あいは、ころす。@舞姫
2008年3月16日 タカラヅカ 『舞姫』の特徴として、初見より2回目観劇時の方が泣ける、というのがある。
2回目にはもうなにがどーなっているのかわかっているので、物語冒頭の夢と期待にきらきらした豊太郎@みわっち、エリス@ののすみとのひたすらラヴラヴな日々、芳次郎@みつるの威勢の良さとマリィ@ゆまちゃんとのラヴラヴっぷり、しあわせなものがすべて泣きツボに入る。
が。
今回の再演において。
相沢さん、泣きツボ入りました。
「公の義務のためには個を殺さねばならない」だっけ。
相沢が2幕で豊太郎相手に言う容赦ない言葉のひとつひとつに泣けて仕方なかった。
今までわたしは豊太郎に感情移入して観ていたから、投げつけられる言葉は豊太郎として苦しい、痛いものだった。
そして、「相手を傷つける・追いつめるとわかっていることを、相手のためにあえて悪役になって言うのはつらいだろうな」という意味で、相沢くんとしても苦しい、痛いものを感じていた。
でも今回、はじめて相沢を見つめて。……や、「見る」だけならバウのときからずっと相沢しか見てないが(笑)、そーゆー意味じゃなく。
豊太郎への言葉は全部、相沢自身への言葉でもある。
親友にだけ過酷なことを求めているんじゃない。それを言うことで悪役になってつらいわけでもない。
相沢が言っていることは全部、自分もそうするだけの覚悟があって言っているんだ。他人事じゃないんだ。
「己を殺し、心に背いても、為さねばならぬことがある」
相沢もまた、己を殺し、心に背いて義に生きるサムライなんだ。だからこそ、豊太郎にそう言えるんだ。
刃は同じ。
なのにひとりは泣きわめき、ひとりは平然としている。
刃の痛みは同じだろうに。
豊太郎が追い詰められ、膝を折って苦悩する姿が、そのまま相沢の心の姿に見えて。
なのに相沢は表面的には冷静そのものに立っていて。
実際に泣いて発散している豊太郎の方が、ずっと楽に見えた。や、トヨさんを貶める意味ではなくて。あくまでもミクロな視点で語ると。
相沢の苦悩は外には見えないし、今回のことに限らずすべての痛みを、傷を、彼も内側に押し殺してこれからも生きていくんだろう。戦い続けるんだろう。
豊太郎を追いつめる天方大臣@星原先輩との野郎ふたりのデュエット(笑)で、相沢はことさら非人間的に描かれる。
硬く、揺るがなく、表情はなく。
真上からライト浴びて、「人間」としての表情消されちゃってるの。豊太郎にとって、その瞬間相沢も天方も「人間」ではなく、別の存在として、自己と見つめ合うための記号として存在しているわけだからね。
そこまで「人間性」を消されてしまう……まごうことなき「人間」である相沢のかなしさに、号泣した。
そこまで冷徹に……使命を口にするアンドロイドみたいな描かれ方した直後、エリスに対する「懇願」で感情全開にぶっ壊れる様にまた、号泣。
そして、エリスが狂ったのち。
病院のエリスと、彼女に面会する豊太郎を見つめる姿。
目をそらさず、表情も変えず、ただ凝視して……そして、耐えかねたように視線を伏せる。
再び視線を上げたときは、そこにはなんの表情もなく、豊太郎に静かに声を掛ける。
泣きもせず、取り乱しもせず、すべてを飲み込んで。
「太田、私を恨んでいるか」
のひとことが、彼の唯一の感情の吐露。……そして、確認。
うん、確認。
この人、後悔してない。
再び同じ立場、同じことになったら、また同じことをする。
何度でも、愛を殺す。
それが、「必要」ならば。
それがかなしい。
罪を罪として、すべて背負い、戦い続け蹴る覚悟。
号泣しながら(笑)、相沢くんの奥さんは大変だなあ、と、思った。
彼がこのとき独身であるか、既婚であるかは描かれていない。
時代から考えて、おそらく既婚だとは思う。出世のためや家柄の釣り合いで見合い結婚してそうだ。
彼が妻を愛しているかどうかは知らないが、おそらく義務は果たすことを前提としているだろうから、ふつーレベルの家庭を築いているのではないかと思う。
でもまちがいなく、「仕事優先」で家族は顧みられない。
奥さんが熱を出して寝込んでいるからといって定時で帰宅したりは、しないだろう。
危篤でも、ふつーに出張とかに出掛けそうだ。
妻と相思相愛ならば、あの無邪気な愛情ダダ漏れな笑顔を見せているかもしれないが、ただの「契約」としての結婚ならば、外向きの仕事人としての顔しかみせていないかもしれない。
そこに愛があってもなくても、結果は同じ。
家庭より妻より、仕事優先。
