いやあ、萌えの宝庫だったりしたんですよね、花組『ハロー!ダンシング』
 腐女子系の萌えではなく、ミーハー萌え。きゃーたのしい、きゃー素敵、てなミーハー萌えです。

 たのしいたのしいたのしいっ。
 なんでこんなにたのしいんだ花組『ハロダン』!!

 でもってちょっくらミーハー話。

 夕霧らいが、かっこよかった。

 つってもさ。
 ふつーの意味でかっこいいのかというと、ちょっと微妙。
 でも、かっこいい。
 らいは、実力や容姿、ポジションも含め、トータルして「夕霧らい」としてかっこいいんだ。

 わたしがらいを個別認識したのって、いつだっけ?
 とりあえず若手で美形なので、早くから目にはついていた。
 ケロに似ている、と思うこともあるわけだから、同じ美形でも好みの顔立ちなんだろう。や、特に絶対好みだとは思っていないし、普段それほどケロに似ているとも思っていないんだけど。

 それまでも個別認識はしていたけど、最初に「あの個性」を認識したのが、『エンカレッジコンサート』のスカステのインタビュー。
 みんなふつーにマイクに向かって意欲を語っているなか、らいはアホみたく、かっこつけていた。サングラスをすちゃっと取って流し目で「夕霧らいです」。
 本気でかっこつけているわけではなく、ネタとしてやっている。悪ノリとか、そーゆー感じ?

 アホやな、こいつ。
 そう思うことは、べつにマイナスの意味でじゃない。
 芸能人である以上、自分のキャラクタを演出していい。それが合っているか、成功するかは別問題として。
 わたしは舞台の上のらいしか知らないので、わざわざサングラスをかけてポーズをとってからインタビューに答える様を、「ふーん」と眺めた。そういうキャラなんだ、と。

 以来、「そーゆーキャラ」だとわたしが気づくくらい、らいはわっかりやすくキャラを演出し、一貫してくれている。

 そーゆーキャラ……。
 「かっこいい」「二枚目」ではなくて。
 「かっこいい、と思わせるポーズを取る」「二枚目気取り」という、キャラクタ。
 わざらしくいちいちカッコつける、ことによって笑いを取るタイプ。

 素で「かっこいい」「二枚目」までならいくらでもいる。元が多少劣っても、路線と呼ばれる人や上級生になればそういったカタチで自己プロデュースすることで、輝く人がいくらでもいる。
 なんでいくらでもいるかというと、ソレが王道だからだ。
 タカラヅカ・スターたるもの、かっこよくて二枚目で当然だから。

 しかしその「かっこいい」「二枚目」を、「演出する」こと自体をウリに……というか、ウケを取るネタにしているジェンヌというのは、けっこうレアだと思う。

 スターだとか上級生には、たしかにそのテのタイプもいる。
 いかにも「タカラヅカ・スターです」というように、わざとらしく大きく足を組んでみたり、帽子のつばを指でなぞってみたり、そーゆー「ザ・男役」ポーズを取ってファンをわかせるのは、ふつーにあることだと思う。
 だがらいは、そーゆーカテゴリともまたチガウんだよなー。

 だってらい、スターぢゃないもの。

 組ファンには愛されていると思うけど。
 組ファン以外、ふつーに「全組1回は観るわ」てな程度の人に、顔と名前知られてるか?
 広大な大劇場で「あ、あそこにいる」って見つけてもらっているか?

 知名度相当低いでしょ? ライトファン、他組ファンには。

 ライトファン、他組ファンにまで認知されるためには、新公主演するとか出版物にちょくちょく載るとか、劇団の意思表示が必要だよね。

 そして今のところらいは、劇団から「スター」としての扱いは受けていない。
 新公でもバウなどの小人数公演でも路線の役はつかないし、今回の『ハロダン』でもいわゆる「センター」はナシだ。

 それでも。
 スター扱いなんかまーったくされていなくても。

 夕霧らいは、「スター」である自分を演出する。

 かっこつける。
 かっこいい、ではなく、「かっこつける」。

 キザなのではなく、わざとらしくキザるところが、彼の個性、彼のウリ。
 「わざとやっている」ことが、彼のステイタス。

 「タカラヅカ・スター」というカタチがまずあり、それを逆手にとってたのしんでいる風なのが、気持ちいい。

 バリバリの路線スターでこーゆー個性で売るのはアリだろう。わざとかっこつけてウケを取って。
 でも、路線でもない脇のその他大勢の下級生が、誰も見ていないかもしれないのに、ひとりでかっこつけてるんだよ?

