王子様が現れたの。@貴城けい ザ・ラストディ
2007年2月12日 タカラヅカ ほんとのところは、迷っていた。
ライブ中継『貴城けい ザ・ラストディ』を、どうするか。
どの会場で見るか、で迷っていたわけじゃない。
コム姫のときとちがって、かっしーの中継ならどこの会場でも見られる。東京以外は絶対売り切れないと踏んでいたし、東京だってふつーに手にはいると思っていた。事実、そうだった。
先週会ったkineさんには、「かしちゃん見送りに東京行くかも」と言っていた。どこでだって見られるんだから、行くこと自体はたやすい。
だから、わたしが迷っていたのはコム姫のときのように「東京行こうか、どうしようか」ではない。
見るか、見ないかだ。
つらかった。
つらくてつらくて、考えたくなかった。
ジュンタンからかしちゃんがどれだけ素敵かを聞くたびに、夜行バスに飛び乗って東宝へ行きたかったけれど、普段のわたしならふつーにそうしていただろうけれど、できなかった。
他の公演とは違い、行けばチケットがいくらでもある。掲示板にも定価以下でいくらでも「譲る」投稿があるし、オークションだって手頃な価格だ。わたしみたいなびんぼー人でも、観たければいくらでも観ることができる公演だった。それでも、観たいと思えなかった。
かしちゃんが素敵なのも、舞台が深化してすばらしいものになっていることも、今観なければ後悔することも、全部わかっていて、それでも、あと一歩を踏み出すことが出来なかった。
こわかった。
かしちゃんに会えばしあわせになれる。
でも、それと同じくらい、つらい思いをする。
それがわかっていたから、こわくて近寄れなかった。
宙組のこともかしるいのことも、考えたくなかった。
一歩を踏み出し、ヘヴィな命題にたどり着くのが嫌だった。
それは、「宝塚歌劇団」への不信であり、嫌悪だった。
わたしはタカラヅカが好きだ。
わたしはタカラヅカを愛したい。
タカラヅカの持つゆがみを凝縮したような『ザ・クラシック』とかしるい人事に直面することで、タカラヅカを憎みたくなかった。
のんきにまっつまっつ言っている方がよかった。
だから逃げた。
宙組は、観に行かない。
たかちゃんのときもワタさんのときもコムちゃんのときも、必ず東宝まで1回は観に行ったけれど、かしちゃんは行かない。もう観ない。
そーやって逃げ続けて、今日。
持っていた東京会場のチケットは数日前に手放した。ぎりぎりになって、大阪会場のチケットを買った。
や、ムラに行ったらさばいている人がいたから。その人と会ってなかったら、観に行かなかったかもしれない。
どうしようか迷っているところに、手頃なチケットが目の前で売っていた。
見に行けってことだよな?
あきらめて、腹をくくって、見に行ったんだよ。
…………行って良かったんだと思う。
たぶん。
宙組組子たちは、さらにさらに「かしさんダイスキ」「るいさんダイスキ」を全身で表現し、かっしーもるいちゃんも、とっても美しく、またしあわせそうだった。
『維新回天・竜馬伝!』のアドリブは基本的にはムラと同じ、小道具もムラで使ったヤツの使い回し。それをさらに派手にしていた感じ。
グラバーさんの「いーこそ」タスキや、陽之助の「坂本先生命」も、あのまま。
ただ、竜馬さー……妻・お竜とのキスシーンもない芝居なのに、陽之助にしていいんかい?
ムラでは陽之助のほっぺにぶちゅっとキスした竜馬、東宝楽では、口にしてましたよ……。えーと。
貴城けい、男役人生、芝居での最後のキスの相手は、七帆ひかる。
よかったねー、七帆くん。記録に残るよ。あの美しい人の、最後のキスの相手はキミだっ。
『ザ・クラシック』では、替え歌率高し。オープニングのジーンズ穿いたバトラー5人組からして、「あいらぶかしさん」と歌う。
ショーがはじまる、最初の曲から替え歌。
ありえねえ。
このはじまり方がゆるされるんだ、内容も推して知るべし、コミカルにしていい場面は「かしるいラヴ」を全面に出していじりまくり。
本公演で、ここまでやっていいのか……。バウとかコンサートとかぢゃないんだぞ?
