新人公演らしい……のだろう。@新人公演『愛と死のアラビア』
2008年5月27日 タカラヅカ 花組は、芝居が弱い……と、思っていた。
一部の人たちはもちろんちゃんとできるけれど、そしてそういう人たちで舞台は回していってるから他組と比べて格段に落ちるとかそーゆーことはないけれど、大多数の人たちは芝居が苦手、という印象。
芝居が苦手でも、他のところで巻き返す組だから、それはソレでヨシ、ナンバーワンよりオンリーワン精神でヨシ、てなもんで、事実は事実として、ソレをとくにどうこう思っていたわけではないが。
なんだか、いろいろあわあわしてしまいました、新人公演『愛と死のアラビア』。
こーゆーのを「新人公演らしい新人公演」っていうのかなあ。
つまり、その、かなりアレな出来。
主要人物にうまい人がほとんどいない芝居を観るのは、なかなか大変だったっす。
作品が良ければそれで底上げもできるんだけど、なにしろ『愛と死のアラビア』ですから。作品はアレだし、役者はアレだし、では、逃げ場がない。
主役のトマス@まぁくんは、うまかった。
ただ役としてうまいというより、他のなにもできていない子たちの真ん中で、彼らの居場所を示してやるかのよーな空気感に、感心した。
すげー、あのまぁくんが、台詞言うだけでいっぱいいっぱいのトゥスンだのドナルドだのを支えてやってるよー。
これまでべつに、まぁくんに包容力とか、他の役者とのバランス配慮とか、感じたことなかったからさ。まぁくん自身が自分の演技をしている、ぐらいにしか届くモノはなかった。
なのに、自分でも演技をしながら、他の子を支えている。……こんなことができるよーになったのか、まぁくん。伊達にWSで、あの姫花を相手にしたわけじゃないんだなっ。成長してるよ、ヲイ。
そのことには、とても感心しました。
ただ、WSに引き続き、芝居がアレな人を相手に孤軍奮闘している姿を見せられると「劇団は、朝夏まなとをどうしたいんだ?」とは思うけどさ……。
スパルタ中なのかなぁ。芝居がんばれってことかなぁ。
でも、ちゃんと芝居の出来る人たちとふつーに芝居しているまぁくんが見てみたいっす。WSがあんなことになってたんだから、まぁくんが周囲のフォローに足を取られず全力を自分と作品のために発揮できる場を、用意してやってほしかったっす。
とまあ、まるで出演者全部へたっぴだったような書き方になってしまったが。
もちろん、うまい人たちもいる。
問題は、芝居が出来る人とか役の声を出せる人とかが、みーんな出番が少なかったんだよなー。
イブラヒム@だいもん。
うまくて貫禄があって、本役さんより専科風味っつーのはどういうことだ(笑)。
本公演で子役をやっているとは思えない、別人ぶり。ほんとに芸達者だなー。
しかしイブラヒムって出番少なかったんだね。歌も1曲だけだったんだね。
だいもんだから、もっともっと歌が聴きたかったよー。
アノウド@れみちゃん。
なんとも儚げなお姫様。匂い立つ不幸オーラがステキ。
昔のドラマのヒロインみたいに運命に翻弄され、なすすべもなく目の前の出来事を受け入れているような。
しかしアノウドってほんとに出番少ないわ、人格見えないわ、の、やりにくい役だよなあ。
ムハンマド・アリ@めぐむ。
うわー、いい声。大人の男の威厳と、存在感。息子たちに対するときの温度。なんだよ、いい男じゃん!
ここ数作、新公WS含め、わたしの中でめぐむ株が落ちていたのだが(笑)、ここで一気に盛り返した。
やっぱうまいよな、めぐむ。いい男だ。
アジズ@しゅん様。
……かっこいい。あれ? この役って、こんな役だっけ?
たしか将校と台詞で解説されていたと思うけれど、本役さんは貴族か役人か、普段から剣を握る生活はしていそうにない人に見えていたが、新公ではまちがいなく武人だった。
姿の美しさ、動作の美しさ。立派な肩幅(笑)。
たしかにこの男と決闘して、勝利すれば、トマスの人望も上がるだろう……と、思わせる。
声の通りがいいのも、存在感を大きくしているなー。
デジュリエ大佐@らいらい。
色男。
なんなの、あのかっこよさ。不敵なまでの二枚目。
余裕のある大人の色男としてトマスを口説くのがヨシ。この男の舌になら、そりゃ丸め込まれるだろう、トマスみたいな真正直な若者は。
ザイド@アーサー。
ねえちょっと、最近アーサーすごくない? すごいよね? 能面だった顔にも、表情が出来てきてさ。
豪快な大人の男でありながら、二の線を忘れていない感じがイイ。
声が通るってのは強いよな。歌手カテゴリの彼だからこその、的確な声音。
ヒゲのおっさん役なのに、華やかだわ。
アミナ@くまちゃん。
ふつーにうまい。違和感なくうまい。
……が、この役よりもくまちゃんはダンスシーンで大活躍、そっちの印象の方が強い。
くまちゃんというと歌手というイメージだが、ダンスもできたのかー。
……ヒロインのはずのアノウドより、ダンス場面ふたつを含めたくまちゃんの方が、出番が多かったよーな気がするんですが、この演出と配役はいったい……?
