悪女と泣き男たち。@清く正しく美しく
2007年1月26日 タカラヅカ スペサルな逸翁デー、『清く正しく美しく』。
もうすっかり忘却の彼方だったけどそーいや幕開き冒頭は、逸翁の演説フィルム上映でした。
昭和13年の愛読者大会だっけかの。
愉快なのは、そこですでに「日本物は人気がない」と逸翁の口から語られていること。日本物に人気がないことはわかっている、でもタカラヅカは日本物をやらなきゃーならないのだ、みたいなことを言っていた。
1938年の段階で、すでに日本物は人気がなかったのかよ。
タカラヅカの長い歴史の中、ずーっと日本物は人気がなかったっつーわけか。
「選択肢がなかった」太平洋戦争時代だけか? 日本物が支持されたのって。
まあ、そんなこんなで、「ファンが喜ばないことはわかっているが」と前置きしての日本物ミュージカル。
『恋に破れたるサムライ』。
女ひとりをふたりの男で争う、一見恋愛モノ。
しかしその実、火曜サスペンス劇場系のノリで物語は展開する。
遠藤盛遠@トド様。
強引で猪突猛進な超美形様。人生挫折無しでなんでも思うがままにしてきた若きエリート官僚は、「子どもの頃、結婚の約束をしていた」袈裟御前@キムが渡辺亘@トウコと結婚してしまったことでブチ切れる。
「恋敵の亘を殺し、約束を破った袈裟御前の母親を殺してやる!」
だって彼が正義。思ったことは思ったままにやってきた。「私がそーゆー性格だと知っているだろう!」……迷惑な。
吠える盛遠に、袈裟御前が言う。
「亘を殺してください、私が手引きします」
キラリ光る新妻の目。盛遠と袈裟は幼なじみ。亘の妻となりラヴラヴに見えた袈裟だったが、出世した盛遠を前にして気が変わった模様。
夫・亘を殺し、幼なじみのエリート盛遠と再婚。完璧な筋書き。「ふふふ……」ぶ厚い唇に半分だけ塗った朱がこわい。
そーして、殺人計画の夜。
嫁にベタ惚れの夫・亘は袈裟の酌に、ヨイヨイで酔っぱらう。
袈裟はなにかっちゅーと「これが最後……」とつぶやいては「なにか言ったか?」「い、いえ、なにも」てな会話を繰り返す。
決行は今夜。今宵が夫婦最後の夜。袈裟はもー、しつこいほど「これが最後……ふふふ」を繰り返す。もういいから、ソレはわかったから! と観客に突っ込まれるためにだろうか。
疑わない夫を酔い潰そうとする、新妻の鋭い視線。「これが最後……ふふふ」
逃げて亘、逃げてーっ! その女、あなたの殺人計画を練っているのよ?! 酔い潰したあとに男を呼び、あなたを殺させるつもりなのよーっ。
高まるサスペンス。
悪女・袈裟のたくらみは成就するのか? 利用される単細胞・盛遠は? コキュとなりはてた亘の命運は?!
火サスのノリ。すげえ。
で。
袈裟はもちろん、亘の身代わりに盛遠に殺されるんだけどね。
「これが最後……」というのは、自分が死ぬって意味だったんだけどね。盛遠のよーな強引自己中権力者に見初められたが最後、自分が死ぬ以外に周囲のモノを守る術はないと思って。
筋書きは最初からわかるんだけど。
演出のせい? キムの演技のせい?
