星組ってさあ……。
 そして、星組ファンってさあ……。

 なんであんなにふつーに、手拍子が揃うの?

 星組公演『さくら』『シークレット・ハンター』千秋楽。

 フィナーレ銀橋の「クンバンチェロ」にて。
 拍手が、鳴りやまないわけだ。

 トップお披露目おめでとートウコちゃん。
 雪組時代、同じよーに歌った「クンバンチェロ」を、トップとなって再び歌うことの意味。
 あのころ「すぐさまトップOK」だった人が、紆余曲折を経て10年も回り道をして、よーやくここへたどり着いた。
 その、涙涙の「クンバンチェロ」だ。

 アツすぎる空気。
 拍手の音がチガウ。
 いつまでもいつまでも、盛り上がり続ける。ショーストップしたまま。

 で。
 銀橋のトウコが、動いた。
 客席に向かって両腕を広げ、「静まれ」のゼスチャー。

 ぴたっ。

 ……ぴたっ、て。

 静まるんだもん、客席!!

 あれほど鳴り響いていた拍手が、ぴたっと止まるの。

 なにこれぇ〜〜。
 なんで、止まっちゃえるの?!!

 初日、やはり同じように手拍子が揃った。トウコの音頭で、チャ・チャ・チャ!でぴたりと揃った。

 なんの練習もなく、事前の打ち合わせも指示もなく、2500人の赤の他人の行動が揃うって、なにごと?

 ありえない。
 ありえないよ星組!!(笑) や、わたしももちろんぴたりと静止したけどなっ。

 この、一体感。
 舞台も客席もラインを超えた熱さがある。

 トウコちゃんはこの「アツい星組」を正しく継承するトップスターだ。
 「真ん中」で観客の熱を自在にあやつる人。自身が熱を放出することによって。

 安蘭けいの時代が来た。
 それがただもう、うれしい。

 
 彼の「時代」は、決して長いものではないだろう。
 就任までにこれだけ時間がかかってしまったのだから、先が長くないことは予想がつく。
 トウコが過ごしてきた時間に、なにひとつ無駄はないと思うし、星組に来てからのトウコの演じた役が大好きだから、それらに出会えたことをとてもうれしく思っているけれど。
 それでも、「トップスター」として過ごせる時間が短いことが、とても残念なんだ。

 彼と同期のオサ様は、まさしく「今」、円熟期を迎えている。
 トップになって5年経ったからこそ得られる、凄まじい魅力を放出している。
 もともと歌の得意な人だったけれど、今ほどの豊かな歌声を、トップになったばかりの頃には出せていなかった。

 どんな天才だって、「時間」は超えられない。
 そのときそのときに出せるものがちがっている。

 トウコは実力派だし、お披露目からすでに完成形かと思えるような堂々たるトップスターぶりを見せてくれる人だ。
 そのことに安心しているし、感動してもいるけれど、それでも、思うんだ。

 トップスターとして、長く君臨することでしか出せないものは、たしかにあるのだと。

 トップとして、円熟期のトウコを見たかった。
 どれほどのものを見せてくれただろうかと思う。
 今現在で、ここまで見せてくれる人なんだよ。このまま熟成させたら、どれほどの殻を破り、観客を熱狂させたことだろう。

 そう思うと、惜しくてならない。

 
 もちろん、今は今で、たのしんでいる。
 今の星組を、今、真ん中に立つトウコを、愛している。
 満を持してやってきた彼の「時代」を愉しんでいる。

 
 千秋楽のお遊びは少なめ。

 『さくら』の「節句人形」場面で、武者人形@トウコが、なんの説明もなく、アタマにミニチュアこいのぼりを付けていた。こいのぼりっちゅーか、吹き流し?

 目を、疑った。

 烏帽子に付いてる、アレはナニ?
 誰も突っ込まないし、舞台はふつーに進んでいくし。
 なにより、トウコが、くそまじめに演じているし。

 でもたしかにあんなもの、今までついてなかったよね?
 てゆーか、変だよね?

 お遊びだ、とは思うけれど、あまりに微妙すぎて混乱。
 楽のお遊びなら、出てきた瞬間観客が爆笑するとか、舞台上でそれについて言及するとか突っ込むとかがないと、混乱する(笑)。

 トウコの仕掛けは、そののち開眼。
 アタマになにか付けながらも、大真面目に演じていた武者人形、くるりと背を向けるとそこに、こいのぼりが。

 こっちはよーっくわかる、ふつーにこいのぼり。
 お遊びだと、ギャグだとわかる。

 それでよーやく、「頭に付いてるアレも、お遊びだ」とわかるんだ。

 にしても、誰もこいのぼりには言及せず、舞台はシリアスに終始するんだよ。
 さすがだ、トウコ&星組。

 『シークレット・ハンター』では、冒頭のトウコちゃんのひとり芝居で言及するくらいだったかな。
 あ、そだ、もひとつあった。
 「男爵とお呼び下さい」に対し、ダグ@トウコがとーっても滑舌良く「男爵いもぉ?!」と返し、男爵@しいちゃんを憤慨させていたわ。
 目を剥くしいちゃんがツボ。まさく憤慨(笑)。

 でも、ほんと楽だからとギャグ連発で暴走することナシ。
 元がはちゃめちゃな芝居だったけれど、それをさらにアドリブでぐちゃぐちゃにすることは、しなかったのね。

 や、楽はわたし、ジェニファー@あすかちゃん見てツボ入りまくりでがーがー泣いてたんで(笑)。変にギャグに走られなくてよかったかなと。

 
 フィナーレのデュエットダンスは、初日と同じようにセリ下がりの最後の最後まで、トウコの表情ガン見していたし(笑)。
 気張ってエロい顔をしているのは途中までで、セリ下がっていく最後は、あすかを抱いたまま静かに放心したように目を閉じているの。
 それがまた、エロいのよ。
 攻の顔ではなく、受の顔で終わるところが、そしてソレがまたエロいところが、トウコのすごいとこだわー。

 くそー、トウコでエロを見せろー。トウあすでエロエロを見せろー。

 拳を振り上げて主張するわ。これだけの素材を腐らせるなよ劇団!!
 もったいないオバケが出るぞー。

 
 最後の挨拶は噛みまくりで、「せっかくいいコト言ってるのに(笑)」でかわいいっす。
 わざとですか? 捨て身でギャグやってる? いやあ、いいキャラクタだ、安蘭けい。

 いつまでも鳴りやまない拍手。
 トウコの口から「気を付けてお帰り下さい」と言わせるまで、カテコを続けるんだもんなあ。

 星組は、アツい。

 こーでくなくちゃ。


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