まっつと『アデュー・マルセイユ』その3。
2007年12月12日 タカラヅカ 今さらこっそりと『アデュー・マルセイユ』のまっつ語りその3。
★★こあらった目線の、見どころまっつ。★★
「あなたたちがホテルの部屋から出てくるところを見たって人がいるのよ!」
と、夫の浮気を責める妻のようで、ちょっとトキメキます、シモンの「お前たちが同じ部屋から出てくるのを見た」って台詞。
ジェラールをジオラモに取られた! と、傷ついているシモンがツボです。リシャール云々は言い訳だよね? たしかにジオラモを紹介したのはオレだけど、まさかこんなことになるなんて……。
夫の気を引きたくて離婚届を突きつける妻のようで、ちょっとトキメキます。破り捨ててくれると思ったのに、受け取るなんて……!!
いやその。
ジオラモとジェラールとシモンは、ちょっと昼メロちっくだな、と。
……え? そんなことない?
ホテル・ネプチューンのジオラモの部屋にて、ジェラールが坐る長椅子を悪党たちが囲む一瞬が好き。最初は断ったグラスを、最終的には受け取ったジェラール。隣にはモーリス。近いよ距離!(笑)
最後のキメは悪党たちがそれぞれの位置に散ってしまうので、椅子の周囲に集まるのはほんの一瞬。だけどそれぞれ個性を出した悪党たち(含むジェラール)が不敵で不遜ですげーかっこいい。
『凍てついた明日』の2幕冒頭のソファの場面みたいでわくわくする。
この椅子の周囲でキメにしてくれればいいのになー、イケコ。散ってしまうとふつうの終わり方になっちゃうよー。
さて、ジオラモ@まっつの次の出番は、カーテン前のモーリス@壮くんの駄々っ子ソング。
ここのジオ様のなにがステキかって、一生懸命駄々をこねているモーリスを口先でなだめつつ、一歩離れると「バカだこいつ」と頭の横で指をつんつんすること。
クラウディア@としこさんに向かって、どんだけモーリスをバカにしているかさらりと表現。「アタマおかしいって」とやったあと、また「仲間」の顔をして説得ソングを歌ってしまうのが素晴らしい。
ええもちろん、モーリスの肩を抱いて、頬をつつくのは、最高峰に愉快です。
寿美礼サマのことはろくに触れないままなのに、壮くんのことはどんどん触れるよーになっているのがステキです。
ジオラモ的には他の悪党ふたり、リシャール@はっちさん、ペラン@星原先輩のことは、それなりに認めているんだと思う。が、モーリスのことは完全にバカにしきっている。
リシャールとペランが「目的」を歌うときはふつーなのに、モーリスが「父の意志を達成するんだ」と歌うときは鼻で笑う。
私欲で集まった悪党たちなのに、モーリスひとり義憤ゆえと信じている、その矛盾、幼稚さ、責任転嫁っぷりを軽蔑しているのだろう。
ジオラモさんはここでもグラス片手です。ほんとに好きなんやな。
このそうそうたるメンバーの中で、まっつがどさくさにまぎれてセンターで歌っていたりするのを、ほんとーにすごいことだと思う。
どさくさにまぎれてセンター、はこのあとにもあるわけで。
アルテミス婦人同盟主催の舞踏会、そのダンス・コンテストにおいて。女の子たち@いちか、ののすみがコンテスト開始を高らかに宣言したあと。
またしてもカーテンが上がると紗の向こうに、まっつととしこさんがいる。
センター。
……退団するとしこさんへの配慮だと思うが、それにしてもまたまっつがドセンにいる、つーのは心臓に悪い。イケコありがとう、他ではありえないまっつ使い。
このタンゴ場面はジオラモとクラウディアの湿度を堪能する。
ベッタベタ。
他のどのカップルよりも顔を近づけて踊っている。
まっつほんと、ちっちゃいんだけどね。
女性とほぼ同じ体格だからこそ、あれだけリアルに顔を近づけられるんだと思う。身長差あったら大変だもんなー、おでこくっつけて踊るの。
いったん下手にはけていくときの無理矢理な密着ぶりがツボ。
コンテストで優勝できるとは思ってなかったのか、自分たちが選ばれなくてもまったく気にしていない。いや、「ここは若い人たちに花を持たせようか」てなキモチなのかしら。
踊り終わったあとはずーっと下手端。