袈裟が夫殺しをたくらむ悪女にしか見えなかった。
そして、袈裟が自殺すれば済む話なのに、わざわざ盛遠に殺させるのは、盛遠への復讐にしか見えないんですが。
おそろしい……。
なんておそろしい女なの、袈裟!!(白目)
火曜サスペンス劇場・女の犯罪シリーズって感じ。
もっと可憐な持ち味の娘さんが袈裟を演じれば、ちがっていたのかもしれないけどねえぇ。
さて、残された男たち。
爆裂わがまま男・盛遠は、それでも袈裟を愛していたのは本当だったらしい。
袈裟を殺してしまったことで慟哭し、激しく後悔し、亘に断罪を求める。
イイ面の皮、ここまでコケにされた夫は大変・亘も激しく自分を責めながら、復讐の刃を納める。盛遠を殺したからって、どうなるもんでもなし。
トド様とトウコの競演、てすげー豪華だ。
しみじみ。
このふたりのこってりした芸風は、合うんだよなー。元祖雪組芝居っていうか。
トウコは下級生時代何度もトドの役をやっているしねー。トドのトップお披露目時は単独3番手で悪役やってたしねー。
そーいや「トウコの涙がトドを動かした」ってのもあったよなあ、昔。
新公を見に行かないトドが、そのときばかりは見に行った。何故か。「だってトウコが泣くんだもん」……グラフかなんかに載っていた話。
本役のトドが、トウコになにも教えてやってなかったらしい。で、トウコが「どうしてなにも言ってくれないんですか」とマジ泣きしてトドを責めたという……そしてトドが降参したという……。
今から思うと、すごい話だニャ。
日本物の、トドの美しさときたら。
遠藤盛遠、キャラのイタさはともかくとして、問答無用に美しい。
日本物の、トウコの美しさときたら。
渡辺亘、キャラのまぬけさはともかくとして、問答無用に美しい。
そしてどちらも、泣きの演技に突入だ。
亘の慟哭と絶望。
いやあ、トウコに被虐キャラをやらせるなんて、GJっすよ!!
そらした喉の美しさ。
儚さ。
このワンシーンだけでトウコファンは何杯でもおかわりできるでしょうよ。
盛遠はその場で髪を切り、出家する。
同じ慟哭演技でも、彼は儚くはならずに武人らしく生き方を決める。
骨太な美しさ。
あー、やっぱトドはいいなぁ。彼のハッタリに満ちた芸風が好きだ。
袈裟御前があまりにこわかったうえに、彼女が死んでからの男たちの泣き演技の華々しさに、印象が見事にバラバラ、
「えーとソレで、コレってどーゆー話だっけ?」
とゆー、混乱に満ちた作品。
まさにカオス。
イベントにて、ノリだけで上演するに相応しい作品だったと思います。
混乱のまま幕。第1部終了。
もうすっかり忘却の彼方だったけどそーいや幕開き冒頭は、逸翁の演説フィルム上映でした。
昭和13年の愛読者大会だっけかの。
愉快なのは、そこですでに「日本物は人気がない」と逸翁の口から語られていること。日本物に人気がないことはわかっている、でもタカラヅカは日本物をやらなきゃーならないのだ、みたいなことを言っていた。
1938年の段階で、すでに日本物は人気がなかったのかよ。
タカラヅカの長い歴史の中、ずーっと日本物は人気がなかったっつーわけか。
「選択肢がなかった」太平洋戦争時代だけか? 日本物が支持されたのって。
まあ、そんなこんなで、「ファンが喜ばないことはわかっているが」と前置きしての日本物ミュージカル。
『恋に破れたるサムライ』。
女ひとりをふたりの男で争う、一見恋愛モノ。
しかしその実、火曜サスペンス劇場系のノリで物語は展開する。
遠藤盛遠@トド様。
強引で猪突猛進な超美形様。人生挫折無しでなんでも思うがままにしてきた若きエリート官僚は、「子どもの頃、結婚の約束をしていた」袈裟御前@キムが渡辺亘@トウコと結婚してしまったことでブチ切れる。
「恋敵の亘を殺し、約束を破った袈裟御前の母親を殺してやる!」
だって彼が正義。思ったことは思ったままにやってきた。「私がそーゆー性格だと知っているだろう!」……迷惑な。
吠える盛遠に、袈裟御前が言う。
「亘を殺してください、私が手引きします」
キラリ光る新妻の目。盛遠と袈裟は幼なじみ。亘の妻となりラヴラヴに見えた袈裟だったが、出世した盛遠を前にして気が変わった模様。
夫・亘を殺し、幼なじみのエリート盛遠と再婚。完璧な筋書き。「ふふふ……」ぶ厚い唇に半分だけ塗った朱がこわい。
そーして、殺人計画の夜。
嫁にベタ惚れの夫・亘は袈裟の酌に、ヨイヨイで酔っぱらう。
袈裟はなにかっちゅーと「これが最後……」とつぶやいては「なにか言ったか?」「い、いえ、なにも」てな会話を繰り返す。
決行は今夜。今宵が夫婦最後の夜。袈裟はもー、しつこいほど「これが最後……ふふふ」を繰り返す。もういいから、ソレはわかったから! と観客に突っ込まれるためにだろうか。
疑わない夫を酔い潰そうとする、新妻の鋭い視線。「これが最後……ふふふ」
逃げて亘、逃げてーっ! その女、あなたの殺人計画を練っているのよ?! 酔い潰したあとに男を呼び、あなたを殺させるつもりなのよーっ。
高まるサスペンス。
悪女・袈裟のたくらみは成就するのか? 利用される単細胞・盛遠は? コキュとなりはてた亘の命運は?!
