彼が清冽な「美しさ」を発する世界で。@HOLLYWOOD LOVER
2008年1月9日 タカラヅカ 大空祐飛の美しさを痛感する。
月組バウホール公演『HOLLYWOOD LOVER』観劇。初日に行けなかったので、あとはもーいつでもいいや、とグレた初日好き(笑)。結局nanaタンと一緒にWヘッダーっす。
予備知識ナシ。誰が出ているのかもノーチェックで、とにかく行く。
ハリウッドは大作映画「サラ・ベルナール」の製作発表に沸き返っていた。大ヒットメーカーであるプロデューサー、リチャード@あひ、大女優ローズ@あいあい主演、監督はイタリアから招致したステファーノ@ゆーひだ。
ステファーノは昔ハリウッドで映画制作修行をしており、そのころにローズと恋仲だった。ステファーノの監督デビュー作「HOLLYWOOD LOVER」で初主演したローズをリチャードが見初め、ローズはリチャードと結婚、ステファーノは追われるようにハリウッドをあとにした……という過去があるにもかかわらず、因縁の顔ぶれでの大作映画制作。
それはローズのたっての希望だった。彼女はこの「サラ・ベルナール」を最後に引退をほのめかすが……。
大変タカラヅカらしいメロドラマで、とことん美しく、また、泣ける物語でした。
ラヴストーリーというより。メロドラマ、という言葉が似合う。や、誉め言葉ですとも。
他のジャンルでは成立しない、タカラヅカならではの作品なので。
つくづく、「タカラヅカ」に理屈はいらないのだと思った。
大空祐飛の美しさだけで、あとは全部まるっとどーでもいーと思えてしまうからだ。
もちろん、「タカラヅカの男役」というファンタジーを作り上げるための「作品」は必要で、景子せんせはとても良い仕事をしていると思うが。
景子せんせの作品の最大の美点は、「タカラヅカ男役が誰でも美しく見える作品」を作ることで、『HOLLYWOOD LOVER』もゆーひくんでなくてもOKなキャラと作品なんだが、「タカラヅカ男役」であるゆーひくんの美しさを最大限に引き出していると思う。
大空祐飛が美しい。
もう、コレだけで他はナニもいらない……つー勢いだ。
これほど美しい人が生きて、動いている奇跡。
そしてゆーひくんは、景子作品に合ってる人だと思う。
植田景子作品は、美しいが、薄い。淡々としていて、少女マンガ的な美しさや正義で貫かれているため、リアルな汚れ、濁の部分を持たない。
強い個性、アクのある人は、景子作品には合わない。彼の個性が作品の流れを変えてしまうから。美しく、温度の高くない、作品の空気感や世界観を壊さない及第点以上の男役スキルを持ったスターが相応しい。
ゆーひくんは強い個性もアクも持っていると思っているけれど、その個性ゆえに、作品やキャラを選ぶ。
いわゆる正統派な白い役は苦手部類に分類。
なにしろ「愛」の演技が苦手。嫉妬や苦悩は得意で、ドロドロしたものを演じるとすげーハマるのだが、それは「真ん中」向けの資質じゃないので、「真ん中」である今回は関係なし。
今回は大したストーリーも起伏もない、淡々と進むメロドラマ。正統派の白い「愛」だけで話を進めなければならない。
そしてゆーひくんは、恋愛温度が低い。熱愛濃度が薄い。
だからこそ、薄い景子作品に似合う。
淡々と流れる白いドラマを、淡々と白いゆーひくんが、ただただ美しく演じる。
景子せんせの世界観を、そのまま形作ることができる。
高温だったり愛情ダダ漏れだったりエロエロだったりすると、どうしても泥臭くなる。作品が濁る。
透明に透き通った白い世界を描くには、相応しくない。
たとえばこの話、トウコ×あすかで演じていたら、すげーエロエロな情念の世界に突入していただろうな、とか(笑)。18禁上等。
らんとむ主演でも暑苦しくなったろうな、とか(笑)。熱血上等。
ゆーひだから、こんなに温度の低い物語になってるんだよな。おしゃれになってるんだよな、と。
ちょうどドラマシティであさこちゃん主演の『A-“R”ex』が上演されている頃だったからこそ、より興味深かった。
どちらの作品も、「タカラヅカ的美しさ」のみを主役に求めている。
しかし『A-“R”ex』はその「タカラヅカ的美しさ」ゆえに救いがなく、『HOLLYWOOD LOVER』は「タカラヅカ的美しさ」ゆえに成立している。
あさことゆーひ、ふたりの壮絶な美しさゆえに、存在した作品。
そしてわたしは、『A-“R”ex』を観ながら「ここにゆーひがいれば」と切望したし、『HOLLYWOOD LOVER』を「あさこちゃん主演で観たいなー」と思った。
