どうしようか相当悩んだんだけど、半ば意地になって行ってきました、月組『ハロー!ダンシング』

 星組でたのしみ、雪組で興行自体に疑問を持ち、宙組はそれでもたのしめたけれど、疑問は拡大し。
 花組はキャストのファンだから行くと決めているけれど、月組はどうしよう。キャスト云々ではなく、劇団に対する疑問がひどくなるだけではないか、と危惧した。

 ……行って良かったよ、月組『ハロダン』。
 またしても、劇団の「やりたいこと」がわからなくなった(笑)。

 ここまで振り回してくれると、なんかもー突き抜けちゃったよ。たのしくなってきた。

 月組『ハロダン』は、今までのどの組ともまた、ちがったの(笑)。

 星組はあかしという「スター」を真ん中に据えた、「ふつーのタカラヅカ」だった。
 雪組はせしるを真ん中にしたかったけれど無理だと判断、座長で職人のゆめみちゃんが消去法でとりあえず、せしるができないことを代わりにやる。
 宙組は座長のすずはるきオンステージ。

 月組はどうする気だろう、キャスト的に判断すると、雪組バージョン?
 流輝一斗を主役にしたいけれど、技術的に無理だから、消去法で座長の涼城まりなちゃんが補完する感じ? でもソレ「タカラヅカ」的にまちがってるんだけどなあ。

 ちがいました。

 予備知識ないまま、幕が開いて。

 麻月れんかがセンターで、腰を抜かした。

 あああ麻月くん?! んなアホな。よりによって何故彼が?!!

 えー、わたしのブログをずーっと読んで、記述のすみずみまでチェックしている人はまずいないと思うけれど、麻月くんは初舞台から愛でてきた「顔が好み」の男の子です。月組公演感想のあちこちに、彼のことを書いてきてます。
 新公ですら役が付かないまま、舞台で声を出す・台詞を言うことがろくにないまま研7になっている小柄な男役。

 なにしろ真ん中に立つ経験皆無、てゆーか、ライトあびることさえないだろ的な人。
 『ハロダン』メンバーでちわわちゃんに次ぐ学年・席次であったとしても、舞台で中心的に使われることがあるなんて、夢にも思ってなかった。学年考慮で立ち位置がいい、程度だと思っていたんだよ。

 真ん中て!!
 それも、振付難関リンダ・ヘーバーマンのニューヨーク公演再現シーンかよ!!

 あまりのことに、麻月くんロックオン、彼だけガン見して、他を見ていません、オープニング。

 
 い、いたたまれない……。

 技術も存在感も、もちろん華や美貌も、なにひとつ足りてませんとも、麻月れんか。
 押し出しも弱いし、アピールもぜんぜんだ。

 だけど、彼がセンター。
 そして。

 ……やっぱり好きだ〜〜!

 好みなんだよ、この子。
 このダメっぷりも含めて!!(笑)

 くそぉ、なんでこーまっつに似てるんだ。顔も、華のなさも!

 キザる麻月くんに、息も絶え絶えです。板に付いてない〜〜、きゃ〜〜、助けてぇ。

 まるまる1場面、一貫して彼がセンターだったので困惑絶好調。
 星組ではあかしが踊っていたパートだよ? 宙組ではすずはるきだよ?
 月組、ぜんぜん足りてないよ、このセンター!!

 いやその、うれしいんだけど。
 なまじうれしいだけに、「こ、この子でいいんですか?」「ごめんなさい、ごめんなさい」という気持ちになってしまって。や、わたしが恐縮する謂われはないんだが。

 なにが起こっているんだ、この公演?

 現実を受け止め切れていないうちに、次の場面。
 ドラマティックなパッショネイト・ダンス。ここにも麻月くん登場。
 しかし、センターではない。

 センター、貴千碧だよ!!

 文化祭から異彩を放っていた、91期研3男。去年の『Young Bloods!! 』でも女装のオチに使われたり、アドリブでモノマネしたりしていた、ヘンナヤツ!!

 麻月くんは「なんでセンター?! ごめんなさいごめんなさい」だったのに、貴千くんに関しては、適材適所キターー!! つー感想。

 濃い。
 濃いぞ貴千碧。

 研3なんて嘘だよな? 研13だよなっ?!

 納得のセンターぶり。
 技術と存在感、そして顔芸。

 自分が真ん中である、群舞を自分がまとめる、ことを理解して踊っている、その吸引力。

 やーん、かっこいー!!

 てゆーかこの学年でワークショップとはいえセンター張る? すげーなヲイ。

 
 そう。
 月組『ハロー!ダンシング』は、場面ごとに、センターの人がチガウという構成になってました。

 おいおいおい!!
 なんなんだよソレ。
 今までの組と、コンセプトからチガウやん!!

 雪と宙を観て劇団に対して疑問を持った。なにがやりたいんだ、と。
 バックダンサー養成がしたいのか、ダンススクールの発表会がやりたいのかと。ここは「タカラヅカ」ではないのかと。

 それをまるっと撤回して。

 「場面ごとにセンター修行」「男役修行」……って、正しい「タカラヅカ」のワークショップやん!!

 舞台人は、舞台に立つことで成長する。
 稽古場でどれだけ練習しても、ソレだけでは足りない。実際ナマの舞台に立ち、客の前で演技してこそ成長する。
 ただの脇役、群舞の隅にいるだけなのと、センター張って舞台を吸引するのでは、得られる経験値がまったくチガウ。
 大劇場では人数の関係もあってろくに機会を与えられない人に、ワークショップで勉強をさせる。
 ……それって、正しい。
 それこそが、この『ハロー!ダンシング』という謎の興行の意義だ。

 『エンカレッジコンサート』で、どんな下級生でもとりあえず「ひとり」で舞台に立たせ1曲フルに歌わせる、のと同じよね。
 「真ん中」に立つ練習。「スター」であることの練習。
 ここは「タカラヅカ」だから。バックダンサー養成所ではナイ。ひとりずつが「スター」として輝くことを求められる夢の舞台なのだから。

 なんだよ〜〜、興行として正しくなってんじゃん〜〜。
 てゆーか、今までのはなんだったんだ。失敗を元にし、軌道修正したってのか??

 劇団のやることってわからない。
 各組バラバラじゃん、コレ。
 いいのか? ちっとも公平じゃないぞ?

 疑問は尽きないが、なんにせよ、月組版は、たのしかった。

 長くなったので、翌日欄につづく〜〜。

 

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