銃を抜く騒ぎになっても下手端。
ここでのポイントは、クラウディアをかばうところ。
ナニかあると、咄嗟に女をかばうのね。新公が特にかばっていなかったので、まっつジオ様ならではなんだろう。
シモン@まとぶが銃を抜いて云々、とやりだし人々が騒然となったとき、ジオラモは、ジャケットの中に右手を入れている。
ええ。彼もまた銃を持つ男であり、必要があれば凶器を使う準備と覚悟のある男である。
ジャケットの中で銃を握るジオ様がかっこいいっす。
むやみやたらと銃を出さないの。でも、服の中で握っているの。
騒ぎの中ずーっと下手でモブに混ざっていたジオ様、次の舞台となる地下水道では上手に登場、しかしここでも気分はモブ。
舞台中央でドラマが進み、モブの男たちがわいわい取り囲んでいる中に、どさくさまぎれに登場するので、オペラグラスでジェラールだけ見ている観客には「ジオラモ? 出てた? いつからいたの?」てなもんかもしれません。
ここでは最初から銃を抜いて登場。クラウディアもくっついて来るが、彼女は武装しない。ジオラモさんが守ることが前提なのね。
ジオ様の最後の見せ場は、言わずとしれた「弁護士を呼べ」。
「イタリア人だからカンケーないね」とやった直後に「そのための国際警察だ!」とフィリップ@立さんに一喝され、態度急変。
その虚勢と撤退の速さがお笑い一直線。
ええ、ムラで観劇したウチいったい何回、わたしの周囲の見知らぬ観客たちがそこで吹き出していたことでしょう……遠い目。
後半になるとさすがにみんなあまり笑わなくなっていたけど……たんにリピーターが増えたのかな。
いや、ジオ様の演技もふてぶてしさを増していたので、小物っぷりお笑いっぷりは激減していたと思う。
「弁護士を呼べ!」のひとことも、負け犬の遠吠えではなく「皮肉」に聞こえていたしな。含み笑いながら言っていたり。
たぶん彼は裁かれることなく、権力や金に守られ、切り抜けられるんだろうな。それを見越しての含み笑いであり、皮肉なんだな。
そう思える演技に変わっていった。
ジオラモというキャラクタは、感情移入できるタイプではないので、好きだとはとても思えないが、「未涼亜希」という人を見る上ではとてもたのしかった。
「笑えた」ということも大きいが……演じることで、成長していく様を見られたことがいちばんうれしかった。
歌声もビジュアルも演技も。
そして、いちばん感心したのは「声」だと思う。
ジオラモは、声がチガウ。
まっつの通常の男役声とは別の声なんだよね。
わざとしわがれさせた、喉にこもらせたよーな声。歌も通常の語りも自在に巻き舌を入れる。
なのに、発声は明瞭。口跡良く言葉が、歌詞が耳に入る。
まっつって、いろんな声を持った人なんだ。
通常のクリアな声も好きだけど、このわざとしわがれさせたイヤラシイ声も、すごく好き。
あたしゃ元アニメヲタクだからさー、男には声で惚れるんだよー。声の振り幅の大きな人は、それだけでポイントアップ。
外見は化粧や衣装でなんとでもなる。表情なども含め「視覚に対する演技」はわりと取り繕いやすいんだ。
だが「聴覚に対する演技」は難しい。
たとえ無表情でも台詞声に感情があれば演技は成り立つが、逆はめちゃくちゃになる。台詞棒読みがいちばん芝居を壊す。
ジオラモさんはビジュアルその他でいろいろ話題を提供してくれたが、なによりその「声」の能力を最大級に表現してくれたことが、うれしい。
まっつの声、好きだな。
★★こあらった目線の、見どころまっつ。★★
「あなたたちがホテルの部屋から出てくるところを見たって人がいるのよ!」
と、夫の浮気を責める妻のようで、ちょっとトキメキます、シモンの「お前たちが同じ部屋から出てくるのを見た」って台詞。
ジェラールをジオラモに取られた! と、傷ついているシモンがツボです。リシャール云々は言い訳だよね? たしかにジオラモを紹介したのはオレだけど、まさかこんなことになるなんて……。
夫の気を引きたくて離婚届を突きつける妻のようで、ちょっとトキメキます。破り捨ててくれると思ったのに、受け取るなんて……!!
