オサ様の退団公演の演出家として、芝居・小池修一郎、ショー・中村一徳という名を見たとき、小池オリジナル作品のぶっ壊れぶりを危惧したが、それでも最低限の安心はあった。

 わたしにとって小池にしろ中村Bにしろ、つまらないものは作っても、ムカつくものは作らない評価を持つ作家たちだからだ。
 つまらない、くだらない。でも、腹も立たない。
 ……ヘヴィリピート前提なら、それくらいの作家がちょうどいいのかもしれない。

 空前絶後の名作だとかツボ作品で退団されたりしたら、そりゃ観客としてしあわせだけど、カラダが保たないよ。
 わたし的オサ様花組の最高峰は『不滅の棘』と『マラケシュ』(博多座)なんだけど、そんなもんが退団公演だったら大変だ。『不滅の棘』は1本モノだからあきらめるとして、『マラケシュ』と『エンター・ザ・レビュー』が退団公演だったりしたら、たまらない。精神的に、追いつめられてしまう。
 『マラケシュ』は、すごい話だったからなあ。リュドヴィークの孤独と絶望に打ちのめされたさ……。あんなもんが最後だったら、うれしいけど、おかしくなっちゃうよ……。
 あと、『TUXEDO JAZZ』もオサ様の「天才」を発揮できるおそろしい作りのショーだったけど、タカラヅカ的ではないから、サヨナラには向かないしな。

 つーことで、小池と中村Bでいいんだと思う。
 タカラヅカ的で、名作は作れなくても嫌悪作は作らない作家だから。

 ただ、小池は前作『NEVER SAY GOODBYE』が嫌悪作に近かったため、ちょっとだけそっちの心配もしていた。
 できることだけやってればいいのに、できないこと、はじめから持ち合わせていないことに欲を出した結果の失敗だったと思う。
 願わくば、小池が変な欲を出さず、自分のテリトリー内で勝負してくれますように。テーマを叫んだり、高尚なものを作ろうとしたりは、しなくていい。テレビアニメの『ルパン三世』2時間スペシャル程度のノリでいいんだよ。制作費何億の映画ぢゃなく、あくまでもテレビの2時間スペシャルね。小池のオリジナルなんて、そのあたりのテイストでしょ。

 初日、初回はドキドキだ。
 ナニが飛び出すかわからないから。

 結果、考えすぎていたいろんなことは杞憂に終わった。

 小池せんせは、オサのこと好きなんだなあ。
 ……それが伝わってくる作品でしたよ、『アデュー・マルセイユ』

 ストーリーは、小池のオリジナルにしては拍子抜けするほど壊れていない。そして、構成のバランスはあれれなとこがちらほらあっても、相変わらず演出はうまい。
 「サヨナラ公演」であることをこれでもかと盛り込みながら、たくさんの人たちに出番がある。物語、というか作品の意識がひとつの方角を向き、まとまっている。
 ほんとに余計な欲を出さず、オサ様と今の花組のためだけに作ってくれたんだね。

 いい作品だと思うよ。

 ただ、わたし的にはあちこちツボをはずされているので、かゆいというか、つらい作りなんだけど。
 たぶん小池せんせの「正しさ」や「健康さ」がわたしの好みからはずれているんだと思う。
 ここをもう少し、こっちへずらしてくれたら好みなのに……が、てんこ盛り。ツボが微妙にずれてるの。近いだけに、苦しいの。

 構成上のツッコミの多さも気になる。
 ソレは変だ〜〜、ソレは無視できない〜〜、が、いちいち気になる(笑)。
 でもま、それくらい穴がある方がいろいろいろいろ妄想できて、たのしいのかもしれないと、2日続けて観劇して思い直した。

 たぶん、この調子で週2ペースぐらいで観劇してりゃあ、いろんなとこで萌えが発見できるだろう。
 今のところモーリス@壮くんが萌え過ぎて、どーしよーかと思う……なんなのよあの男、かわいすぎ。
 ジェラール@オサとモーリスで萌えはぁとがめらめらしてるんだけど、どうしよう……。

 今のところは作品よりストーリーより、春野寿美礼のものすごさのみで、感動している状態。
 作品のあれやこれやで引っかかって水を差されていても、寿美礼サマがあの歌声で全部持っていくんだもん……。すげえや。

 
 『ラブ・シンフォニー』は、1階で観たら、きれいだった。

 初日はわたし、B席だったのよね。でもって今日は立ち見。
 2階で観たときは気づかなかった。きれいなのね、電飾とか照明とか背景とか。真正面から観ないとわかんないんだ……。前回のオギーショーが2階からでもたのしかったもんだから、それを基準にしてた。
 ただ、昨日も今日もセンターだったからなあ。1階でも端から見たら、どうなのかしら……きれいに見えるといいのだけど。

 中村Bらしいショーでした。
 想定内の作品なので、とくになにも思わず。
 いや、不満を言い出すときりがないし。

 良かった探し。

 ウワサのラテン場面が、ラテン衣装ぢゃなかった。

 オサコンの「きぶみーらぶ」系衣装だったら、どうしようかと。
 原色ギラギラ、あり得ない配色に水玉模様、ターバンにチョウチョがぷらぷら、とか、最悪の事態は一通り考えたからな(笑)。

「あたし、ラテン衣装キライじゃないよ」
 と、ドリーさん。うん、あのいかにもタカラヅカな衣装も、醍醐味だとは思うよ。
 でもさ。

「まっつが、似合わない」

「……納得」

 オサコンのときの「ぎぶみーらぶ」、まっつはえらいことになってましたともさ……衣装が似合わなくて。てゆーか、衣装に埋もれていて。
 まっつファンとしては、ラテンフリフリ衣装があるかどうかは、大きすぎるデンジャラス・ポイントなのよ。

 
 前半のカジノ場面は素晴らしい。
 エロ。
 えろえろ。

 オサと彩音で、重なり合いエロ。しかも、彩音攻。

 ……も、素晴らしいが、その背景で若手花男たちもそれぞれ必死にエロいことやってるのが実に微笑ましい(笑)。

 エロがんばってるりせとか、体温上げて努力中のめおちゃんとか、ひざまずくときのガニ股が気になるまぁくんとか。
 ノリノリのらいも注目。

 でもって、誰も見てないと思うけど、下手袖でまっつとさおたさんがラヴラヴ。
 スキンシップ過多。

 どうやらまっつが攻らしい。(えええっ?!)

 
 スペイン系場面も途中まではたのしい。
 舞台はいつも人口密度高すぎなんだが、それでも盛り上がってる。

 
 サヨナラ仕様のラストのオサ様、そして彩音ちゃんとのデュエットダンスも美しい。

 中村Bだから。
 凡庸でも、オーソドックスで、最低限ムカつくものは作らない。それだけが救い。

 ただ。
 天才「春野寿美礼」の最後のショー作品を、どーしてこんな愚鈍な作家に作らせるのか、というじれったさはあるな。
 寿美礼サマの能力を、解放させる作りになっていないんだもの。そのうち寿美礼サマが勝手に暴走するかな……それに期待しよう。

 これくらいの温度、濃度の作品こそが、サヨナラには相応しいのだと思う。
 『タランテラ!』みたいな超絶作で卒業したコム姫は、大変だったなあ……ファンは魂すり減らし、寿命縮めたんぢゃないかと思うよ。


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