『A-“R”ex』でいたたまれないほど「世界」から孤立していたあさこを救えるのはゆーひだと思った。ゆうひくんが『A-“R”ex』に出演していれば、たったひとり「タカラヅカ」であるあさこちゃんと「世界」を、ゆーひくんが「つなぐ」ことができたと思う。……そしたら、作品が変わってしまうから、ありえないんだけど。
『HOLLYWOOD LOVER』は、「タカラヅカの男役スター」がその白い資質、真ん中の力で演じるものであるからこそ、ふつうにトップスターあさこちゃんで見てみたいと思った。ゆうひがその個性を存分に発揮できるのは、この作品ではリチャード役だし。
『A-“R”ex』と『HOLLYWOOD LOVER』に文句があるとか、それぞれの主演に不満があるとかゆー意味ではなく、単純にそう思った。
『A-“R”ex』の持つ「タカラヅカ」へのアンチテーゼ、『HOLLYWOOD LOVER』の「タカラヅカ」でしか存在し得ない作品の骨組み自体の甘さゆえに、「タカラヅカ的」であるあさことゆーひの存在をシャッフルしてもアリだろう、とか、そーゆーことを思ったわけだな。
まあなんにせよ、わたしは「美しい」ゆーひくんを見られたので、それだけでうれしいし、たのしかったっす。
わたしが「大空祐飛」で見たいモノではまったくなかったが、彼がココまで成長していたことがうれしくてならない。
大人になったなあ……。
観ながら、『シニョール ドン・ファン』をすごーく思い出していた。スティーブ役をこなせていなかったあのふくれっ面の不良少年が、よくぞここまで育ったなあ。
役の幅が狭く、黒い役、真ん中からちとひねくれたようなところの役は得意でも(そしてその辺を好む客には熱愛されても)、正統派の「白い役」、路線スターならば誰が演じてもOKな役(そしてそれこそが大衆に愛される役)は苦手だった彼が、この「真ん中」という以外になにもないよーな役を、ここまできちんと演じることができるよーになるとは。
ちょっと前までは、想像もできなかったよ。
確実に成長し続けているんだ。
持って生まれただけの美しさではない、彼自身が磨き上げた美しさに、感動する。
月組バウホール公演『HOLLYWOOD LOVER』観劇。初日に行けなかったので、あとはもーいつでもいいや、とグレた初日好き(笑)。結局nanaタンと一緒にWヘッダーっす。
予備知識ナシ。誰が出ているのかもノーチェックで、とにかく行く。
ハリウッドは大作映画「サラ・ベルナール」の製作発表に沸き返っていた。大ヒットメーカーであるプロデューサー、リチャード@あひ、大女優ローズ@あいあい主演、監督はイタリアから招致したステファーノ@ゆーひだ。
ステファーノは昔ハリウッドで映画制作修行をしており、そのころにローズと恋仲だった。ステファーノの監督デビュー作「HOLLYWOOD LOVER」で初主演したローズをリチャードが見初め、ローズはリチャードと結婚、ステファーノは追われるようにハリウッドをあとにした……という過去があるにもかかわらず、因縁の顔ぶれでの大作映画制作。
それはローズのたっての希望だった。彼女はこの「サラ・ベルナール」を最後に引退をほのめかすが……。
大変タカラヅカらしいメロドラマで、とことん美しく、また、泣ける物語でした。
ラヴストーリーというより。メロドラマ、という言葉が似合う。や、誉め言葉ですとも。
他のジャンルでは成立しない、タカラヅカならではの作品なので。
つくづく、「タカラヅカ」に理屈はいらないのだと思った。
大空祐飛の美しさだけで、あとは全部まるっとどーでもいーと思えてしまうからだ。
もちろん、「タカラヅカの男役」というファンタジーを作り上げるための「作品」は必要で、景子せんせはとても良い仕事をしていると思うが。
景子せんせの作品の最大の美点は、「タカラヅカ男役が誰でも美しく見える作品」を作ることで、『HOLLYWOOD LOVER』もゆーひくんでなくてもOKなキャラと作品なんだが、「タカラヅカ男役」であるゆーひくんの美しさを最大限に引き出していると思う。
大空祐飛が美しい。
もう、コレだけで他はナニもいらない……つー勢いだ。
これほど美しい人が生きて、動いている奇跡。
そしてゆーひくんは、景子作品に合ってる人だと思う。
植田景子作品は、美しいが、薄い。淡々としていて、少女マンガ的な美しさや正義で貫かれているため、リアルな汚れ、濁の部分を持たない。
