今年のTCAはたのしかった。
 どーしてこんなにたのしかったのだろう。
 例年と比べて、そんなにちがったのか?

 つーことで、『TCAスペシャル2007 アロー!レビュー!−「モン・パリ」80周年記念−』の感想。

 TCAを2回観るという贅沢。いや、ありがたや。
 初日、「アリベテルチ・ローマ」で号泣、オサ様プレ・サヨナラショー仕様に号泣、まっつの声が聴けて感動、とかいろいろあり、取り乱したり舞い上がったりしていたんだけど。

 さすがに2回目になると落ち着いて、「アリベテルチ」も歌詞を聴く余裕もでき、泣くこともなく……結局、花組場面ラストで号泣。

 や、だってさ。
 オサ様がすげーくつろいだ顔で歌ってて。
 やわらかな、やさしい顔で。
 銀橋に一列に並んだ花組メンバー、その中央で、自在に歌うオサ様。
 魚は水がないと生きていけない。オサ様は自在に泳ぐ魚で、組子たちが水。どっちが主であるという話ではなく、その「自然」な姿が美しくて、やすらいだ表情で歌うオサ様に、神妙な顔で歌い続ける組子たちに、涙が止まらなかった。

 えー、花組場面、って、TCAの最初なの。1幕のプロローグのあとなの。

 最初に号泣すると、あとが続きません。

 精神的にも体力的にも、けっこうタイトです、今年のTCA(笑)。

 
 とまあ、最初にがーんと来ちゃうから、すげーすばらしい公演だったような気がしてならないんだが、さて、例年と比べてそんなによかったのか?

 TCAのおたのしみは、各組シャッフルだ。
 タカラヅカは組ごとでの行動が基本。組がちがえば接点がない。
 そんな、それぞれ独立したスターたちが、ひとつの舞台で共演するたのしみ。
 TCAはソレに尽きる。
 ただ同じ舞台にいる、だけじゃ意味がない。共にナニかしてくれなきゃ。

 そーゆー意味でいえば、今年のTCAは拍子抜け。
 結局組ごとの場面しかない。
 1幕は組ごとのショーシーン、2幕は娘役トップと組ごとの場面。組子シャッフルは、ほとんどなし。

 1幕にしろ2幕にしろ組ごとの場面は、それぞれの組でふつーの公演でやってもおかしくない。TCAだからできるものでは、まったくなかった。
 一口ずついろんな種類が食べられるから値打ちあるけど、ひとつずつの料理をこれだけひとり前として出されるんだとしたら、わざわざこの店に食事には行かないな、って感じ。

 1幕はトップを中心とした組ごとの場面でもいいけど、せめて2幕の娘役トップを中心とした場面は、各組男役をシャッフルして絡めてくれなきゃだわ。いつものメンバーがいつもと同じことをしているだけじゃん。

 と、考えると、べつに今年のTCAってヨクナイよなー。

 完璧に組ごと組単位行動なので、組を超えた並びがない。
 オサ様とゆみこが同じ舞台に立つ最後の公演だっつーに、このふたりが同じフレームにはいることはついぞなかったし、そのかとまっつも同じフレームにはいることはなかった。
 わたしはオサ様とまっつ中心のフレームしか持ってないからこんな例のあげ方になるけど、他の人にしてもそうだったと思うよ。
 組替えになった誰々ちゃんと組子の誰々ちゃんの並びを期待して、とか、何組にいる贔屓と何組にいる気になる彼が並んだところが見られるかしらと期待して、一度もなかった、と肩を落とす。そんな人は大勢いたのでは?
 その他大勢のバックダンサーとしてまざっていたり、フィナーレの階段降りが全員参加で組別ぢゃなかった、なんて志の低い話ではなく、ちゃんとした組シャッフル場面がなかった、という意味で。

 今年の目玉はトップスター競演。
 あさこと水のダンス競演、オサとトウコの歌競演。

 すべては、コレに尽きる。
 TCAらしい仕掛けは、ここだけだもの。

 トップスターに興味がなく、下級生の自分の贔屓だけを目当てに行っていたら、唯一の目玉すら目玉にならず、たのしめなかったんじゃないだろうか。

 
 「TCAらしい」たのしみは希薄だった。
 せっかく4組合同企画なのに、1組ごとでやっても変わらない構成・演出。

 それでもたのしかったのは、「TCAらしい」魅力はなくても、「ショーとして魅力的」だったからではないだろうか。

 
 歌える人が歌って、踊れる人が踊る。
 ……あたりまえのことなんだが、ヅカではありえないこと。

 歌が得意な人が歌で魅了し、ダンスが得意な人がダンスで魅力をふりまく。
 美しい娘役が、耳慣れた名曲を歌い男たちと絡む。華やかに夢の世界を見せる。

 そういう、「ショー」であたりまえにやってほしいことを、やっていた。

 「TCA」だと思うと良い構成でも演出でもないんだが、「ショー」として魅力的だった。

 
 それぞれの得意分野を活かしたショーである、だけに。
 やっぱトップスターってのは一芸が必要なんだと痛感した。突出した力、わかりやすいウリ。
 その部分だけにお金払っても惜しくない、と思える魅力。

 オサ様とトウコちゃんの、歌対決の素晴らしさ。

 トウコちゃんは初回、歌を抑え気味だったと思う。とくに1幕。
 2幕にコレだけ歌わなければならないんだから、ソレは仕方ないかな(いつも自在全開のオサ様は異星人だから一緒にしてはならない・笑)。

 でもトウコちゃん、ラストの回は1幕もちゃんと歌っていたし、2幕の歌対決はさらに声が出ていた。

 ふたりのスキャットをナマで聴くことができた。
 それだけでも、苦労してチケットを手に入れた価値があった。

 
 正直、オサアサ・コーナーには疑問がある。
 わたしはオサファンだからたのしいけれど、それでもプロの舞台人としてやることではないなと思う。
 ふたりでコーナーを与えられ、4分間自由にしていいというなら、舞台人としてなにかするべきだったと思う。
 楽な方に逃げたな、と思うよ。
 歌ったり踊ったり演技したりするの、しんどかったんだろうな、と。
 それより喋った方が楽だから、そうした。
 トップスターが重労働であり、その負担の大きさに胸を痛めたり心配したりするのは別次元。
 オサちゃんとあさちゃんがたのしくお喋りをする、それをわたしはたのしんだし、ふたりのお喋りをもっと聞きたいと思う気持ちとは、別次元。
 オサ様もあさこちゃんも、そのあとの場面できちんと「プロとして」の顔を見せてくれているだけに、ふたりの場面でもそれなりのものを見たかった。
 
 
 でもまー、なんだかんだいったって、今回のTCAはオサファンにはたのしくてたまらないと思うよ。
 わたしはオサ様のあれこれを思うだけで、幸福になれるもの。
 むしろ、こんなにたのしくてしあわせでいいかしら、つーくらいだ。TCAなのに、4組合同イベントなのに、オサ様プレ・サヨナラショーでいいのかしら。

 わたしがオサ様と花組ファンだから、例年以上に楽しんだ。
 というのが、FAという気がする。


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