いやその。
ジオラモとジェラールとシモンは、ちょっと昼メロちっくだな、と。
……え? そんなことない?
ホテル・ネプチューンのジオラモの部屋にて、ジェラールが坐る長椅子を悪党たちが囲む一瞬が好き。最初は断ったグラスを、最終的には受け取ったジェラール。隣にはモーリス。近いよ距離!(笑)
最後のキメは悪党たちがそれぞれの位置に散ってしまうので、椅子の周囲に集まるのはほんの一瞬。だけどそれぞれ個性を出した悪党たち(含むジェラール)が不敵で不遜ですげーかっこいい。
『凍てついた明日』の2幕冒頭のソファの場面みたいでわくわくする。
この椅子の周囲でキメにしてくれればいいのになー、イケコ。散ってしまうとふつうの終わり方になっちゃうよー。
さて、ジオラモ@まっつの次の出番は、カーテン前のモーリス@壮くんの駄々っ子ソング。
ここのジオ様のなにがステキかって、一生懸命駄々をこねているモーリスを口先でなだめつつ、一歩離れると「バカだこいつ」と頭の横で指をつんつんすること。
クラウディア@としこさんに向かって、どんだけモーリスをバカにしているかさらりと表現。「アタマおかしいって」とやったあと、また「仲間」の顔をして説得ソングを歌ってしまうのが素晴らしい。
ええもちろん、モーリスの肩を抱いて、頬をつつくのは、最高峰に愉快です。
寿美礼サマのことはろくに触れないままなのに、壮くんのことはどんどん触れるよーになっているのがステキです。
ジオラモ的には他の悪党ふたり、リシャール@はっちさん、ペラン@星原先輩のことは、それなりに認めているんだと思う。が、モーリスのことは完全にバカにしきっている。
リシャールとペランが「目的」を歌うときはふつーなのに、モーリスが「父の意志を達成するんだ」と歌うときは鼻で笑う。
私欲で集まった悪党たちなのに、モーリスひとり義憤ゆえと信じている、その矛盾、幼稚さ、責任転嫁っぷりを軽蔑しているのだろう。
ジオラモさんはここでもグラス片手です。ほんとに好きなんやな。
このそうそうたるメンバーの中で、まっつがどさくさにまぎれてセンターで歌っていたりするのを、ほんとーにすごいことだと思う。
どさくさにまぎれてセンター、はこのあとにもあるわけで。
アルテミス婦人同盟主催の舞踏会、そのダンス・コンテストにおいて。女の子たち@いちか、ののすみがコンテスト開始を高らかに宣言したあと。
またしてもカーテンが上がると紗の向こうに、まっつととしこさんがいる。
センター。
……退団するとしこさんへの配慮だと思うが、それにしてもまたまっつがドセンにいる、つーのは心臓に悪い。イケコありがとう、他ではありえないまっつ使い。
このタンゴ場面はジオラモとクラウディアの湿度を堪能する。
ベッタベタ。
他のどのカップルよりも顔を近づけて踊っている。
まっつほんと、ちっちゃいんだけどね。
女性とほぼ同じ体格だからこそ、あれだけリアルに顔を近づけられるんだと思う。身長差あったら大変だもんなー、おでこくっつけて踊るの。
いったん下手にはけていくときの無理矢理な密着ぶりがツボ。
コンテストで優勝できるとは思ってなかったのか、自分たちが選ばれなくてもまったく気にしていない。いや、「ここは若い人たちに花を持たせようか」てなキモチなのかしら。
踊り終わったあとはずーっと下手端。
銃を抜く騒ぎになっても下手端。
ここでのポイントは、クラウディアをかばうところ。
