今ごろだけど花組『ハロー!ダンシング』の感想、続き。

 とってもミュージカルなののすみ主演「花とナナ」。すみ花ちゃん、タイトルロールですよ……彼女のための書き下ろしですよ……なんつー大物だ。

 ナナちゃんの相手役は、ちゃーでした。
 青いシャツとブラックジーンズでひたすら笑顔、若ぶってます。

 何故だろう。黒燕尾とかスーツとかクラシカルなものは似合うと思っているんだが、反対にこう、いかにも「若者」な姿になると、ちゃーってなんかおさまりが悪いというか……いたたまれなくなるのは何故?

 さわやかな青年風なのが、なんかチガウというか、愉快というか。
 ああ、ちゃー好きだなー、かわいいなー。

 「これぞ青春!」って感じで中学生のように頬を染めて踊るののすみとちゃー。
 すみ花ちゃんは本気でかわいいし、可憐だし。ちゃーは……ええっと、わたしは好きだからいいんだけど、役に合ってますか、あの人?

 かといってあのクソさわやかな役を、他の誰でできたというのか……花男たちみんな濃すぎてさわやかメンが演じられない……?!

 つぎはぎドレスで不幸に儚く踊り、次に白いドレスで光の中で踊るナナ@すみ花ちゃんは、ものごっつーかわいいです。
 主演スターとして、十分な働きっぷり。
 髪型がちょっと合っていない気がしたが、その透明感あふれるキャラクタが気持ちいい。
 白いドレスでよみがえったときに、本当に光が射すのね。彼女から。
 ぱあぁっと周囲が明るくなる。

 あ、花總まりだ。

 なんかふつーに、すごくすこんと、そう思った。

 何故だろう。
 顔とかスタイルとか、べつにぜんぜん似てないのに。
 花ちゃんに似てる……。

 終演後、nanaタン改めえりざべーとちゃんも同じことを言っていておどろいた。あ、わたしだけじゃなかったんだ、ののすみが花ちゃんに見えた人って。

 語り部はみほちゃん。イイ声なんだコレが。ドラマを盛り上げるしっかりとした歌声。
 もうひとりの歌手はかりやん。こちらは少年の声でもべつにいいので、女の子まんまなかりやんもここではOK。歌がここだけならよかったのにねえ。

 
 ダンス公演ではなく、ミュージカル・テイスト。

 そう思っていたら、次は「パタパタ」。草野せんせが演出だから、絶対になくてはならないアフリカ場面。

 さきほどのミュージカル場面にて通行人をやっていたふた組のカップルが、ここでも引き続きカップル(笑)。

 らいと萌子がかわいいっ。
 
 なにしろ『エンカレ』組だからな、「パタパタ」のメンバー(ゆまちゃん以外。でも、ゆまちゃんだって博多で歌っていたとき声はよかったぞっと)。
 「パタパタ」のコーラスが、なんかすごくきれいでウケる。
 そしてこのふた組のカップル、らい×萌子、ネコ×ゆまが、すげー本気で芝居していて。客席にもアピっていて。
 いやあの、これってダンス公演だよね?
 なんかもー、よくわかんないや。

 仲良しカップルがモメて、女の子が男をピンタしたりなんだり、そしてカップルが入れ替わって、でも結局元の鞘に戻って。
 かわいいなぁ。濃いなぁ。

 
 そのままボレロに突入、しゅん様の端正さを堪能し、全組共通の映画『フラッシュダンス』の主題歌女性ソロ。

 えええ、ここ、すみ花ちゃんなの?!

 予備知識ナシで見ていたため、知らなかったの。萌子の見せ場だと思い込んでいた。
 萌子は歌手ポジでしょう? 何故ミュージカルでタイトルロール務めた子が、歌える娘役の唯一の見せ場すら独占しているの??

