続けて、宙組『ハロー!ダンシング』の話。

 雪組版が相当トラウマになったので、今後『ハロダン』観劇するのを躊躇した。
 しかし、宙組版には一縷の望みがあった。

 すずはるき。

 この人が出演する、というだけで、「とりあえず、観てみよう」と思えた。

 どりーずメンバーは揃ってすずはるきスキーで、なんやかんや言って4人も宙組『ハロダン』観てるよなあ(笑)。しかも、うち2人は東京組だよなあ(笑)。

 
 星、雪、宙と、どんどん知っている出演者が減っている。
 星は半分、雪では4人、そして宙に至っては、すずはるき以外、誰も知らないという状態。

 わたしの今回の野望は、すずはるき以外、ひとりでもいいから顔と名前をおぼえるだった。
 まあ順当にいって、雪でいうせしるポジションの、鳳翔大くんとやらを、おぼえて帰ることにしよう、と思った。

 ……おぼえました、鳳翔大くん。ははは。

 88期なんだね。今調べて、おどろいた。もっとずーーっと下級生だと思ったよ。

 
 わかっていたことだけれど、すずはるきのひとり舞台でした。

 長でありながら、主役でもあるという、三面六臂の大活躍。

 ゆめみちゃんが娘役であったためにセンターを取れなかった場面を、すずは男役だから任されていた。
 それでいい。それが「タカラヅカ」だから。ゆめみちゃんはすばらしい人だけれど、それでもこれが「タカラヅカ」だから。

 男役スターが真ん中で輝く舞台は、正しく「タカラヅカ」で、安心してたのしめる。

 そういう意味で雪組よりはたのしめたのだけれど、やはり演出のセンスのなさに、盛大に肩を落とした。

 後半の目玉である、全員出演の組ごとに出し物の替わるシーン。
 星組は「都会はこわいところだ、故郷がいちばん!」、雪組は「オレたちパイロット、Hey!」……そして宙組は「戦災孤児たちの夢」。

 すずはるきなのに、子役!!

 主演の学年で考えたって、星86期あかし、雪84期ゆめみ&88期せしる、宙83期すずといちばん年長なのに。しかもすず、男役なのに。娘役のゆめみちゃんよりもっと、無理な若作りはキビシイのに。

 すずはるきに主役をやらせる公演で、何故わざわざ児童劇団のノリの場面をオリジナルで作るんだ、草野よ。

 星も雪も若者・大人の役だったんだってば。
 なんで宙だけ全員子役?!

 草野ってほんと、ナニも考えてないんだ……。

 すず以外は、女子校の文化祭ちっくな公演なんだよ? 
 すずを魅力的に見せてくれなきゃやってらんねー公演なのに、何故子役……。
 そして、タカラヅカ力の低さ5組1の宙組に、性別分化前の子どもをやらせるのはやめようよ……彼らに必要なのは「タカラヅカ」の「男役」「娘役」としてのスキルだってば。
 ダービー帽かぶって男女同じ衣装と振付で踊っていると性別がわからない、性別分化していないことに唖然となる人たちだっつーに。

 演出家の愛と興味のなさが透けて見えて、精神衛生悪いったら。

 いや、宙組はこれでいいのかもしれないけれど。
 性別分化なんかしないのが、ライトでいいのかもしれない。髪が短い人が男役、長いから娘役、という区別の仕方でいいのかもしれん。
 草野せんせーも、「宙組には性別分化不要」と判断し、それゆえに男女みな同じよーに稽古をつけたのかもしれない。
 「男役」ではなく、「男装した女の子」をウリにするのも、モーニング娘。がミュージカルをやるこの時代、たしかに戦略としてアリだろうと思える。
 星雪が「男役のキザりを勉強する場」として、サムさ爆発していたトリオ場面を、宙組では男ひとりと女の子ふたりの場面に変更していた。このことからも、やはり宙組は特別な意図を持って演出しているのかもしれない。
 この公演での2番手スター位置にいる鳳翔大くんの「男装した女の子」っぽさ、「女子校演劇部のスター」っぽさは、「新しい」形なのかもしれない。
 「男役」を「キモチワルイ」と感じる、ヅカファン以外の層へアピールするために、新しいタカラヅカスター像を、宙組で模索しているのかもしれない。
 
 そんななかですずはるきが、「男役」として、美しいこと。

 男装した女の子じゃない。
 男役。

 性別分化していない子どもたちが子役をふつーにごちゃごちゃ演じているなか、「子役は無理があるよ、勘弁してくれよ」と思うくらいに、大人の男。

 よかった。
 彼がいて。
 真ん中に立つ彼を見ることが出来て。

 宙組が新しい感覚を重視して創られている組だとしても、まだソレは発展途上であり、完成形ではないはずだ。
 今現在、商業ベースで舞台を務めるためには、「男装した女の子」ではなく、「男役」が必要だ。
 その意味で、すずはるきの存在が、唯一この公演を支えていた。

 
 すずを眺め、音楽に身を任せているだけで、あっという間の75分だった。
 たのしかったよ。

 だって、出演者はみんなみんな、とっても一生懸命。
 一途な若者たちの息吹を、間近に感じられる、それだけでも楽しめるもの。
 やっぱライヴはいいよね。

 
 『ハロー!ダンシング』というのは、ある意味愉快な、大変興味深い公演だと思う。
 ひとつ間違えると、劇団への不信感がどーんと目盛りアップしてくれちゃうけど(笑)。


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