火サスのノリ。すげえ。
で。
袈裟はもちろん、亘の身代わりに盛遠に殺されるんだけどね。
「これが最後……」というのは、自分が死ぬって意味だったんだけどね。盛遠のよーな強引自己中権力者に見初められたが最後、自分が死ぬ以外に周囲のモノを守る術はないと思って。
筋書きは最初からわかるんだけど。
演出のせい? キムの演技のせい?
袈裟が夫殺しをたくらむ悪女にしか見えなかった。
そして、袈裟が自殺すれば済む話なのに、わざわざ盛遠に殺させるのは、盛遠への復讐にしか見えないんですが。
おそろしい……。
なんておそろしい女なの、袈裟!!(白目)
火曜サスペンス劇場・女の犯罪シリーズって感じ。
もっと可憐な持ち味の娘さんが袈裟を演じれば、ちがっていたのかもしれないけどねえぇ。
さて、残された男たち。
爆裂わがまま男・盛遠は、それでも袈裟を愛していたのは本当だったらしい。
袈裟を殺してしまったことで慟哭し、激しく後悔し、亘に断罪を求める。
イイ面の皮、ここまでコケにされた夫は大変・亘も激しく自分を責めながら、復讐の刃を納める。盛遠を殺したからって、どうなるもんでもなし。
トド様とトウコの競演、てすげー豪華だ。
しみじみ。
このふたりのこってりした芸風は、合うんだよなー。元祖雪組芝居っていうか。
トウコは下級生時代何度もトドの役をやっているしねー。トドのトップお披露目時は単独3番手で悪役やってたしねー。
そーいや「トウコの涙がトドを動かした」ってのもあったよなあ、昔。
新公を見に行かないトドが、そのときばかりは見に行った。何故か。「だってトウコが泣くんだもん」……グラフかなんかに載っていた話。
本役のトドが、トウコになにも教えてやってなかったらしい。で、トウコが「どうしてなにも言ってくれないんですか」とマジ泣きしてトドを責めたという……そしてトドが降参したという……。
今から思うと、すごい話だニャ。
日本物の、トドの美しさときたら。
遠藤盛遠、キャラのイタさはともかくとして、問答無用に美しい。
日本物の、トウコの美しさときたら。
渡辺亘、キャラのまぬけさはともかくとして、問答無用に美しい。
そしてどちらも、泣きの演技に突入だ。
亘の慟哭と絶望。
いやあ、トウコに被虐キャラをやらせるなんて、GJっすよ!!
そらした喉の美しさ。
儚さ。
このワンシーンだけでトウコファンは何杯でもおかわりできるでしょうよ。
盛遠はその場で髪を切り、出家する。
同じ慟哭演技でも、彼は儚くはならずに武人らしく生き方を決める。
骨太な美しさ。
あー、やっぱトドはいいなぁ。彼のハッタリに満ちた芸風が好きだ。
袈裟御前があまりにこわかったうえに、彼女が死んでからの男たちの泣き演技の華々しさに、印象が見事にバラバラ、
「えーとソレで、コレってどーゆー話だっけ?」
とゆー、混乱に満ちた作品。
まさにカオス。
イベントにて、ノリだけで上演するに相応しい作品だったと思います。
混乱のまま幕。第1部終了。
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