「なんでこんな男と結婚したんだろう……」

 時々むしょーに、自問自答したくなる。
 やりきれないキモチになる。

 ルシルの夫、バロットはあまりに単細胞バカだった。

 バカとかわいいは表裏一体。
 ウザい反面、かわいいのもたしか。
 だから大抵の場合、バロットがバカなことを言ってもしても、叱りとばしてツッコミ入れてなんとか受け止め、受け入れてきたのだが。

 時々むしょーに、自問自答したくなるのだ。
 やりきれないキモチになるのだ。

「フォンダリの頬の傷って、どうして付いたの? アンタ知ってるんでしょ?」

 ルシルの何気ない問いに、バロットは大真面目に答えた。

「ああ、知っているとも。親父の頬の傷は、美しすぎるせいだ」

「…………え?」

「親父は、美人過ぎる。顔に傷でもなければバランスが取れない。だから、傷があるんだ」

 バロットは真剣そのものに言い切った。ルシルの目を真っ直ぐに見て。

「…………え?」

 もう一度、ルシルが言うと、バロットは聞こえなかったせいだと思ったらしい。
 大きな声で、さらに言った。

「親父があまりに美しいから、傷が必要なんだ。でないと世の中の女たちが可哀想だろう。40男の方が美しいんじゃあ」

「…………念のために聞くけど、ソレ、本気で言ってる?」

 ルシルがにっこり笑って言うと、バロットも笑った。

「もちろん! だって親父自身がそう言ったんだ、オレがガキの頃」

 ええ、得意そうに。満面の笑顔で、胸を張って。
 そして再び真剣な顔になり、この世の真理を告げる賢者のように、重々しく言い切った。

「親父は、美人だ」
 
 
「なんでこんな男と結婚したんだろう……」

 自分の人生に、選択に、むしょーに、疑問を持つ一瞬。
 やりきれないキモチになる一瞬。
 ルシルは、盛大に溜息をつく。

 がんばれルシル。
 負けるなルシル。
 ファザコン夫にめげるな、美人過ぎる舅にも負けるな。


           ☆

 つーことで、フォンダリ萌え。

 ええっ、このタイトルで、この導入で、フォンダリ話なの?! ……うん、まあ、なんか。ルシルの話は「がんばれルシル・2。」で書く予定ですから!(連載前提?!)

 『メランコリック・ジゴロ』、フォンダリ@みわっちが、すげーかっこいいっす。
 や、ただかっこいいだけならべつに、そんなにツボらない(笑)。めっちゃ、胡散臭いのっ!!

 黒尽くめ、アヤしいの一言の黒のロングコート、黒のテンガロンハット、でもって黒メガネ(サングラス、よりこっちの響きが合う・笑)、黒の長髪。頬と手の傷。
 変。変なのに、かっこいい。や、もともとみわさんだからなにやったって美しいんだけど。美形なんだけど。
 それにしても、美しい人が大真面目にやる白髪まじりのおっさん役で、なんでこんなに、オモロでステキなヒトになるんだろう。

 わたしはバロットとフォンダリは血のつながりは、実はないと勝手に思ってますが。や、だってぜんぜん似てないし。親子だからどうこうってエピソードもないし、つか、フォンダリもバロットもキャラきつすぎて、親子とか子育てとか生活とか、ぜんぜんピンと来ないし。
 実は、親子じゃない。
 ……って、バロットはそんなこと知らないし、フォンダリに至っては忘れてると思う(笑)。
 青年フォンダリが、幼児バロットをさらう話とか書きたいなあ(笑)。成り行きでさらって、そのまま親子に。バロットはバカだからおぼえてなくて、フォンダリは細かいことキニシナイから、忘れてる。
 いいなあソレ、偽親子モノ、萌えるわ〜〜。

 とか、勝手にイロイロ(笑)。

 べつにほんとに親子でも、萌えはぁとが衰えるわけではありません。
 とにかくバロットは攻に育ってもらわなきゃね。……や、深い意味はありませんよ、ええ。

 
 まあふつーに萌える(?)なら、ノルベール@さおたさんとの関係を突き詰めて考えたいところです。
 フォンダリがノルベールを「あんた」と呼ぶところが、実はふるえるくらい萌えです。

 フォンダリはノルベールに「裏切られた」と思ってたんだよね……。16年間、探し続けてたんだよね……。
 多くは語らない、男たちの濃ゆい物語がありそーで、さすが正塚! って感じっす。ハァハァ。

 
 カティア@もえりちゃんとのディ〜〜プな大人のカンケイも、大変ツボです。
 いい男には、いい女が似合う。
 突然別物語! てな具合にはじまる、ふたりの会話と世界がイイ。
 ここもまた、説明台詞はないのに、や、ないからこそ、会話の断片だけで彼らの「物語」を想像させてくれてたのしい。

 
 ところでフォンダリさん、人は殺してないの?
 なんか「すぐに出てくる」みたいな雰囲気で捕まるからさー。や、「すぐに」が「何年」であっても、極刑はないこと前提みたいだから。
 てっきりコロシもやってる悪い人だと思ってたんだけど。……だからこそ、16年前の「分け前」を手に人生変えようとしていたわけで。
 ダニエルをカフェで殺さないと言ったのは、ポーズと脅しだろうし、余罪は山ほどありそうな人なんだが。
 ま、ファンタジーだから、「誰も殺さない悪役」はアリだろうけど。
 みわさんがあまりにかっこいいから、とことんダークもいいよなぁ、と。

 そう。
 とことんダークでシリアスでハード。ソレもアリじゃないですか、フォンダリ氏。

 てゆーか。
 フォンダリ一家でスピンオフ希望。

 ハードボイルドがいいです、正塚先生。
 バウホールでみわさん主演で、まっつといちかも一緒に。

 親子の話も、バロットとルシルの出会いの話も、そこでちゃんと描いて下さいよ。
 観たいよ観たいよ、フォンダリ一家物語。(こう書くと、なんか牧歌的な響き……)

 わたし、フォンダリさん主役でならイロイロ書けるわ!!(や、オマエが書いても意味ないって)


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