ナニかあると、咄嗟に女をかばうのね。新公が特にかばっていなかったので、まっつジオ様ならではなんだろう。
シモン@まとぶが銃を抜いて云々、とやりだし人々が騒然となったとき、ジオラモは、ジャケットの中に右手を入れている。
ええ。彼もまた銃を持つ男であり、必要があれば凶器を使う準備と覚悟のある男である。
ジャケットの中で銃を握るジオ様がかっこいいっす。
むやみやたらと銃を出さないの。でも、服の中で握っているの。
騒ぎの中ずーっと下手でモブに混ざっていたジオ様、次の舞台となる地下水道では上手に登場、しかしここでも気分はモブ。
舞台中央でドラマが進み、モブの男たちがわいわい取り囲んでいる中に、どさくさまぎれに登場するので、オペラグラスでジェラールだけ見ている観客には「ジオラモ? 出てた? いつからいたの?」てなもんかもしれません。
ここでは最初から銃を抜いて登場。クラウディアもくっついて来るが、彼女は武装しない。ジオラモさんが守ることが前提なのね。
ジオ様の最後の見せ場は、言わずとしれた「弁護士を呼べ」。
「イタリア人だからカンケーないね」とやった直後に「そのための国際警察だ!」とフィリップ@立さんに一喝され、態度急変。
その虚勢と撤退の速さがお笑い一直線。
ええ、ムラで観劇したウチいったい何回、わたしの周囲の見知らぬ観客たちがそこで吹き出していたことでしょう……遠い目。
後半になるとさすがにみんなあまり笑わなくなっていたけど……たんにリピーターが増えたのかな。
いや、ジオ様の演技もふてぶてしさを増していたので、小物っぷりお笑いっぷりは激減していたと思う。
「弁護士を呼べ!」のひとことも、負け犬の遠吠えではなく「皮肉」に聞こえていたしな。含み笑いながら言っていたり。
たぶん彼は裁かれることなく、権力や金に守られ、切り抜けられるんだろうな。それを見越しての含み笑いであり、皮肉なんだな。
そう思える演技に変わっていった。
ジオラモというキャラクタは、感情移入できるタイプではないので、好きだとはとても思えないが、「未涼亜希」という人を見る上ではとてもたのしかった。
「笑えた」ということも大きいが……演じることで、成長していく様を見られたことがいちばんうれしかった。
歌声もビジュアルも演技も。
そして、いちばん感心したのは「声」だと思う。
ジオラモは、声がチガウ。
まっつの通常の男役声とは別の声なんだよね。
わざとしわがれさせた、喉にこもらせたよーな声。歌も通常の語りも自在に巻き舌を入れる。
なのに、発声は明瞭。口跡良く言葉が、歌詞が耳に入る。
まっつって、いろんな声を持った人なんだ。
通常のクリアな声も好きだけど、このわざとしわがれさせたイヤラシイ声も、すごく好き。
あたしゃ元アニメヲタクだからさー、男には声で惚れるんだよー。声の振り幅の大きな人は、それだけでポイントアップ。
外見は化粧や衣装でなんとでもなる。表情なども含め「視覚に対する演技」はわりと取り繕いやすいんだ。
だが「聴覚に対する演技」は難しい。
たとえ無表情でも台詞声に感情があれば演技は成り立つが、逆はめちゃくちゃになる。台詞棒読みがいちばん芝居を壊す。
ジオラモさんはビジュアルその他でいろいろ話題を提供してくれたが、なによりその「声」の能力を最大級に表現してくれたことが、うれしい。
まっつの声、好きだな。
コメント