強い個性、アクのある人は、景子作品には合わない。彼の個性が作品の流れを変えてしまうから。美しく、温度の高くない、作品の空気感や世界観を壊さない及第点以上の男役スキルを持ったスターが相応しい。
ゆーひくんは強い個性もアクも持っていると思っているけれど、その個性ゆえに、作品やキャラを選ぶ。
いわゆる正統派な白い役は苦手部類に分類。
なにしろ「愛」の演技が苦手。嫉妬や苦悩は得意で、ドロドロしたものを演じるとすげーハマるのだが、それは「真ん中」向けの資質じゃないので、「真ん中」である今回は関係なし。
今回は大したストーリーも起伏もない、淡々と進むメロドラマ。正統派の白い「愛」だけで話を進めなければならない。
そしてゆーひくんは、恋愛温度が低い。熱愛濃度が薄い。
だからこそ、薄い景子作品に似合う。
淡々と流れる白いドラマを、淡々と白いゆーひくんが、ただただ美しく演じる。
景子せんせの世界観を、そのまま形作ることができる。
高温だったり愛情ダダ漏れだったりエロエロだったりすると、どうしても泥臭くなる。作品が濁る。
透明に透き通った白い世界を描くには、相応しくない。
たとえばこの話、トウコ×あすかで演じていたら、すげーエロエロな情念の世界に突入していただろうな、とか(笑)。18禁上等。
らんとむ主演でも暑苦しくなったろうな、とか(笑)。熱血上等。
ゆーひだから、こんなに温度の低い物語になってるんだよな。おしゃれになってるんだよな、と。
ちょうどドラマシティであさこちゃん主演の『A-“R”ex』が上演されている頃だったからこそ、より興味深かった。
どちらの作品も、「タカラヅカ的美しさ」のみを主役に求めている。
しかし『A-“R”ex』はその「タカラヅカ的美しさ」ゆえに救いがなく、『HOLLYWOOD LOVER』は「タカラヅカ的美しさ」ゆえに成立している。
あさことゆーひ、ふたりの壮絶な美しさゆえに、存在した作品。
そしてわたしは、『A-“R”ex』を観ながら「ここにゆーひがいれば」と切望したし、『HOLLYWOOD LOVER』を「あさこちゃん主演で観たいなー」と思った。
『A-“R”ex』でいたたまれないほど「世界」から孤立していたあさこを救えるのはゆーひだと思った。ゆうひくんが『A-“R”ex』に出演していれば、たったひとり「タカラヅカ」であるあさこちゃんと「世界」を、ゆーひくんが「つなぐ」ことができたと思う。……そしたら、作品が変わってしまうから、ありえないんだけど。
『HOLLYWOOD LOVER』は、「タカラヅカの男役スター」がその白い資質、真ん中の力で演じるものであるからこそ、ふつうにトップスターあさこちゃんで見てみたいと思った。ゆうひがその個性を存分に発揮できるのは、この作品ではリチャード役だし。
『A-“R”ex』と『HOLLYWOOD LOVER』に文句があるとか、それぞれの主演に不満があるとかゆー意味ではなく、単純にそう思った。
『A-“R”ex』の持つ「タカラヅカ」へのアンチテーゼ、『HOLLYWOOD LOVER』の「タカラヅカ」でしか存在し得ない作品の骨組み自体の甘さゆえに、「タカラヅカ的」であるあさことゆーひの存在をシャッフルしてもアリだろう、とか、そーゆーことを思ったわけだな。
まあなんにせよ、わたしは「美しい」ゆーひくんを見られたので、それだけでうれしいし、たのしかったっす。
わたしが「大空祐飛」で見たいモノではまったくなかったが、彼がココまで成長していたことがうれしくてならない。
大人になったなあ……。
観ながら、『シニョール ドン・ファン』をすごーく思い出していた。スティーブ役をこなせていなかったあのふくれっ面の不良少年が、よくぞここまで育ったなあ。
役の幅が狭く、黒い役、真ん中からちとひねくれたようなところの役は得意でも(そしてその辺を好む客には熱愛されても)、正統派の「白い役」、路線スターならば誰が演じてもOKな役(そしてそれこそが大衆に愛される役)は苦手だった彼が、この「真ん中」という以外になにもないよーな役を、ここまできちんと演じることができるよーになるとは。
ちょっと前までは、想像もできなかったよ。
確実に成長し続けているんだ。
持って生まれただけの美しさではない、彼自身が磨き上げた美しさに、感動する。
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