月組新人公演『マジシャンの憂鬱』を、観られなかった……。

 自分的に、すごーくくやしいっす。
 ここ数年、新公はほとんどコンプリートしてきていたから。星組の『ベルばら』くらいかな、観てなかったのって。まあアレは『ベルばら』だったし、主演がれおんとウメのコンビで「何回目だよヲイ」ってもんだったからまぁ、あきらめもついた。

 『マジ鬱』新公は、観たかったっす。
 でも予定が合わなくて、チケットも手放すしかなかった……。しくしく。
 東宝を観ればいいんだ!と思って日程調べたら、花組新公と丸かぶりだった。
 劇団のバカー! ずらしてくれれば、新公好きは両方行くに決まってるのにー、なんで重ねるんだよー!
 ということで、もう観られないことが確定したわけだ。

 今回観ていないのだから、語るのもおかしいが。

 ここ数回の月組新公を観て、思ったこと。

 順番を守ることには、意義がある。

 龍真咲のことだ。
 なんか最近露出が上がったせいで混乱が生じているが、そもそも彼は抜擢組ではない。
 下級生のときからスター候補生として、特別扱いをされてきた子ではないってことだ。

 彼は新公でもずっと、ろくに役が付かなかった。
 目立った役をもらえたのは、2005年の『エリザベート』のルドルフぐらいだ。
 それ以外は、脇の役ばかり。主要人物は演じていないし、新人ならでは、若手ならではのオイシイ役もやっていない。
 研5でルドルフやって、でも次の公演では副組長の役。

 ふつーの抜擢組の若手スターは、こんな扱い受けてない。
 2学年下のみりおの方が、よっぽど正統に抜擢されて王道を歩いている。

 まさきの場合、ワークショップでいきなり主演するまで、舞台の真ん中に立つ経験をほとんどしていないんだ。
 それでも『Young Bloods!! 』をやり遂げたのはスゴイと思うし、実際すごかった。
 新公で3番手すらしたことない、1回だけ出番15分の4番役をやったことがあるだけ、のあきらかにキャリア不足の少年が、バウホールで主役をやってしまったのだから。

 磨けば光る、場所さえ与えればできる子だった。
 だが、何故か月組では、彼に新人らしい活躍の場はなかった。

 『Young Bloods!! 』以降、まさきはいきなり路線に乗った。前回副組長の役だったなんて、みんなおぼえてないだろーってくらいあたりまえに、トップスターあさこの役を演じた。
 トドロキ出演作品だったので、名目上の主演はマギーだったが、トップスターの役はまさきだった。
 マギーもまた、前回本専科さんの役だったなんて、みんなおぼえてないだろーってくらいあたりまえに、貫禄たっぷりにトドロキ様の役を演じていたしな(笑)。

 そのあとはあたりまえのように、まさきの新公主演が続いた。

 だが。
 思うんだ。

 順番は、大切なんだなって。

 スター候補の新人が、抜擢されて新公でオイシイ役をやり、3番手の役、2番手役、と順番にこなしていくことには、意味があるんだ。

 まさきには、ソレがなかった。
 彼は順当に抜擢人生を、路線人生を歩んでいなかった。
 ちょっと目立つオイシイ役をやり、「アレ誰?」と組ファン以外にも注目されたり、3番手をやって真ん中を支える役を勉強し、2番手を重ねて演じることで真ん中に立つ訓練をし、色悪を演じる。
 そーゆーステップが、路線スターには必要なんだ。

 いきなり主役をやらせても、主役なんてのはキャラクタが大抵決まっているから、芸幅を広げることにならないんだ。

 まさきの場合、ただの脇役ばかりをやって、いきなり「白い二枚目」を続け様にやることになった。あさこの役ばかりをやることになった。
 2番手も3番手も、黒い役も個性的な役も経験していない。そもそも、「少しずつ真ん中に近づいていく」経験をしていない。一場面だけセンター、とかの経験をしていない。
 いきなり、ど真ん中だ。

