楽園の乙女たち、おもしれー!!

 新人公演『明智小五郎の事件簿―黒蜥蜴』の、いちばんの目玉。すごすぎる!!

 黒トカゲの島で、ビニールめいたカツラをつけて歌い踊る少女たち。同じ衣装、同じ髪型。だけどあきらかに、男も混じってることがわかる、アヤシイ人たち。

 本公演でも微妙なんだが(ビジュアルも、存在自体も)、新公ではさらに愉快なことになっていた。

 前もって出演者をチェックしたりしないわたしが、なにも考えずにオペラグラスをのぞくと、そこに。

 波越警部が、ドレスをひるがえして踊っていた。

 け、警部?! なにやってんですかっ?

 あわててオペラグラスを移動させる。するとどーだ、楽園の乙女たちはついさっき学ランを着ていた男たちと同じ顔をして踊っている。書生たち、なにやってんだ? 刑事も支配人もいる、てゆーか、岩瀬パパも踊ってる!!
 パパ@マメ!! ああ、見たかったマメがこんなところに!!(初日にマメの幻を見たそうですよ)

 顔ぶれのものすごさに悶絶していると、トドメを刺すよーに、謎のオカマ@アーサーが低い声で「つらかった〜〜♪」と呪い歌を歌い出す!!

 つらい。そりゃー、つらいだろう!! その姿、その声で女として生きるのは、無理ありすぎで昭和中期には浮きまくったことだろうよ。
 アーサーくんは期待の歌手なので、たしかに歌はうまい。だが、エンカレのときも書いたよーな気がするが、表現力に乏しいんだ。真面目に歌っていることはわかるが、顔はいつも硬直したまま。『TUXEDO JAZZ』で若手トリオでそれぞれソロを歌っていたりするが、ソコでもとっても硬直テイスト。
 そんなアーサーが、能面のまま、呪い歌@姿はオカマ。

 なんなのコレ! なんなのよーー!!

 なんのギャグ?

 もしもコレ、自分ちのテレビで見ていたら、転げ回って爆笑してる。

 本公演で、芽吹幸奈ちゃんのソプラノで刷り込まれているだけに、アーサーのアルトはこわい。
 それも、曲全体のアレンジをきちんとしたわけではなく、ただたんにアーサーのソロパートだけ音程を下げてあるんだよなコレ?
 なんなんだそりゃ。

 なにやってんだ新人公演演出、そんな意味のない、捨て身のギャグをカマさなくても。

 いやあ、声を立てないよーに笑うことに消耗しました。

 や、新公ですから人数の関係で、誰もが自分の役以外をアルバイトでやることは、わかっていますよ。
 わかっていることと、目にすることは別だから。
 人数が必要なのはわかるが、せめて岩瀬パパと警部と刑事はハズしてもよかったんじゃないか? 4人減ったからってどーなるもんでもないだろうし。
 もちろん、マメやかすがやしゅん様の女装が見られたことは、うれしかったんですが(笑)。 

 アーサーさえ、ふつーにソプラノで歌ってくれれば、ここまで破壊力もなかったろーになあ。
 いやあ、侮れないわ、新人公演。

 実際ここでは、キュートなサソリ@由舞ちゃんとかわいー彩音ちゃん、そして何故かやる気満々のだいもんを見ているだけで、終わっちゃったのよ。あああ、マメがっ、もっとマメが見たかったのにっ。だいもんがわたしの視界を奪うー。

 
 楽園で死にそーなほど笑っただけに、黒蜥蜴@ののすみを失って慟哭する明智@まぁくんの脇に所在なげに出てくる波越警部@かすがが、みょーにツボにハマってこまる。

 なにやってんですか警部。
 さっきまで女装して、スカート持って踊ってたくせに、またそんなくたびれたトレンチコート着ちゃってぇ。

 アルバイトと本来の役は別だとわかっていてなお、なんかツボる。
 いいなあ、警部……。
 本役の壮くんとちがって地味なところが、またわたしの脇スキーハートをくすぐるのよ……。
 こんなに地味な人が、『暁のローマ』新公ではカシウス様をやっていたのねええ……しみじみ。

 こんな趣味の悪い「楽園」を愛でる黒蜥蜴の度量の広さに感動。
 いやその、そもそも趣味悪すぎってことだけど。

 楽園の乙女たちだけでも、もう一度見たいなぁ。前方席でひとりずつガン見してぇ。


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