てゆーか、「メドゥーサの鏡」萌え。

 ショー作品のいいところって、「どこかひとつだけでもツボな場面があれば、ソレだけで通える」ことにある……よな?

 雪組公演『ミロワール』の中の1場面。

 初見では、どーゆーストーリーなのかさーーっぱりわかりませんでした。
 予備知識ナシだし、場面タイトルすら知らないし。

 つーことで以下、初見時の大変まちがった、アホウな感想。

 
 突然現れた、黒尽くめヲヅキ!!

 うきゃ〜〜っ、かっこいいっ、ステキステキステキ!!
 つかヲヅキ、どさくさにまぎれて銀橋渡ってる?!

 ヲヅキ、そらくん、しゅうくんって、ナニ? なんなの、その濃い面子。

 てゆーかわたし、そらくんがマミさんに見えます……きれーだー。

 ヲヅキに気を取られていたので、水先輩登場見逃しました……。
 拍手がすげーから視線を真ん中へ戻したら、そこにマトリックスな水しぇんがいた……うわわ、こちらもまたかっこいー。

 なになに、テイスト同じ、つーことは、みんなお仲間?

 ……はい、ここですでに認識まちがってます。
 ブラック戦隊、隊長・水先輩! とか、思っちゃったもんよ……。

 だから物語が、まったく理解不能に(笑)。

 本舞台にわらわらスカート仕様学ラン(ちがいます)の人たちが現れて。
 不穏な雰囲気だがなんだろう? と思っていたら、みんな次々と「ぴきっ」と固まっていくし。

 水先輩が人々を石にしてしまっていることだけはわかる。が、水先輩と人々の関係性がわからない。どーやらお友だちではないらしい。(気づくの遅っ)
 敵っぽいけど、敵ならぴしぱし石にしてけばいいじゃん。水先輩無敵。かっこいー。
 なのになんでくるくる苦悩してるんだろう?

 最初に出てきたヲヅキたち3人は仲間なのかなとか、いつまでも「ブラック戦隊、隊長・水先輩!」という冒頭の思い込みにとらわれ、わけがわからない。

 みんな石になっちゃって、最後に残ったのはヲヅキ。

 え?
 思わず、誰が登場するんだろう? と、思った。
 だって、ヲヅキだよ? ヲヅキが水くんと対峙するわけないじゃん?
 今までの彼の扱いからしても、トップスター様の敵役なんてもんは……えええ、なんで誰も出てこないの?
 ヲヅキは前座の下っ端で、ボスとしてゆみことか出てくるんぢゃないの?!

 に、にばんて?
 この場面限定だけど、ヲヅキさん2番手ですか?!

 どーやらヲヅキも敵らしい、とわかった途端、この事態だ。気がつけば舞台に水くんとヲヅキふたりっきり。(石ならいっぱいいます)

 なんか戦ってるー。
 かかかかかっこいいっ。

 ヲヅキがかっこいいよちょっとおぉー。
 あの体格、あの顔。
 彼が「敵」であることで、それに対峙する水くんもさらにシャープに美しく見える。
 相乗効果。
 いいな、このふたり。

 と、すげーよろこんでるのに、ヲヅキ氏もあっちゅー間に石に。
 ……なんか、一騎打ち短くなかったっすか? こんなもんですか? こんなもんだよな。

 しかしストーリーはまったくわからん。
 水先輩はなんかしら苦悩してらっさるし。

 関係性がわからないから、さらに空気読めない女@となみの登場に混乱する。

 や、だって、明らかに彼女だけ雰囲気チガウし!
 今までのハードボイルドな黒黒世界に、ぱっと咲くパステル・ピンクの花……。

 あのー、今ここ戦場なんですけど、すごーくお気楽な人がやってきましたよ。

 つか、ヲヅキをハンガーにしたっっ。

 石になったヲヅキに、水先輩のコートを「るんっ♪」って感じに引っかけてしまうとなみ嬢……す、すげえ。
 水先輩は彼女のぴんくおーらにほだされたようだが、それでもやっぱ雰囲気ハードボイルドだし、苦悩引きずってるし。

 この異世界女、どーするんだ?

