昔ハリウッドというところに、びんぼーだけどラヴラヴな、若いカップルがいました。毎日、こいつぅ♪いやぁん♪つかまえてごらんなさぁい♪あはは♪うふふ♪な生活でした。あまりに毎日ソレ一色だったので、女の方が「こんなぴんくいろにしあわせなひびが、ずーっとつづくわけないわ。しあわせがこわれることなんかたえられない。それならじぶんからこわしちゃえ。えいっ」と、他の大金持ちとあっさり結婚してしまいました。
突然捨てられた男は失意のまま故国へ帰り、あっという間に8年経ちました。
お金持ちの夫の力で大スターになった女は、またしても夫の力で昔コケにして捨てた恋人の男をハリウッドに呼び寄せました。男はあれから一念発起して、故国で映画監督として成功を収めていたのです。夫の会社が金を出し、夫がプロデューサーを務め、昔の男が監督をする映画で、主演女優を張るのです。すばらしい。
もちろん女は男をずーっと愛しており、夫を捨てて男と逃げる算段です。「おかねより、あいだわ!」ということらしいですが、えーと、あのぅ、男は昔のなにも持たない若造ではなく、今をときめく売れっ子監督なんですから、富も名声もそれなりにあるっつーかなんつーか。うふふ♪あはは♪ 人生薔薇色、ぴんくいろ。
ところが急転直下。女の夫は独占欲の固まり。なんせ筋金入りのマザコンでファザコンです。ママにそっくりな女が、別の男を選ぶなんて耐えられない! ボクはパパとはちがって妻一筋なんだっ。ボクたちは完璧な夫婦だあぁぁぁぁ(エコー)ということで、女を道連れに無理心中カマしました。どいつもこいつも、うふふ♪あはは♪な思考回路だなヲイ。
……てな話だったよーな気がしないでもないが、そのへんは深く考えず。
『HOLLYWOOD LOVER』のハナシです。
ネタ一発勝負っていうか、シチュエーション萌えっていうか、ぶっちゃけストーリーほとんどナイのに、それでも2時間保たせるんだからすごい。
ストーリーと呼べるべき「アクション」の部分は全部「回想(録音)」でしかなく、なにもしていない現在パートばかりが淡々と続く。
「物語」としてふつーに成立させるなら、過去と現在を両方きちんと役者を使って、実際に演じて、表現するべきだった。
朗読劇でもOKな作りだもんよ、今のままじゃ。
もっとも、わざとソレを狙って作ったのかもしれないので、それじゃー仕方ないな、と思う。
ストーリー性が薄い、起伏がない、淡々としている。平均以下のクオリティの作品ならそれらを欠点として上げられるけど、これだけまとまった「美しいもの」を作ったのだから、「狙って作りました」と言われたらもう、仕方ない。お手上げだ。
あとは好みの問題。
つーことで、ただたんにステファーノ@ゆーひがかっこいいという話をしよう(笑)。
わたしがステファーノを「かっこいい」と思うのは、なによりも彼が働いている男だからだと思う。
……や、だって。
ヅカのヒーローで、まともに仕事している人、仕事している様子がかっこよく描かれている人、ほとんどいないんだもんよ。
愛だの使命だのに苦悩はしてくれても、ふつーの社会人として「働いている」姿は描かれないんだもん。
芸術家とかが、その才能を発現するために苦悩している様とかは描かれることがあるけど、それは「働いている」のではなく、「ヒーローとしての活躍」を描いているだけだし。
天才の話は好きだけど、そうではなく、等身大の「理想の恋人」を描くなら、「仕事をしている姿」は重要でしょう?
