寝ても覚めても「相沢くん相沢くん」ゆってるのもなんなので、『舞姫』感想の、別のキャラの話。
 

 黒沢中尉のヲトメ度が上がっていたことについて。

 初日の席が上手の2列目でした。ええ、手紙を読む相沢くん@まっつも目の前ですが、舞踏会の日本男子ズも目の前です。

 センターから下手で物語が進んでいることはわかってるんですが、ダメっすよ、黒沢中尉@ちゃー以下イケメン日本男子がずらりと並んで小芝居してるんですよ、目が離せませんよ!!

 その初日からすでに、黒沢中尉がバウと別人なことに驚愕しておりました。

 なんなの、あの典型的萌えキャラ?
 なんのプレイですか、ってくらいえらいことになってますがな。

 
 えー、わたくしバウ公演のとき、黒沢中尉のカップリングは岩井くん@マメとを希望しておりました。
 あのうざい便所水男を、とりまきのひとりとして容認している強面中尉に萌えだったんですが。

 今回は岩井くんなんか眼中にないっす。

 大河内@しゅん様でガチです。

 腐った話の中で語ってしまってなんですが、この新公学年の下級生だけで構成された「敵役トリオ」は、ものすげー成長してました。

 そりゃあどうしても学年的にみわっちの上官とか無理があるんだけど、それでもちゃーはバウのときのような「うわ、がんばってる」「いっぱいいっぱい」「それ以上そっくり返ったら、ひっくり返るよ?」てなハラハラ感がなくなってました。
 役者を育てるのは舞台だよね。本当に、そう思う。背伸びしなければできない役を与えられ、大きすぎる服を着せられ、それにほんとーに役を合わせカラダを合わせてしまうんだもの。

 ようやく「役」としての手応えや、呼吸をしている感じがした。

 そしてトリオである分、キャラが弱かったのに、他のふたりも性格が見えるようになっていた。

 文官・丹波@らいらいは、すげー嫌味な伊達男に。
 おしゃれで見栄っ張り。些細な動作にそれが顕れてる。いちいち気障なの、気に障る、と書いてキザと読む、な男なのよ。
 らいがまた、すっげー活き活きと厭さ満開にキザってるのよ。
 いちいち衿とか直すな、カフス気にするな、誰もアンタ見てないから! みたいな(笑)。
 自意識過剰ぶりが、ツボすぎる。

 そして武官・大河内@しゅん様は……融通の利かない、潔癖性気味の四角四面な男。そして、女嫌い。

 もちろん、女性とダンスはしない。踊れない、こともそりゃーあるだろうが、同じように踊れない岩井くんと丹波くんはそれでも踊っているからね。
 女とどうこうするより、黒沢中尉のお相手の方が大切、とばかりにそばにいる(笑)。

 原よっしー@みつるに対するときも、丹波くんは軽蔑ゆえにいじめを愉しむというか、「劣ったものを攻撃するのは優越感に浸れてたのしいなあ」モードなのに、大河内は本当に「けしからん!」と怒って責め立てている。

「女の裸で稼ぐ、それでも日本男児か」
 と言い捨てるときの嫌悪感。
 この男だからこそ、豊太郎@みわっちが「いやしい踊り子と親密な関係」ということを「スキャンダル」だと思って黒沢中尉に報告するんだわ。
 免官になった豊太郎がエリスの家で同棲していることを、吐き捨てるように言うんだわ。

 とにかく女について口にするとき、すげー厭そうなんだよ、大河内。
 男尊女卑の意識が強く、女は不浄なものとでも思っているんだろうさ。
 ガチガチにお堅い、体育会系なのーみその軍人さんなんだろう。

 
 はい、この硬派で女嫌いでガタイの良いいかにもな軍人さんは、自分より縦にも横にも小柄な上官に絶対服従、飲み物用意します、身の回りのお世話もしちゃってますかね、レストランではドアを開け、椅子を引いてさしあげるんですかね。……てな勢いで、なついてます(笑)。

 そして、黒沢中尉。
 演技に余裕が出てきたちゃーくんが、バウのときのような痛々しさはなく、より自然に大人の男を演じています。
 冷徹に。威厳を持って。傲慢に。だけど卑小さも忘れずに。

 作り込まれた苦い表情、嫌味な顔で「台詞」を言い、「演技」をします。
 これぞ「黒沢中尉」の顔、という顔で、そこにいます。

 が。
 「台詞」のないとき、物語の中心からはずれ、モブになっているとき。
 もちろんそのときも「黒沢中尉」として苦い顔をしているのですが。

 大河内に対してだけ、すっげーかわいく笑うの。 

 談笑してやがりますよ、黒沢中尉と大河内。
 黒沢中尉はやわらかい、くつろいだ表情で大河内を見ています。
 が、「あ、天方大臣が」とかゆーとぱきり、と顔がいつもの苦い顔になり、また大河内にだけにっこり笑いかけ、「あ、太田が」とかゆーとぱきり、と顔がこわばり……。

 普段公に見せている硬い強い顔と、大河内にだけ見せるくつろいだ笑顔の、差。

 これはなんの釣り? 腐女子を釣り上げるのが目的? ってくらい完璧な姫ぶりでした。

 バウでは笑わなかったぞ、黒沢中尉。一貫してクールだった。脇の小芝居で談笑していてなお、あそこまで顔をくずさなかった。

 あー……。
 あんな素敵でかわいい上官がいたら、そりゃ大河内も女嫌いになるわ……。
 いや、そもそも女嫌いの大河内が黒沢中尉を落としたんだろうか?
 とにかく中尉と大河内が「物語」のフレームの外なのをいいことに、えんえんラヴラヴいちゃこらしていて、びびった。

 
 中尉にはフランス人の愛人がいるそーだが、あんなにかわいくなってしまった今の彼にはあまりそーゆーことをしているのがぴんと来ない。
 愛人とは名ばかりで恵まれない少女を保護していて「黒沢のおじちゃま」とか呼ばせていたら笑えるな、とか。あしながおじさんを気取っているけれど、いずれその少女のことは捨てなければならない、はじめからそのつもりだ……と思っているところへ、同じように貧しい少女と恋愛して「遊びではありません」とか言い切っちゃう太田には、そりゃキレるしかないわな、とか。

 いっぱいいっぱいで痛々しかったバウのときより、余裕ができて大人の男らしくなった今の方が、女を囲っているのがそぐわない、つーのもなんだかなー(笑)。

 
 なんにせよ、黒沢中尉@ちゃーが愛しくてなりません。
 なんなの、あの愛らしい生き物。
 2幕冒頭の黒のロングコート姿なんて、完璧にハァハァもんです。

 キャラが立ってきた大河内くんとのコントラストも素敵。
 しゅん様はほんと、あのガタイが魅力をさらに上げているわ。たとえ中身が「泣き虫さっちゃん」だとしても、『舞姫』ではいかつい攻男として、どーんと立っていてもらわなければ。

 黒沢中尉と大河内がすーぐ「ふたりだけの世界」していて、ひとりかっこつけている丹波がソレにまったく興味ない(彼の興味は自分自身のみ)という、この愉快なトリオっぷりがじつにツボです。ジャストミートです。

 たのしすぎるぞー、日本男児ズ!(笑)


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