ひとには好みがいろいろあるけれど。

 わたしの男の好みの中に、何故か燦然と輝く「身体的特徴」がある。
 ソレがあると、なんかときめく。
 目がいく。

 自分でもどーしてかわからない。
 自覚したのも、近年のことだ。

 ええ、ソレはすなわち。

 目の下の「シワ」だ。

 何故。
 何故こんなもんにときめくのだ〜〜?!

 ケロの目の下のシワが好きだった。
 年齢不詳、新公学年からすでにいい感じにおっさんだった。

 まっつの目の下のシワが好きだ。
 年齢不詳、そのうえなんか薄幸で、たまらんウハウハ、って感じ。

 そして月組観劇時はガチャ氏を目で追う自分に気づく。
 ゆーひ、そのかを見ていないときはガチャを見ているわたしってナニ?!
 ああ彼の、目の下のシワがいけないのよ……なんかわたしの目を奪うのよ……。

 そんなわたしですから。

 『舞姫』千秋楽の日、ひさびさ(でもないか。けっこう会っているような……)の再会を果たしたパクちゃんとふたりして。

「みつるの、目の下のシワ好き〜〜っ!!」

 と、盛り上がる。

 ……なんてピンポイントな萌えだ……。

 
 はいはいはい、『舞姫』の泣かせ担当、原芳次郎@みつるくんの話!

 みつるくんの、あのシワはなんなんですか?
 大きな少年めいた瞳とアンバランスなシワ。見た目ジャニーズ系のきらきらなおにーちゃんなのに、あのシワ。
 やーん、かっこいー。

 原よっしーはベルリンで豊太郎@みわっちの出会う私費留学生。
 信念を持ち、異国で戦う雄々しき日本男児。

 そう、雄々しいのだ。

 顔だけ見りゃーかわいこちゃんなのに、持ち味は骨太。

 方言で話す、野性を感じさせる青年。
 その美貌と野性味が相まって、キラキラしている。

 丹波@らいらい、大河内@しゅん様の嫌味コンビに絡まれたときの、三者三様の歌が好き。
 くうぅ、かっこいー。

 恋人のマリィ@由舞ちゃんがまた、派手で生命力のある美少女だしさー。
 このふたりの並びがとてもきれい。

 なにをするでもなく、ただふたりがカップルとしてそこにいる、だけで、わくわくするふたりってのは、ある。
 その昔、アルヴァ@たかことライラ@花ちゃんが並んでいるだけでわくわくしたことを思い出した……や、アレは兄妹役だったけど、あまりの映りのよさに。

 よっしー単体でもたしかにいい男なんだけど、マリィとの相乗効果でさらに魅力的になっていると思うのよ。

 よっしーの部屋で、「ボクのエリス、ボクの恋(はぁと)」と語り続けて別世界へトリップしている豊太郎の後ろで、ごくふつーにいちゃついているよっしーとマリィが、すごく好き。
 や、トヨさんそっちのけでよっしーとマリィをオペラグラスでガン見しちゃったりとかな。(トヨさん見ている日もあります、もちろん)

 いいなあ。
 あたしもよっしーみたいなダーリン欲しい……。指くわえ。

 てなことを考えてしまうくらい、いちゃいちゃしているふたりがいいの。
 他愛なくて、日常で、幸せそうで。

 ふたりに「生活」が、そして「日常」が感じられるのがいいの。
 特別だとか運命だとか、そーゆー物語めいたことはなく、ふたりにとってこれが日常、これがふつう。
 互いを愛し、そのカラダに触れ、時間を共有するのが「あたりまえ」のこと。
 そしてその「あたりまえ」が「ふつーのしあわせ」である、幸福感。

 それが、せつないほどまぶしい。

 2回目以降の観劇では、ふたりの結末を知った上で観ることになるから、さらに。
 ふたりがキラキラしていてしあわせそうで、かわいらしいカップルであればあるほど、泣けてくるのよ。

 よっしーの最期、「おかゆさん食べたい」あたりで号泣スイッチON!
 ここがいちばん泣けるのは、「人が死ぬ」というわかりやすい泣かせ場所であることに加え、最初の山場だからだろう。
 よっしーの死後、たたみかけるようにラストまで持っていくからなー。

 みつるは、「熱」のある芝居が出来る人だと思う。
 多少アレな脚本でも、役者が熱を放出することで観客を煙に巻いてしまう、アレな脚本がスタンダードであるヅカでは真ん中へ向かう人に必須な条件、持ち味。
 『落陽のパレルモ』新公で、本公演とはまったく別物の「恋愛ドラマ」をその熱放射によって見せてくれたように。

 原芳次郎役で、その熱を存分に発揮。
 死に逝く彼を看取る豊太郎、マリィの熱演と共に、そりゃーもー、涙を搾り取ってくれました。さめざめ。

 よっしーのポイントとしてはわたし的にはふたつ。

 ひとつは、最初のしあわせいっぱいムードの、豊太郎初訪問時に、言いかけてやめるところ。
 枠の中に収まりきらない、誰にもまつろわない獅子を魂に持つ自分自身……そして、シンパシーを感じる友との出会い。
 豊太郎の名を呼び、なにか言いかけて……やめる。
 あのとき彼が飲み込んだ言葉はなんだったのか。

 もうひとつは、彼の死に際の言葉。
 日本の将来がどうのという、耳障りのいい台詞じゃないよ。

「口惜しいな……こんな死に方」

 くやしい。
 我を貫いて、志半ばで倒れる男だからこそ、言って欲しい台詞なんだ。
 自分の意志で選んだんだから悔いはない、みたいなことを言われたくない。
 だって、ぜんぜん途中じゃん! なにも成し得てないじゃん!
 鎖につながれたまま長生きするより、自由な外界で死ぬ方がかっこいい、とか、言われてもこまる。死んだら意味ないって。
 自由に生きて、生きて、生きて、幸せにならなきゃ。

 自由に生きて、その生き様こそが苦しみこそが幸せだったと、それはわかるけれど、それでもなお、言って欲しいの。「くやしい」と。

 志半ばで倒れることが本意ではないと。
 まだまだ、先を求めているのだと。

 悔いはない、って言われたら、それで終わってしまう。
 そこまでの男だってことになってしまう。

 原芳次郎は、そうじゃない。
 今ここで心ならずも倒れたけれど、もっともっと、高みを目指していたんだ。
 もっともっと、進める男だったんだ。

 こんなもんじゃない。
 もっと、もっと。

 だから、くやしい。
 こんな死に方。

 素直に「くやしい」と口に出せるよっしーが、好き。

 そしてそのあと、やっぱり大口を叩いて強がるよっしーが、好き。

 死の間際に「くやしい」と言える、現状に満足しない、貪欲な男。
 その野生。その生命力。

 かっこいいって。
 絶対。

 だから泣ける。
 「おかゆさん食べたい」だの、泣き言言うだけの男ではないから。
 その強い男が言う泣き言だから。
 泣ける。

 豊太郎@みわっち、芳次郎@みつるの歌で泣ける。

 ……その昔、『野風の笛』新人公演、みつるとみわっちのアカペラで幕が上がるという、ものすげー公演を観て、椅子から転げ落ちそうになったのが、なつかしく思い出される……。
 あの破壊力∞の最終兵器みたいなコンビの歌で、泣ける日が来ようとは……。

 しみじみ。

 すばらしいです。
 ほんと。


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