 劇団もなんでこう極端なことをするのかなぁ、それは本人のためにもならないんぢゃ?と老婆心を発揮とつつ。
 ののすみちゃんの声は好き。透明で、きれいな声。彼女は歌も十分歌える人だと思っているが、この歌との相性はいまいちかな。
 ここはやはり、歌手ポジの子に歌ってほしかった。

 
 そーしてフィナーレへ。

 
 マメのセンター場面がひとつもない?! ってことに、驚愕。
 ありえないよー。もったいないよー。
 1回は真ん中に立たせてみればいいのに。

 しかし全編通して目立ちまくっていたひとりは、まちがいなくマメ。

 ちょっと独特の彼のダンスはやわらかさに富み、またなんつーかこー、粘度と温度がある。
 シャープ、とかいう形容詞の対極にあるよーな?
 存在自体が派手なんだよなあ。動きが個性的だからかなあ?

 そして、だいもん。
 バランスを崩すほどの抜擢をされるでなく、学年と立場にあった見せ場をもらい、それを確実に昇華したうえで、それ以外の場面でもじつに生き生きと踊っている。
 下手に目をとめてしまうと、はずせなくなってこまるよ。あの動き続ける表情と、前へ前へと意識を向けてくるスター精神と。

 実力に裏打ちされた輝きが、まぶしくて。
 かわいいなあ、だいもん。
 やりすぎなくらいやりすぎているのが、気持ちいいったら。

 しゅん様は他のやりすぎる面子に比べれば、十分おとなしい部類の人だということがわかった(笑)。
 てゆーか不器用に思えたんだが、あちこち。
 なにか気の利いた挨拶をしようとして、結局ナニも言えなくて客席から爆笑されたり。
 あちこち「今話しかけないで、許容量フルだから!」ってところと「許容量オーバー。真っ白です」ってところとが透けて見えて、すげーかわいい。
 それでも、下手にアピったりせずただ自分の内側に向かいながらダンスしている様が、すげー男っぽくてかっこいいんですが。
 侍だなー。

 ちゃーはいろいろいろいろまっつとかぶるところが多くて、わたしをうろたえさせる(笑)。
 そして見れば見るほど好みでこまる。
 「真ん中」を担うには足りないところも多々あるけれど、それでもそのクラシカルな端正さ、やさしさとやわらかさは武器だと思う。

 みほちゃんはほんとうにいい女役さんだし、萌子が急激にいい女に成長しているのもうれしい。
 ゆまちゃんの胸と美貌も堪能させてもらった。大勢の中にいても「あ、美少女がいる!」ってわかるもの。

 ゆまちゃんはマメと組んでいることが多かったんだけど、このふたりいいよねっ!
 濃いぃの。
 ゆまちゃんは小物な男では御しきれない迫力があるから、マメくらいカラダも中身も寛くないと映りがよくない。
 個性的な男と、小悪魔的な美少女。……わくわくするわ。

 
 わたしが観たとき、宙組さんがたくさん客席に来ていて、正直すっげーうるさかったが(笑)、かわりにものすごーく盛り上がった。
 拍手の温度がいちいちチガウし、初日でも楽でもなんでもない平日なのに、満場一致のスタンディング・オベーション。

 全組平日のなんでもない日に観ていたけれど、客入りはそりゃあもう、ここで書くこともアレなくらいだったし、スタオベはおろかカーテンコールもなかったさ。
 『ハロー!ダンシング』ってのはそういうものだと思っていたし、ソレでいいと思っていただけに。

 客席のテンションと鳴りやまない拍手にびびった。

 真っ先に立ち上がった花組のふたり、まとぶとみわっちが、自分たちが立ち上がったことで見えなくなる後ろの席のお客さんに謝っていたことも印象的。
 いい人たちだ……。その「ふつー」の感覚が愛しい。

 客席の反応が良すぎる・うるさすぎるのもたしかに問題だが、それによってキャストが盛り上がるのも素晴らしいことなので、両刃の剣だな。
 カテコであいさつするみほちゃんは声を詰まらせていたし、他の出演者も感動しているようだった。

 たのしかったのだわ、花組『ハロー!ダンシング』。
 もお、どーしよー、ってくらい。

 あんまし、ちゃんとしたダンス公演になっていなかったよーな気がしないでもないっつーかぶっちゃけなんの公演だったのか、よくわかんない面は、たしかにあるのだけど。

 それでもひたすら、たのしかった。
 きゃーきゃーヒューヒュー騒ぎまくる客席ごと、たのしんだ。

 みんなダイスキ。


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