相沢がそういう人だと……そんな生き方しかできない人だとわかったうえで彼と共に生きて、有事の際見捨てられるか、ただの冷たい人だと思って有事の際見捨てられるか。
どちらがより幸福で、より不幸なのか。
愛があれば耐えられるのか、いっそなにもない方が楽なのか。
奥さん、大変だあ……。
と、わたしが彼の奥さんになるはずもないのに、真面目に考えて、さらにそのかなしさにスイッチ入って泣きました(笑)。
松任谷由実の『VOYAGER〜日付のない墓標〜』がアタマの中をぐるぐる回る……(笑)。
忘れない 自分のためだけに
生きられなかった淋しいひと
願わくば。
いつか、豊太郎が相沢の敵にならないことを、祈るばかりです。
こんなに相沢くんは、豊太郎を愛してるのにね。会話にも出てこない奥さんより、絶対豊太郎の方を愛しているだろうにね。
もしも、豊太郎が相沢の敵になる日が来れば、やはり戦うんだろうなと思えるから。
愛のために信念を曲げたりは、しないんだろうなと。
今、ふたりの目標もそこへ向かう道も重なっているから、戦友として信頼し合っていられているけれど。
これから日本は激動の時代を迎える。
20年、30年後にふたりが政敵になるかも?という可能性は、ゼロではない。
豊太郎には、安心感がある。
彼はきっと、これから先なんだかんだいってもしあわせな家庭を築きそうだなとか、人の道に外れたことはしないだろうなとか。
冷徹な決断を必要とするときも、とても人間的につまずいたり悩んだりするんだろうなって。
相沢は一歩まちがうと、えらいとこへ行っちゃいそうな人だなー……。
ああもお、素直に豊太郎だけ愛しててくれ、ケンちゃん!
近藤に惚れきってた土方みたいに、豊太郎のために生きて、戦って、死んでくれ(笑)。
まああと、青年館観て軽くショックだったのが、相沢くんの受度が上がっていたことです……。
相沢は攻、攻でなきゃやだっ。踏み止まってくれ、攻男でいてくれっ。頼む!(そんな、誰にもわかんないよーなことを……)
あー。
まっつとみわっちで、愛憎うずまく話が観たいなー。ドロドロに濃いぃやつが観たいなー。
政敵となった相沢と豊太郎(ともに壮年、社会的立場かなり高し)とか、観てみたいなー。(結局観たいのか)
2回目にはもうなにがどーなっているのかわかっているので、物語冒頭の夢と期待にきらきらした豊太郎@みわっち、エリス@ののすみとのひたすらラヴラヴな日々、芳次郎@みつるの威勢の良さとマリィ@ゆまちゃんとのラヴラヴっぷり、しあわせなものがすべて泣きツボに入る。
が。
今回の再演において。
相沢さん、泣きツボ入りました。
「公の義務のためには個を殺さねばならない」だっけ。
相沢が2幕で豊太郎相手に言う容赦ない言葉のひとつひとつに泣けて仕方なかった。
今までわたしは豊太郎に感情移入して観ていたから、投げつけられる言葉は豊太郎として苦しい、痛いものだった。
そして、「相手を傷つける・追いつめるとわかっていることを、相手のためにあえて悪役になって言うのはつらいだろうな」という意味で、相沢くんとしても苦しい、痛いものを感じていた。
でも今回、はじめて相沢を見つめて。……や、「見る」だけならバウのときからずっと相沢しか見てないが(笑)、そーゆー意味じゃなく。
豊太郎への言葉は全部、相沢自身への言葉でもある。
親友にだけ過酷なことを求めているんじゃない。それを言うことで悪役になってつらいわけでもない。
相沢が言っていることは全部、自分もそうするだけの覚悟があって言っているんだ。他人事じゃないんだ。
「己を殺し、心に背いても、為さねばならぬことがある」
相沢もまた、己を殺し、心に背いて義に生きるサムライなんだ。だからこそ、豊太郎にそう言えるんだ。
刃は同じ。
なのにひとりは泣きわめき、ひとりは平然としている。
刃の痛みは同じだろうに。
豊太郎が追い詰められ、膝を折って苦悩する姿が、そのまま相沢の心の姿に見えて。
なのに相沢は表面的には冷静そのものに立っていて。
実際に泣いて発散している豊太郎の方が、ずっと楽に見えた。や、トヨさんを貶める意味ではなくて。あくまでもミクロな視点で語ると。
相沢の苦悩は外には見えないし、今回のことに限らずすべての痛みを、傷を、彼も内側に押し殺してこれからも生きていくんだろう。戦い続けるんだろう。
豊太郎を追いつめる天方大臣@星原先輩との野郎ふたりのデュエット(笑)で、相沢はことさら非人間的に描かれる。
硬く、揺るがなく、表情はなく。