ここまでやっていい、やってしまう事実に、泣けて仕方がない。
そうしたいと思う組子たちの気持ちもそうだし、ソレをOKした演出家にもな。
わたしは『ザ・クラシック』は嫌いだし、ショーが『ザ・クラシック』だから二度と観たくないと思った人間だし、もともと草野ショーは苦手だし、いろいろいろいろ含むところはあるんだけれど、それでも、草野せんせがこのめちゃくちゃな東宝楽を許してくれたのだということに、感謝するよ。
ワンシーンちょっと遊ぶくらいならともかく、場面まるまる替え歌とか、演出家の許可がないとできないだろ。
かっしーは最後まで「仕事」を勤め上げた。
やるべきことをやった。
プロとして。
舞台をこなすことは当然として、そのうえでなお、精神面での仕事も果たした。
わたしみたいな半端なヤツが「つらくて直視できない」よーな現実を、おくびにも出さず「夢の花園の住人」として務めを果たした。
まぶしい笑顔で。
最後に「大和と陽月の宙組をよろしくお願いします」と彼が言ったときに、ほんとうに、強い人なんだと思った。
超えていくんだ。
なにもかも。
逃げていたわたしに、「強さ」とはなにかを見せてくれた、「夢の花園の住人」。
夢だから、はかなくていいわけじゃない。
夢だからこそ、心の闇やよどみゆがみ、この世のあらゆる醜いモノに負けてはならないんだ。
額に汗して努力して勝つのではなく、さわやかに笑いながら、負の部分なんかまったく見せずに超えてみせるんだ。
「わたしたち、しあわせになります」と、どこの新婚バカップルの結婚報告会見だよ?! のノリのかしるいのカーテンコールの挨拶に、泣き笑いしつつ。
なんて、「タカラヅカ」なふたり。
美しく、正しい。美しく、強い。
つきつめて考えると宝塚歌劇団に絶望してしまうから、考えたくない、こわいから観たくない……そうやって逃げていたわたしとは、まったく別の次元で輝くふたり。
それは、まるで。
わたしはタカラヅカが好きだ。
わたしはタカラヅカを愛したい。
タカラヅカの持つゆがみを凝縮したような『ザ・クラシック』とかしるい人事に直面することで、タカラヅカを憎みたくなかった。
目をふさいでイヤイヤをしている子どものよーだったわたしの前に、白馬に乗った王子様が現れたの。
マントを翻して白馬から降り立ったおデコの広い王子様は、素敵な笑顔で、泣いているわたしにおにぎりを差し出すのよ。
愛してもいいですか。
「貴城けい」を生み出した「宝塚歌劇団」を。
絶望も不信もあるし、きれいなだけの夢なんかないと知っている、ヨゴレタオトナのわたしでも、あなたの笑顔の奥の「オトナノジジョウ」を疑ってしまうわたしでも。
こんなに強く美しいあなたが「幸福だ」と「愛している」と言った夢の花園を、わたしも愛し続けていいですか。
かしちゃんの退団発表のあった9月5日からずっと、納得できないまま今まで来た。
納得なんか出来ない。今でもわからない。
それでも。
わたしはタカラヅカが好きだ。
わたしはタカラヅカを愛したい。
「貴城けい」を愛するように。
他の、ダイスキなジェンヌたちを愛するように。
行って良かったんだよな、『ラストディ』?