 これは……おもしろくないよなぁ。

 幅が増えないもの。
 同じになってしまうもの。
 少しずつ場面を与えられてきたわけじゃないから、真ん中に立つために、空間を埋めるために、闇雲に本役をなぞってしまう。

 新人公演主演の龍真咲は、魅力が乏しい。

 あさこちゃんを好きで、尊敬しているのは、よーっくわかる。
 でも、闇雲にコピーするのはどうかと思う。持ち味がチガウのに、そもそもあさこちゃんの芝居を真似るのは、ええっと、まあいろんな意味でタメにならないと思う。

 きりやんの役とか、してくるべきだったよなあ。
 ゆーひの役でも、経験しておくべきだったよなあ。

 順番ってのは、大切だ。
 ステップってのは、上へあがるために必要なものなんだなあ。エレベータに乗ってしまえば上につく、てなもんぢゃないんだなあ。

 と、過去2作の新公であさこちゃんの役をやるまさきを見て、思ったことだ。

 
 でもって。

 新公以外の方が、龍真咲って魅力的だよね?

 『大坂侍』にしても、『マジ鬱』にしても。
 あさこという見本のない、まさきオリジナルの役なら、十分魅力的なんですけど。
 キラキラしてるんですけど。

 レオー@まさき、キョーアクにかわいいよね?(笑)

 極楽の政@『大坂侍』もかわいこちゃんキラキラキャラだったけれど、こちらは毒があった。
 本人の性格ゆえか(笑)、なにをやっても毒が入る人かと思っていたら、レオーを見てびっくり、なんだよ、毒のないかわいこちゃんもできんじゃん!!

 子どもっぽくて純粋な若者。シャンドールの愉快な仲間たちの最年少、弟キャラ。
 あんまりかわいいので、誰とくっつけるか、くっつくのか妄想クラウチングスタート!って感じっすよ。
 やっぱ王道でシャンドールっすか? 彼に片想い、相手にされないところで誰か他の男、あたりがいいなあ。

 腐女子仲間のかねすきさんが自分のブログでラースロ@嘉月さんとレオーの関係に言及しているよーだが、ほら、このふたりって『SLAPSTICK』のときわたしが萌えてたコンビぢゃん!
 マック・セネット@きりやんのチームの大人の色男ヘンリー@嘉月さんが、何故かチームの下っ端少年ルー・コディ@まさきの肩を抱いて退場したりするの。あたしあのとき、「ルー・コディ、その男にはカラダは許しても、ココロは許しちゃダメよ!!」とハラハラ萌え萌えしていたわ!!
 『SLAPSTICK』は2002年だから、5年前か……。
 5年前からすでに、まさきはかわいくて、うまかったんだけどなー……新公でもぜんぜん役はつかなかったなー。

 まさきが新公を卒業することは、いいことだと思う。
 このまま彼があさこちゃんの役をやり続けても、いいことはない気がする。
 むしろ、主演は誰かに譲って、2番手役とかをして勉強するべきだと思うよ。

 だから実は、今回の『マジ鬱』で、新公主演がまさきだとわかってがっかりしたクチ。
 またか、と。

 みりおはどうか、大切に育てて下さいよ、劇団様。
 この子はホント、王道ど真ん中の路線人生歩んでるんだから。
 順番をきちんと踏んで、次はワークショップ主演。まさきとちがい、新公3番手経験、2番手経験を積んだ上での、満を持してのバウ主演。たのしみだー。

 そして、マギーが気になる。
 すごーく才能も実力もある人だが、芸風が暴走系。彼が引くことを覚えれば鬼に金棒なんだが……どうなるんだろう?
 マギーこそ、新公主演をもっと観たかったし、路線の役をやっているところを観たかったよ。彼もまさきと同じ、横からいきなり真ん中へ躍り出たクチだからなー。

 いろいろ好き放題、オマエナニサマ?!なことばかり書いているけど(あ、いつもか)。
 それでも観たかったんだよ、新公。文句も愚痴も、実際観てなきゃ言えませんて。

 まさきにはこれから、誰かの真似でない、自分の役で勝負し続けて欲しいっす。
 

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