だったけど、ギス太はあーゆー人ぢゃないのよ。
マギーのギス太じゃ、ミミとのカップルで萌えられないわ……。
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