 だから、夕霧らいはかっこいいんだ。

 彼はね、「タカラヅカ」だと思うの。
 タカラジェンヌのすごいところは、舞台のどんな隅っこ、ライトの当たらないただの人数合わせみたいな扱い受けているモブのひとりひとりまでが、舞台を愛し、タカラヅカを愛し、一生懸命努めていることだと思う。
 スターだから素敵なんじゃなく、ひとりずつが懸命に役割を果たし、熱を放出することによって、真ん中のスターが輝くの。

 脇なのに、名もなき下級生なのに、それでも「タカラヅカ・スター」として自分を演出し、「かっこつける」ことを信条とするらいが、かっこいい。
 バカみたいに見えるけど。いじわるな見方をすれば、なんの結果も出せないのにひとりでかっこつけてキザっている姿は滑稽かもしれないけれど。実際、ネットのどこかで読んだぞ、らいのわざとらしいキザりやスタンドプレイぶりを「カンチガイしてんぢゃないの?」的に書いている人がいるの。や、そう思う人がいてもおかしくないと、わたしも思う。
 それでもなお、キザりつづけ、ポーズを取り続けるらいが、愛しい。

 本来の性格とかの話じゃないよ。「らいくんはお茶会ではほわわんとした、かわいい天然さんなの」とか、「素はとても謙虚な人なの」とか、そーゆーことではなくて。
 舞台とそれに付属する部分の話。

 徹底した、自己プロデュース。
 夕霧らいは、こーゆーキャラクタ。
 キザること。カッコつけること。
 「スター」として在り続けること。

 脇だから路線外だからとか関係なく。

 与えられたわずかなチャンスに全霊でぶつかる。キザる。
 実際にキザかどうか、カッコついているかどうかは置いておいて。
 その心意気ごと、素敵だと思うんだ。

 あー、もー、らい好きだー。

 そしてわかってくるんだが、らいって実力はええっと、あの、けっこうアレだよね? ダンスにしろ歌にしろすごくうまいわけでもないし、芝居はまだまだアレだよね?
 でも、「男役であろう」「スターであろう」という意気込みゆえに、格好だけはなんとかなってるかな、てなあたりで。
 足りない分は熱量でなんとかしちゃうタイプだよね?

 今回の『ハロー!ダンシング』で。
 そのらいの「芸風」ごとたのしんだ。
 どんなわずかな見せ場でも、すかさずキザり、すかさずカッコつける。
 一貫したキャラ演出。

 彼の「本気」ぶりが心地いい。
 「スベったら恥ずかしい」とか思ってないよね。自己保身でまとまったりしないよね。

 「スター」の姿をアグレッシヴに表現してくれるから。
 ときめいちゃったよ。
 ショーの中の1場面なのに、本気で芝居してるよこの人。かっこいいとか思ってやってるよ。
 後半の組オリジナルのストーリー有りダンス、花組はののすみちゃん主演のミュージカルっぽい場面だったんだが。
 通行人を演じるらいの、かっこいいこと!!
 通行人ですよ、ただの。
 それでもかっこいいの。コートの中で手を広げて恋人に「おいで」とやる様がもお。

 あまりに胸キュンで、どーしよーかと思った。

 らいは、かっこいい。
 そのちとアレな実力や男役として美しい容姿、路線外というポジションも含め、それでも徹底して演出された「夕霧らい」としてかっこいいんだ。

 

コメント

日記内を検索