ダンディ・ギャングスターの間をぬって、花組『ハロー!ダンシング』の話(笑)。

 なんかつらつらと場面ごとの感想書いてますんで、その続き。

 狂言回しその3、の場面。
 男役3人で派手派手衣装、肩からモールなんかつけちゃって、掛け合いで歌いながら客席にアピるという、実はいちばん難度の高い場面。
 なんの難度かってそりゃ男役スキルと、スター・スキル。
 歌えなきゃスベるし、男役としての着こなし、立ち居振る舞いができてなきゃ格好悪いし、なにより客席に対して「タカラヅカ男役スター」としてオーラを発散しセクシーに語りかけなければならない。
 ただ踊るだけならダンスの勉強している人にはできるかもしれないが、歌って踊って語りかけることで場を吸引し、しかも色気を振りまくとなると通常トップスター・クラスの人か組長等管理職クラスの人でないと難しい。
 大劇場でトップスターや組長やら専科さんやらが歌いながら客席いじりをする、あのノリね。
 ただここはバウホールだから、そこまでのオーラがなくても大丈夫だけど。

 はっきりいって、ひよっこたちにできるわけない。
 男役としての佇まいや声すらできていない学年の子がやるわけだから。
 つまりここは、気合いだけで「スター」を演じる男の子たちのそのサムさを堪能する場面。……や、どの組もそうだったから(笑)。

 ここでのセンターは、何故か月央くん。
 何故か。
 いや、いろんな人がセンター経験をするべきだから、彼がここでセンターを勉強することも、おかしくはない。破綻なく美形な彼、しゅん様がののすみとふたりでその1を務めた狂言回しだ、同期の月央くんにその3が回ってきてもおかしくはない。

 ない、が。

 何故か、と思ってしまうのは、一緒にいるのがだいもんとネコだからだ。

 おかしくはないんだよ。上級生の月央くんがセンターで、サイドが下級生のだいもんとネコだっつーのは。
 学年順ではおかしくない、けど……。

 ザ・弱肉強食。

 だいもんとネコ、手加減無し。
 はじめてのセンターで、たぶんはじめてのソロでいっぱいいっぱい、声震えてませんか? 目線泳いでませんか? レベルのとこでうろうろしている月央くんをよそに、余裕でアピりまくる。

 ヲイヲイヲイ、ちょっとは遠慮してやれよお前ら!(笑)

 だいもんもネコももともとシンガーだ。歌で勝負、のところで、負ける気はハナからない。
 歌える分、周囲を見る余裕もある。

 なんにもできないのに、それでも一生懸命キザる男の子たちのサムさを堪能する場面なのに。
 だいもんもネコも余裕だー。ふつーに歌ってキザってますよー。客席釣ってますよー。
 そしてそんな濃いぃ男たちの間で、キョドっているセンターという、すげー愉快の光景が繰り広げられていました。

 なんでこんな愉快なことになっているんだ花組。
 だいもんとネコをつけるなら、センターは彼らに負けないキャラでなきゃダメだろうに(笑)。
 今回の出演者でなら、マメからい?(ちゃーとしゅん様は勝てないと思うんでやめておいた方がイイし、かりやんは論外)

 いやあ、めちゃおもしろかった。
 弱肉強食ってすごいなあ。なんでもアリだなあ。

 
 続いてみほちゃん司会者でキャスト紹介。
 案の定下級生はなにを言っているのかぜんぜん聴き取れず(笑)。上級生になるとだんだん聞こえてくるし、意外にちゃーの声が耳通りいいことにおどろいてみたり。

 ただなー、わたしが観た回は客席がジェンヌだらけで。
 歓声がすごすぎて、舞台の声が聞こえないという……。はしゃぎすぎですよ、宙組さんたち。や、舞台も客席もノリノリでたのしかったけどなー。

 なにしろアピール上等!な人たちなので、自己紹介+客席降りともなりゃー野放し状態でした。
 にぎやか。てか、うるさい(笑)。投げチュー、ウインク、てんこ盛りだもんよー。

 で、次に問題の「ブエノスアイレス」になるわけなんだが。

 ここもまた、予備知識ナシに観ているので誰がなにをするのかわかっていなくて……かりやんで、肩を落とした。

 この場面が、この役がかりやんかー……。

 わたしほんと、かりやんに対してなんの含みもないんだが。
 この公演では彼、男を下げまくりですよ……。
 今まで歌うことがなかったのだから、歌えないのも仕方ないとはいえ、男役の声すらできていないことにはおどろいた。女の子のまま歌いますか、黒燕尾なのに。

 たとえば雪組のせしるも、この役で男を下げまくったんだが、ソレとはまた意味合いがチガウ。
 せしるは精一杯やって自爆しているというか、現時点ではコレが限界、でもぎりぎりまでやってあがいてます、って感じ。今はダメでもこれから先はなんとかなるかも?的な熱量。

 しかしかりやんは、なんか力をセーブしている感じ。自爆しないようコントロールして、ソツなくやってます、みたいな。

 プロだから、全霊を上げて自爆、フラフラになって目も当てられない、というのはチガウかもしれない。
 体力配分してお客様に失礼のない芸を見せなければならない。というのが本当かもしれない。

 でもなあ。
 セーブして、コントロールして、魅力がないんじゃなあ。

 フラフラよれよれになっても、そこまですることによって発する熱で、とりあえず「ここがセンター! 俺が主役!!」と断言していたなにもできない男の子と、ソツなく規定演技をして背景に埋もれてしまう、結局求心力のなさ、センターがどこかを示す力のなさでつまらない場面になってしまうのと、どっちがマシかって話だなー。

 「ブエノスアイレス」というオイシイ場面が、ここまで灰色に沈むことにおどろいた。

 かりやんと踊るのはちゃー。
 ちゃーはこーゆークラシカルなものは似合う。が、彼もまた決して「強い」人ではないので……かりやんとふたりで踊っても、なんつーかこー、萌えに欠けるというか……ううむ。

 だがしかし。

 他の男役たちが登場すると変わるんだ。

 ザ・弱肉強食。

 センターなんか関係ない。
 脇の男たちがすげーテンションで「俺、主役」の顔でセクシーに踊ってくれます。
 かっこいーかっこいーかっこいー。

 しゅん様の黒燕尾スキ。らい、キザ。マメ濃すぎ。だいもん顔芸し過ぎ。

 真ん中がどこかわからなくなっていたことは、ラストシーンでもよくわかった。
 最後、かりやんを残して男たちはみんな袖にはけていく。
 いちばんあとまで残るのはマメ。彼は去り際に軽く投げキスをする。

 マメの投げキスで、客席が湧いた。

 ……みんな、マメを見ていたんだ。真ん中ではなく。
 主役を見ていたら、袖近くの人がなにかやったって、気づかないのに。

 「ブエノスアイレス」で笑いが起こるなんて、思ってもみなかったよ。主役は去っていったマメなのか?

 かりやんって、チャーリーに似てるなあ、と今回思った。
 きれいなんだけどなー。すごーくきれいで、ちゃんと踊れる人なのになー。

 あああ、かりやんに対してきついことばっか書いているわ。
 今回かりやん株暴落しているんだけど、このままだとは思ってないし。せしるが新公ルキーニで株を上げまくってくれたように、これから先いくらでも変わっていくから。
 それを期待する。


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