サミーラ@すみ花ちゃん。
やっぱ華があるんだなと思った。侍女なのに、一緒にいる姫君より目がいってしまう。ヒロインはこっちの子かしら? と思わせてしまう。
少ない出番でキャラクタを創る力は抜群だ。
歌手@もえりと、女官長@きらり。
うまい子たちなのに、とにかく役不足。出番少なっ。
やっぱ舞台というのは、キャリアが必要なんだよね。
だから若者たちはなにがなんでも、少しでも多く経験を積ませる必要があるんだよね。
うまい、と思う人たちって、結局のところ今までもなにかしら役を得て、キャリアを積んできた人たちだもの。
はじめての大役を与えられた若者がなにもできなくても、それは仕方のないことなんだろう。
と、わかってはいるけれど、やっぱ、つらいわ。うまい人たちが主要人物にあまりいない……というか、出番が多かったり、キメになる場面がある役に力のない人が複数配置されるってのは。
うまい人たちはみんな脇で、主要な役は若者のお勉強に当てられてしまっているのは。
『La Esperanza』新公を観て、「花組って芝居やばい?!」と驚愕した、あのころの記憶が蘇りました。主役カップル以外がえーらいこっちゃ、なことになってたもんなあ。
あー、そう思えばめぐむはうまくなったよなあ……。しみじみ。
しかし、88期はこれで新公卒業しちゃうの?
つーと来年度は脇のうまい人たちさえいなくなってしまうっていうこと? 男役ではだいもんが孤軍奮闘必至? ……すごいなそれは。
WSも新公も、お勉強の場。
経験を積んで、若者たちがより高く羽ばたいていってくれますように。
今回の新公の出来が、めぐむの『La Esperanza』じゃないけど、いつか笑い話になる日が来ることを信じてる。
一部の人たちはもちろんちゃんとできるけれど、そしてそういう人たちで舞台は回していってるから他組と比べて格段に落ちるとかそーゆーことはないけれど、大多数の人たちは芝居が苦手、という印象。
芝居が苦手でも、他のところで巻き返す組だから、それはソレでヨシ、ナンバーワンよりオンリーワン精神でヨシ、てなもんで、事実は事実として、ソレをとくにどうこう思っていたわけではないが。
なんだか、いろいろあわあわしてしまいました、新人公演『愛と死のアラビア』。
こーゆーのを「新人公演らしい新人公演」っていうのかなあ。
つまり、その、かなりアレな出来。
主要人物にうまい人がほとんどいない芝居を観るのは、なかなか大変だったっす。
作品が良ければそれで底上げもできるんだけど、なにしろ『愛と死のアラビア』ですから。作品はアレだし、役者はアレだし、では、逃げ場がない。
主役のトマス@まぁくんは、うまかった。
ただ役としてうまいというより、他のなにもできていない子たちの真ん中で、彼らの居場所を示してやるかのよーな空気感に、感心した。
すげー、あのまぁくんが、台詞言うだけでいっぱいいっぱいのトゥスンだのドナルドだのを支えてやってるよー。
これまでべつに、まぁくんに包容力とか、他の役者とのバランス配慮とか、感じたことなかったからさ。まぁくん自身が自分の演技をしている、ぐらいにしか届くモノはなかった。
なのに、自分でも演技をしながら、他の子を支えている。……こんなことができるよーになったのか、まぁくん。伊達にWSで、あの姫花を相手にしたわけじゃないんだなっ。成長してるよ、ヲイ。
そのことには、とても感心しました。
ただ、WSに引き続き、芝居がアレな人を相手に孤軍奮闘している姿を見せられると「劇団は、朝夏まなとをどうしたいんだ?」とは思うけどさ……。
スパルタ中なのかなぁ。芝居がんばれってことかなぁ。
でも、ちゃんと芝居の出来る人たちとふつーに芝居しているまぁくんが見てみたいっす。WSがあんなことになってたんだから、まぁくんが周囲のフォローに足を取られず全力を自分と作品のために発揮できる場を、用意してやってほしかったっす。
とまあ、まるで出演者全部へたっぴだったような書き方になってしまったが。
もちろん、うまい人たちもいる。
問題は、芝居が出来る人とか役の声を出せる人とかが、みーんな出番が少なかったんだよなー。
イブラヒム@だいもん。
うまくて貫禄があって、本役さんより専科風味っつーのはどういうことだ(笑)。
本公演で子役をやっているとは思えない、別人ぶり。ほんとに芸達者だなー。
しかしイブラヒムって出番少なかったんだね。歌も1曲だけだったんだね。
だいもんだから、もっともっと歌が聴きたかったよー。
アノウド@れみちゃん。
なんとも儚げなお姫様。匂い立つ不幸オーラがステキ。
昔のドラマのヒロインみたいに運命に翻弄され、なすすべもなく目の前の出来事を受け入れているような。
しかしアノウドってほんとに出番少ないわ、人格見えないわ、の、やりにくい役だよなあ。
ムハンマド・アリ@めぐむ。
うわー、いい声。大人の男の威厳と、存在感。息子たちに対するときの温度。なんだよ、いい男じゃん!
