自身の重さに耐えきれず、落ちる水滴は。@Red Hot Sea
2008年6月19日 タカラヅカ まっつは、涙をぬぐわない人なんだな。
頬が濡れたまま、涙の粒が光ったまま、微動だにしない姿と……表情。
泣き顔で泣く人、笑顔でも涙だけぽろぽろこぼす人、ジェンヌにもいろいろあるけれど。
まっつは、顔が硬直する人。
泣き顔でも笑顔でも、表情は動くモノだけど、まっつは動かない。
こわい、きつい顔で固まったまま。
わたしの席から、卒業生を見送るまっつの顔はよく見えた……ていうか、まっつ見たさに無理して取った席だ。
ほぼ真正面に見える未涼さんは、強い強い顔で、目を見開いていた。
いつものまっつより、目が大きかった。その、きれいだった。目力ぎんぎんで、少女マンガ張りに大きくて。
まばたきは少なく、ありえないくらい力が入っていた。
が。
みほちゃんの挨拶のときになると、目の大きさと力の入りっぷりはそのままなのに、今度は打って変わってまばたきしまくっていた。
堪えていたのは、涙だろう。
まばたきするようになってからは、涙が落ちていた。
あんなに目を見開いて、かりやんの挨拶までは必死に涙を堪えていたらしい。
かりやん、みほちゃんと挨拶が終わり、まとぶんの挨拶になるころには、大きかった目から力が抜けていた。
どれくらい抜けているかって、組長に声を掛けられるまで、立ち位置を変えるのを忘れていたくらいだ。
まっつの横は組長の立ち位置で、司会を終えたはっち組長は自分の立ち位置に戻る。めおくんはちゃんと立ち位置をずらしたのに、まっつは動かない。ぼーっとしている。
はっちさんになにか言われて、はっと正気に返るまっつ。あわてて立ち位置を変え、はっちさんを並びに入れた。
だ、大丈夫か?
ふたりいた同期がふたり同時に退団する。まっつは、ひとりぼっちになる。
お花渡しも、ひとりで2回。まずはかりやんへの花を持っていた。みほちゃんへの花は隣のめおくんが持ってくれていた。まっつの手が空いてから、受け渡し。
こわばった顔のまま舞台中央へ進み、下手側に回り込んで、花を渡す。渡す瞬間だけ、くしゃっと笑う。そしてまた、こわい顔に戻る。
自分の立ち位置に戻り、彫像のように目を見開いて、立ち尽くす。
ショー『Red Hot Sea』千秋楽。
まっつは、ハイテンションだった。
とにかく、よく笑う。
まつださんはショーであまり笑う人ではない。他の人たちが笑顔で踊っているときも、クールにシリアスにしゅぱしゅぱ踊る人だ。
今回のショーは黒塗りラテンショーなので、通常より笑顔率が高かったのだが、それにしても楽は笑いまくっていた。
発散系場面以外で、歯が見えるくらい笑う未涼亜希は、めずらしい。
びっくりしたのは、「幽霊船」。
ここでのまっつ、なんかすげーオトコマエで。
公演を重ねるごとに歌声が響くようになり、押し出しが良くなっているんだけど。
千秋楽は歌っているときの表情が、すごい、挑発的で。
な、なんなの? 誰ですか、あのセクシーワイルドな人はっ?!
可憐で儚げな未涼さんとは思えないっすよ。
表情の強さにびびりまくってはいたんだけど。
途中、船が傾いてスキャット4人組とまとぶさんが「こっつんこ」する場面がある。
正確には、まっつとまとぶさんが顔をくっつけるようにして、ぶつかって止まるのね。
そこでまとぶさんがなにかしらつぶやくのは、アドリブだけど、いつものこと。
「幽霊船」はユーモラスなシーンなので、まとぶさんはひとりでいろいろアドリブでなにか言っている。(あまり成功しているとは思えない……あたり、痛々しくて萌え・笑)
んで、千秋楽もいつものよーに声を出しているわけよ。
まとぶ「傾いてる?」
まっつ「うん」
……「うん」って。
まっつ、返事した!
