キムシンといえば、アテ書き。
 そしてタカラヅカは、アテ書きさえきちんとしてくれたならば、あとは多少アラがあってもどーにかなる。

 『君を愛してる−Je t’aime−』の、キャラクタたちの愉快なこと!!

 ジョルジュ@水しぇん、かーわーいーいー。
 やさしすぎる、やわらかすぎる心を持つ青年。
 とんでもない色合いのスーツもオシャレに着こなし、ファンタジー世界の住人としての仕事を果たしている。

 バラク、アオセトナと黒い役ばかりを与えてきて、ここでこんな真っ白……つーかパステルカラーなかわいこちゃんを、天下の水夏希に振りますか。トート閣下に今さらこの役をやらせますか。
 たぶん、素の乙女なチカちゃんへのアテ書きなんだろうなあ(笑)。善良さや生真面目さがそのまま魅力になっている。

 キャラ設定の上で「うまいな」と思うのは、ジョルジュのかわいらしさやヘタレさだけでなく、「客観的なかっこよさ」もきちんとエピソードとして挿入していること。
 あの唐突なフェンシング場面ね。
 アレ、ストーリー的には別になくてもいいけど「キャラもの」としては絶対に必要なの。
 ジョルジュっつーキャラについて語られるのがメンタル面ばかりだったのに対し、フィジカル面を表す、という意味で。
 たまたまヘタレ(笑)でやさしい面ばかりがストーリー上語られているけれど、別の角度から見れば彼はすげーかっこいい男なんだってば。……というエピソード。

 キャラメイキング上の「お約束」をきちんと果たすキムシンに拍手(笑)。

 ジョルジュの誠実さ、ある意味「無力な良心」がツボ。
 心正しいとか善良なだけでは、なにもできない。それが現実。だけど、現実だからとあきらめるのでもひねくれるのでもなくて、その中で、「できること」を探す、あがく、その強さ。

 水くんの持つハートフルさが存分発揮されていると思う。
 ダイスキ。

 
 マルキーズ@となみちゃんの、華やかなかわいらしさ。
 サーカスの花形スターだということが、その存在だけで納得できる、美貌とかわいらしさ、その輝き。
 サーカス衣装もめっちゃかわいい。

 気の強い女の子だからこそ、支えてあげたい、守ってあげたい。
 自然にそう思わせる、けなげさ。

 水くんとの並びも美しいし、キュートだし。
 いいなあ、このカップル。
 ふたりそろってかわいーよー。

 
 悪役(笑)、アルガン@ゆみこ。

 ……ごめん、すげー笑った。

 キムシン、このアテ書きぶりって……!!(震撼)

 カッコつけた、カッコつけのタメのカッコづけした、大人な悪役。
 あのゆみこが腰振って、腰回して、「オレってセクスィ〜〜」とキメてくれると、ツボ直撃して爆笑した。
 や、わたしの横で超絶ゆみこファンがふたり、カラダをふたつに折って爆笑してるし。声殺すためにぴくぴくしてるし。

 あまりに真剣にオモロキャラで、登場当初はどーなることかと思ったが。

 ……いい人でした。

 すげー理不尽な、絵に描いたような悪役っぷりなんだけど、話しているうちに、わかってくるの。
 彼は彼なりの信念と正義で、マルキーズのために言っているんだって。
 考え方がチガウだけで、別に悪でもなんでもないんだって。

 悪役に見えるほどの強引さと、不器用さ。
 それに気付いたときに、胸がきゅんとなる。

 うわわ、アルガンいい男だ〜〜、ダイスキ〜〜。

 ラストのはじけっぷりもイイ。や、その、ソレがまた恥ずかしくもかっこいいわけで……なんでああもオモロなんだアルガン!!
 てか、美穂姐とゆみこのデュエットなんて、キムシン素晴らしすぎる!!(笑)

 
 フィラント@キムの、明るさとしたたかさ。
 えー、彼へのアテ書きっぷりが、いちばんすごいと思う。フィラントって、一見単純で、そのくせすげー難しいキャラクタだと思う。