ステファーノは才能あるクリエイターだけど、快刀乱麻の絶対無二の天才カリスマではなく、あくまでも「ふつう」の岸にいる人。地に足の着いた「有能な男」。
ならば彼がどう有能なのかを、台詞だけでなく「生き方」で見せて欲しい。
プロデューサー側の無理難題を受け入れ、スタッフをまとめ、自ら現場に立って指揮をする。人々の信頼、仲間の輪、大衆性と自己表現とを誤解せずに創作する。
アーティストとしての力と、社会人としての力、リーダーシップを見せつけることで、自然と彼を「かっこいい」と思わせてくれる。
てゆーか、仕事に誇りとこだわりのある男が好きつーだけなんだけどね、わたしが(笑)。
愛や恋や、情や傷は人間なら当然持っているし、それによって揺れ動きもするけれど、ソレを言い訳に仕事を投げ出したり穴を空けたり手を抜いたりする男は嫌い。や、男に限らず、女もだけど。
自分を捨てた女とその夫の映画であっても仕事を受け、女への気持ちが再燃しているにしろ、それとは別に仕事を完璧に仕上げる。
女と逃げるのは、仕事を終えてから。ふたりきりでいくらでも一緒にいられるだろう仕事中ではなく。
そういう、「あたりまえ」の部分を、ごく「あたりまえ」に満たしていることに感動。
ステファーノは、恋や傷を言い訳に仕事を投げ出さない。人生を投げ出さない。
恋や傷を理由になにもかも投げ捨てる方が簡単にドラマティックだし、それだけ情が深い、すばらしい人間のように描きがちな「フィクション」界で。
ステファーノはどれだけ傷ついても、人として、社会人としての常識や役目を果たし続けるだろう。そう思えることがステキ。
そーゆー「まとも」な感覚の男だからこそ、人妻とかけおちする重みもあるわけで。
ふわふわした男とはチガウ、あのまともな男が下した決断だから、とてつもなく重い。
そして彼は、その重みを知り、すべてひとりで担ぐつもりでいる。……女の方は絶対、担がない。全部男になすりつけるはず(笑)。
ローズとステファーノはかけおちに成功していたとしても、大した時間は掛からず破局するだろうし、あの弱く自分勝手なローズは自虐することで自分を守り、結局ステファーノはとことん傷つくことになるだろう。
それでも彼ならきっと、傷だらけの身体を起こし、重い足取りで、それでも歩き出すだろうと思える。
それらも含めて、「かっこいい」んだ。
ローズとの思い出の写真を手に号泣する背中がせつない。愛しい。
強い人。
だからこそ、悲しくて。
最後の空港の場面にて、去っていく背中がせつない。愛しい。
強い人。
まともで、ふつうで、だからこそ強い人。
エキセントリックだとかデリケートだとか、弱さを守るための飾りを持たず、ただ真正面から強い人。
だからこそ、愛しくて。
つーことで、ただたんにステファーノ@ゆーひがかっこいいというだけの話。
それだけでいいもん。
突然捨てられた男は失意のまま故国へ帰り、あっという間に8年経ちました。
お金持ちの夫の力で大スターになった女は、またしても夫の力で昔コケにして捨てた恋人の男をハリウッドに呼び寄せました。男はあれから一念発起して、故国で映画監督として成功を収めていたのです。夫の会社が金を出し、夫がプロデューサーを務め、昔の男が監督をする映画で、主演女優を張るのです。すばらしい。
もちろん女は男をずーっと愛しており、夫を捨てて男と逃げる算段です。「おかねより、あいだわ!」ということらしいですが、えーと、あのぅ、男は昔のなにも持たない若造ではなく、今をときめく売れっ子監督なんですから、富も名声もそれなりにあるっつーかなんつーか。うふふ♪あはは♪ 人生薔薇色、ぴんくいろ。
ところが急転直下。女の夫は独占欲の固まり。なんせ筋金入りのマザコンでファザコンです。ママにそっくりな女が、別の男を選ぶなんて耐えられない! ボクはパパとはちがって妻一筋なんだっ。ボクたちは完璧な夫婦だあぁぁぁぁ(エコー)ということで、女を道連れに無理心中カマしました。どいつもこいつも、うふふ♪あはは♪な思考回路だなヲイ。
……てな話だったよーな気がしないでもないが、そのへんは深く考えず。
『HOLLYWOOD LOVER』のハナシです。
ネタ一発勝負っていうか、シチュエーション萌えっていうか、ぶっちゃけストーリーほとんどナイのに、それでも2時間保たせるんだからすごい。
ストーリーと呼べるべき「アクション」の部分は全部「回想(録音)」でしかなく、なにもしていない現在パートばかりが淡々と続く。
「物語」としてふつーに成立させるなら、過去と現在を両方きちんと役者を使って、実際に演じて、表現するべきだった。
朗読劇でもOKな作りだもんよ、今のままじゃ。
もっとも、わざとソレを狙って作ったのかもしれないので、それじゃー仕方ないな、と思う。
ストーリー性が薄い、起伏がない、淡々としている。平均以下のクオリティの作品ならそれらを欠点として上げられるけど、これだけまとまった「美しいもの」を作ったのだから、「狙って作りました」と言われたらもう、仕方ない。お手上げだ。
あとは好みの問題。
つーことで、ただたんにステファーノ@ゆーひがかっこいいという話をしよう(笑)。
わたしがステファーノを「かっこいい」と思うのは、なによりも彼が働いている男だからだと思う。
……や、だって。
ヅカのヒーローで、まともに仕事している人、仕事している様子がかっこよく描かれている人、ほとんどいないんだもんよ。
愛だの使命だのに苦悩はしてくれても、ふつーの社会人として「働いている」姿は描かれないんだもん。
芸術家とかが、その才能を発現するために苦悩している様とかは描かれることがあるけど、それは「働いている」のではなく、「ヒーローとしての活躍」を描いているだけだし。
天才の話は好きだけど、そうではなく、等身大の「理想の恋人」を描くなら、「仕事をしている姿」は重要でしょう?
