七帆くんの休演が心配です……。

 作品がすごすぎて、まだ出演者の話までたどり着いていないけれど、ドン・ファン@七帆はすげーかっこよかったんですよ……。どんどん男前になっていく、たのしみな若者。
 ゆっくり休んで、そしてまた元気な姿を見せてくださいよ。

 
 えー、そんでもって、『バレンシアの熱い花』の話。

 いろいろ書いてきたけれど、そんな面倒くさいことをしなくても。
 手っ取り早くこの話を救う方法は、「ライトコメディ」にすることだと思う。

 半端にシリアスのふりをしているから変なのよ。
 お笑いものにしちゃえばいいんじゃん。

 そしたら主役がおバカでエライ人の言いなり操り人形でもOK、利害でつながった仲間関係も、どつき漫才前提の自分勝手野郎ばかりでぜんぜんOK、義賊ごっこのマントひらひらもOK、生命がかかったこともおちゃらけて軽く描いてOK。
 メルヘンでファンタジーなムードにしちゃえばいいのよ。悪役もディズニーみたいな、抜けた大仰なバカばっかりにして、なにがあっても罪なく笑って済ませられるような。

 そんなもんヅカで見たくないけど、今の設定のまま主役と物語を進めるためには、それくらいするしかないよなー、と。

 ソレが嫌だから、つらつらと設定を変える話を書いてきたわけで(笑)。

 
 えーと、初演とやらは観ていないので知りません。
 大昔の「名作」とやらの再演にわたしはかなり懐疑的だし、柴田作品に対して最近は絶望しかないので、今回またしてもアタマを抱えました。
 演出の中村Aももちろん無能だけど、脚本自体からしてひでーよコレ……。でも、悪いのは全部中村Aと出演者ってことになって、柴田作品は「名作」と呼ばれ続けるのかしら……。
 
 柴田作品が、設定とかキャラとか物語の流れとか、とても良いことはたしか。
 だから頼むよ、作り直してくれ。
 演出がどうこうの問題じゃない。
 脚本から、別物にしてくれ。

 キャラや基本設定だけ残して、テーマやニュアンスという言葉にならない部分を、新たな脚本と演出で作り直してくれ。

 なんか「再演」っていうとさ、台詞とか場面とか言葉になる部分を「そのまま書き写す」ことだと思っているよーで、嫌だ。
 時代は変わっている。
 その作品が持つ、ほんとうに大切な、根っこにある「テーマ」を「現在の感覚と言葉、エピソードに翻訳して写す」ことが「正しい再演」だろう。

 ファースト『ガンダム』は聖典だが、21世紀の今、当時のテレビ映像を見たら絵の汚さにびっくりするよ。まるまるっちいゴムまりみたいなザクの造形、そのダサいラインにびっくりするよ。
 だから今、ゲームソフトやらで何度も作り直され追体験されているファースト『ガンダム』は、聖典のテーマやイメージを壊すことなく、「今」の絵に直されているよ。モビルスーツもみんなかっこよく美しくなっているさ。
 それと同じこと。……や、ヲタクな例えですまんが。
 

 『あかねさす紫の花』も『うたかたの恋』も、現代版が観たかったと、心から思った。
 たしかにおもしろい話なんだ。
 だが、あまりの古さに、目眩がする。

 当時はソレで良かったのかもしれないが、現代ではソレ、「壊れている」と言っていいゆがみだから。

 「自分が青春時代に観たものと、一言一句変わっても許さない。柴田先生の名作をなんと心得る!!」とゆー老人のことは、置いておいていいから。
 誰だって「青春時代」の思い出がいちばん、ソレを超えるモノなんかありえないんだから、なにやったってそんな人たちは文句言うんだから、とりあえず、大手術してみよーよー。

 植田・柴田両名の「名作」は、一言一句変えてはならない、何百年そのままのカタチで伝えていかねばならない伝統芸術の域に達しているのかな。や、一部の人たちのなかで。
 伝統も大切だとは思うけどね……臨機応変だよね……。

 『バレンシアの熱い花』も、「書き写し」ではなく、「書き直し」だったら良かったのになあ。

 キャラのチガウ、別の道を歩いていた男たち3人の視線がひとつになるわくわく感や、それぞれの愛のカタチ、復讐と別れ。
 「描きたかったのはコレなんだろうなあ」と想像はするが、目の前にあるモノとかけ離れすぎていて、こまる。
 企画は良かったけど、脚本・演出のアレさでポシャった作品、つー印象。
 あれもこれも欲張りすぎて、なにひとつ満足に描けませんでした、みたいな。

 せめてアテ書きならなあ……。
 

 『バレンシアの熱い花』はひどい話だけれど、真ん中に圧倒的な力があれば、まだ誤魔化せるレベルの駄作だと思う。
 たとえばワタさんなら、フェルナンドみたいなひでー男でも、なんか「英雄かも?」って観客を錯覚させるよーなところまで、力業で持っていったと思う。
 同じくらいひどい男だった玄宗@『花舞う長安』を、力尽くで持っていったからな。

 タニちゃんは、これがトップお披露目だ。
 円熟期に入ったトップさんならともかく、最初の1本がコレってのは不利だったなぁ、と。

 駄作を力業で「なんかいい話かも?」ってとこまで持っていくのがトップスターの仕事だ、がんばれタニちゃん。
 最初から持ち味に合わない役、しかも駄作で気の毒すぎるけれど、お披露目が駄作なのはヅカのお約束、トップの洗礼だと思って耐えてくれ。
 真ん中を経験することで、みんな成長していくのだから。

 コム姫もかしちゃんも、トップスターになってからキャラ変わったもんなー。
 「トップスター」というのは、それくらい特別なモノなんだと思う。

 とはいえ、やっぱ最初はタニちゃんに合ったモノを観たかったよ……。
 タニちゃんって演技できない人だから、演技しないでいいもの、タニちゃんのままでOKなものにすればいいのにさー。や、役者としてならソレはどうよ?でも、タカラヅカスターはソレでイイんだもん。
 なんでこんな、タニちゃんのいちばん苦手なのもをやらせるかなぁ。

 
 初日にこの芝居を観たあと、わたしはかーなーりグレていたし、どーしたもんかと憤慨していたんだが、ショー『宙 FANTASISTA!』がすばらしいので、救われた。
 アテ書きっていいよねっ。キャストやタカラヅカへの愛がダダ漏れてんこ盛りの書き下ろし新作っていいよねっ。

 ほんとに、再演はしばらく勘弁っす。
 どこの組でも、どんな演目でもね。
 

 宙組公演の感想を聞かれ、「ショーだけなら何回でも観たい」と答えたのは、ひっくり返せば「芝居はもう二度と観たくない」という意味で、役代わりを観に行く気力さえ失せていたんだけど。

 でもやっぱ、ロドリーゴ@らんとむが見たいので、もう一度行きますわ!
 ラヴシーンが見たいの〜〜!!


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