しかも、超かわいい口調で。子どもみたいな、「うん」。
いつもやってるのかもしれないが、わたしはまっつが返事してるのを見たのははじめて。……マイク入ってないから、聞こえていないだけ、つー可能性はあるかもしれんが。
でもとにかく、「うん」って言った、まっつが「うん」って!! きゃー、かわいーーっ!! と、わたしはテンション上がりまくり(笑)。
そのうえ。
定位置でスキャットをめーーっちゃイイ声で歌うまっつ、歌のないところで、吠えた。
間奏部分で、声を出すべきではないところで、「わうっ」かなにか、そんな声を出した。
ええええ。
ままままつださん、どーしたの、なんなのそのハイテンション。
吠えたのは、まとぶんへのアドリブらしい。まとぶんの方を向いて吠えて、まとぶんも吠え返していた。まとぶんはマイク入っていないのか、あまり聞こえなかったけど。
まっつが、変だ……。
なんか変だよ、別人入ってるよ〜〜?!!
中詰めの、みほちゃんと踊るところはぱぁああって花びらでもとばしているかのような明るさだったし。
フィナーレでも、みほちゃん相手にハートのゼスチャーとかしてるし。
テンション高すぎて、全開で笑いすぎていて、大丈夫か、この人?! と、思っていたら。
退団者挨拶では目を見開いて硬直していて。
そのあとは放心していて。
カーテンコールでも、手を振るタイミング遅いし。みんなが手を振り出したあと、あ、そうか、って感じに遅れて手を振る。や、もう幕閉まるってばよ。
最後のカテコのほんとに幕が閉まる直前に、よーやく笑って見せた。
頬に涙の粒がついたままなのが、気になった。
褐色の肌に、光の粒がひとつ。
ずっと光っているの。
落ちもせず、ぬぐいもせず。
まるで、泣いたことにさえ、気づいていないように。認めていないかのように。
一旦幕が下りたあとになくなっていたから、観客の目がなくなってはじめて、ぬぐうことをしたんだと思う。
そのことに、意志を感じる。
泣いてない。……舞台では、泣かないんだね。
涙は、ぬぐわない。
そんな泣き方。
頬が濡れたまま、涙の粒が光ったまま、微動だにしない姿と……表情。
泣き顔で泣く人、笑顔でも涙だけぽろぽろこぼす人、ジェンヌにもいろいろあるけれど。
まっつは、顔が硬直する人。
泣き顔でも笑顔でも、表情は動くモノだけど、まっつは動かない。
こわい、きつい顔で固まったまま。
わたしの席から、卒業生を見送るまっつの顔はよく見えた……ていうか、まっつ見たさに無理して取った席だ。
ほぼ真正面に見える未涼さんは、強い強い顔で、目を見開いていた。
いつものまっつより、目が大きかった。その、きれいだった。目力ぎんぎんで、少女マンガ張りに大きくて。
まばたきは少なく、ありえないくらい力が入っていた。
が。
みほちゃんの挨拶のときになると、目の大きさと力の入りっぷりはそのままなのに、今度は打って変わってまばたきしまくっていた。
堪えていたのは、涙だろう。
まばたきするようになってからは、涙が落ちていた。
あんなに目を見開いて、かりやんの挨拶までは必死に涙を堪えていたらしい。
かりやん、みほちゃんと挨拶が終わり、まとぶんの挨拶になるころには、大きかった目から力が抜けていた。
どれくらい抜けているかって、組長に声を掛けられるまで、立ち位置を変えるのを忘れていたくらいだ。
まっつの横は組長の立ち位置で、司会を終えたはっち組長は自分の立ち位置に戻る。めおくんはちゃんと立ち位置をずらしたのに、まっつは動かない。ぼーっとしている。
はっちさんになにか言われて、はっと正気に返るまっつ。あわてて立ち位置を変え、はっちさんを並びに入れた。
だ、大丈夫か?
