……とまあ、さんざんありえねえ駄作だと言って吠えてますが、駄作度判定は人によってチガウので、あくまでもわたしにとって『源氏物語 あさきゆめみしII』が「ありえねえ、責任者出てこい!」な作品ってだけのことです。
 『花舞う長安』が大丈夫だった人には、OKなんじゃないですか? ストーリーが存在しないことが気にならない人には、大丈夫だと思う。
 ただくだらなくて、つまらなくて、退屈だってだけで、生理的嫌悪があるよーなものではないから。
 わたしには逆ツボで大変なんですが。くだらなくて、つまらなくて、退屈なだけの作品って。だって、おもしろくすることがいくらでもできるのに、最初からする気がなくて(する能力がなくて)、そんなことになってるのよ? 不愉快だっつーの。

 そして、これはやはり趣味の問題だろうけど、わたしは草野のセンスは基本的に好きになれないので、『あさきゆめみしII』と『花舞う長安』なら、ストーリーが存在しなくて同じくらいくだらなくてつまらないにしろ、酒井のセンスの方を「美しい」と思うわ。
 『あさきゆめみしII』、つまらないだけでなく、センス悪いのが致命的かと……。

 『あさきゆめみしII』を観て、痛烈に感じたのは、昭和時代のSF。

 えーと、UFOとか宇宙ロケットがブームになっていたころ?
 当時の少年向け読み物に出てくる「みらいのちきゅう」は、高層ビルが建ち並び、その間を透明のチューブがくまなく張り巡らされ、色とりどりのエアカーが走っている。
 人々は金色や銀色のつなぎを着ていて、「じどうかおあらいき」とか「じどうはみがきき」とかが一般家庭にあり、お手伝いアンドロイドが「ゴシュジンサマ、オカエリデスカ、ぴー、がー」とかゆってるの。

 あの時代のかほりを感じるの……。

 40年とか前の、「最先端ドリーム」。

 団塊の世代が夢見た「素晴らしき未来」。

 …………わたしが観たかったのは、「平安絵巻」であって、「昭和時代の夢」ぢゃないのよーっ!!

 40年前の少年が夢見たよーな宇宙空間だとかきんぴかつなぎの超越者なんて、見せられてもこまるのよーっ。

 草野せんせ、おとなしく大好きな黒塗りアフリカやっててくださいよ……。
 大味でゴーゴーなもの作ってて下さいよ……。
 繊細なモノは、繊細な感性の人に作ってもらってくださいよ……。

 内容なくてもめちゃくちゃでも、もう少し雅に美しければねええ。
 古典的でなくても、新感覚でもそりゃいいが、「昭和時代のSF」はまったくチガウやろ。

 やれやれ。

 
 光源氏@オサ様が美しいのは、彼ひとりの力業。作品の美しさではまったくない。
 がんばれオサ様。
 次に見に行くときは、ただオサ様だけガン見して、作品のひどさは「なかったこと」にします。
 大好きな花組のみんなががんばっているさまだけを、目にやきつけ、たのしもうと思います。

 オサ様の退団が決まっていなければ、こんなにショックも受けなかったんだけどね……。
 カウントダウンはじまってるのに、1作がコレってのが、破壊力大きすぎて。

 
 今年も半分終わりましたが、今のトコ、今年の最低作品はどれだっ?!で、輝かしい1位を『パリの空よりも高く』と『バレンシアの熱い花』と、この『あさきゆめみしII』が争い、じつに素晴らしいデッドヒートを繰り広げています。
 『あさきゆめみしII』は生理的嫌悪感がない分、他2作よりマシなのかなあ……でも1本物だからきびしさは増しているしなあ。

 しくしくしく。


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