ここ数作、新公WS含め、わたしの中でめぐむ株が落ちていたのだが(笑)、ここで一気に盛り返した。
やっぱうまいよな、めぐむ。いい男だ。
アジズ@しゅん様。
……かっこいい。あれ? この役って、こんな役だっけ?
たしか将校と台詞で解説されていたと思うけれど、本役さんは貴族か役人か、普段から剣を握る生活はしていそうにない人に見えていたが、新公ではまちがいなく武人だった。
姿の美しさ、動作の美しさ。立派な肩幅(笑)。
たしかにこの男と決闘して、勝利すれば、トマスの人望も上がるだろう……と、思わせる。
声の通りがいいのも、存在感を大きくしているなー。
デジュリエ大佐@らいらい。
色男。
なんなの、あのかっこよさ。不敵なまでの二枚目。
余裕のある大人の色男としてトマスを口説くのがヨシ。この男の舌になら、そりゃ丸め込まれるだろう、トマスみたいな真正直な若者は。
ザイド@アーサー。
ねえちょっと、最近アーサーすごくない? すごいよね? 能面だった顔にも、表情が出来てきてさ。
豪快な大人の男でありながら、二の線を忘れていない感じがイイ。
声が通るってのは強いよな。歌手カテゴリの彼だからこその、的確な声音。
ヒゲのおっさん役なのに、華やかだわ。
アミナ@くまちゃん。
ふつーにうまい。違和感なくうまい。
……が、この役よりもくまちゃんはダンスシーンで大活躍、そっちの印象の方が強い。
くまちゃんというと歌手というイメージだが、ダンスもできたのかー。
……ヒロインのはずのアノウドより、ダンス場面ふたつを含めたくまちゃんの方が、出番が多かったよーな気がするんですが、この演出と配役はいったい……?
サミーラ@すみ花ちゃん。
やっぱ華があるんだなと思った。侍女なのに、一緒にいる姫君より目がいってしまう。ヒロインはこっちの子かしら? と思わせてしまう。
少ない出番でキャラクタを創る力は抜群だ。
歌手@もえりと、女官長@きらり。
うまい子たちなのに、とにかく役不足。出番少なっ。
やっぱ舞台というのは、キャリアが必要なんだよね。
だから若者たちはなにがなんでも、少しでも多く経験を積ませる必要があるんだよね。
うまい、と思う人たちって、結局のところ今までもなにかしら役を得て、キャリアを積んできた人たちだもの。
はじめての大役を与えられた若者がなにもできなくても、それは仕方のないことなんだろう。
と、わかってはいるけれど、やっぱ、つらいわ。うまい人たちが主要人物にあまりいない……というか、出番が多かったり、キメになる場面がある役に力のない人が複数配置されるってのは。
うまい人たちはみんな脇で、主要な役は若者のお勉強に当てられてしまっているのは。
『La Esperanza』新公を観て、「花組って芝居やばい?!」と驚愕した、あのころの記憶が蘇りました。主役カップル以外がえーらいこっちゃ、なことになってたもんなあ。
あー、そう思えばめぐむはうまくなったよなあ……。しみじみ。
しかし、88期はこれで新公卒業しちゃうの?
つーと来年度は脇のうまい人たちさえいなくなってしまうっていうこと? 男役ではだいもんが孤軍奮闘必至? ……すごいなそれは。
WSも新公も、お勉強の場。
経験を積んで、若者たちがより高く羽ばたいていってくれますように。
今回の新公の出来が、めぐむの『La Esperanza』じゃないけど、いつか笑い話になる日が来ることを信じてる。
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