公演ごと、観劇してすぐにメモを取らなきゃわけわかんなくなる、「本日のジェラールさん」。
 だってオサ様の演技は日替わり、回替わり。いつどの回でどんなだったか。1回1回メモらなきゃ混ざっちゃうよ、わけわかんなくなるよ。だってオサ様だもん。

 つーことで、メモも取らずに『アデュー・マルセイユ』5公演連続で観たので、いつどこでどうだったか忘却の彼方。わたしの貧弱な海馬じゃ記憶できないってばよ。

 だから順不同のジェラールさん。いくつかの回が混ざっている可能性もあるが、もう知らん。無理。いっぱいいっぱい。

 
 なんだかご機嫌なジェラールさん。
 マルセイユはなつかしく愛しいところであるらしい。
 とてもフレンドリーで誰にも彼にも優しい。笑顔笑顔。
 マリアンヌにも最初から好意的。モーリスには興味なし。
 シモンより、ジャンヌにやさしく、興味持ってる? ヲイ、それってただの女好き?(笑)
 ご機嫌が高じてホテル・ネプチューンでもハイテンション。「マリアンヌに惚れてるのかと思った」吹き出さんばかりの口調。ジェラールさん、笑いすぎ。
 シモンに詰め寄られるときも「今はナニも言えない」がやっぱりハイテンション……柔和すぎて笑っているよーに聞こえる背中。や、それじゃシモン怒るってば。
 だけど銀橋での絶唱は悲痛で。……やっぱりここもハイテンションなんだろう。
 反面、マリアンヌには怒鳴らない。彼女にはずっとやさしい。最後の別れも、笑顔笑顔。そんな風に笑われたら、行くしかないね、マリアンヌ。
 ……残酷かもよ、ジェラールさん。

 人格が一定していないジェラールさん。
 ご機嫌だったり、怒りっぽかったり、無関心だったり。場面ごとに性格ちがってるよヲイ。
 でもモーリスには興味アリってゆーか、壮くんいじるのたのしい?>オサ様
 ジェラールのモーリスに対する温度がいちいちチガウ。とびきり冷ややかだったり、熱かったり。
 壮くん大変だ、どう返し、どう演技を返すか。ぴりぴりしてるのがわかる。すげーな、あの壮くんを緊張させるオサ様。さすがオサ様(はぁと)。
 壮くんが毛を逆立てた猫みたいでたのしい。すごい集中してるね、彼。

 ところどころとてもアンニュイなジェラールさん。黙っていると別次元? 戻ってきて。
 マリアンヌにやさしいのはデフォ? あんなにやさしくされたら、泣くしかないよなあ。黙って旅立つしかないよなあ。

 シモンとマリアンヌが近づいて来ているよーな。ジェラールさんの中で。どっちも大切な、守りたいモノ……。
 でもジェラールを守るために銃を抜くのはシモンで。シモンはマリアンヌぢゃないから、黙ってあきらめなくていいんだよ、ジェラールさん。

 モーリスとのバザー会場でのケンカっぷり(笑)は、彼に無関心に見えた1回以外はみんなノリノリで愉快なことに。
 握手で手を離さずモーリスに「イタタ」と言わせてみたり、「あんな構え方じゃやられるのはオマエだ」と「もっとマシな手を考えろ」が意地悪だったり、投げ捨てるようだったり、「オマエのかーさんデーベーソ」的だったり。
 石鹸販売に関しても、ふたりでがるがる牙をむきあっている、互いを出し抜こうと必死になっている様がもお……。

 えーとね、回を重ねるごとに、最後の「アデュー」の台詞が力強くなっていった。これだけは覚えている。
 カウントダウンしているみたいに、強く、覚悟のある声に、表情になっているの。

 アドリブ部分はさらにもー、よくおぼえてない。「物語」の中のジェラールさんを魂に入れ込むのに必死で、お遊び部分はわたしのなかに入ってこない。

 元石鹸工場で「こうやって作るんだ」と石鹸講座をご満悦で披露するシモンに、「それ、オレが言ったんだ」とジェラールさんが笑いながらぽそりと言ったの、いつだっけ。シモンのうんちくがその一言でまるっとジェラールさんの手柄に。
 かなり独り言めいた、タイミングもボリュームもけっこう微妙な感じの一言だったんだが。
 でも客席は爆笑しているし、なにより一瞬呆けたシモンの顔が見物だった。
 大変だな、まとぶ……(笑)。いじられるのは壮くんだけぢゃない。がんばれー。

 石鹸アーティスト・シモン作のレビュースタァ・ジャンヌ……もとい「雪だるま」を、ジャンヌが「シモン?」と言い出したのは、いつのアドリブだっけ?
 グッジョブ、ジャンヌ。
 てゆーかみんな、思っていたよね、あの雪だるまのアタマの曲線……シモンのぴったりオールバック頭を彷彿とさせるって。

 そして思い出すのは、ジェラールさんの、シモンの頭を撫でる手つき。
 大切に、愛しそうに、頭のカタチをなぞるように撫で撫でするあの手つき。
「アタシが雪だるまに見えるっ?!」と噛みついて去っていくジャンヌを見送り、ジェラールさんが「そっくりだ」とぼそりとつぶやくの……シモンのことだよねえ?
 話を聞いていて、雪だるまがシモンにそっくりって言って笑ってるんだよね? あの愛しい曲線、撫で撫でせずにはいられない曲線がそっくりだって……あ、あれ? チガウの??
 
 
 「本日のジェラールさん」の中に、『ラブ・シンフォニー』の話も混ぜてしまう。だって日替わり回替わりは同じだし(笑)。

 ちょうちょの前でスキャットなオサ様は、いちばん気分が出るところ。
 歌い終わって舞台中央に出てきて、「ホゥ!」とか声を上げるまでの空白部分の、あの緊張感がたまらないなあ。
 観客の集中力もすごいんだもん。食いつく食いつく。
 わざと長く長くタメてみたり、首をコキコキ鳴らしてみたり。みんなみんな、オサ様の手のひらの上。

 噂には聞いていたが「キンバラさ〜〜ん!」の掛け声はなくなったのね。
 それに、スパニッシュの銀橋スタンバイ時も靴音しか聞こえないし。

 なくなったといえば、開襟プレイがなくなったのは何故?!

 ちょうちょで登場した際に「あれ? なんか胸開いてるなぁ」と思ったら、帽子を投げたあとに開襟しない、胸をはだけない。
 最初から開いてるから、サービスなのか? や、でも、わざわざみんなの前で開けるつーのがサービスだったのでは?
 どーでもいいことなのかもしれんが、ショックでした(笑)。

 わかりやすいショーストップは、こちらに来てもないんだね。
 ファンはいつまでも拍手をしたいのに、オサ様がソレを許さない。いくらでもその音に空間に身を浸していられるだろうに、彼はすぐにソレを打ち切る。次へと進む。

 ソレが寂しく、また誇らしい気持ちにもなる。

 観客もまた、オサ様の気持ちと同じに、ぴたりと拍手をやめる。

 ショーストップはしない。
 進み続ける。

 確実に、終わりに向けて。

 
 
 どうしよう。
 終わってしまう?

 

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