なんか、つらいことにはかわりはないんですけど。
それでも。
王子様は、現れた。
わたしは、彼の差し出したおにぎりを食べたの。泣きながら。
食べ終わったらまた、萌え〜萌え〜ってアタマ悪く繰り返す、いつものわたしになるんだ。
きっと。
王子様の笑顔を信じて。
ライブ中継『貴城けい ザ・ラストディ』を、どうするか。
どの会場で見るか、で迷っていたわけじゃない。
コム姫のときとちがって、かっしーの中継ならどこの会場でも見られる。東京以外は絶対売り切れないと踏んでいたし、東京だってふつーに手にはいると思っていた。事実、そうだった。
先週会ったkineさんには、「かしちゃん見送りに東京行くかも」と言っていた。どこでだって見られるんだから、行くこと自体はたやすい。
だから、わたしが迷っていたのはコム姫のときのように「東京行こうか、どうしようか」ではない。
見るか、見ないかだ。
つらかった。
つらくてつらくて、考えたくなかった。
ジュンタンからかしちゃんがどれだけ素敵かを聞くたびに、夜行バスに飛び乗って東宝へ行きたかったけれど、普段のわたしならふつーにそうしていただろうけれど、できなかった。
他の公演とは違い、行けばチケットがいくらでもある。掲示板にも定価以下でいくらでも「譲る」投稿があるし、オークションだって手頃な価格だ。わたしみたいなびんぼー人でも、観たければいくらでも観ることができる公演だった。それでも、観たいと思えなかった。
かしちゃんが素敵なのも、舞台が深化してすばらしいものになっていることも、今観なければ後悔することも、全部わかっていて、それでも、あと一歩を踏み出すことが出来なかった。
こわかった。
かしちゃんに会えばしあわせになれる。
でも、それと同じくらい、つらい思いをする。
それがわかっていたから、こわくて近寄れなかった。
宙組のこともかしるいのことも、考えたくなかった。
一歩を踏み出し、ヘヴィな命題にたどり着くのが嫌だった。
それは、「宝塚歌劇団」への不信であり、嫌悪だった。
わたしはタカラヅカが好きだ。
わたしはタカラヅカを愛したい。
タカラヅカの持つゆがみを凝縮したような『ザ・クラシック』とかしるい人事に直面することで、タカラヅカを憎みたくなかった。
のんきにまっつまっつ言っている方がよかった。
だから逃げた。
宙組は、観に行かない。
たかちゃんのときもワタさんのときもコムちゃんのときも、必ず東宝まで1回は観に行ったけれど、かしちゃんは行かない。もう観ない。
そーやって逃げ続けて、今日。
持っていた東京会場のチケットは数日前に手放した。ぎりぎりになって、大阪会場のチケットを買った。
や、ムラに行ったらさばいている人がいたから。その人と会ってなかったら、観に行かなかったかもしれない。
どうしようか迷っているところに、手頃なチケットが目の前で売っていた。
見に行けってことだよな?
あきらめて、腹をくくって、見に行ったんだよ。
…………行って良かったんだと思う。
たぶん。
宙組組子たちは、さらにさらに「かしさんダイスキ」「るいさんダイスキ」を全身で表現し、かっしーもるいちゃんも、とっても美しく、またしあわせそうだった。
『維新回天・竜馬伝!』のアドリブは基本的にはムラと同じ、小道具もムラで使ったヤツの使い回し。それをさらに派手にしていた感じ。
グラバーさんの「いーこそ」タスキや、陽之助の「坂本先生命」も、あのまま。
ただ、竜馬さー……妻・お竜とのキスシーンもない芝居なのに、陽之助にしていいんかい?
ムラでは陽之助のほっぺにぶちゅっとキスした竜馬、東宝楽では、口にしてましたよ……。えーと。
貴城けい、男役人生、芝居での最後のキスの相手は、七帆ひかる。
よかったねー、七帆くん。記録に残るよ。あの美しい人の、最後のキスの相手はキミだっ。
『ザ・クラシック』では、替え歌率高し。オープニングのジーンズ穿いたバトラー5人組からして、「あいらぶかしさん」と歌う。
ショーがはじまる、最初の曲から替え歌。
ありえねえ。
このはじまり方がゆるされるんだ、内容も推して知るべし、コミカルにしていい場面は「かしるいラヴ」を全面に出していじりまくり。
本公演で、ここまでやっていいのか……。バウとかコンサートとかぢゃないんだぞ?
