昔のまとぶんには、正直興味がなかった。

 わたしは彼の「持ち味は正統派だけど、黒っぽい男役の方が世の中的にウケるから黒で行こう」的なところが苦手だったの。
 や、世間的にどうだとか、彼自身がどうだとかは知らないが、わたしはとにかくそう感じていたんだ。昔からずーっと。同じタイプにあさこちゃんがいる。「俺様の方がウケるから、俺様で売ろう」的な。
 どう見たって「いい人」なのに。ヲトメたちがときめくのは「ちょい不良」だからって、属性を偽らなくてもいいのに。
 そーゆー無理をしている人には、興味ないなー。

 あくまでも、舞台上のキャラの問題ね。本人の人格なんぞ知らないし、関係ないよ。

 舞台の上で、本当の鬼畜キャラつーのは、春野寿美礼みたいな人をいうんだと思う。
 あ、朝海ひかるも同カテゴリに入れてもまちがいではないな(笑)。寿美礼サマとは色がちがうけど。
 彼らはナチュラルボーンであり、「ソレが売れるから」そうしているわけではない。天使の笑顔で正統派二枚目を演じていても、本人がそのつもりでも、勝手に闇の属性がにじみ出ている(笑)。

 まとぶんが花組にやってきて、歪んだ王国の帝王ハルノスミレに翻弄され、今までのよーな黒っぽい男役を作っていられなくなり、一時「途方に暮れて泣き出しそうな、頼りなげな男の子」の体をさらし、そののち開眼した、今の芸風が好みど真ん中だ。

 今の芸風。
 すなわち。

 ワイルドM男。

 黒っぽい男役として培ってきた、ワイルドなビジュアル。本来の顔立ちはやわらかくも女性的な美貌なのに、雰囲気を黒っぽくすることでワイルドさを演出してきた。
 どんなに黒っぽくふるまっても、性格の良さはにじみ出る。いい人オーラ、かわいこちゃんオーラは隠せない。
 そのいびつさが、寿美礼サマとゆー真の「黒」の前で破壊され、男っぽいのに、受々しいという、素敵資質を開花。
 それも、ただ受てりゃいーっつーもんでもない。
 相手のS属性を受け、被虐キャラとしての色気爆発。

 ロドリーゴ@『落陽のパレルモ』でヴィットリオ@寿美礼サマにコケにされる美形貴族を演じ、資質の片鱗を見せる。
 オーランド@『Appartement Cinema』では、ウルフ@寿美礼サマに惚れきってる年下の犬属性攻男を熱演。女王様に振り回されるM男っぷりが素晴らしい。
 フィリップ@『ファントム』では、本人は恋人気取りなのにクリスティーヌ@彩音ちゃんには、頭数にもされず完全スルー、独り相撲が素敵なフラレ男。
 マックス@『MIND TRAVELLER』では、本人なにも悪くないのに不幸が雪だるま、殺されかけて記憶喪失でぬれぎぬでモルモットで電気ショックで、拉致られて集団リンチでこれでもかと驚異の受難、不幸っぷりがときめく美男。
 そして極めつけの雨宮潤一@『明智小五郎の事件簿―黒蜥蜴』、悪女のM奴隷。

 不幸であればあるほど、美貌が輝き、魅力が増すのは、どーゆーこっちゃ。

 踏みつけられると、色気がダダ漏れるのは何故。

 ふつーM系被虐系がハマる人は、美少年系というか、中性っぽかったり女っぽっかったりするもんなのに。
 まとぶ氏は男らしいまま、M道驀進。

 セクシー・ワイルド。……クール・ビューティと対をなす、もうひとつのカテゴリ。
 そこにまとぶ氏は、M属性を加えた!

 最強だ、真飛聖。
 見ていると、ぞくぞくする。

 いぢめたい……この男、いぢめたいー。
 泣かせたい〜〜!!

 
 てことで、彼のはじめてのパーソナルブック。

 Mっぽくて、いいデキです(笑)。

 表紙からして、美形M男オーラ出してますよ!!

 ゆみこパソプでも語ったけれど、わたしがタカラヅカ男役の写真集に求めるモノは、「タカラヅカ男役」。
 素の、きれいな女の子の写真集じゃない。
 女の子写真は退団してからいくらでも出してくれ。
 それより今は、「男役」という希有な存在であることを「創りあげ」て、「作品」にしてほしい。

 2007年パソプはまとぶ氏でVOL.3。
 実はVOL.2のらんとむさんも、発売直後いそいそと手に取ったのだけれど。
 ……かなしいかな、求めるモノではなくて、眺めるだけで棚に戻してしまった。

 わたしが欲しいのは、「タカラヅカ男役」の写真集。きれーなおねーさんじゃない。
 ましてや、熟女写真集ぢゃない。
 舞台のらんとむはあんなにいい男なのに、パソプのコンセプトはまちがってるとしか思えない。

 肩を落としつつ、発売日にVOL.3のまとぶ氏を手に取った。
 あの男っぽいらんとむが「女の子」写真を撮ってるくらいだ、素がかわいこちゃんな美人のまとぶんはさらに「ただのアイドル写真集」だったらどうしよう。
 そう、危惧していたさ。

 ところが。

 ……そのまま、レジへ直行。
 
 「男役」だ。
 「タカラヅカの男役」だ。

 素の「女の子」写真の方がラクだろうに、いくらでもきれいになるだろうに、あえて、「男役」を創りあげようとしている、写真集。

 その心意気やヨシ!!

 男役のまとぶが好き。
 10年以上懸けて人工的に後天的に、意志を持って創りあげられた、彼の財産が好き。
 
 星組時代・下級生時代からエリートコースを進み続けた彼だけど、写真集としてまとまったのが「今」でよかった。
 星組下級生時代の女の子アイドルまんまだったころでなく。
 また、かよちゃんを追い落とし、組替えで来たしいちゃん@新公主演経験上級生をハナから下に置き、トップ路線男役としてブイブイ言わせていた星組時代後半でもなく。
 花組に組替えになり、いろんなものにぶち当たり、あがいて傷ついて、そして独自の魅力を醸し出しはじめた、「今」。

 「今」の真飛聖の魅力が詰まった写真集だ。

 これから先、彼はまた変わっていくだろう。
 次の写真集ではチガウ顔をしているかもしれない。

 だからこそ、2007年personal bookは、意味がある。

 今の、「被虐系セクシー・ワイルド」とゆー、希有な芸風が匂い立ってます。

 ダイスキだ、まとぶん。


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