 物語を牽引し、収束する力。
 それが、レオン神父@ハマコと、フィラント@キムなの。

 物語のテーマ部分、メンタル部分を担うのがレオン神父。そして、物語のアクション部分、フィジカル部分を担うのがフィラントなの。

 愛について語り、心を支えたり正したりするのがレオン神父。
 そしてフィラントは、物語の流れを動かす。引っ張る。引っかき回す。
 停滞したとき、彼がひょいっとつまんで、流れを起こすの。

 その、強さ。明るさ。
 大地に足の着いた力。太陽を業として生まれてきた存在。
 強すぎて、ちょっと無神経テイストだったりするあたり……どんだけすげーアテ書きなんだと。

 彼の「正しい」強さが心地良い。ほんとにすごい持ち味だ。

 
 アルセスト@かなめくんのヘタレっぷりときたら。
 容赦ないアテ書きだなー(笑)。傷つくのがこわくて、言い訳ばかりして、逃げてばかりの心優しい青年。弱いこととやさしいことを混同してしまった、袋小路。
 ルドルフの姿が二重写しになる。歴代ルドルフのなかでもっとも惰弱でヘタレな、万引きが見つかり親に叱られて自殺する中学生みたいな皇太子。

 その彼が、曲がりなりにも勇気を出し、一歩を踏み出す物語。

 ルドルフにもちゃんとした友だちがいれば、あんな死に方しないですんだんだろうねえ……てなキャラクタ。

 ヘタレっぷりがかわいい。すげー本気で、正面切って取り組んでいるのがわかって、それだけでもわくわくする。

 
 そんなダメダメ男アルセストに恋するセリメーヌ@さゆちゃんが、すげーいいキャラだ(笑)。

 やさしすぎるダメダメ男だから、セリメーヌのような気の強い女の子が惹かれたんだろう。
 そして、やさしすぎるダメダメ男だからこそ、許せなくてキレてしまう。
 そんな心の流れが想像できる、人騒がせだけどかわいい女の子。

 てか、さゆちゃん、その胸の大きさはいったい……(笑)。

 
 クレアント@ヲツキ、いったい全体、どーしたことだ?!
 ヲヅキが、ヲヅキが、役がある台詞がある、歌がある〜〜っっ。
 ちゃんと重要な役で、「芝居」してるよお。うれしいよお。

 役者ヲヅキ氏の「芝居」がダイスキなので、それだけで感涙モノです。

 なによりまず、センターパーツにツボる。
 センターパーツ? なんなのそのかわいこちゃんな髪型。しかもなんか、若い、かわいこちゃんな演技してるよ、ヲヅキったら!

 奥さんのアンジェリック@かおりちゃんとラヴラヴ。
 モブ場面でも、奥さん守ってたりいたわってたり、おなかに触っていたり、もーすげー愛情ダダ漏れでステキ。
 大袈裟なことはなくても、ナチュラルに妻を愛し、生きることを愛している。その安定感が心ときめかせる。
 仕事に対するこだわりや自信も、ヘタレテイスト(兄弟共に・笑)なキャラクタのアクセントになってるよね。
 いい男だ、クレアント。素直に、「こんな男の人、好き」と思える。

 
 他のキャラもみんな「好き」と思える、かわいい人たちばかりで。
 やさしい人たちが、やさしい物語を綴る。
 そのきらめきに、胸が熱くなる。

 ダイスキ。
 そう、シンプルに思わせてくれる。

 タカラヅカを好きで良かった。
 そう、シンプルに思わせてくれる。

 「愛」と「夢」を語る、「愛」と「夢」のためだけにある劇団、タカラヅカ。

 新しい年に、心新たに、「しあわせ」を感じさせてくれる。
 大好きな人の退団にさんざん泣いたけれど、今でも心の整理がついたとは言えないけれど、それでも、タカラヅカを「好き」だと改めて思わせてくれる。

 そのことが、うれしい。
 好きでよかった。

 すべてのことを、超えていける。そのための、力。
 そのための、マジックスペル。

「愛してる」


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