「真ん中」に立つ人、立たない人。@エリザベート
2007年5月7日 タカラヅカ 『エリザベート』の初日感想の続き。
ルドルフ@かなめ。
とにかくそのスタイルのよさが、最初から目に付く。幕開きの亡霊さんたち、網をかぶってライトもろくに当たってなくても、まず目がいく。「あ、あそこにきれいな人がいる!」って。
えー、ここ数年のかなめくん比において、とてもよかったっす。
去年の『Young Bloods!! 』とか、主演の新公とか、かなりわたし的に評価が低かったので、それからすればびっくり!な感じ。
とにかく、「やる気」がなく見えるのがかなめくんのつらいところ、なにをしたいんだ、どうしたいんだ、扱いと実力と美貌がバラバラ、方向性が見えない子だったのに。
「中日のかなめは、谷みずせよりはやる気があるよーに見えた」
「比較対照が谷みずせってとこで終わってるから!」
「や、谷みずせも、谷みずせ比でいうとかなりやる気だったんだってば」
「通常の谷みずせより上の谷みずせより上のやる気を持つ、凰稀かなめ? 難しいなその基準」
……そんな会話をしていたのが。
「かなめにしては、やる気があるよーに見えた?」
「かなめにしては、よくなってた?」
終演後、友人たちとそんな会話になりました。
なにがどう、どこがどう、ではないけれど、低迷期を抜けて光が見えた?
谷みずせを基準にすることもなかったしな。あ、重臣ズを演じるたにやんはたにやんでステキなんですが。
ほんとのところ、ルドルフ役はかなめくんがいちばん魅力を発揮できる役ではないと思う。受キャラを美しく演じると、ふにゃふにゃしちゃうタイプだもんなー。
それでもなにかしら腹を決めて演じているあたりが、魅力につながっているのかなと。
受キャラだから、破滅する王子様だからときれいなだけ弱っちいだけにせず、強さを前面に押し出した方がかなめくん的には栄えると思うんだけどなー。
シシィが持つ野生を表現できたら、檻の中で朽ち果てる寂寥も見えてくると思う。
かなめ比ではとてもいいんだけど、まだこれからいくらでも魅力を出せそうだ。
でもって、順番的に行くと次は革命家トリオだな。
今回の『エリザベート』でもっともミスキャスト、ダメだと思ったのが、この革命家トリオだ。
シュテファン@コマはまだいいし、ジュラ@キングは相当やばいんだが、まあ役がジュラ程度なので「ぼーっと立っているだけ」でもまだ救いはある。
エルマー@ひろみが、マジでやばかった。
わたしは今まで、革命家トリオが何故若手路線男役たちが演じるのか、深く考えたことがなかった。
「役が他にないもんなー、あとからとってつけた役で、出番もろくにないけど、群衆や顔の見えない黒天使よりはいいのか」程度の認識で、「だから、路線の役」だと思っていた。
そーじゃなかったんだ。
今回の『エリザ』を観て、思い知った。
エルマーは、ぶっちゃけ「いなくてもいい役」だ。
賑やかしでいた方がイイが、いなくても話は進む。家柄のことだの父親のことだの、不自然な説明台詞で解説してはあるが、彼自身の書き込み自体はとても少なく、薄い。
そして、ハンガリーのシーンにしろ、カフェのシーンにしろ、いつも群衆の中にいる。
路線系キラキラ存在感がないと、埋もれる。
必要なのは、歌唱力でも美貌でもなく、押し出しの良さだ。
脇役ではない、スターである、と全身で叫ぶ力。
大劇場の真ん中に立って、「中心」がどこであるかを示す力。
それがないと、「ただの脇役」になってしまうんだ。
ここまで、薄く、弱くなってしまうんだ。
今まで考えたこともなかった。
ひろみちゃんに含むところはナニもない。その美貌と繊細な演技に「なんて美しいエルマーだ」と感心してはいる。
だが、たんにコレ、ミスキャストなんじゃあ?