 と、思ってたら、となみちゃんも石になった。
 水先輩のサングラスをはずそうとした、まぬけなポーズで。

 ハードボイルドな敵も、空気読めないお気楽美女も、等しく石になる。
 そして水くんは突然にやりと笑い、終了。

 
 どーゆー話だったんだ?

 …………(思考中)。
 …………(思考中)。

 そうか。

 苦悩してるふりで、じつは心底ブラックな超人水先輩の物語だったんだ!!

 石になんかしたくないんだ〜〜、というポーズを取りながら、実は石にするのぜんぜんOKだったんだ。
 「苦悩してると思った? 嘘だよーん」と笑って終わるんだ。いやーん先輩、ブラック〜〜。ステキ〜〜。

 
 ちがいます。

 
 終わったあとに、「黒尽くめのヲヅキと水くんが戦う場面が格好良かった」とわたしが言うと、誰だったかがさらりと「ああ、『メドゥーサ』ね」と返してくれた。

 そんなタイトルだったんだー。てゆーか水くんアレ、メドゥーサだったんだ。
 メドゥーサといえば目を見ると石になるってアレだよな。あー、なるほどぉ。

 …………(思考中)。
 …………(思考中)。

 なんかわたし、ハゲシクまちがった見方してなかったか?

 
 つーことで、「物語」を理解したのは2回目観劇時。

 「苦悩してると思った? 嘘だよーん」と笑って終わる、ブラック水先輩……の、物語ぢゃないっ。

 
 最後のアレ、自殺してんじゃん。

 目を見れば石になる……それがわかっていて、鏡を見る、つーのは。
 初見は鏡を見落としていた。水くんがこっち向いて凄惨な笑いを浮かべるところしか見てなかった。

 己れの意志とは無関係に、人々を石に変えてしまうメドゥーサ。
 それゆえに永遠の孤独のなかにいる男。
 敵ですら、彼と同じ世界にはいてくれない。

 そんなメドゥーサの前に現れた女。
 孤独の底にいたメドゥーサに屈託なく笑いかけ、愛を告げる。

「愛しているから、素顔を見せて」

 と、某クリスティーヌのように女は訴える。
 エリックなら顔を見せても逃げられるだけで済むけど、メドゥーサはマジやばいから。石になっちゃうから。でも、自分を化け物だと告白することはできない。

「ダメダメ、愛していても素顔は見せられないよベイビー」
「やーん、いぢわるっ。……ええいっ、隙アリ!!」

 いちゃいちゃエンドレスの最中、恋人はメドゥーサのサングラスを取ってしまった。
 開けてはならない玉手箱は開けられるし、のぞいてはいけない機織り部屋はのぞかれてしまうもんなんだ。

 あわれ恋人は冷たい石に。

 慟哭するメドゥーサは、絶望の中鏡を見つける。
 そこに破滅という名の救いを見出し、彼は自らの呪われた宿命に幕を下ろす。

 ……て、話だよねコレ?

 そーいえばコレ、『ミロワール』って作品じゃん。忘れてた。

 鏡だ鏡、鏡がキーとなったショーだった。メドゥーサといえば鏡じゃん。ねえ?

 いやあ、清々しいまでに、まちがってましたなあ。はっはっは。

 そののち『JURIのどんだけGOGO5!?』に行き、樹里ちゃんも、「メドゥーサの鏡」の物語をまーったく理解していないことを知り、胸を撫で下ろしました。
 初見で見当違いのこと思うの、わたしだけぢゃないや! よかったー。
 「鏡を見て自殺する」メドゥーサに対し、「髪の毛セットしよーとしてうっかり鏡見たら、石になってもーたりして大変やん」みたいなことを言って、豪快に笑っていた樹里ちゃん、ダイスキだ(笑)。
 そして、あまりにも理解されていないことに対し、一瞬鼻白みながらも、「そうですよね、大変ですよね」と必死になって話を合わせる水しぇんもダイスキだ(笑)。

 
 起承転結アリ、ひとつの物語としてたのしめ、さらに登場人物全部かっこいいこの場面がダイスキだ。
 苦悩する水くんが好き。黒いヲヅキが好き。清浄な光を放つとなみちゃんが好き。それから「ひょっとしてヲヅキをもあやつる女ボス?」と思わせるハードにかっこいいいづるんも好きだー(笑)。

 や、他の場面もいっぱい好きなとこあるし。
 『ミロワール』はたのしいわー。


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