ここまでやっていい、やってしまう事実に、泣けて仕方がない。
そうしたいと思う組子たちの気持ちもそうだし、ソレをOKした演出家にもな。
わたしは『ザ・クラシック』は嫌いだし、ショーが『ザ・クラシック』だから二度と観たくないと思った人間だし、もともと草野ショーは苦手だし、いろいろいろいろ含むところはあるんだけれど、それでも、草野せんせがこのめちゃくちゃな東宝楽を許してくれたのだということに、感謝するよ。
ワンシーンちょっと遊ぶくらいならともかく、場面まるまる替え歌とか、演出家の許可がないとできないだろ。
かっしーは最後まで「仕事」を勤め上げた。
やるべきことをやった。
プロとして。
舞台をこなすことは当然として、そのうえでなお、精神面での仕事も果たした。
わたしみたいな半端なヤツが「つらくて直視できない」よーな現実を、おくびにも出さず「夢の花園の住人」として務めを果たした。
まぶしい笑顔で。
最後に「大和と陽月の宙組をよろしくお願いします」と彼が言ったときに、ほんとうに、強い人なんだと思った。
超えていくんだ。
なにもかも。
逃げていたわたしに、「強さ」とはなにかを見せてくれた、「夢の花園の住人」。
夢だから、はかなくていいわけじゃない。
夢だからこそ、心の闇やよどみゆがみ、この世のあらゆる醜いモノに負けてはならないんだ。
額に汗して努力して勝つのではなく、さわやかに笑いながら、負の部分なんかまったく見せずに超えてみせるんだ。
「わたしたち、しあわせになります」と、どこの新婚バカップルの結婚報告会見だよ?! のノリのかしるいのカーテンコールの挨拶に、泣き笑いしつつ。
なんて、「タカラヅカ」なふたり。
美しく、正しい。美しく、強い。
つきつめて考えると宝塚歌劇団に絶望してしまうから、考えたくない、こわいから観たくない……そうやって逃げていたわたしとは、まったく別の次元で輝くふたり。
それは、まるで。
わたしはタカラヅカが好きだ。
わたしはタカラヅカを愛したい。
タカラヅカの持つゆがみを凝縮したような『ザ・クラシック』とかしるい人事に直面することで、タカラヅカを憎みたくなかった。
目をふさいでイヤイヤをしている子どものよーだったわたしの前に、白馬に乗った王子様が現れたの。
マントを翻して白馬から降り立ったおデコの広い王子様は、素敵な笑顔で、泣いているわたしにおにぎりを差し出すのよ。
愛してもいいですか。
「貴城けい」を生み出した「宝塚歌劇団」を。
絶望も不信もあるし、きれいなだけの夢なんかないと知っている、ヨゴレタオトナのわたしでも、あなたの笑顔の奥の「オトナノジジョウ」を疑ってしまうわたしでも。
こんなに強く美しいあなたが「幸福だ」と「愛している」と言った夢の花園を、わたしも愛し続けていいですか。
かしちゃんの退団発表のあった9月5日からずっと、納得できないまま今まで来た。
納得なんか出来ない。今でもわからない。
それでも。
わたしはタカラヅカが好きだ。
わたしはタカラヅカを愛したい。
「貴城けい」を愛するように。
他の、ダイスキなジェンヌたちを愛するように。
行って良かったんだよな、『ラストディ』?
なんか、つらいことにはかわりはないんですけど。
それでも。
王子様は、現れた。
わたしは、彼の差し出したおにぎりを食べたの。泣きながら。
食べ終わったらまた、萌え〜萌え〜ってアタマ悪く繰り返す、いつものわたしになるんだ。
きっと。
王子様の笑顔を信じて。
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