歴代のエルマーはみな「新公主演経験者」しかやっていない。「大劇場の真ん中にひとりで立つ」ことができた(できる)男役しかやっていないんだ。
それくらい、他のなにがなくても、とにかく「華」が必要な役なんだ。
劇団は何故、こんな妙なキャスティングをしたのだろう。
エルマーは本来、コマがやるべきだったと思う。コマはシュテファン役でがんばっているが、エルマーが「小さい」ために空回っている。
「ミルク」は大好きな場面なんだけどなぁ。
革命家が弱いために、群衆との区別がつかなくて困る。
キングは相当やばいぞ。どーしたんだ? 体調悪い? このままじゃ透明人間になってしまう。
ヴィンディッシュ嬢@いづるんは、ファンタジーな存在。
ふわふわ衣装を着て現れたコスプレ娘。
アニメと現実の区別がつかなくなったよーな感じ。
今回の『エリザベート』は、アニメ的な存在とリアルな存在が混在していて、おさまりが悪い。
フランツやゾフィーは今までになくリアルなのに、トートはアニメ的だ。その間で揺れ動くシシィは不安定。
観劇しているわたしもまだ、消化し切れていない。
ヴィンディッシュ嬢もまた、今までのリアルな精神病患者ではなく登場したので、混乱。
シシィを誘惑するモノ(トート、ヴィンディッシュ嬢)は、異次元的にする、と決めてあるのか。
それはそれで、おもしろいアプローチだと思う。
しかし、シシィ@となみがまだ、リアルとアニメの間で困惑している印象。
難しいわなそりゃ。ふつーはどっちかひとつに合わせて役作りするものなのに、世界観ふたつが同時に存在するなんて。
トート@水がそうであるように、ヴィンディッシュ嬢@いづるんもまた歴代ヴィンディッシュ嬢と意味合いがまったく違っているので、いいも悪いもナイ。
こーゆーものなんだ、と受け止めるだけで今は精一杯だ。や、わたしが。
マダム・ヴォルフ@かおりちゃん。
かわいい。コケティッシュ。
ルキーニ@キムとの並びなんて、どこの青春カップルかと。
……チガウだろ。
これはもう、素直に「チガウやろ!」と突っ込める(笑)。
歌声も姿も所作も、なにもかもが「ヒロイン系娘役」。娼館のマダムぢゃない〜〜。
かおりちゃんは最後のエトワールがステキで、それこそが彼女の正しい持ち味だとわかる。
わかる……けれど。
「柄違いだったのね」で終わっちゃいかんだろ、マダム・ヴォルフ。
ひろみちゃんのエルマーとはちがい、かおりちゃんはミスキャストだとは思わない。路線系が脇を演じることはままあるし、また、真ん中を務められる華と実力を持ってあえて、脇の役をぴしっと締めるというのは、ぜんぜんアリなはずだ。
もっとできるはずだと思う。これからに期待。
ルドルフ@かなめ。
とにかくそのスタイルのよさが、最初から目に付く。幕開きの亡霊さんたち、網をかぶってライトもろくに当たってなくても、まず目がいく。「あ、あそこにきれいな人がいる!」って。
えー、ここ数年のかなめくん比において、とてもよかったっす。
去年の『Young Bloods!! 』とか、主演の新公とか、かなりわたし的に評価が低かったので、それからすればびっくり!な感じ。
とにかく、「やる気」がなく見えるのがかなめくんのつらいところ、なにをしたいんだ、どうしたいんだ、扱いと実力と美貌がバラバラ、方向性が見えない子だったのに。
「中日のかなめは、谷みずせよりはやる気があるよーに見えた」
「比較対照が谷みずせってとこで終わってるから!」
「や、谷みずせも、谷みずせ比でいうとかなりやる気だったんだってば」
「通常の谷みずせより上の谷みずせより上のやる気を持つ、凰稀かなめ? 難しいなその基準」
……そんな会話をしていたのが。
「かなめにしては、やる気があるよーに見えた?」
「かなめにしては、よくなってた?」
終演後、友人たちとそんな会話になりました。
なにがどう、どこがどう、ではないけれど、低迷期を抜けて光が見えた?