ふたりいた同期がふたり同時に退団する。まっつは、ひとりぼっちになる。
お花渡しも、ひとりで2回。まずはかりやんへの花を持っていた。みほちゃんへの花は隣のめおくんが持ってくれていた。まっつの手が空いてから、受け渡し。
こわばった顔のまま舞台中央へ進み、下手側に回り込んで、花を渡す。渡す瞬間だけ、くしゃっと笑う。そしてまた、こわい顔に戻る。
自分の立ち位置に戻り、彫像のように目を見開いて、立ち尽くす。
ショー『Red Hot Sea』千秋楽。
まっつは、ハイテンションだった。
とにかく、よく笑う。
まつださんはショーであまり笑う人ではない。他の人たちが笑顔で踊っているときも、クールにシリアスにしゅぱしゅぱ踊る人だ。
今回のショーは黒塗りラテンショーなので、通常より笑顔率が高かったのだが、それにしても楽は笑いまくっていた。
発散系場面以外で、歯が見えるくらい笑う未涼亜希は、めずらしい。
びっくりしたのは、「幽霊船」。
ここでのまっつ、なんかすげーオトコマエで。
公演を重ねるごとに歌声が響くようになり、押し出しが良くなっているんだけど。
千秋楽は歌っているときの表情が、すごい、挑発的で。
な、なんなの? 誰ですか、あのセクシーワイルドな人はっ?!
可憐で儚げな未涼さんとは思えないっすよ。
表情の強さにびびりまくってはいたんだけど。
途中、船が傾いてスキャット4人組とまとぶさんが「こっつんこ」する場面がある。
正確には、まっつとまとぶさんが顔をくっつけるようにして、ぶつかって止まるのね。
そこでまとぶさんがなにかしらつぶやくのは、アドリブだけど、いつものこと。
「幽霊船」はユーモラスなシーンなので、まとぶさんはひとりでいろいろアドリブでなにか言っている。(あまり成功しているとは思えない……あたり、痛々しくて萌え・笑)
んで、千秋楽もいつものよーに声を出しているわけよ。
まとぶ「傾いてる?」
まっつ「うん」
……「うん」って。
まっつ、返事した!
しかも、超かわいい口調で。子どもみたいな、「うん」。
いつもやってるのかもしれないが、わたしはまっつが返事してるのを見たのははじめて。……マイク入ってないから、聞こえていないだけ、つー可能性はあるかもしれんが。
でもとにかく、「うん」って言った、まっつが「うん」って!! きゃー、かわいーーっ!! と、わたしはテンション上がりまくり(笑)。
そのうえ。
定位置でスキャットをめーーっちゃイイ声で歌うまっつ、歌のないところで、吠えた。
間奏部分で、声を出すべきではないところで、「わうっ」かなにか、そんな声を出した。
ええええ。
ままままつださん、どーしたの、なんなのそのハイテンション。
吠えたのは、まとぶんへのアドリブらしい。まとぶんの方を向いて吠えて、まとぶんも吠え返していた。まとぶんはマイク入っていないのか、あまり聞こえなかったけど。
まっつが、変だ……。
なんか変だよ、別人入ってるよ〜〜?!!
中詰めの、みほちゃんと踊るところはぱぁああって花びらでもとばしているかのような明るさだったし。
フィナーレでも、みほちゃん相手にハートのゼスチャーとかしてるし。
テンション高すぎて、全開で笑いすぎていて、大丈夫か、この人?! と、思っていたら。
退団者挨拶では目を見開いて硬直していて。
そのあとは放心していて。
カーテンコールでも、手を振るタイミング遅いし。みんなが手を振り出したあと、あ、そうか、って感じに遅れて手を振る。や、もう幕閉まるってばよ。
最後のカテコのほんとに幕が閉まる直前に、よーやく笑って見せた。
頬に涙の粒がついたままなのが、気になった。
褐色の肌に、光の粒がひとつ。
ずっと光っているの。
落ちもせず、ぬぐいもせず。
まるで、泣いたことにさえ、気づいていないように。認めていないかのように。
一旦幕が下りたあとになくなっていたから、観客の目がなくなってはじめて、ぬぐうことをしたんだと思う。
そのことに、意志を感じる。
泣いてない。……舞台では、泣かないんだね。
涙は、ぬぐわない。
そんな泣き方。
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