真上からライト浴びて、「人間」としての表情消されちゃってるの。豊太郎にとって、その瞬間相沢も天方も「人間」ではなく、別の存在として、自己と見つめ合うための記号として存在しているわけだからね。
そこまで「人間性」を消されてしまう……まごうことなき「人間」である相沢のかなしさに、号泣した。
そこまで冷徹に……使命を口にするアンドロイドみたいな描かれ方した直後、エリスに対する「懇願」で感情全開にぶっ壊れる様にまた、号泣。
そして、エリスが狂ったのち。
病院のエリスと、彼女に面会する豊太郎を見つめる姿。
目をそらさず、表情も変えず、ただ凝視して……そして、耐えかねたように視線を伏せる。
再び視線を上げたときは、そこにはなんの表情もなく、豊太郎に静かに声を掛ける。
泣きもせず、取り乱しもせず、すべてを飲み込んで。
「太田、私を恨んでいるか」
のひとことが、彼の唯一の感情の吐露。……そして、確認。
うん、確認。
この人、後悔してない。
再び同じ立場、同じことになったら、また同じことをする。
何度でも、愛を殺す。
それが、「必要」ならば。
それがかなしい。
罪を罪として、すべて背負い、戦い続け蹴る覚悟。
号泣しながら(笑)、相沢くんの奥さんは大変だなあ、と、思った。
彼がこのとき独身であるか、既婚であるかは描かれていない。
時代から考えて、おそらく既婚だとは思う。出世のためや家柄の釣り合いで見合い結婚してそうだ。
彼が妻を愛しているかどうかは知らないが、おそらく義務は果たすことを前提としているだろうから、ふつーレベルの家庭を築いているのではないかと思う。
でもまちがいなく、「仕事優先」で家族は顧みられない。
奥さんが熱を出して寝込んでいるからといって定時で帰宅したりは、しないだろう。
危篤でも、ふつーに出張とかに出掛けそうだ。
妻と相思相愛ならば、あの無邪気な愛情ダダ漏れな笑顔を見せているかもしれないが、ただの「契約」としての結婚ならば、外向きの仕事人としての顔しかみせていないかもしれない。
そこに愛があってもなくても、結果は同じ。
家庭より妻より、仕事優先。
相沢がそういう人だと……そんな生き方しかできない人だとわかったうえで彼と共に生きて、有事の際見捨てられるか、ただの冷たい人だと思って有事の際見捨てられるか。
どちらがより幸福で、より不幸なのか。
愛があれば耐えられるのか、いっそなにもない方が楽なのか。
奥さん、大変だあ……。
と、わたしが彼の奥さんになるはずもないのに、真面目に考えて、さらにそのかなしさにスイッチ入って泣きました(笑)。
松任谷由実の『VOYAGER〜日付のない墓標〜』がアタマの中をぐるぐる回る……(笑)。
忘れない 自分のためだけに
生きられなかった淋しいひと
願わくば。
いつか、豊太郎が相沢の敵にならないことを、祈るばかりです。
こんなに相沢くんは、豊太郎を愛してるのにね。会話にも出てこない奥さんより、絶対豊太郎の方を愛しているだろうにね。
もしも、豊太郎が相沢の敵になる日が来れば、やはり戦うんだろうなと思えるから。
愛のために信念を曲げたりは、しないんだろうなと。
今、ふたりの目標もそこへ向かう道も重なっているから、戦友として信頼し合っていられているけれど。
これから日本は激動の時代を迎える。
20年、30年後にふたりが政敵になるかも?という可能性は、ゼロではない。
豊太郎には、安心感がある。
彼はきっと、これから先なんだかんだいってもしあわせな家庭を築きそうだなとか、人の道に外れたことはしないだろうなとか。
冷徹な決断を必要とするときも、とても人間的につまずいたり悩んだりするんだろうなって。
相沢は一歩まちがうと、えらいとこへ行っちゃいそうな人だなー……。
ああもお、素直に豊太郎だけ愛しててくれ、ケンちゃん!
近藤に惚れきってた土方みたいに、豊太郎のために生きて、戦って、死んでくれ(笑)。
まああと、青年館観て軽くショックだったのが、相沢くんの受度が上がっていたことです……。
相沢は攻、攻でなきゃやだっ。踏み止まってくれ、攻男でいてくれっ。頼む!(そんな、誰にもわかんないよーなことを……)
あー。
まっつとみわっちで、愛憎うずまく話が観たいなー。ドロドロに濃いぃやつが観たいなー。
政敵となった相沢と豊太郎(ともに壮年、社会的立場かなり高し)とか、観てみたいなー。(結局観たいのか)
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