谷みずせを基準にすることもなかったしな。あ、重臣ズを演じるたにやんはたにやんでステキなんですが。
ほんとのところ、ルドルフ役はかなめくんがいちばん魅力を発揮できる役ではないと思う。受キャラを美しく演じると、ふにゃふにゃしちゃうタイプだもんなー。
それでもなにかしら腹を決めて演じているあたりが、魅力につながっているのかなと。
受キャラだから、破滅する王子様だからときれいなだけ弱っちいだけにせず、強さを前面に押し出した方がかなめくん的には栄えると思うんだけどなー。
シシィが持つ野生を表現できたら、檻の中で朽ち果てる寂寥も見えてくると思う。
かなめ比ではとてもいいんだけど、まだこれからいくらでも魅力を出せそうだ。
でもって、順番的に行くと次は革命家トリオだな。
今回の『エリザベート』でもっともミスキャスト、ダメだと思ったのが、この革命家トリオだ。
シュテファン@コマはまだいいし、ジュラ@キングは相当やばいんだが、まあ役がジュラ程度なので「ぼーっと立っているだけ」でもまだ救いはある。
エルマー@ひろみが、マジでやばかった。
わたしは今まで、革命家トリオが何故若手路線男役たちが演じるのか、深く考えたことがなかった。
「役が他にないもんなー、あとからとってつけた役で、出番もろくにないけど、群衆や顔の見えない黒天使よりはいいのか」程度の認識で、「だから、路線の役」だと思っていた。
そーじゃなかったんだ。
今回の『エリザ』を観て、思い知った。
エルマーは、ぶっちゃけ「いなくてもいい役」だ。
賑やかしでいた方がイイが、いなくても話は進む。家柄のことだの父親のことだの、不自然な説明台詞で解説してはあるが、彼自身の書き込み自体はとても少なく、薄い。
そして、ハンガリーのシーンにしろ、カフェのシーンにしろ、いつも群衆の中にいる。
路線系キラキラ存在感がないと、埋もれる。
必要なのは、歌唱力でも美貌でもなく、押し出しの良さだ。
脇役ではない、スターである、と全身で叫ぶ力。
大劇場の真ん中に立って、「中心」がどこであるかを示す力。
それがないと、「ただの脇役」になってしまうんだ。
ここまで、薄く、弱くなってしまうんだ。
今まで考えたこともなかった。
ひろみちゃんに含むところはナニもない。その美貌と繊細な演技に「なんて美しいエルマーだ」と感心してはいる。
だが、たんにコレ、ミスキャストなんじゃあ?
歴代のエルマーはみな「新公主演経験者」しかやっていない。「大劇場の真ん中にひとりで立つ」ことができた(できる)男役しかやっていないんだ。
それくらい、他のなにがなくても、とにかく「華」が必要な役なんだ。
劇団は何故、こんな妙なキャスティングをしたのだろう。
エルマーは本来、コマがやるべきだったと思う。コマはシュテファン役でがんばっているが、エルマーが「小さい」ために空回っている。
「ミルク」は大好きな場面なんだけどなぁ。
革命家が弱いために、群衆との区別がつかなくて困る。
キングは相当やばいぞ。どーしたんだ? 体調悪い? このままじゃ透明人間になってしまう。
ヴィンディッシュ嬢@いづるんは、ファンタジーな存在。
ふわふわ衣装を着て現れたコスプレ娘。
アニメと現実の区別がつかなくなったよーな感じ。
今回の『エリザベート』は、アニメ的な存在とリアルな存在が混在していて、おさまりが悪い。
フランツやゾフィーは今までになくリアルなのに、トートはアニメ的だ。その間で揺れ動くシシィは不安定。
観劇しているわたしもまだ、消化し切れていない。
ヴィンディッシュ嬢もまた、今までのリアルな精神病患者ではなく登場したので、混乱。
シシィを誘惑するモノ(トート、ヴィンディッシュ嬢)は、異次元的にする、と決めてあるのか。
それはそれで、おもしろいアプローチだと思う。
しかし、シシィ@となみがまだ、リアルとアニメの間で困惑している印象。
難しいわなそりゃ。ふつーはどっちかひとつに合わせて役作りするものなのに、世界観ふたつが同時に存在するなんて。
トート@水がそうであるように、ヴィンディッシュ嬢@いづるんもまた歴代ヴィンディッシュ嬢と意味合いがまったく違っているので、いいも悪いもナイ。
こーゆーものなんだ、と受け止めるだけで今は精一杯だ。や、わたしが。
マダム・ヴォルフ@かおりちゃん。
かわいい。コケティッシュ。
ルキーニ@キムとの並びなんて、どこの青春カップルかと。
……チガウだろ。
これはもう、素直に「チガウやろ!」と突っ込める(笑)。
歌声も姿も所作も、なにもかもが「ヒロイン系娘役」。娼館のマダムぢゃない〜〜。
かおりちゃんは最後のエトワールがステキで、それこそが彼女の正しい持ち味だとわかる。
わかる……けれど。
「柄違いだったのね」で終わっちゃいかんだろ、マダム・ヴォルフ。
ひろみちゃんのエルマーとはちがい、かおりちゃんはミスキャストだとは思わない。路線系が脇を演じることはままあるし、また、真ん中を務められる華と実力を持ってあえて、脇の役をぴしっと締めるというのは、ぜんぜんアリなはずだ。
もっとできるはずだと思う。これからに期待。
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