ステファーノは才能あるクリエイターだけど、快刀乱麻の絶対無二の天才カリスマではなく、あくまでも「ふつう」の岸にいる人。地に足の着いた「有能な男」。
ならば彼がどう有能なのかを、台詞だけでなく「生き方」で見せて欲しい。
プロデューサー側の無理難題を受け入れ、スタッフをまとめ、自ら現場に立って指揮をする。人々の信頼、仲間の輪、大衆性と自己表現とを誤解せずに創作する。
アーティストとしての力と、社会人としての力、リーダーシップを見せつけることで、自然と彼を「かっこいい」と思わせてくれる。
てゆーか、仕事に誇りとこだわりのある男が好きつーだけなんだけどね、わたしが(笑)。
愛や恋や、情や傷は人間なら当然持っているし、それによって揺れ動きもするけれど、ソレを言い訳に仕事を投げ出したり穴を空けたり手を抜いたりする男は嫌い。や、男に限らず、女もだけど。
自分を捨てた女とその夫の映画であっても仕事を受け、女への気持ちが再燃しているにしろ、それとは別に仕事を完璧に仕上げる。
女と逃げるのは、仕事を終えてから。ふたりきりでいくらでも一緒にいられるだろう仕事中ではなく。
そういう、「あたりまえ」の部分を、ごく「あたりまえ」に満たしていることに感動。
ステファーノは、恋や傷を言い訳に仕事を投げ出さない。人生を投げ出さない。
恋や傷を理由になにもかも投げ捨てる方が簡単にドラマティックだし、それだけ情が深い、すばらしい人間のように描きがちな「フィクション」界で。
ステファーノはどれだけ傷ついても、人として、社会人としての常識や役目を果たし続けるだろう。そう思えることがステキ。
そーゆー「まとも」な感覚の男だからこそ、人妻とかけおちする重みもあるわけで。
ふわふわした男とはチガウ、あのまともな男が下した決断だから、とてつもなく重い。
そして彼は、その重みを知り、すべてひとりで担ぐつもりでいる。……女の方は絶対、担がない。全部男になすりつけるはず(笑)。
ローズとステファーノはかけおちに成功していたとしても、大した時間は掛からず破局するだろうし、あの弱く自分勝手なローズは自虐することで自分を守り、結局ステファーノはとことん傷つくことになるだろう。
それでも彼ならきっと、傷だらけの身体を起こし、重い足取りで、それでも歩き出すだろうと思える。
それらも含めて、「かっこいい」んだ。
ローズとの思い出の写真を手に号泣する背中がせつない。愛しい。
強い人。
だからこそ、悲しくて。
最後の空港の場面にて、去っていく背中がせつない。愛しい。
強い人。
まともで、ふつうで、だからこそ強い人。
エキセントリックだとかデリケートだとか、弱さを守るための飾りを持たず、ただ真正面から強い人。
だからこそ、愛しくて。
つーことで、ただたんにステファーノ@ゆーひがかっこいいというだけの話。
それだけでいいもん。
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